そのいびき、病気のせいかも?!
放っておくと危ない睡眠時無呼吸症候群とは

 
みなさんは、こんな経験ありませんか?

「眠っているはずなのに、日中の眠気がひどい」
「一緒に寝ている人にいびきがひどいと指摘される」

もしかしたらそれは、「睡眠時無呼吸症候群(すいみんじ むこきゅう しょうこうぐん)」が原因かもしれません。

今回は、睡眠時無呼吸症候群とは一体どのような病気なのか、についてお話ししていきたいと思います。
 
 
<もくじ>
1.「睡眠時無呼吸症候群」ってどういう病気?
2.睡眠時無呼吸症候群を放っておいたらどうなる?
3.あなたは大丈夫?自己チェックリスト
4.睡眠時無呼吸症候群の検査方法
5.睡眠時無呼吸症候群の治療方法
6.睡眠時無呼吸症候群のよくある質問


 

1.「睡眠時無呼吸症候群」ってどういう病気?

睡眠時無呼吸症候群とは、呼吸ができない「呼吸障害」と、それによって十分な睡眠がとれない「睡眠障害」とが合わさった病気です。

「呼吸」は、体内に必要な酸素を吸い込んで、代わりに不要な二酸化炭素を吐き出すという、生命活動になくてはならないものです。
呼吸が正常にできず体内に酸素が行き渡らなければ、健康はもちろん日常生活においても大きな支障が出てきてしまうのです。

それでは、睡眠時無呼吸症候群のメカニズムと原因について見てみましょう。
 
 
(1)いびきと無呼吸

睡眠時無呼吸症候群になると、眠っている間に「いびき」「無呼吸」を繰り返すようになります。

「いびき」とは、舌・軟口蓋(なんこうがい=上あご)・口蓋垂(こうがいすい=のどちんこ)などの筋肉が緩んで気道が狭くなり、呼吸するたびに振動が起こって音が出る状態のことです。

気道が狭くなればなるほど大きないびきとなり、やがて気道が完全に塞がってしまうと息ができなくなり、無呼吸状態になります。

「無呼吸」とは、無意識のうちに10秒以上呼吸が止まる状態のことを言い、この無呼吸が1時間に5回以上、または一晩(7時間)に30回以上起こる場合に睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

英語では、「Sleep Apnea Syndrome」と言い、その頭文字をとって「SAS(サス)」とも呼ばれています。

※以下、「睡眠時無呼吸症候群」を“SAS”と表記します。
 
 
(2) 睡眠時無呼吸症候群の原因

SASは、何が原因かによって、「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)」「中枢睡眠時無呼吸症候群(CSAS)」に分けることができます。

SASの発症原因の1番として挙げられるのが、「肥満」です。
 
なぜ肥満体系の人がなりやすいのかというと、肥満の人は体だけでなく、なんと舌にも脂肪がついて太くなってきます。
 
もともと舌は顎の中に収まっているものですが、舌が太ってくると、横になった時にのどの奥に下がりやすくなります。
すると空気の通り道である気道が狭くなり、睡眠中に呼吸がしにくくなってしまうのです。

逆に、痩せていることが原因になることもあります。
骨格が細い人や顎が小さめの人はもともと気道が狭いため、ちょっとした体重増加で気道が塞がってしまい、発症しやすくなるためです。

また、歯並びが悪い人も注意が必要です。
歯の凸凹の影響で口の中の面積が狭くなることで舌が気道に押し込まれ、気道を塞ぎやすい状態になることがあります。
 

 

2.睡眠時無呼吸症候群を放っておいたらどうなる?

(1)集中力の低下

SASになると、睡眠時間が十分にとれなくなるため、日中激しい眠気に襲われることがたびたび起こります。

それが原因となり、

 ・人と会話をしていても眠気に耐えられない
 ・仕事中や勉強中もボーっとして集中できない
 ・記憶力が著しく低下する
 ・交通事故や労働災害を引き起こす

など、日常生活に支障をきたすだけでなく、重大な事故にまでつながる危険性も出てきます。
 
 
(2)突然死のリスクが増える

SASの人は健康な人に比べて夜間の突然死のリスクが2.6倍にアップします。

健康な人が正常に呼吸をしている場合、血中酸素濃度は通常96~100%に保たれています。
しかし重度のSASで頻繁に無呼吸状態が起きると、血中酸素濃度は60%にまで下がってしまいます。
その結果、そのまま意識を失い、睡眠中に死亡してしまう危険性が高まるのです。
 
 
(3)心筋梗塞、高血圧、糖尿病の原因にも!

