喘息・COPD治療薬「レルベア」の特徴と効果、副作用

レルベアは、喘息およびCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療に用いる薬で、専用のデバイス(吸入用器具)にセットされています。
2024年には、5歳~12歳未満を対象とした小児用も発売され、小児喘息のお子さんも使えるようになりました。
この記事では、レルベアの使い方や効果、副作用などについて解説します。初めて使う方も、使っているうちに疑問点が出てきた方も、ぜひ読んでください。
目次
1.レルベアとはどのような薬か
レルベアは、吸入ステロイド薬であるフルチカゾンフランカルボン酸エステルと、長時間作用性β2刺激薬のビランテロールトリフェニル酢酸塩(VI)が配合された吸入配合剤です。
【参考情報】『Fluticasone and Vilanterol Oral Inhalation』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a613037.html
この2つの成分が相互に補完し合うことで、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の症状を効果的にコントロールします。
吸入ステロイド薬は、気道の慢性的な炎症を抑えることで気道の過敏性を低下させ、発作を予防する働きがあります。
長時間作用性β2刺激薬は、気管支平滑筋に作用して気管支を広げ、息苦しさや喘鳴(ぜんめい;ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音)を和らげます。
喘息の治療薬は、その役割によって大きく2種類に分類されます。
<コントローラー(長期管理薬)>
毎日継続して使用することで、気道の炎症を抑え、発作が起こらないよう予防するための薬。
<リリーバー(発作治療薬)>
発作が起きたときに速やかに気管支を広げて症状を和らげるための薬。
レルベアはコントローラーに分類される薬なので、吸入した直後に即効性を感じにくいことがありますが、毎日継続して使用することで気道の炎症が徐々に改善され、発作の頻度や重症度を減らす効果が期待できます。
効果を十分に発揮するためには、症状がないときでも自己判断で中止せず、医師の指示に従って毎日決まった時間に使用することが大切です。
2.レルベアの使い方
レルベアは、以下の手順で1日1回、毎日吸入してください。朝・昼・夜、いつ吸入しても構いませんが、飲み忘れを防ぐためにも、時間を決めて吸入した方がいいです。
①エリプタのふたを開ける
カチッという音がするまで、しっかり開けてください。容器のカウンターを見て、数字がひとつ減っていれば、ふたを開けた時に正しく1回分の薬剤がセットされたことになります。
②息を吐き出す
姿勢を正し、無理のない程度で、しっかり息を吐き切ります。
③薬剤を吸い込む
マウスピース(吸入口)を深くくわえて口をすぼめ、「強く」「早く」「一気に」スーッと息を吸い込んでください。
④息を止める
薬剤を吸い込んだら、マウスピースから口を離して3~5秒ほど息を止め、その後ゆっくりと息を吐いて呼吸を再開します。
⑤エリプタのふたを閉じる
カチッという音がするまで、しっかり閉じてください。
⑥うがいをする
口の中に残った薬剤を洗い流します。
吸い忘れに気づいたときは、その時点で1回分を吸入してください。ただし、次の吸入時間が近い場合は忘れた分をとばし、通常のスケジュール通りに使用しましょう。
吸い忘れた分を補おうとして、2回分をまとめて吸入することは避けてください。決められた分量以上に吸入すると、副作用が生じやすくなる恐れがあります。
【参考情報】『お薬を飲み忘れた場合はどうすればいいですか?』兵庫県薬剤師会
https://www.hps.or.jp/faq/detail/?id=7
3.レルベアの副作用
レルベアの使用によって、以下のような副作用が現れることがあります。
3-1.口腔カンジダ症・嗄声(声のかすれ)
吸入ステロイド薬の影響で、口やのどにカビ(カンジダ菌)が繁殖し、口腔カンジダ症を引き起こすことがあります。
口の中の白いコケのような付着物、ヒリヒリとした痛み、飲み込みにくさといった症状が現れた場合は、口腔カンジダ症の可能性があります。
【参考情報】『口腔カンジダ症』日本口腔外科学会
https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_koku/#c05
また、声がかすれたり、しわがれ声になる嗄声(させい)と呼ばれる副作用が現れることもあります。
【参考情報】『Hoarseness』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/17105-hoarseness
これは、吸入したステロイド薬が声帯周辺に沈着することで、声帯の筋肉に影響を与えるために起こると考えられています。
