「肺がん」は死亡原因第1位。
だからこそ検診で早期発見、そして「禁煙」を!

みなさんは「がん」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?

「治らない」「怖い病気」「死」という印象が強いのではないでしょうか。
 
 
現在の日本では、2人に1人はなんらかの「がん」にかかると言われています。
自分を含めた身近な人がいつ「がん」にかかってもおかしくない時代になってきているのです。

その中でも「肺がん」で亡くなる人の数は、男性1位、女性2位というデータが出ています(2015年版 公益財団法人がん研究振興財団 統計資料より)。

また、「肺がん」は予後(その病気がたどる経過と結果)が悪く、死亡率も高い病気です。
「肺がん」という病気を正しく理解して、早期発見・早期治療をすることは、とても大切なことなのです。
 
 
今回は、そんな「肺がん」について大事なお話をしていきたいと思います。
 
 
<もくじ>
1.「肺がん」ってどういう病気?
2.肺がんと間違えやすい病気があります
3.肺がんが疑わしいときに行うおもな検査
4.肺がんの治療にはどのようなものがある?
5.「セカンドオピニオン」って何?
6.肺がんのリスクはサプリメントや水の中にもある!?
7.定期検診で早期発見、予防をしましょう!
8.肺がんリスクを減らすのは、やっぱり「禁煙」!


 

1.「肺がん」ってどういう病気?

(1)肺がんにはいくつかの種類があります!

「肺がん」というのは実は一つだけではなく、いくつかの種類があるということをご存知でしたか?
その理由は、肺はいろいろな種類の細胞から成り立っているため、それぞれの細胞でがんが発生するからなのです。

肺がんは大きく、「小細胞肺がん」「非小細肺胞がん」に分けることができます。
 
①小細胞肺がん
「小細胞肺がん」は、肺がん患者の約10~15%を占めます。
タバコと非常に深い関係があり、なんと男性の小細胞肺がんの原因のほぼ100%がタバコであると言われています!

また、小細胞肺がんは増殖が速く、早い段階で他の臓器に「転移」します。
病気の進行も早いため、何も治療をしない場合の生存期間は平均で2~4ヶ月となっていますが、
抗がん剤や放射線治療が比較的効きやすいという特徴も持っています。
 
 
②非小細胞肺がん
「非小細胞肺がん」は、肺がん患者の約80%を占めます。
早期に発見して手術ができれば、治癒できる可能性があるがんです。

非小細胞肺がんは、さらに「肺腺がん」「肺扁平上皮がん」「大細胞肺がん」「特殊な肺がん」に分けることができます。
 
<肺腺がん(はいせんがん)>
肺腺がんは肺がんの中で最も発生頻度が高いがんです。
杏林大学医学部の呉屋教授によれば、2002年のデータでは1万4695人の肺がん患者のうち、肺腺がんが57%、小細胞肺がんが9%、肺扁平上皮がんが26%という結果だったそうです。

最近では、女優の野際陽子さんがこの病気が原因で亡くなられましたし、歌舞伎俳優の中村獅童さんが初期の肺腺がんだったというニュースもあったので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

肺腺がんは肺の奥の方(気管支先端の細い部分)にできる事が多く、初期の段階では自覚症状はほとんど無いと言います。

肺腺がんは今まで、肺がんの中でもタバコとの関係性は低いものとされてきました。
しかし、肺腺がんが近年増加している背景には、タバコのフィルターの性能が非常に良くなったことにより、フィルターをすり抜けた超微細な有害物質が気管支の太い部分で止まらずに肺の奥まで入り込んでしまい、そこでがんが発生するのではないかと考えられています。
 
<肺扁平上皮がん(はいへんぺいじょうひがん)>
扁平上皮がんはタバコと関係が深いがんとされており、肺がんの中で25~30%を占めています。
発生部位は肺の中の太い気管支にできる事が多いです。
 
<大細胞肺がん(だいさいぼうはいがん)>
大きな細胞から出来るがんで、がんの増殖が速く発生部位は肺全体です。
発生頻度は比較的少ないがんと言われています。
 
<特殊な肺がん>
肺がんのほとんどは上記の4種類(小細胞肺がん・肺腺がん・肺扁平上皮がん・大細胞肺がん)に分けられますが、ごくまれにこれらの種類に入らないがんもあります。
それは、カルチノイド、腺様嚢胞がん(せんようのうほうがん)、粘表皮がん(ねんひょうひがん)などです。
 
 
(2)「転移性」と「原発性」とは?