無呼吸によって血中酸素濃度が低下すると、健康な方と比べて、心疾患は3倍、脳卒中は4倍多く引き起こされる恐れがあると言われています。

また、夜中に脳が繰り返し目覚める状態になるため、交感神経の興奮状態が続いた結果、高血圧は2倍、さらには睡眠不足でインシュリン分泌が低くなり、糖尿病になる確率が1.5倍に増えるという報告もあります。
 

 

3.あなたは大丈夫?自己チェックリスト

果たして自分は、寝ている間に無呼吸になっているのかいないのか・・・。
何しろ寝ている間のことですから、自分ではわからないですよね。

次の項目のうち、いくつあてはまるかチェックしてみましょう。

<生活習慣チェック>
□日常的にタバコを吸っている
□お酒が好きで、よく寝酒をする
□肥満気味。つい暴飲暴食をしてしまう
□高血圧、糖尿病、脂質異常症と診断された事がある

<身体的特徴チェック>
□首が比較的短めである
□首が太い
□あごが小さい
□あごが奥に引っ込んでいる
□鼻が低く、平べったい
□歯並びが悪い
□舌や舌の付け根が大きい

<自覚症状チェック>
□よく寝たはずなのに、寝たりない
□会話の途中で、無意識に眠ってしまった事がある
□朝起きたときから頭が重い
□すぐ眠くなって仕事や勉強に集中できない
□意欲や判断力が低下していると感じる
□いびきが大きいと言われた事がある
□歯ぎしりを指摘された事がある
□インポテンツ(ED)

いかがでしたか?
3つ以上あてはまった人は、もしかするとSASになっているかもしれません。
一度病院で検査を受けてみることをおすすめします。
 

 

4.睡眠時無呼吸症候群の検査方法

SASの検査方法は大きく分けて2つあります。
医師と相談しながらあなたに合った検査を受けましょう。

(1)簡易モニター検査

簡易モニターを用いたスクリーニング検査には、「パルスオキシメーター法」「エアフローセンサ法」の2種類があります。

日本光電工業株式会社HPの画像を元に作成)

 
①パルスオキシメーター法
人さし指にセンサーを取り付け、血液中の酸素状態を調べる方法。

②エアフローセンサ法
プラスチックのセンサーを鼻にテープで固定し、鼻呼吸による空気の流れやいびき音、気道が狭くなっているかどうかなどを調べる方法。

これらは、眠っている間の呼吸の状態や血液中の酸素の状態などを測定し、SASの重症度を評価するものです。
場所を選ばずに、自宅でも簡単に出来るというメリットがあります。
ただし、簡易検査である為、軽症の場合は見逃すこともあります。
 
 
(2)睡眠ポリグラフ検査

睡眠ポリグラフ検査(Polysomnography:PSG)では、脚や銅などの複数個所に装置を取り付けて眠りに就き、脳波や眼球運動などの記録をとって睡眠段階を判定します。
それと同時に気流、胸腹壁の呼吸運動、体位、心電図、いびきなどの生体信号や映像音声なども記録します。
これらの情報を合わせて、睡眠の質や睡眠中の呼吸障害などがないかどうかを評価します。

自分の睡眠時の状態を詳しく知ることができますが、睡眠状態で検査するため、医療機関に一晩入院して行う必要があります。

この検査は世界共通のためSASを専門に扱っている医療機関であればどこでも同じ検査を受けることができます。
 

 

5.睡眠時無呼吸症候群の治療方法

(1)保険治療が可能です

SASの治療には保険が適用されます。
ここでは3つの方法を紹介しますが、医師の診断に基づいて最も適した方法で治療しましょう。

①CPAP(シーパップ)
SASの治療法として一番ポピュラーな方法です。

シリコンでできた鼻マスクを用いたCPAP療法は、睡眠中にチューブから処方された空気を送り込みます。
これにより、上気道を陽圧状態に保つことで、気道が開いた状態になり、SASの発症を予防します。
 
②マウスピース
歯に装置を付けることで、顎が前に出た状態で固定し、気道がふさがるのを防ぎます。

比較的安く手軽にできることで、利用する患者さんが増えています。
歯周病や虫歯がないことや、歯が上下合わせて20本以上必要などの条件があるので、注意が必要です。
 
③口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(こうがいすい なんこうがい いんとうけいせいじゅつ)
SASの原因となる部分を切除する方法です。
主に、軟口蓋(なんこうがい)、口蓋垂(こうがいすい)、口蓋扁桃(こうがいへんとう)などを切除します。
しかし、必ずしも確かな治療効果が得られるものではないこと、無呼吸が改善されるのは一時的で再発するケースもあること、身体に負担になるような副作用がみられることなどから、SASの治療として行われることはあまりないと言っていいでしょう。
 
 
(2)自分で出来ることもあります

日頃の生活習慣を改善していくことも、大事な治療の一つです。
保険治療とあわせて行うことで、治療効果を上げることが期待できます。

①寝相や枕の改善
寝相や枕の高さが気道に大きな影響を与えていることをご存知でしたか?