これらの副作用は、吸入後に薬の成分が口やのどに残ることが主な原因です。そのため、吸入後は毎回うがいをする習慣をつけることが予防の基本となります。
3-2.動悸・頻脈
β2刺激薬の作用により、心拍数が増加したり、動悸を感じることがあります。
これは、β2刺激薬が気管支を広げる働きをする一方で、心臓のβ1受容体にも一部作用してしまうことで起こると考えられています。
多くの場合、これらの症状は使用開始直後や吸入直後に現れやすく、体が薬に慣れるにつれて徐々に落ち着いてくることがあります。
ただし、もともと不整脈や心疾患のある方は症状が強く出る可能性があるため、レルベアの使用を開始する前に必ず医師に既往歴を伝えるようにしましょう
3-3.低カリウム血症
β2刺激薬は血液中のカリウム濃度を低下させることがあります。これは、β2刺激薬の作用によってカリウムが血液中から細胞の内側へ取り込まれやすくなるために起こります。
通常の使用量では重い症状が出ることはまれですが、高用量での使用や、利尿薬・ステロイド薬など他の薬剤と併用している場合にはリスクが高まることがあります。
特に、腎臓の機能が低下している方など、もともと低カリウム血症のリスクが高い方は注意が必要です。
手足のしびれ、筋力低下、こむら返り(足がつる)、倦怠感などの症状が現れた場合は、低カリウム血症のサインである可能性があります。
【参考情報】『Hypokalemia』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/17740-low-potassium-levels-in-your-blood-hypokalemia
3-4.血糖値の上昇
吸入ステロイド薬により、血糖値が上昇することがあります。これは、ステロイド薬が肝臓での糖の産生を促進したり、インスリンの働きを妨げる作用を持つためです。
すでに糖尿病治療を受けている方では、レルベアの使用開始後に血糖コントロールが乱れることがあります。これまで安定していたHbA1cや血糖値が上昇したり、食後高血糖が目立つようになったりすることもあるため、以前より注意深く血糖値を確認することが大切です。
特に、インスリン製剤や血糖降下薬を使用している方は、治療内容の調整が必要になることもあります。自己判断で薬を変更せず、血糖値の変化が気になる場合は、喘息やCOPDを診療している医師だけでなく、糖尿病の主治医にも相談しましょう。
3-5.肺炎
COPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療でレルベアを使用している場合、肺炎のリスクが高まることが報告されています。
これは、吸入ステロイド薬が気道の免疫反応を局所的に抑制することで、細菌などの病原体に対する防御機能が低下するためと考えられています。
肺炎の予防策として、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種が有効とされています。
レルベアを使用中の方、特にCOPDの治療を受けている方は、かかりつけ医にワクチン接種について相談することをお勧めします。
4.レルベア使用上の注意点
レルベアは、喘息の発作を抑える薬ではありません。発作が起こり、咳や息苦しさが強くなってきたときは、医師から処方された発作治療薬(リリーバー)を服用してください。
レルベアを続けて使用するうちに症状が出なくなり、体の調子がよくなると「今日は使わなくても大丈夫」とか「少しくらい減らしてもいいだろう」という気持ちになるかもしれません。
しかし、突然使用を中止すると、いきなり症状が悪化することがあります。自己判断で吸入回数を変更したり、使用を中止することは絶対にしないでください。吸入量は、医師と相談しながら減らしていきましょう。
妊娠・授乳中の方は医師に相談してください。「ステロイドは怖い」「おなかの中の赤ちゃんによくないのでは」と思う方もいるでしょうが、喘息の発作が起こると胎児に悪影響が出る恐れもあるので、症状をコントロールするための治療は必要です。
持病やアレルギーのある方、ほかの薬を使用している方も、医師に相談してください。
【参考資料】『Fluticasone And Vilanterol (Inhalation Route)』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/drugs-supplements/fluticasone-and-vilanterol-inhalation-route/side-effects/drg-20061007?p=1
5.おわりに
レルベアと同じように、吸入ステロイド薬とβ2刺激薬を配合した治療薬には、以下のようなものがあります。
・アドエア
レルベアを使っても症状が良くならない場合は、正しく吸入できていないことも多いのですが、吸い方に気をつけても効果を感じられないときは、ほかの薬が使えるかどうか医師に相談してみましょう。











