
5月は新生活が始まり、環境の変化やストレスを感じやすい時期でもあります。
ストレスは、自律神経の乱れや免疫力低下を引き起こす要因となるため、注意が必要です。
また、梅雨の時期になると気圧の変化も加わるため、さらに体調を崩しやすくなります。
季節の変わり目の体調の変化の特徴を知り、不調な状態から少しでも早く回復するための
「おすすめ栄養素と効果的な食べ方」をご紹介しますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
1.季節の変わり目に体調を崩しやすい理由
季節の変わり目、特に梅雨前の5月に体調を崩しやすい理由は、主に以下の3つと考えられます。
1-1.気温の変化による影響
5月は、日中の気温が上昇し夏日になることもありますが、朝晩は冷え込むなど、寒暖差が大きくなる時期です。
衣類での体温調整などに注意が必要な時期と言えますね。
急激な気温の変化に体が対応しきれず、体温調節機能が乱れ、風邪などを引きやすくなります。
朝晩の気温差に注意して服装や過ごし方を考えると良いでしょう。
1-2. 自律神経の乱れ
自律神経とは、私たちの意思とは無関係に、体の様々な機能をコントロールしている神経系です。
呼吸、消化、体温調節、発汗など、生命維持に不可欠な機能を24時間体制で調整しています。
自律神経には、交感神経と副交感神経があり、健康な状態ではバランス良く機能しています。
しかし、「ストレス、睡眠不足、不規則な生活」などによりそのバランスが崩れると、発汗機能が低下し発汗異常を引き起こすことがあります。
4月から新生活が始まった方や、気象の変化によって体調管理がうまくいかず、よく眠れていない場合は注意していきたいですね。
1-3. 免疫力の低下
気温の変化や自律神経の乱れは、免疫力の低下にもつながります。
免疫力が低下すると、風邪や感染症にかかりやすくなり、体調を崩しやすくなります。
また、5月は新生活のストレスや、ゴールデンウィークなどの長期休暇もあり生活リズムが乱れやすく、疲労が蓄積しやすい時期です。
疲労も免疫力低下の原因となるため、注意が必要です。
2.季節の変わり目におすすめの栄養素
5月に旬を迎える食材を中心に、おすすめの栄養素を含む食材を紹介します。
栄養素の役割と合わせて参考にしてくださいね。
2-1. ビタミンC
【役割】
・抗酸化作用:活性酸素から体を守り、老化防止や免疫力向上に貢献します。
・コラーゲン生成:皮膚、血管、骨などの健康維持に不可欠です。
・鉄分の吸収促進:植物性食品からの鉄分吸収を高めます。
【旬の食材】
・アスパラガス:炒め物やサラダで、ビタミンCを効率よく摂取できます。
・春キャベツ:サラダや浅漬けなど、生で食べるのがおすすめです。
【それ以外の食材】
・果物:イチゴ、キウイ、柑橘類(レモン、グレープフルーツなど)
・野菜:パプリカ、ブロッコリー、キャベツ
【効果的な食べ方】
・ビタミンCは加熱に弱いので、生食や短時間の加熱調理がおすすめです。
【参考情報】『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業 ビタミンC』
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/09.html
2-2. ビタミンD
【役割】
・カルシウム吸収:骨や歯の健康維持に不可欠です。
・免疫機能調整:免疫細胞の働きを調整し、免疫力向上に貢献します。
【旬の食材】
・サワラ:「刺身の王様」と呼ばれるほどの絶品です。
【それ以外の食材】
・魚介類:鮭、サンマ、イワシ
・キノコ類:キクラゲ、椎茸
・卵黄
【効果的な食べ方】
・脂溶性ビタミンのため、食事中に油と一緒に摂ると吸収率が上がります。
・日光浴もビタミンD生成を促します。
【参考情報】『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業 ビタミンD』
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/10.html
2-3. 亜鉛
【役割】
・免疫機能維持:免疫細胞の活性化に不可欠です。
・味覚、嗅覚維持:正常な味覚や嗅覚を保ちます。
・タンパク質合成:筋肉や皮膚の生成に必要です。
【旬の食材】
・ホタルイカ:酢味噌和えやアヒージョなどで、亜鉛を効率よく摂取できます。
【それ以外の食材】
・魚介類:牡蠣、カニ
・肉類:牛肉、豚肉
・種実類:カシューナッツ、アーモンド
【効果的な食べ方】
・過剰摂取は吐き気、嘔吐、食欲不振、胃痙攣(いけいれん)、下痢および頭痛などの徴候が出現する可能性があるため、摂取量には注意しましょう。
【参考情報】『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業 亜鉛』
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/12.html
2-4. 鉄分
【役割】
・酸素運搬:赤血球のヘモグロビンとして酸素を全身に運びます。
・貧血予防:鉄分不足は貧血の原因となります。
・エネルギー生成:エネルギー代謝に関与します。
【旬の食材】
・カツオ:鉄分が豊富で、たたきや刺身で美味しくいただけます。
【それ以外の食材】
・肉類:レバー、赤身肉
・魚介類:カツオ、マグロ
・野菜:ほうれん草、小松菜
【効果的な食べ方】
・動物性食品の鉄分(ヘム鉄)は吸収率が高いです。
(そもそも吸収されやすい形で存在しているため、ビタミンCの影響は、ほとんど受けません。)
