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睡眠時無呼吸の原因とは?放置リスクと対処法をわかりやすく解説

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2026年03月27日

「いびきがひどい」「寝ている間に呼吸が止まっていると言われた」
このような症状がある場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。

睡眠時無呼吸は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる状態を指し、日中の眠気や集中力低下の原因になるだけでなく、高血圧や心疾患などと関連することもあります。自覚症状が少なく、周囲の指摘で初めて気づくケースも少なくありません。

この記事では、睡眠時無呼吸の主な原因や仕組み、放置した場合のリスク、受診の目安、治療の考え方について整理します。症状に心当たりがある方は判断の参考にしてください。

睡眠時無呼吸の主な原因(閉塞型と中枢型)


睡眠時無呼吸症候群は大きく分けて、「閉塞型」と「中枢型」の2種類があります。原因や対応が異なるため、まず仕組みを理解しておくことが重要です。

最も多いのは閉塞型睡眠時無呼吸です。

睡眠中に喉の筋肉が緩み、舌や軟口蓋(なんこうがい)が気道をふさいで呼吸が止まるタイプで、肥満や首周囲の脂肪、顎の骨格、扁桃(へんとう)肥大などが関係します。いびきを伴うことが多く、仰向けで悪化する傾向があります。

一方、中枢型睡眠時無呼吸は、脳から呼吸への指令が一時的に弱まることで起こります。

心不全や脳血管疾患などが背景にある場合もあり、閉塞型ほど多くはありませんが、基礎疾患の評価が重要になります。

両者の特徴を併せ持つ「混合型」もあり、実際には検査で初めて分類されることも多いため、症状が続く場合は専門的な評価が安心につながります。

睡眠時無呼吸が起こりやすい体質・生活習慣


睡眠時無呼吸は体質や生活習慣の影響を受けやすい疾患です。特に閉塞型では、気道が狭くなりやすい条件が重なることで発症リスクが高まります。

代表的な要因は肥満です。首周囲や舌の付け根に脂肪がつくと気道が狭くなりやすく、体重増加とともにいびきが強くなることがあります。

また、顎の骨格も関係します。下顎が小さい、後退しているなどの特徴があると、痩せていても無呼吸を起こすことがあります。

さらに、アルコールや睡眠薬の使用は喉の筋肉を弛緩させ、気道閉塞を起こしやすくします。就寝前の飲酒習慣がある場合は症状が強くなることがあります。

加齢や男性であることもリスク因子とされ、更年期以降の女性でも発症率は上昇します。

睡眠時無呼吸を放置するとどうなる?

睡眠時無呼吸は「いびきの問題」と軽視されがちですが、放置すると全身の健康に影響を及ぼす可能性があります。

まず大きいのは睡眠の質の低下です。
無呼吸のたびに浅い覚醒状態となるため深い睡眠が得られず、日中の眠気や集中力低下、疲労感につながります。居眠り運転や作業ミスのリスクも指摘されています。

また、酸素不足が繰り返されることで、高血圧や心血管疾患のリスクと関連するといわれています。長期的には不整脈、心不全、脳血管障害などにつながる可能性もあります。

さらに糖尿病や脂質異常症など生活習慣病との関連も報告されており、睡眠の質低下が代謝にも影響する可能性があります。

ただし、すべてが重篤な結果につながるわけではなく、症状の程度を評価し適切に対応することが重要です。

受診を検討する目安

睡眠時無呼吸は自覚しにくいため、周囲の指摘や日中の体調変化が受診のきっかけになることもあります。

特に次のような場合は相談を検討すると安心です。

・大きないびきや呼吸停止を指摘された
・日中の強い眠気や集中力低下がある
・朝の頭痛やだるさが続く
・夜間に何度も目が覚める
・高血圧や肥満がありいびきが強い

これらが必ず睡眠時無呼吸とは限りませんが、専門的な評価により原因整理につながります。

医療機関では何を調べる?


診察ではまず症状や生活習慣、既往歴などを詳しく確認します。そのうえで睡眠中の呼吸状態を評価する検査を行います。

代表的なのは自宅で行う簡易検査で、専用機器を装着して一晩の呼吸状態や酸素低下を記録します。
より詳しい評価が必要な場合は、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)で脳波・呼吸・心拍などを総合的に測定します。

検査の目的は重い病気の発見だけでなく、無呼吸の重症度を把握し適切な治療方針を決めることにあります。

睡眠時無呼吸の治療の考え方


睡眠時無呼吸の治療は、無呼吸の回数や重症度、生活背景などを踏まえて選択されます。すべての方に同じ治療が必要になるわけではなく、症状の程度に応じた対応を行うことが基本です。

まず重要なのが生活習慣の見直しです。
肥満は気道を狭くする大きな要因になるため、適正体重の維持は症状改善につながる可能性があります。

また、就寝前の飲酒は喉の筋肉を緩めて無呼吸を悪化させることがあるため、控えることが勧められます。

睡眠姿勢の工夫(横向きで寝るなど)だけで、いびきや無呼吸が軽減する場合もあります。

無呼吸の回数が多い場合や日中の眠気が強い場合には、CPAP(シーパップ)療法が検討されます。これは睡眠中にマスクを装着し、気道に空気を送り続けることで呼吸を安定させる治療法です。

適切に使用することで、睡眠の質の改善や日中の眠気軽減が期待できるとされています。

そのほか、軽症〜中等症の場合にはマウスピース治療が選択されることもあります。下顎を前方に固定することで気道を確保しやすくする方法です。

また、扁桃肥大や鼻づまりなど耳鼻科的な原因がある場合は、その治療によって症状が改善することもあります。

治療を続けるうえで大切なのは、「無理のない方法を選ぶこと」です。

生活習慣の調整から医療機器の使用まで、状況に応じて段階的に検討していくことが安心につながります。

まとめ


睡眠時無呼吸は、肥満や骨格、加齢、生活習慣など複数の要因が重なって起こることが多い疾患です。いびきや日中の眠気だけでなく、集中力低下や生活習慣病リスクにも関係することが知られています。

ただし、症状の程度には個人差があり、必ずしもすぐに重い治療が必要になるわけではありません。生活習慣の見直しや適切な医療評価によって、睡眠の質が改善するケースも多くあります。

重要なのは、「いびきだから大丈夫」と自己判断しないことです。

呼吸停止を指摘された場合や、日中の眠気が続く場合は、一度状況を整理しておくことで安心につながります。早期に評価を受けることで、将来的な健康リスクの軽減にもつながる可能性があります。

また、睡眠の質は日常生活のパフォーマンスや体調にも大きく影響します。仕事や運転、学習効率にも関係するため、気になる症状がある場合は我慢せず相談することが大切です。

自分に合った対処法を見つけ、無理のない形で継続していくことが、長期的な健康維持につながります。

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