がん細胞は、周りの正常な組織や器官を壊して増殖しながらほかの臓器にも広がっていきます。

がんが発生した部位から遠い臓器に移ることを、「転移(てんい)」といいます。
例えば、最初に胃がんを発症し、そのがんが肺にも移ることを「胃がんが肺に転移した」といいます。

一方「原発性」は、細胞自体が“がん化”して腫瘍(しゅよう)ができたものです。
よって、肺内の細胞からがんが発生した場合は「原発性肺がん」となります。

また、発生した部位から周りにだんだんとしみわたるように広がっていくことを「浸潤(しんじゅん)」といいます。
 
がんの中でも特に肺がんは、肺自体が毛細血管やリンパ管が多くある臓器のため、がん細胞が血液やリンパの流れに乗って全身に転移しやすく、また他の臓器からの転移もしやすいという特徴があります。

そのため、肺がんが疑われたら全身の臓器を検査する必要があります。
 
 
(3)肺がんの症状にはどんなものがある?

肺がんは、初期にはほとんど自覚症状が無いことが多いです。
また、咳や痰・血痰(血の混じった痰)・発熱・胸の痛みなど、風邪や肺炎などの症状と似ていることが多いため、すぐに「肺がんかな?」と疑ってみるという人は少ないのではないでしょうか。

そのような中でも、タバコが強く関係している小細胞肺がん肺扁平上皮がんでは、咳や痰、血痰などの自覚症状が比較的出やすいとされています。

もしも血痰が数日続いたり、咳や胸の痛みがあったりした場合には、早めに呼吸器内科を受診することをおすすめします。

タバコの影響の少ない肺腺がんや大細胞肺がんは、ほとんど自覚症状が無いため、かなり進行しないと痰の検査でも発見しにくいと言われています。
 
 
(4)肺がんの原因の第1位は喫煙=タバコです!

肺がんの原因にはいくつかの物質が関係していると言われていますが、そのなかでもタバコはもっとも影響が大きいと言われています。

先ほども言いましたが、特に小細胞肺がん肺扁平上皮がんはタバコとの関連性が強いとされています。

受動喫煙(タバコを吸っている人から流れてくる煙を吸う事)に関しては、驚くことに夫がタバコを吸う場合、妻が肺がんにかかる確率は夫がタバコを吸わない人と比べて1.3倍も高くなると言われているんです!

また、喫煙以外に肺がんになる他の原因として「大気汚染」があります。
大気中のなかで明らかになっている約300の化学物質のうち10%に発がん性があると言われています。

 

2.肺がんと間違えやすい病気があります

咳・痰・息苦しさなどは、肺がんでなくとも様々な病気でみられる症状です。
また、検査でも肺がんと見分けをつけるのが難しいものもあります。
 
次に挙げる7つの病気は、咳・痰・息苦しさを伴うおもな病気です。
気になる症状がある場合は、迷わず受診してみてください。
 
①気管支炎(きかんしえん)
気管支炎は、風邪を引いた時に気管支にウイルスの感染が起こった時に咳や痰、息切れや胸の痛みなどが起こる病気です。
咳が激しいと気管支が傷つき血の混じった痰の出る事もあります。
(気管支炎について、くわしくはコチラ!→★★★
 
②気管支喘息(きかんしぜんそく)
気道(呼吸する時の空気の通り道)の慢性的な炎症によって咳が発作的に出たり、気道が狭くなり呼吸をする度に胸からゼーゼーヒューヒューと聞こえる喘鳴(ぜいめい)が出たりします。
(気管支喘息について、くわしくはコチラ!→★★★
 
③気管支拡張症(きかんしかくちょうしょう)
鼻や口と肺をつなぐ気管支がなんらかの原因で広がってしまった状態のことです。
原因は、先天的なものや、肺炎を繰り返して気管支の壁が壊れたり弱くなったりして生じます。
症状としては、咳や痰、血痰や喀血(かっけつ・呼吸器官から出た血液が口から出ること)がよくみられます。
 
④肺炎
風邪のような症状が続いた後に、高熱や胸の痛み・咳・痰・呼吸困難などの症状が出ます。
原因には、マイコプラズマなどの細菌やウイルス感染が挙げられます。
症状が重いと入院することもあります。
 
⑤COPD(シーオーピーディー・慢性閉塞性肺疾患)
別名「タバコ病」とも言われており、症状には咳や痰、息切れなどがあります。
重症になると酸素吸入が必要になる場合があります。
(COPDについて、くわしくはコチラ!→★★★
 
