
この季節になると、クリニックの現場でも体調を崩される患者様が増え、それに伴い栄養カウンセリングの内容も少しずつ変化していきます。
特に多くなるのが、「冬の体調管理」と「サプリメント」に関するご質問です。
「風邪を引かないように、何かサプリを飲んだ方がいいですか?」
「テレビで〇〇が良いと聞いたけれど、私にも必要ですか?」
こうした声が毎日のように寄せられる背景には、健康への関心の高まりと同時に、情報の多さゆえの迷いがあるように感じます。
今回は、私たち医療法人社団ファミリーメディカルの管理栄養士が、冬の体調管理やサプリメントの相談に対して、医療現場でどのように関わっているのかをご紹介します。
1.冬はなぜ体調を崩しやすいのか

なぜ冬になると、これほどまでに「何か飲んだ方がいいのではないか」と不安になる方が増えるのでしょうか。
まずは、私たちが現場で患者様と接する際に整理している「冬の体調変化の背景」について触れておきましょう。
❄️寒さ・乾燥・日照時間の減少
冬の最大の特徴は、気温の低下と空気の乾燥です。
これらはウイルスが活動しやすい環境を作るだけでなく、私たちの喉や鼻の粘膜を乾燥させ、防御機能を低下させる要因となります。
また、日照時間が短くなることも見逃せません。日光を浴びる時間が減ることは、体内時計のリズムや気分の変調、そして後述する特定の栄養素の生成にも深く関わってきます。
🤦♂️食生活の乱れ、活動量低下
12月から1月にかけては、イベントごとが多くなる時期です。
外食や飲酒の機会が増え、糖質や脂質の摂取過多になる一方で、ビタミンやミネラルが不足しがちになります。
さらに、寒さから外出がおっくうになり、運動不足に陥る方も少なくありません。
代謝が落ちている中でカロリー摂取が増えれば、当然体内のバランスは崩れやすくなります。
これらが複合的に重なることで、冬は「免疫の低下」「慢性的な疲労」「冷え」といった体調課題が出現しやすくなります。
2.冬に相談が多い「サプリ」の種類とは

では、実際の現場ではどのようなサプリメントについての相談が寄せられるのでしょうか。
🍊ビタミン・ミネラル系
「ビタミンを飲んだ方がいいのでしょうか」
ビタミンC、ビタミンD、ビタミンB群、そして鉄分などが、よく話題になる栄養素です。
特に日照時間の減少がビタミンDの不足に直結しやすい冬は、このカテゴリに関する相談が多い時期です。
💊免疫や疲労を意識した成分
「免疫を高めるサプリを飲むべきか」
「疲れが続く場合にサプリは何が効きますか」
これらは、冬の免疫低下や慢性疲労に対する患者様の不安から発生しやすい定番の相談です。
🧥冷え・睡眠に関する相談
「冷えに対策するためにサプリは有効ですか」
「睡眠が浅くなった場合に栄養で対策できますか」
これらは、冬の季節的変化や生活リズムの乱れに伴う不調からくる相談が多い印象です。
◆季節の変わり目は体調管理がカギ!おすすめ栄養素と効果的な食べ方はこちら>>
3.管理栄養士は「おすすめサプリ」をどう考えているか

「おすすめサプリを教えてください」という質問に対して、管理栄養士がどのように考えるかを説明します。
➀まず食事をどう見直すか
サプリに関する相談が寄せられたとき、最初に確認すべきことは食事そのものです。
現在の食事内容や食習慣に大きな偏りがある場合、サプリを追加するより先に食事の見直しが現実的な対策になることが多いです。
➁サプリが「必要になるケース」と「そうでないケース」
もちろん、食事だけではどうしても補いきれない栄養素も存在します。
加えて、生活習慣やストレスの影響により、体内で特定の栄養素が消耗されやすいといった問題も見逃せません。
特に当院が導入している「分子栄養学」の視点で重視するのは、個人の代謝能力や吸収率、そして生活背景により不足しやすい栄養素の違いです。
血液検査データや問診から、明らかに特定の栄養素が枯渇していると推測される場合や、治療上の必要性から高用量の摂取が望ましいと判断された場合には、サプリメントの活用が有効な選択肢となります。
💡ここで私たちが最も重要視しているのが、栄養療法の「順番」です💡
不足しているものをただ足せばよい、という単純な足し算ではありません。
例えば、胃腸の消化吸収機能が低下している状態で高用量のサプリメントを摂取しても、
身体がそれを受け止めきれず、期待した効果が得られないことがあります。
それどころか、未消化物が残り、かえって代謝の負担になってしまう可能性さえあるのです。
そのため、現在の身体の状態にとって優先順位が低い場合や、吸収率や代謝に悪影響を及ぼすリスクがある場合には、「今はサプリメントを控えてください」とお話しすることもあります。
まずは食事で胃腸のコンディション(土台)や血糖値を整えること。サプリメントはその次のステップです。
この「適切な順番」を見極め、時には「飲まない」という選択肢を提示する。
それが私たち管理栄養士の考え方です。
4.当院の管理栄養士がサプリメントに関して担う役割

