その症状、本当にただの風邪(かぜ)?
放っておくと怖い病気について知っておこう!

みなさんは風邪をひいた時、咳や鼻水、くしゃみなどがなかなか治らずに困ったことはありませんか?

でも、
「どうせただの風邪だからそのうち治るだろう」
と思っているその症状は、本当は風邪ではないのかもしれません。

風邪だと思って放っておいたらどんどん悪化してしまった・・・・

なんていうことを少しでも防いでいただけるよう、今回は
「風邪の基本的知識・風邪と間違えられやすい病気・風邪がこじれて起こる病気」
についてお伝えしていきたいと思います!
 
 
<もくじ>
1.「風邪」ってそもそもどういう病気?
2.風邪と間違えられやすい感染症
3.風邪がこじれて起こる病気
4.感染症を予防する6つの方法
5.風邪にまつわるちょっと気になる話


 

1.「風邪」ってそもそもどういう病気?

(1)風邪とは・・・

「風邪」とは、鼻やのどに起こる急性の炎症の総称で、医学的には“風邪症候群”と呼ばれる誰もが一度はかかるとされるもっともポピュラーな感染症です。

具体的には、鼻・咽頭(いんとう)・喉頭(こうとう)からなる「上気道」と、気管・気管支・肺からなる「下気道」の両方に炎症が起こることを言います。

私たちが普段なにげなく呼吸をしている空気中には様々なウイルスや細菌が飛び回っており、呼吸や食事の時などにカンタンに体の中に侵入し、数を増やそうとします。

健康な時はウイルスや細菌の増殖を抑えることができますが、季節の変わり目などで急激な温度変化がある時や、疲れがたまって体の抵抗力が落ちていると、たちまちウイルスや細菌が増殖して咳や鼻水などの症状として現れるのです。


(2)風邪のおもな症状

症状は、炎症の起こった場所によって変わります。
鼻の粘膜で炎症が起きれば、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状が現れますし、
のどの粘膜で炎症が起きれば、咳や痰、喉の痛みなどの症状が現れます。

これらに加えて、発熱や頭痛、全身のだるさなどの症状が同時に現れることもあります。
風邪の症状は誰もが同じように出るわけではなく、人によってもさまざまです。
 
 
(3)治療法

残念ながら、風邪自体を治す特効薬はありません。
そのため、病院では「高熱を下げる」「咳を鎮める」「喉の炎症を鎮める」といった、今出ている症状を和らげるための薬を処方します。
これを「対症療法」と言います。

また、細菌感染が疑われる場合には抗生物質の投与を行うこともあります。

風邪は栄養をとって安静にしていれば通常は10日前後で治りますが、2週間以上たっても咳が続く場合は別の病気が隠れていることが考えられますので、呼吸器内科でくわしく検査することをおすすめします。


 

2.風邪と間違えられやすい感染症

咳や発熱、くしゃみが出るとまず「風邪ひいたかな?」と思ってしまいがちですが、ウイルスや細菌の感染による病気は風邪だけではありません。

風邪と同じような初期症状で、他にどのような病気があるのかをみてみましょう。
 
 
(1)インフルエンザ

強力な感染力を持つため、いったん流行すると年齢や性別を問わず、多くの人に短期間で感染が広がります。

①症状
寒気、発熱、頭痛、筋肉痛などがあり、全身のだるさが急激に現れます。
風邪との症状の違いとしては、全身の関節の痛みや頭痛、寒気などが強く、いきなり高熱が出るなどが挙げられます。

②原因
インフルエンザウイルスの感染によるもので、このウイルスは変異を繰り返す性質があるため、毎年かかることもある病気です。
以前は冬の時期(1~3月)に流行すると言われた病気でしたが、近年では流行ピークのパターンが崩れ、冬に限らず1年を通してみられるようになりました。

③検査・診断
「迅速診断キット」を使って行います。これは、のどや鼻から採取した粘液を調べてウイルスを検出するもので、およそ15~25分程度で結果を出すことができます。
検査するタイミングは、体内にいるインフルエンザウイルスの数が少ないと検査をしても陰性になってしまうため、発熱してから12時間くらい経ってから検査をするのが望ましいです。

