喘息治療のゴールと治療法

執筆者: 三島 渉(医学博士、横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2019年09月25日

喘息の症状をコントロールするには、正しい治療を気長に続けることが何より大事です。そのためにも、治療の意味をよく理解し、納得しておきましょう。

1.喘息治療のゴール

喘息治療のゴールは、発作のときの症状をしずめることではなく、「発作がおこらないようになり、健康な人と変わらない生活を送ること」です。

1-1.喘息治療の目標

日本アレルギー学会の喘息予防・管理ガイドライン2018で挙げられている治療の目標は、以下の通りです。

・健常人と変わらない日常生活が送れること。
・正常な発育が保たれること。
・正常に近い呼吸機能を維持すること。
PEFの変動が予測値の20%未満。
PEFが予測値の80%以上。
・夜間や早朝の咳や呼吸困難がなく十分な夜間睡眠が可能なこと。
・喘息発作が起こらないこと。
・喘息死の回避。
・治療薬による副作用がないこと。
・非可逆的な気道リモデリングへの進展を防ぐこと。

症状を改善させることはもちろん大事ですが、発作を起こさないように日々コントロールすることで、生活の質を上げていきましょう。

1-2.喘息の治療はいつまで続ければいいのか

喘息は、高血圧や糖尿病などと同じ慢性の病気なので、基本的には治療を長く続けていく必要があります。しかし、薬によって上手に症状をコントロールすることができれば、医師の判断により、薬を減らしていくことも可能です。

ただし、ぜんそくを起こしやすい体質そのものは変わらないので、良くなったと思っても再び悪化することがあります。調子が良くなったからといって自分で勝手に判断せずに、医師に相談しながら薬を減らしていきましょう。

成人の喘息は、完治させることが難しい病気だといわれていますが、適切な薬物治療と自己管理を継続することで、健康な人と変わらない生活を送ることができるようになります。あきらめずに継続して治療に取り組みましょう。

2.喘息のおもな3つの治療法

喘息の治療は薬物療法が中心ですが、適度な運動で心肺機能を高めたり、心身をリラックスさせる訓練を行うことで、さらに治療の効果を上げることができます。

2-1.薬物治療

喘息の主な治療法は、吸入ステロイド薬による薬物治療です。これに気管支を拡張させる薬や、気管支の緊張を和らげる薬などを配合した薬剤が処方されることが多いです。

<吸入薬の種類と使い方>

吸入薬は、ドライパウダー式とエアゾール式が主流となっています。

●ドライパウダー式
専用の器具にセットされた粉末状の薬を、自分で吸い込んで服用します。

●エアゾール式
息を吸い込むタイミングに合わせてボンベの底を押し、霧状の薬剤を噴射させて吸入します。使用には補助器具(スペーサー)が必要です。

「ステロイド」と聞くと、効果はあっても副作用の強い薬だと思い、怖いイメージを持つ人もいるかもしれませんが、喘息の治療に用いられる吸入ステロイド薬は、気道に直接作用するように工夫されているため、体内に吸収されることはほとんどありません。長期にわたって使用しても、副作用は非常に少ないので安心してください。

ただ、「声がかすれる」「口の中の違和感」などの軽い副作用が認められることがあります。
これらの副作用は、吸入後のうがい、吸入薬をゆっくり深く吸入すること、食事の前に吸入するなどの工夫で予防することができます。

2-2.運動療法


薬のコントロールがうまくできていて症状が安定している方は、運動で心肺機能を高めると発作予防につながります。体を動かすことでストレスも解消できるので、ぜひ取り入れてください。

心肺機能を高めるには、ウォーキングやジョギング、サイクリングのような有酸素運動が効果的です。運動前には必ず準備運動をして、決して無理はせず、自分のペースで行いましょう。

・運動誘発性喘息に注意!
急に激しい運動をしたときや、寒い屋外で運動して冷たい空気を吸い込んだときなどに起こる「運動誘発性喘息(うんどうゆうはつせいぜんそく)」に注意しましょう。運動開始後5〜10分くらいで発作の症状が現れて、運動をやめると30分程度でおさまります。

運動誘発性喘息は、空気が冷たく乾燥した環境で気道が急激に冷えたり、激しく運動することにより、気道の水分が失われてしまうことが原因だと考えられています。

運動誘発性喘息が起こったら、運動をやめて水分を取り、吸入薬があれば服用してください。それでも症状が改善しないときは、病院を受診しましょう。

2-3.心理療法


喘息は心理的な影響を受けやすい病気であると言われています。患者さんの不安や怒り、恐怖などの感情が自律神経を刺激して、発作に結びつくことが多いからです。

また、喘息の治療は長期にわたるため、以下のようなストレスで精神的に不安定となり、治療する気持ちを失ってしまうことがあります。

・まわりの人に発作の苦しみをわかってもらえない
・決まった時間や曜日に発作が起こる
・家族や同僚など、他の人と一緒にいるときに発作が起こりやすい
・「なぜ自分だけがこんな目に」と感じ、イライラしてしまう
・薬を持っていない時に限って発作が起こる

さらに、以下のような場合も、心理的な不安や恐怖などのストレスがかかっていると考えられます。

・感情を抑えているときに発作が起こる
・息を吐くときより、吸う時の方が苦しい
・自分の将来が不安で、毎日が憂うつに感じる
・1日の始まりや新しいことを行う時に、発作が起こる

思いあたる方は、カウンセリングや心理療法を併用することも検討しましょう。

心理療法にもいろいろありますが、誰にでも簡単にできて比較的効果の期待できる方法が自律訓練法です。くつろいだ姿勢で自分に暗示をかけることで心身の緊張を和らげ、気持ちをリラックスさせることが目的です。

最初は効果がわかりにくいかもしれませんが、慣れてくると、だんだんリラックス効果が得られるようになります。

普段からこの訓練法を繰り返し練習しておき、喘息発作の前兆を感じた時など、発作がひどくなってしまう前にぜひ実践してみてください。

3.おわりに

喘息は、正しい治療を続けていれば、多くの場合症状をゼロにすることが可能です。発作のない生活を目指して、ぜひ治療を続けていきましょう。

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