・植物性食品の鉄分(非ヘム鉄)はビタミンCと一緒に摂ると吸収率が上がります。
非ヘム鉄は、体内で吸収されにくい形(3価の鉄)で存在していますが、ビタミンCがそれを2価の鉄に還元して吸収しやすくしてくれます。
ちなみに、鉄の吸収を阻害するものとして、お茶やコーヒーに含まれるタンニン、カルシウム、食物繊維などが有名です。
【参考情報】『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業 鉄分』
https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/07.html
2-5. 食物繊維
【役割】
・整腸作用:便通を改善し、腸内環境を整えます。
・血糖値上昇抑制:食後の血糖値上昇を緩やかにします。
・コレステロール低下:コレステロール値を下げる効果があります。
【旬の食材】
・タケノコ:食物繊維が豊富で、煮物や炊き込みご飯に最適です。
【それ以外の食材】
・野菜:ゴボウ、ブロッコリー、キャベツ
・果物:リンゴ、バナナ
・豆類:大豆、レンズ豆
・きのこ類:エリンギ、椎茸
【効果的な食べ方】
・水分と一緒に摂ると効果が高まります。
・発酵性食物繊維は腸内細菌のエサとなり、腸内環境を改善します。
3.管理栄養士がすすめる季節の変わり目を乗り切る食事メニュー
ここからは、当院で活躍する管理栄養士おすすめのメニューを紹介していきます。
今回は、朝食・昼食・夕食に分けて紹介させて頂きますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
3-1. 朝食
「鮭と野菜の味噌スープ&玄米おにぎり」
味噌は発酵食品で腸に優しく、鮭のDHA・EPAが炎症を抑える効果も◎。
【材料】2人分
・生鮭 … 1切れ
・玉ねぎ … 1/4個
・にんじん … 1/3本
・しめじ … 1/3パック
・味噌 … 大さじ1.5
・和風だし … 400ml
・ごま油 … 小さじ1
・玄米ごはん … 茶碗2杯分
【作り方】
1. 鮭を一口大に切る。野菜は薄切りにする。
2. 鍋にごま油を熱し、鮭を軽く焼いて取り出す。
3. 野菜を炒めてだしを加え、鮭を戻し入れる。
4. 火が通ったら味噌を溶き入れて完成!
5. 玄米ごはんをおにぎりにして添える。
3-2. 昼食
「サバ缶とアボカドの雑穀玄米ボウル」
オメガ3脂肪酸と食物繊維を補給することで、腸内環境改善&集中力UP!!
【材料】2人分
・雑穀玄米ごはん … 300g
・サバ水煮缶 … 1缶(汁ごと使用)
・アボカド … 1個(角切り)
・ミニトマト … 6個(半分に切る)
・大葉 … 6枚(千切り)
・醤油 … 小さじ2
・オリーブオイル … 小さじ2
・白ごま … 小さじ2
【作り方】
1.雑穀玄米ごはんを器に盛る。
2.サバ缶、アボカド、ミニトマトをのせる。
3.醤油、オリーブオイルを回しかける。
4.白ごまと大葉を散らして完成!
3-3. 夕食
「カツオとほうれん草の塩昆布サラダ」
カツオにはビタミンDと鉄分が豊富に含まれているのでおすすめです!
この時期に必要な栄養素を豊富に取り入れたアレンジレシピをご紹介します。
【材料】2人分
・カツオ[たたき] … 100g
・ほうれん草 … 1袋(40g)
・トマト … 1/2個
・塩昆布 … 大さじ1
☆合わせ調味料
・ポン酢しょうゆ … 大さじ1
・おろししょうが … 小さじ1
・白いりごま … 大さじ1
・亜麻仁油 … 大さじ1/2
【作り方】
1. トマトはへたを切り落とし、食べやすい大きさに切る。
2. ボウルに☆を入れて混ぜ、カツオを加えて混ぜて5分程おく。残りの材料を加えてさっとあえる。
「ホタルイカとタケノコの炊き込みご飯」
炊飯器に材料を入れてセットするだけで簡単にでき上がりますよ!
【材料】2人分
・米(吸水済み) … 1合
・ホタルイカ[ゆで] … 50g
・タケノコ[水煮] … 50g
・三つ葉(刻み) … 少々
・水 … 適量
・柚子胡椒 … 小さじ1/2
☆合わせ調味料
・酒 … 大さじ1
・みりん … 大さじ1/2
・しょうゆ … 大さじ1/2
・和風顆粒だし … ひとつまみ
【作り方】
1. タケノコは食べやすい大きさに切る。
2. 炊飯器の内釜に米、☆、水を1合の目盛りの2mm下まで入れて混ぜ、米を平らにならす。
3. タケノコをのせて広げ、通常炊飯する。
4. ホタルイカは軟骨、目玉、くちばしを取る。
5. 炊き上がったらホタルイカを加えてふたをし、5分程おく。
6. 柚子胡椒を加えてさっくりと混ぜる。器に盛り、三つ葉をのせる。
どのレシピも体に良いレシピですので、ぜひ試してみてくださいね。
4.当院で行っている栄養指導について
医療法人社団ファミリーメディカルにおける管理栄養士による栄養指導の特徴は、患者さま一人ひとりのニーズに合わせた個別対応を重視していることです。
診察時のカルテや血液検査を基に、患者さまの生活スタイルに合わせた食事方法や必要な栄養素を具体的に提案しています。
初回面談では、患者さまの悩みや食生活を丁寧にヒアリングし、無理のない「目標設定」と「計画立案」を行います。
例えば、ご飯のおかわりが習慣になっている患者さまには、「2日に1回は1膳に変えてみませんか?」といった具体的な提案をします。
また、食事記録を活用し、カロリーや栄養バランスをチェックしながら、改善点や工夫点をアドバイスしています。
5.まとめ
今回は、梅雨時期目前の5月に体調を崩しやすい原因と、体調管理におすすめの栄養素を含む食材・レシピの紹介をしました。
旬な食材を食事に取り入れながら、体調管理・栄養摂取をして夏に備えましょう!