上六ッ川内科クリニック・内科・小児科・呼吸器科

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喘息治療ガイドラインに沿った治療をすることによって、喘息をよりよくコントロールできると、日常生活を普通に送れるようになります。そのためにはまず、ご家族がお子さんの喘息の状態を正確に把握し、それを担当医に話していただくことです。そこから、「喘息のない生活」への第一歩がはじまります。

ぜんそく治療は、いつまで続ければいいのですか?

たとえ症状がなくなっても、長く続けることが基本です。ぜんそくは、高血圧や糖尿病などと同じ慢性の病気です。ですから、基本的には治療を長く続けていかなければなりません。しかし、薬によってぜんそくを上手にコントロールすることができれば、気道の状態を観察しながら、医師の判断により、薬を減らしていくことも可能です。ただし、ぜんそくを起こしやすい体質は変わらないため、一度治っても再び悪化することがあります。自分で勝手に判断せずに、医師に相談しながら、薬の減量方法を決めましょう。

吸入薬はどんなものですか?

吸入器を使って、気道に直接作用し、より少量で効果がえられる薬です。吸入薬には、ステロイド薬のほかに、気管支拡張薬、抗アレルギー薬、抗コリン薬などがあります。タイプとしては、自分の吸気力によって薬剤を吸入する「ドライパウダー吸入器」(DPI)と加圧ガスによって吸入するエアゾール式の「定量噴霧式吸入器」(MDI)の2タイプがあります。ドライパウダーの吸入薬は、薬剤を吸い込むときにタイミングを合わせる必要がありません。一方、エアゾール式の吸入器(MDI)は、上手に粉末を吸い込めない乳幼児やお年寄りでも、補助器具を使用すれば楽に吸入することができます。

吸入器は、お年寄りでも子供でも使用できますか?

年齢にかかわらず、使用できます。ドライパウダー吸入器(DPI)は簡単に吸入できます。一方、定量噴霧式吸入器(MDI)では、ボンベを押して噴霧するタイミングと吸い込むタイミングをあわせる必要があるので、ある程度のコツが必要です。ただし、タイミングが取れないお年寄りや乳幼児でも、吸入補助器具を使用すれば、ゆっくり普通の呼吸に合わせて吸入でき、吸入効率が向上します。

ICS(吸入ステロイド薬)をより安全に使うためには?

吸入したら必ずうがいをしましょう。 吸入によって口の中に残った薬剤は、水でうがいをして流します。こうすれば、吸入ステロイド薬にみられる口腔カンジタ症などの局所的な副作用を防ぐことができます。

喘息の子どもは、学校行事や部活動に参加できないことがあります。他の子どもと同じような学校生活を送れないものでしょうか?

お子さんにあった治療を続ければ、学校行事や部活動に参加できるようになります。喘息の治療は、健康なお子さんと同じように日常生活を送れることを目標にしています。
私が診ている喘息の子どもたちの中にも、喘息のために学校を休んでしまったり、楽しみにしていた学校行事をあきらめなければならなかったりする子どもがいます。さらには野球やサッカーなど運動部の活動、さらには吹奏学部などの文科系の部活動を続けることをためらって、どうしたらいいかと相談を受けることが多くあります。小児気管支喘息の治療では、例えばスポーツを含めた日常生活が送れること、夜の睡眠が充分にとれること、学校を休まないこと、さらには肺機能が正常なことなどを目標にしています。ご家族の方たちは、目標達成に向けて、医師と相談しながら治療を進めて行くことが重要だと思います。

喘息を治療するとき、先生方がどんなことを治療目標においているのか、くわしく聞かせてください。

小児気管支喘息の治療目標を、次の6つにおいて治療を進めています。喘息治療・管理ガイドラインでは「喘息治療目標」を、次のように6つかかげていますので、ご紹介します。
1)スポーツも含め、日常生活を普通に送れる。
2)昼夜を通じて、症状がなくなる。
3)β2刺激薬の頓用が減少、または必要がなくなる。
4)学校を欠席しなくてすむ。
5)肺機能が、ほぼ正常になる。
6)呼吸機能(PEF:ピークフロー)が安定している。