仰向きで寝ると、重力によって舌が喉の奥(つまり気道)に沈むため、気道が狭くなってしまいます。
一方、横向きやうつ伏せで寝ると重力の影響を受けにくいため、気道が狭くなるのを防ぐことができます。

また、枕の高さや硬さも、睡眠に大きく影響します。
例えば高い枕は、首が曲がる事で気道を圧迫して狭くしてしまうので、高い枕を使用するのは控えた方がよいでしょう。

あなたの枕は、睡眠を邪魔していないですか?
下記のポイントを参考に、ご自分に合った枕を探してみてください。
・高すぎて気道が圧迫されていないか。
・首筋のカーブに沿って包まれるくらいのほどよい柔らかさがあるか。
・大きさは幅60㎝以上あるか。
・素材は吸湿性に優れているか。

 
②禁酒、禁煙
アルコールは気道の拡張筋の緊張を緩める作用があるため、気道が狭まくなりやすくなります。
また、喫煙は気道に炎症をもたらすため、気道を狭くしたり、血中の酸素を低下させたりするため、睡眠中の呼吸に悪影響を及ぼすと考えられています。
SASが疑わしい方は、禁酒・禁煙を検討しましょう。
 
③肥満の解消
肥満はSASの原因の中で最も重要視されています。
そのため、肥満の方は減量することも必要です。
自分が標準体重(体重(㎏)÷身長(㎝)2=25未満)に当てはまっているかを計算してみて、もしも超えてしまっている場合は、バランスの良い食事を適量、ゆっくり時間をかけながら体内に酸素を取り入れる有酸素運動を行い、標準体重に近づけるようにしましょう。
 

 

6.睡眠時無呼吸症候群のよくある質問

(1)何科を受診すればいいの?→呼吸器内科がおすすめです。

「もしかして睡眠時無呼吸症候群かも・・・。でも、何科に行けばいいんだろう?」

と迷われる方もいらっしゃるでしょう。

最近では睡眠外来を設けている病院も増えてきていますが、まだまだ数が少ないのが現状です。
SASは呼吸に関する病気ですから、まずは「呼吸器内科」を受診していただければ大丈夫です。

ただし、扱っている検査機器によってはできる検査とできない検査があるため、SASの検査・治療を行えるかどうかを問い合わせてから受診すると良いでしょう。

横浜市南区の呼吸器内科である当院でも、SASの検査・治療が可能です。
さらに当院では、管理栄養士による食事指導を行っており、肥満の改善についても同時に受けていただくことができます
ぜひお気軽にご相談ください。
 
 
(2)睡眠薬を使えば熟睡できる?→むやみに睡眠薬を使うのは危険です。

眠っているのに疲れが取れないからと、睡眠薬を使う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

睡眠薬には筋肉を緩める作用があるため、SASの方が服用すると余計に気道が狭まってしまい、逆効果になる危険性があります。

睡眠薬を使用しているのに十分に眠れていないと感じたら、早めに検査を受けることをおすすめします。
 
 
~まとめ~
いかがでしたか?
眠っているはずなのに、なんだかスッキリしない・・・その理由が、もしかすると寝ている間の無呼吸にあるかもしれません。
 
「睡眠」は心身の健康にとってとても重要なものです。
もしもSASの疑いがあると感じたら、早めに検査・治療を受けて、質の良い睡眠を取り戻しましょう。

●睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時に「いびき」と「無呼吸」を繰り返す病気です。その原因から「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)」と、「中枢睡眠時無呼吸症候群(CSAS)」に分けられます。
●睡眠時無呼吸症候群を放っておくと、集中力の低下や高血圧・糖尿病・心筋梗塞・突然死のリスクが増大します。
●睡眠時無呼吸症候群の検査方法には、簡易モニターや標準睡眠ポリグラフ検査といった種類があります。医師と相談の上、ご自身の状況に合わせて検査してください。
●睡眠時無呼吸症候群の治療方法には保険治療では、CPAPと呼ばれる鼻マスクを用いたものやマウスピースの着用、外科手術などの方法があります。
●寝相の改善やアルコール・煙草の量の調整、肥満の解消でいびきを改善できることもあります。
●睡眠時無呼吸症候群かなと思ったら、呼吸器内科や睡眠外来、耳鼻咽喉科などのある医療機関を受診してください。
●睡眠薬を使用してもちゃんと眠れない場合は、SASを疑いましょう。
 

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~横浜市南区の呼吸器内科 上六ツ川内科クリニック~