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【栄養カウンセリング/ぜんそく治療】知らなかった他の原因とは?

医学博士 三島 渉
(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)

最終更新日 2024.2.26

当院クリニック理事長 三島著書「栄養こそが最高の医療である」より、クリニックで行っているカウンセリングの事例をご紹介させて頂きます。
当院では管理栄養士によるカウンセリングを治療の柱のひとつとして提供しています。
患者さんからのご質問やご相談のなかから、特に多いものを症例として選んでおります。

1.背景


患者さんはぜんそくを患っている、30代の女性Bさんです。
他院でぜんそくの治療を受けておられましたが、中々咳が止まらないとの事で当院を受診されました。
喘息の吸入薬による治療だけでは症状を完全に抑えるのは難しく、栄養改善の必要があると判断し、栄養カウンセリングを受けて頂くことになりました。
Bさんの体型は、やせ型で栄養カウンセリング時の問診票からは明らかにエネルギー不足・栄養素全般の不足・特に鉄の不足が見られました。
咳以外にも不調を抱えていないかお伺いすると、疲れやすさと冷え性のお悩みがあるとの事でした。
通常の医師による呼吸器疾患の診察ではこのような質問をすることはありませんし、患者さんが訴えたところでスルーされてしまいます。
しかし、栄養カウンセリングではとても重要な情報です。
普段の食事内容についてお聞きすると、朝はパン、昼はパスタ等の麺類を好んで毎日食べているとの事でした。

2.原因


Bさんのカウンセリング内容から、グルテン過多の食生活で腸が常に刺激を受けており、腸内環境が悪化して必要な栄養素が吸収できていないと考えられました。
管理栄養士から、初回面談でお話させて頂いたのは次のようなものでした。
腸内環境の悪化が不調の要因である事、又鉄の不足によって疲れやすさや、冷えの症状が出ている事です。
腸内環境が悪いと、せっかく体にいい食べ物を摂っても栄養素を効率的に吸収する事ができないと説明させて頂きました。

3.対処法(アドバイス)


Bさんへの治療方針としてお伝えさせて頂いたのは、まず腸内環境を改善していきましょうという事です。
小麦系の食品を控えてご飯に変え、乳酸菌生産物質を主体にしたサプリメントの摂取をご提案させて頂きました。

Bさんのご家庭では、毎日の食事は基本的にご主人が作っているとの事でした。
その為、カウンセリングもお二人一緒に受けてくださいました。
小麦を主とした食習慣の問題点をご説明すると、凄く驚かれていましたが、「明日から早速改善していきます」と前向きなお言葉を頂きました。
とはいえ、Bさん自身もパンやパスタがお好きだったので、ガラッと食生活を切り替えるのは難しい事です。
初回は、腸内環境の為にご飯の方が良いですよとのアドバイスにとどめ、次回のカウンセリングでどこまで小麦を減らせたかお伺いする事にしました。
最初はあまり厳密な目標を設定せずに、出来る事を積み重ねていくことが大切です。

Bさんは、ご主人の協力もあり翌月のカウンセリングではだいぶ小麦の量を減らした食生活を実践できていました。
初回のカウンセリングから3カ月が経過した時点で疲れやすさや冷え性もやわらぎ、咳の症状も落ち着いてきました。
腸内環境が整ってくれば、鉄をはじめとする栄養素も正常に吸収、代謝されていくようになるでしょう。

ただ、症状が改善されてくると気持ちがゆるんで元の食生活に戻ってしまう方も多いです。それを防ぐために、毎月のカウンセリングで食事内容を振り返り、モチベーションを維持して頂くことが大切です。

4.同じような症状でお悩みの方へ


Bさんのように疲れやすさや冷え等の症状を抱える女性のかたは多いのではないでしょうか?
女性の倦怠感・めまい・冷え性などの多くは鉄不足が原因である事が多いです。
私たちが呼吸して取り入れた酸素は、赤血球に含まれるヘモグロビンという物質によって全身の細胞へ運ばれます。このヘモグロビンの材料となるのが、鉄(ヘム)と、グロビンというタンパク質です。
体内の鉄が不足するとヘモグロビンの量も減り、体が酸欠状態になってしまいます。
鉄欠乏になると、病院や健康診断で鉄欠乏性貧血と診断される前からめまいや立ちくらみ、息切れ、全身の倦怠感、気力の低下、頭痛など多くの不調が引き起こされます。

生理のある女性は月経による出血で大量の鉄が失われます。
しかし現在の女性の多くは、その失われた鉄を充分補給する量の鉄を食事で摂取することができていません。その為、殆どの女性が鉄不足に陥っています。

栄養素としての鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があります。
体内での吸収率はヘム鉄が10~20%、非ヘム鉄が5%以下となっており、ヘム鉄の方が高吸収です。
ヘム鉄はレバー・牛肉などの赤みの肉、カツオ・マグロなど動物性タンパク質の中に多く含まれています。
非ヘム鉄は小松菜・ホウレン草・ひじき・大豆製品などの植物性食品に多く含まれています。
高吸収であるヘム鉄を積極的に摂る事が大切です。
非ヘム鉄の場合は、吸収されにくい為一緒に摂ると吸収率のあがるビタミンCとあわせる事をお勧めしています。

ですが、すでに症状の出ている場合には、食事だけでの改善は時間がかかり、つらい状態が長引く為、医療用のサプリメントで鉄を補充することが必要です。

医療用サプリメントは、医療機関で使用する事を前提として製造されたものです。ドラックストア等で販売されている一般的なサプリメントと比較して、厳しい品質基準を満たした商品設計がされています。

栄養素には、先程お伝えしたように一緒に摂ることで吸収率が高まる組み合わせや、逆に合わせる事でお互いに品質が劣化してしまう組み合わせもあります。性能を高める組み合わせで設計された商品を選ぶ事も重要になります。

成分の原材料においても、成分濃度が高いもの(高力価)から低いもの(低力価)まで様々なものがあります。医療用のサプリメントは安価な商品と比べて高力価な原材料で製造されている為、少量でもしっかりと栄養素を補充できます。

5.おわりに

今回のBさんのように、ぜんそくの治療がきっかけで受診された患者さんにも、咳が出る以外の不調を抱えていたり、治療を行っても中々改善出来ない方がいます。
その原因が腸内環境や栄養素の不足であることは珍しくありません。
当院のカウンセリングを受けて頂く事で、治療の促進だけでなく、未病の状態での対応を行う事ができます。
自分の健康へのセルフマネジメントとして栄養カンセリングを是非一度体験してみて下さい。

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