喘息の症状・検査・治療の基本情報
「しつこい咳が続いている」「一度咳きこむとなかなか止まらない」「呼吸をするたびに息が苦しい」などの症状がある人は、喘息の疑いがあります。
なるべく早めに呼吸器内科を受診することをおすすめしますが、その前に喘息という病気の基本を確かめておきましょう。
1.喘息とはどのような病気なのか
喘息とは、空気の通り道である気道が慢性的に炎症を起こして狭くなり、呼吸がしにくくなる病気です。喘息になると、ちょっとした刺激にも気道が敏感に反応して激しい咳が出たり、息が苦しくなります。
喘息で狭くなった気道を放っておくと、ますます刺激に敏感に反応するようになり、炎症が悪化します。すると、さらに気道の壁が厚く硬くなり、狭くなっていきます。この流れを「気道のリモデリング」といい、喘息の難治化の原因となります。
喘息は、現代の医学では完治が難しい病気ですが、早めに治療を受けて体調を管理すれば、普通の人と変わらない生活を送ることができます。
しかし、治療によって症状がおさまってきても、残念ながら気道の炎症そのものが根本的に治ることはありません。自己判断で薬や通院をやめてしまうと、再び症状が現れるようになり、最悪の場合、発作による呼吸困難で死に至ることもあります。
【参考情報】『気管支ぜんそく』一般社団法人日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=15
2.喘息の症状
主な症状は、咳、痰、呼吸困難です。喘息の患者さんは、呼吸の際に「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」という特徴のある音がしますが、これを「喘鳴(ぜんめい)」といいます。
症状が強い時は、咳がひどくて眠れなくなったり、呼吸が苦しくて動けなくなることがあります。運動や飲酒が刺激となって咳が止まらなくこともありますし、タバコの煙や強い香りを吸い込んで、発作が起こることもあります。
季節の変わり目や気圧の変化に影響を受けて症状が悪化することがあり、梅雨の時期や秋の初めに発作が起こったり、台風の接近に伴って体調を崩すこともあります。
◆「季節や天気の「変わり目」に注意して、喘息発作を予防しよう」>>
また、夜間に発作が起こるという人が多いのですが、そのような時は、寝ているよりも体を起こした方が呼吸がラクになります。
【参考情報】『喘息』e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/tobacco/yt-022.html
3.喘息の原因
喘息の原因は、アレルギーによるものと、アレルギー以外によるものがあります。アレルギーが原因の患者さんが6割、アレルギー以外の原因の患者さんが4割といわれています。
3−1.アレルギー性喘息
ダニやホコリ、ペットの毛など、特定の物質によるアレルギーが原因の喘息です。原因となる物質を吸い込むと、それらを排除しようとする免疫の仕組みがはたらいて、気道の粘膜が腫れたり、痰が増えたりします。子どもの喘息はアレルギー性のことが多いです。
3−2.非アレルギー性喘息
過労やストレス、風邪やインフルエンザのような感染症が引き金となって発症する喘息です。成人の喘息は、アレルギー性よりも非アレルギー性の方が多く、タバコやアルコールも発作の誘因となります。
4.喘息の検査法
まずは問診をして、喘息の疑いがある時は、スパイロメトリーや呼気NO検査など、呼吸器の機能を調べるための検査をします。アレルギーが原因かどうかを調べるためには、血液検査も行います。また、他の呼吸器疾患と区別するため、胸部レントゲン検査など画像検査も行います。
5.喘息の治療法
喘息の治療には、気道の炎症をコントロールして発作を防ぐ薬(コントローラー)と、発作が起きた時に鎮めるための薬(リリーバー)が使われます。前者の薬は、症状がなくなっても毎日続けて服用する必要があります。
服薬を続けるとともに、息を勢いよく吐きだした時の速度であるピークフロー値を毎日測って記録したり、発作の原因となるアレルゲンやストレスを避けるための工夫も行っていきます。
【参考情報】『はじめてぜん息と診断された方へ』独立行政法人環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/case/first.html
6.喘息の予防法
喘息の発作を予防するには、食事・睡眠・運動といった基本的な生活習慣を見直すとともに、発作の原因を知って、それを避ける工夫をしましょう。
アレルギー性喘息の人は、アレルギーの原因となるダニやホコリ、カビを減らすため、なるべくこまめに掃除をしましょう。特に、布団や枕など寝具を清潔に保つと効果的です。
肥満も喘息を引き起こし、悪化させる一因となります。肥満の指標であるBMIが25以上の方は、減量に取り組みましょう。
風邪やインフルエンザのような呼吸器の感染症にかかると、喘息の症状が悪化しやすくなります。手洗いやマスク着用のほか、インフルエンザの予防接種を受け、感染症から身を守りましょう。
◆「インフルエンザを予防する方法とは~医師が解説する流行への備え」>>
7.おわりに
2週間以上咳が続いているときは、呼吸器内科を受診して原因を調べておくと安心です。もし喘息と診断されたら、治療を開始して続けるとともに、発作のない生活を送ることができるよう、生活環境を整えていきましょう。