⑥結核腫(けっかくしゅ)
結核の一種ですが、結核が腫瘤(しゅりゅう・かたまりのこと)のような形になります。
CT検査で肺がんの特徴的な形とよく似た画像が残ることがあり、見分けることが必要です。
 
⑦肺クリプトコッカス症
「クリプトコッカス」とは、ハトのフンなどが媒介するカビの一種で、このカビが肺に感染して起こる病気です。
自覚症状が無く、CT検査では肺がんと見分けがつきにくいため、手術をしてから分かるというケースもあるようです。

 

3.肺がんが疑わしい時に行うおもな検査

それでは、肺がんの検査にはどのようなものがあるのかを説明していきます。
実際にどの検査を行う必要があるのかは、病院を受診した際に医師と相談して決めます。

(1)スクリーニング検査

まだ症状が無い時にがんの可能性があるかを調べる検査です。

①胸部X線検査(レントゲン検査)
「がん」を発見するのに有効です。
しかし、ろっ骨などの骨の重なる場所や肺の上のほう、心臓の周りは死角が多いのでレントゲンの結果だけでがんの有無を100%信頼することは出来ません。

肺はレントゲンで撮影すると黒く写ります。その黒い部分に白い影が写るとがんの可能性があるのですが、肺結核や肺炎、肺の良性の腫瘍、肺真菌症などの病気でも同じような影が写ることがあります。
レントゲン検査は、肺に何らかの異常があるかないかをみる検査だと思ってください。
 
②胸部CT検査
CT検査とは、X線検査とコンピューターを組み合わせたものです。
X線が体のまわりを回転して0.5ミリから2ミリ単位で肺を輪切りのように撮影して調べていきます。

時間も数分間という短時間で終わります。十数秒間、息をとめて検査台に横になっているだけで肺全体を撮影できます。
最近は検査装置も性能がアップし、直径5ミリ以下の肺がんや超早期の肺がんも見つけられるようになりました。

③痰の細胞診検査
痰を顕微鏡で調べて、がん細胞があるかどうかを調べる検査です。
胸部X線検査で肺がんの疑いがある場合に行うことが多いです。

痰は比較的太い気管支から分泌されるので、肺の入口に近い部分にできたがんを発見するのに適しています。
ヘビースモーカーの人や、血痰(けったん・血の混ざった痰のこと)が出る人は調べてみることをおすすめします。
 
 
(2)確定診断検査

スクリーニング検査でがんが疑わしいと判断された場合に、より精密な検査で診断します。

①気管支鏡検査(きかんしきょうけんさ)
「気管支鏡」という胃カメラよりも細い内視鏡の管(先端にカメラが付いている)を口から気管支に入れて内部を調べます。

さらに、「病理学的検査」と言われる、管の先についている鉗子(かんし・はさみのようなもの)で組織を一部切り取って細胞を調べたりします。
 
②透視下肺生検(とうしかはいせいけん)
あらかじめ針をさす場所の皮膚に局所麻酔をして、CT検査を行いながら異常が疑われる場所に針を刺し、組織や細胞を取って調べます。

組織を調べる場合は、細胞だけの時よりも正確な診断ができます。
しかし、がんができている場合は針を刺すことでがん細胞を周囲にばらまく恐れもあるので、手術を予定している人には通常行うことはありません。

③胸腔鏡(きょうくうきょう)検査
胸に数か所の小さな穴を開け、その穴から「胸腔鏡」という管を胸腔(肺の外側)に挿入し、肺・胸膜・リンパ節などの組織を取って調べる検査です。

この検査は全身麻酔をかけて行うため、患者さんへの体の負担は少なくありません。
しかし全身麻酔をかけることで、検査中にがんがあるとわかったらそのまま手術を行うことができるというメリットもあります。

 

4.肺がんの治療にはどのようなものがある?

肺がんの治療には、大きく分けて2通りあります。

①局所療法
がんを直接治療する治療法(手術、放射線療法など)

②全身療法
がんの部位だけでなく全身に作用を及ぼす治療法(化学療法、免疫療法)

上記のほか、新しい治療法も出てきています。
ただし、中には保険適応になっていないものもあります。

●粒子線治療
放射線の一種です。がん細胞に狙いを定めて叩くことができます。

●内視鏡的放射線小線源療法
イリジウムという放射線でがんを叩く治療です。

そのほか、ラジオ波凝固療法、凍結療法、低周波凝固療法などもあります。

 

5.「セカンドオピニオン」って何?