当院では、医師の指示のもとに行われる栄養カウンセリングにおいて、具体的な指導内容の構築や提案を管理栄養士が主体となって担っています。
単に指示されたことを伝えるだけではなく、管理栄養士自身が検査データを読み解き、サプリメントの選定から用量の目安までを「専門職としてプランニングする」のが特徴です。
具体的に、当院の管理栄養士がどのような視点で業務にあたっているかをご紹介します。
4-1.検査データと相互作用に基づく「適応」の判断
医療機関である当院には、血液検査データや処方薬の情報、そして医師による診断という、客観的かつ詳細な「判断材料」が揃っています。
管理栄養士はこれらのデータを統合し、医師と連携しながら以下の視点でサプリメントの活用を検討します。
・検査値に基づく個体差の把握
問診とその方の検査データ(肝機能や腎機能、特定の栄養素の代謝状況など)を照らし合わせ、栄養素の過不足や身体の状態を見極めます。
・薬剤との相互作用の確認
治療中の疾患や服用している薬がある場合、サプリメントの成分が薬の効果を阻害したり、逆に強めすぎたりするリスクがないかを確認します。
このように、イメージや口コミではなく、「医学的な根拠」と「個人の身体データ」に基づいて、摂取の是非や優先順位を論理的に導き出します。
4-2.製品選定と摂取量のプランニング(提案)
「ビタミンCが必要です」と伝えるだけでは、具体的なアクションにつながりません。
また、市場には様々な品質のものが溢れています。
当院の管理栄養士は、医師の方針に基づき、患者様の病態や目的に合わせた具体的な「設計」を行います。
・「何を選ぶか」:医療機関専用サプリメントの活用
吸収率や純度、添加物の有無を考慮し、治療効果が期待できる医療機関専用サプリメントの中から、その患者様に適した製品を選定します。
・「どれくらい飲むか」:個体に合わせた量の算出
パッケージの規定量(目安量)にとらわれず、分子栄養学的な観点から「その人の欠乏状態を改善するために必要な量」を算出します。
高用量のアプローチが必要な場合もあれば、微量で様子を見る場合もあり、その見極めには管理栄養士の知識が大きく反映されます。
4-3.経過観察と記録によるチーム連携
👩⚕️サプリメントは提案して終わりではありません。
次回の来院時に、自覚症状の変化や次回の血液検査データを評価し、「継続」「増量」「減量」「中止」の検討を行います。
当院では、この評価プロセスを詳細なカルテ記録として残すことを徹底しています。
管理栄養士が患者様からヒアリングした内容や考察は、医師だけでなく看護師や他のスタッフも閲覧する重要な情報源となります。
「食事等の生活習慣改善が進んでいるため、サプリの減量を検討」
「数値の改善が見られないため、吸収不全の可能性あり」
このように、管理栄養士が専門的な視点で分析した結果を言語化し、記録に残すこと。
「記録を通じて医師の診断や治療方針決定の材料を提供する」ことも、当院の管理栄養士が担うチーム医療での役割です。
5.おわりに
誰にでも有効な「万能なサプリ」は存在しません。
サプリを飲むかどうかを最終的に決めるのは、あくまで患者様ご本人です。
管理栄養士の役割は、その判断を行うための適切な情報を整理し、正確かつ分かりやすく伝えていくことです。
医療法人社団ファミリーメディカルでは、こうした立ち位置で管理栄養士が外来カウンセリングに関与しています。
栄養カウンセリングの実務や分子栄養学に興味を持っていただいた方は、ぜひ当院の採用情報もご覧ください。
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