ただし、大流行期や発症者が身近にいる場合はインフルエンザにかかっている可能性が高いため、医師が総合的に判断して抗ウイルス薬を処方する場合もあります。

④治療
発症後なるべく48時間以内に抗ウイルス薬を服用し、外出せずにとにかく安静にしていることが大事です。
治療薬には内服薬のタミフル、吸入薬のリレンザ、イナビルなどがあります。

およそ4~5日で寒気・高熱が治まり、約1週間で治癒します。
ただし、様々な合併症を起こす危険性もあり、高齢者では肺炎、乳幼児ではインフルエンザ脳症などに注意が必要です。


(2)クループ症候群

あまり耳なじみのない病名ですが、2歳児~6歳児くらいのお子さんに多くみられる病気です。

①症状
発熱やのどの痛みなどからはじまり、次第に声がかすれ、犬が吠えるような「ケンケン」「ゴーゴー」という特徴のある咳が頻繁に出るようになります。
普段と違う咳をしていないかどうか、よく注意してみてください。

もしもこのような症状が現れた場合は、自己判断で市販のかぜ薬や咳止めを飲ませるのは控え、呼吸困難など症状が悪化する前に医療機関を受診しましょう。

②原因
クループ症候群の原因の大半は上気道(声帯や喉の周辺)のウイルス感染です。
その中でも特に「パラインフルエンザウイルス」によるものが最もポピュラーで、その他に「RSウイルス」や「アデノウイルス」によるものがあります。

クループ症候群でみられる特徴的な咳は、ウイルス感染で気道の粘膜が腫れ、空気の通り道が狭くなることによって起こるものです。

ウイルスのほかに細菌によるものもあり、特に注意しなければならないのはインフルエンザ菌b型(Hibと呼ばれるもので、インフルエンザウイルスとは別物)です。

Hibが原因のクループ症候群は重症化しやすいと言われており、予防接種が行われていますので、詳しくはお住まいの自治体のホームページなどでご確認ください。

③検査・診断
基本的には医師が咳の音を聞いて診断します。
咳の音だけで診断できない場合は、「急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん)」という重症かつ急性な疾患を見つけるためにも、喉のX線検査や内視鏡検査で喉の状態を見ることがあります。

クループ症候群の咳は夜に悪化して朝には治まっているということもあるので、医療機関を受診するまでに時間が空く場合は、咳の状態を記録したり、録音しておくのも良いでしょう。

④治療
症状が軽い場合には自宅で安静にすることで1~2週間で回復します。
ゆっくり休ませ、気道の乾燥を防ぐために十分な水分補給、室内の保湿を行います。
泣いて興奮すると症状が悪化してしまうことがあるので、できるだけ落ち着かせることが大切です。
症状が重い場合は、酸素吸入やステロイド薬の注射、内服などの治療をすることもあります。
 
 
(3)ジフテリア

一般的に秋から冬にかけて流行し、2~7歳児に多い疾患です。
かつては年間8万人が感染し、そのうちの10%が亡くなっていましたが、現在の日本ではめったにみられません(年間発症数は数例)。

①症状
発熱やのどの痛み、全身のだるさなどからはじまり、乾いた咳が出ることがあります。
また、原因となるジフテリア菌の出す毒素は心筋、神経系などを侵し、重症化すると合併症として心筋炎や不整脈、末梢神経炎などを引き起こすことがあります。

②原因
ジフテリア菌という細菌への感染によって起こるもので、原因菌を持っている人の咳やくしゃみが鼻やのどの粘膜に付着することにより感染します。
感染すると粘膜に偽膜(強い炎症が起きた時にみられる膜状の形成物)が作られ、無理にはがそうとすると出血してしまいます。

③検査・診断
病気がある部位から菌を培養し検出を行いますが、検査に時間がかかり、治療開始が遅れてしまうことでその後の経過に影響が出てしまうことから、ジフテリアが強く疑われる場合には、検査の結果を待たずに治療へ進むことが多くあります。