セカンドオピニオンとは、かかっている病院以外の医師に治療方法や診断についての意見を聞くことです。

同じ病気でも一人ひとり症状も違えば病気の進行具合も違います。医師によっては治療方法が違う場合もありますし、得意、不得意な分野もあります。

患者さん自身も、主治医から進められた方法が本当にベストなのかどうか、悩んでしまうこともあるでしょう。

そんな時、他の医師の意見を聞くことで治療法に信頼が持てたり、患者さん自身が決断する際の手助けになったりすることもあります。

自分自身の体のことですから、納得のいく治療を受けるために他の医師の意見を聞くことは当然の権利なのです。

*セカンドオピニオンを利用するときに気を付けたいこと*
①現在かかっている病院の医師の紹介状と、検査結果を持参しましょう。
②医師との相性も大切にしましょう。
③ご家族の意見も聞いてみましょう。

 

6.肺がんのリスクはサプリメントや水の中にもある!?

実は近年、食物やサプリメントなどの栄養素の中にも肺がんのリスクを含んだものがあることがわかってきました。

リスクとして「確実」とされているのが、βカロテンのサプリメントやヒ素です。

βカロテンのサプリメントに関しては、タバコを吸っている人がたくさんの量(20~30㎎以上)を摂ると肺がんのリスクを20~30%上昇させるという研究結果が出ています。

水道水に含まれるヒ素の量に関しては国の規準が低く設定されていますが、井戸水や湧き水などには注意が必要です。

 

7.定期検診で肺がんの早期発見、予防をしましょう!

肺がんに限らず、がんは初期段階ではほとんど自覚症状がありません。
自覚症状が出てきた時には、すでに進行していることが多いのが現実です。

咳や血痰、胸の痛みなどの症状が出てきたときに検査に行き、肺にがんが見つかって治療を始めたのでは、本当の意味での早期治療とは言えません。

大事なのは、何の症状もないときから定期的に「がん検診」受けて早期発見をすることなのです。

日本では、お住まいの地方自治体で40歳以上の方を対象に「がん検診」を行っています。
肺がん検診では、おもに肺のレントゲンや痰の検査などを行います。
そこで異常が見つかった場合は、病院でさらに詳しく検査を行っていきます。

がん検診が受けられる場所や費用、対象年齢などは各自治体によって異なりますので、
インターネットでお住まいの地域名(例:がん検診 横浜市)で検索してみてください。

病院での検査については、先に述べた「3.肺がんが疑わしいときに行うおもな検査」を参考にしてください。

 

8.肺がんリスクを減らすのは、やっぱり「禁煙」!

始めの方でもお話しましたが、肺がんの原因の第1位はなんといってもタバコです。
したがって、タバコを吸っている方は一刻も早く禁煙することをおすすめします。

禁煙してからの年数が長くなるほど肺がんになるリスクが低下すると言われています。
1年~9年で3倍、10年~19年で1.8倍、20年以上の禁煙期間でタバコを吸っていない人と同じレベルになるという調査結果もあるようです。

つまり、タバコは早く辞めればそれだけメリットがあるということです!

もし自分の意思や努力だけで禁煙するのが難しいという方は、病院の禁煙外来を活用しましょう。

横浜市南区の呼吸器内科である当院でも禁煙外来を受け付けていますので、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
(禁煙と禁煙外来について、くわしくはコチラ!→★★★
 
 
~まとめ~
いかがでしたか?
肺がんは早期発見と禁煙が大事だということがお分かりいただけたと思います。

また、禁煙にプラスしてスポーツや定期的にウォーキングをするなどの身体活動を習慣化することも、肺がんのリスクを少なくする効果が期待できますよ。

●肺がんはがんの中でも死亡率の高いがんです。
●肺がんには大きく分けて2種類(小細胞がん・非小細胞がん)あります。
●肺がんと間違えやすい症状の病気もありますので、咳や痰、息苦しさなどの症状がある場合は、呼吸器の専門医のいる呼吸器内科を受診しましょう。
●検査にも色々な種類の検査があり、それぞれ症状に応じた検査を行っていきます。
●肺がんの治療には大きく分けて「局所療法」と「全身療法」があります。
●自覚症状のない健康な時から、定期的な検診で異常の早期発見に努めましょう。
●食べ物やサプリメントにも肺がんのリスクを高めるものがあります。栄養素は食事から適切な量を摂るように心がけましょう。
●セカンドオピニオンを利用して、納得のいく診断と治療を受けましょう。
●タバコは肺がんの原因の第1位です。一刻も早く禁煙することで肺がんのリスクが少なくなります。
 

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~横浜市南区の呼吸器内科 上六ツ川内科クリニック~