喘息治療の結果、学校行事や部活に参加できるようになった子どもたちの具体的な例を紹介してください。

テニスや陸上競技など、スポーツを含む日常生活を普通に送れるようになりました。最初にスポーツを含め、日常生活が普通のお子さんと同じように送れるようになったお子さんふたりを紹介します。ひとりは14歳の男のお子さんです。最初は風邪を引くと発作が出る程度でしたが、テニスの部活をすると、疲れ果てて帰宅。「発作を出さない治療」を始めたところ、部活動を休まなくてもすむようになり、帰宅時の疲れも軽減しました。健康なお子さんとまったく同じ生活を取り戻した例です。もうひとりは、16歳の男のお子さんです。「発作を出さない治療」をすると、短距離のダッシュが楽になり、1500メートル走ではタイムを1分近く縮めることができました。本人は“呼吸するのがこんなに楽なことなのか”と治療による効果を実感していました。
昼夜を通じて、喘息の症状がなくなりました。感染による発作が多く、入院を数回していた6歳のお子さんです。学校では、運動誘発発作を起こしていました。従来の薬剤に「発作を出さない治療薬」を加えた治療をしたところ、運動誘発発作も夜の発作も起きなくなり、その結果入院することもなくなりました。お母さんとしては、本人が明るくなったことを喜んでいますし、お母さんの負担も軽減して楽になったとおっしゃっています。また、中学の吹奏学部のお子さんの場合は、トランペットを吹くと息切れで部活ができなくなっていましたが、「発作を出さない治療」によって息切れがまったくなくなったということです。
学校の欠席日数が減り、病弱なイメージがなくなりました。9歳の女のお子さんは、日常的に喘息の発作があって欠席日数は年間20日以上になっていました。喘息の十分なコントロールができていなかったため、「発作を出さない治療」を毎日続けました。すると、翌年は学校の欠席日数が4日に減少しました。それまではクラスメイトから病弱な子どもだと思われていたようですが、治療後は、病弱なイメージが一掃されたと喜んでいました。
発作止めのβ刺激薬を減らすことができました。5歳の男のお子さんの例です。大きな発作は起こさないものの、小発作を時々起こしては発作止めのβ2刺激薬を吸入していました。寝る前も不安感からβ2刺激薬を吸入していたそうです。「発作を出さない治療」をベースに治療を組み立てたところ、不安もなくなってβ2刺激薬をほとんど吸入しなくてもすむようになりました。こういう患者さんは結構多くて、患者さんのQOLを考慮した治療をすることの重要性を再確認しています。

喘息の子どもが発作を起こすと、イライラすることがあります。 喘息の子どもをもつ親は、ストレスを感じるものなのでしょうか?

多くの親にとって子育ては簡単ではなく、時に負担であり、不安・罪悪感や広い意味でのストレスを抱えやすいということを、イギリスの有名な心理学者が報告しています。国が違っても世界中の子育て中のご両親は、同じような悩みやストレスを抱えています。
ただでさえ、こうした試練を伴うのが子育てですが、これに加えて、子どもにアレルギーなど慢性な病気があると、親の悩みは何倍にも深まります。喘息のお子さんの場合には、夜中から明け方にかけて突然咳が出たり、苦しんだりします。すると親として予定していたスケジュールを変更せざるを得なくなったりします。会社に無理を言って時間を変更してもらったり休んだり、家事も仕事も突然の変更を余儀なくされます。喘息の子どもの子育ては、親にとっては大変なストレスになりえます。

喘息の子どもと家族皆がもう少し楽になるには、どうしたらいいでしょうか? アドバイスをお願いします。

喘息はもはや、必要以上に心配したり、悩みやストレスを抱えたりするような病気ではありません。適切な治療と指導によって、症状をコントロールでき、皆がハッピーになれる病気だと思います。私の息子の場合、たとえ「軽症」に分類される程度の症状であっても、それまでの状況が続いていたら、先が見えない袋小路に陥り、私は社会人として破綻していた可能性すらあったと思います。そういう状況が、一つの薬で完全に打破できたのです。たとえ細かい小さな症状であっても、それをゼロのレベルにすることはその子にとっても、親にとっても、また兄弟や他の家族にとっても大切で、意味のあることだと考えています。
もし、皆さんのお子さんに気になる症状があるならば、主治医の先生に少しの勇気を持って、どうぞ相談してみてください。今の治療法が適切かどうかを判断し、適切な治療を行うことによって、喘息がもっとよくなる余地があるからです。医師と患者そして親が一緒に力を合わせて喘息に向き合っていくべきではないでしょうか。これが、喘息のない生活、みんながハッピーになれる生活への第一歩となるのだと思っています。
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