④治療
毒素に対して効果のある抗毒素ワクチンの注射や、感染が広がるのを防ぐための抗生剤の使用などがあります。

ジフテリアの治療が遅れると、偽膜や炎症によって気道がふさがれたり、合併症の危険性が高まるだけでなく、神経症状が進行して麻痺などの後遺症が残る可能性もあるため、すぐに治療を始めることが望ましいです。

予防にはワクチンの予防接種が有効です。
日本では、定期予防接種として乳幼児期と小学校高学年期に、ジフテリア・破傷風を含む混合ワクチン(DPT)の予防接種が行われています。


 

3.風邪がこじれて起こる病気

風邪がこじれることでかかる病気についてお話します。

①急性気管支炎
急性気管支炎とは、気管支の炎症がさらに悪化した状態のことをいいます。
そのため、風邪症候群と同じウイルスの感染が主な原因になります。

数週間で症状が落ち着くことが多いですが、のどの痛みや咳、痰に加えて発熱を伴う場合もあります。
発熱や咳などの症状が長引く場合には肺炎や肺結核、胸膜炎を合併している恐れがあるため、注意が必要です。
(気管支炎についてもっと知りたい方はコチラ!→★★★

②肺炎
肺炎とは、ウイルスや細菌の感染やアレルギーが肺にまで入り込み、炎症を起こしている状態のことです。

65歳以上になると、免疫力も落ちてきて、ちょっとしたことから肺炎を発症し、急激に悪化して、最悪の場合は亡くなってしまうこともあるのです。
今までの50年間、日本人の3大死因といえば、「がん、心疾患、脳血管疾患」でした。
しかし、日本人の高齢化に伴い、肺炎による死亡者数は12万人を超え、2011年から日本の死亡者数第3位になっています。(2015年厚生労働省の人口動態統計より)

③喘息(ぜんそく)
風邪のウイルスが気管支喘息(きかんしぜんそく)を引き起こす刺激となることがあるため、風邪がきっかけで気管支喘息を発症する方も多くいらっしゃいます。

風邪やインフルエンザなどの感染症が原因で咳が出る場合、発熱や喉の痛みなどの症状と合わせて出ることが多く、1週間~2週間以内に治まることがほとんどです。
しかし、2週間以上続くとなると感染症の影響を受けているとは考えにくいため、気管支喘息の疑いがあります。一度呼吸器内科を受診してみましょう。
(喘息について、もっと知りたい方はコチラ!→★★★

④中耳炎
耳の鼓膜から奥のことを中耳といい、この部分に炎症が起きた状態を中耳炎といいます。耳の痛みや発熱、聴力低下などの症状が見られます。
口と耳はつながっているため、風邪のウイルスが耳に感染して起こることが多いです。
特に子どもは耳管が短いことに加えて、鼻水をかまずにすすってしまいがちということもあり、中耳炎を起こしやすいです。

⑤副鼻腔炎
鼻腔の周囲には、副鼻腔という粘膜に覆われた空洞が存在し、この部分に炎症が起きた状態を副鼻腔炎といいます。頭痛や鼻汁、鼻づまり、熱などの症状が見られます。


 

4.風邪を予防する6つの方法

(1)手洗い

手にはたくさんの細菌やウイルスが付着しています。
せっけんを使って手洗いをすることで、細菌やウイルスを洗い流すことができます。




(2)うがい

口の中は病原体が侵入しやすい場所であるため、うがいによって粘膜に付着した細菌などを体の外に出すことで予防効果が期待できます。

うがいのポイントは、いきなり“ガラガラ”と喉を洗うと口の中の細菌が喉に移動してしまうので、まずは“ブクブク”うがいで口の中を洗い流すことがとても大事です。



(3)マスク

感染症を予防する方法としてマスクの着用もおすすめです。
完全な予防とはいきませんが、自分にあったものを正しく使用することで感染症予防や、感染拡大の防止にもつながります。
現在、家庭用マスクにはさまざまな種類のものが販売されていますので、自分に合ったものを使いましょう。
(マスクの種類や選び方について、くわしく知りたい方はコチラ!→★★★




(4)睡眠

睡眠不足がつづくことで、体力低下、精神不安、免疫力低下など身体に様々な影響
を及ぼします。
十分な休養をとり、身体を休めましょう。




(5)加湿

空気の乾燥により、ノドの粘膜が乾燥しやすくなり、感染症の原因となるウイルスや細菌が付着しやすくなってしまいます。

適度な湿度を保つことで、

・感染症の原因となるウイルスや細菌が飛び散る距離が短くなる
・痰が出しやすくなる
・炎症の原因となるノドの乾燥を予防することができる

などの良いことがあります。

加湿器を使用したり、洗濯物を室内干しするなどして、適度な湿度(目安50~60%)を保ち、感染しにくい環境をつくることが大切です。




(6)食事

栄養バランスの偏った食事では、ウイルスや細菌への抵抗力が弱まってしまい感染症にかかりやすい体になってしまいます。
そこで、ウイルスや細菌に負けない体をつくる食事をとることが大切になります。


①たんぱく質:かぜと戦うからだをつくる
魚介類、肉類、卵、大豆製品、乳製品など

②ビタミン:体の機能を調節する
・ビタミンC(免疫力UP)・・・イチゴ、みかん、キウイフルーツ、お茶など
・ビタミンA(鼻やのどの粘膜を保護)・・・ほうれん草、人参などの緑黄色野菜、うなぎなど
・ビタミンE(体力の低下を抑える)・・・ナッツ類、豆類、植物油など

③亜鉛:免疫機能を高める、疲労回復
カキなどの魚介類、赤身の肉類、レバーなど

からだがウイルスや細菌と闘うためには栄養満点の食事が欠かせません。
紹介したおすすめの食材を上手に取り入れ、感染症に負けない体づくりをしていきましょう。


5.風邪にまつわるちょっと気になる話

風邪の時、お風呂に入るのは良い・悪い?

昔からの言い伝えとして「風邪を引いたらお風呂に入ってはいけない」と言われて育った方も多いのではないのでしょうか?

その理由として、ひと昔前の日本では銭湯での入浴がスタンダードで、お風呂がある家でも屋外にあることが多かったため、脱衣所が寒く湯冷めをしやすかったことが考えられます。

このような昔の名残から、長いこと風邪を引いたときにお風呂に入るのはタブーとされてきましたが、現代の日本では浴室は屋内にあり、家の造りもしっかりしているため、環境がかなり変化しています。

そのため、次の注意すべきポイントさえおさえれば入浴はむしろ効果的ともいうことができるでしょう。

①湯冷めに注意
湯船で温めた体を脱衣所で一気に下げてしまうことで体への負担が大きくなってしまいます。
そこで、脱衣所を温めておく・髪をきちんと乾かす・服をすぐ着るなどの工夫をすることで湯冷めを防ぎましょう。

②湯船の温度に注意
発熱がなければ、湯船に浸かることによって体が温まり、血行を促進するだけでなく、痰を出しやすくしてくれる効果もあります。
ただし湯船が熱すぎると逆に体への負担が大きくなってしまいますので、41℃くらいのぬるめの温度設定にすることをおすすめします。

発熱がある場合は、血行の促進により体力が消耗してしまいますので、湯船につかることは避けましょう。

③水分補給を忘れずに
入浴をすると血行が促進されるため、たくさん汗をかきます。
ここで失われた水分を補給しないままでいると、脱水症を引き起こす原因になってしまいます。
そのため、入浴前と入浴後には水分補給を忘れずにしてください。


~まとめ~
●風邪とは鼻やのどから肺にかけて起こる急性の炎症の総称です。
●症状は、くしゃみや鼻水、せき、たん、のどの痛みなどです。
●風邪には特効薬がありません。病院では、症状に応じた治療薬を処方します。
●風邪に似た病気として、インフルエンザ、クループ症候群、ジフテリアなどがあります。
●風邪をこじらせることによって、気管支炎や肺炎、喘息などを引き起こすことがあります。
●感染症を予防する方法として、①手洗い②うがい③マスク④睡眠⑤加湿⑥食事の6つがあります。
●風邪をひいたときの入浴は、湯冷め、湯船の温度、水分補給に注意しましょう。
●自己判断による放置やむやみに市販薬を飲んだりせず、早めに適切な治療を受けるようにしましょう。
 

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