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咳が止まらない時に使う「吸入薬」とは?

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2020年12月21日
吸入

喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器関連の病気の治療では、「吸入薬」とよばれるタイプの薬が使用されることがあります。
 
さまざまな種類の吸入器を用いて、口から薬剤を吸入するのが吸入薬です。
これらの吸入薬は喘息やCOPD治療の中心的な薬であって、咳止めの薬ではありません。
 
呼吸器系疾患で出現する症状の多くが咳であるために、吸入薬を咳止め薬と勘違いしている方もいますが、吸入薬は一時的に咳を鎮めるための薬ではありません。
 
そこで今回は、喘息やCOPDに用いられる吸入薬の種類と目的を紹介しながら、咳と吸入薬の関係を解説していきます。

1.吸入薬を使用する目的

まずは吸入薬を使用する目的を確認しておきましょう。
目的
喘息に対する治療を例にして解説しますが、基本的なコンセプトはCOPDも同様です。

吸入薬を使用する大きな目的は、

・喘息発作を起こさないようにすること
・喘息発作を未然に防止すること

です。
 
そのため、喘息で用いられる基本的な吸入薬は「気道の炎症を抑えて喘息発作が起こらないようにする」効果があります。
このタイプの薬を「コントローラー(長期管理薬)」といいます。

一方、万が一発作が起きてしまった時に使う吸入薬も存在します。
これを「リリーバー(発作治療薬)」といいます。
それぞれに関してもう少し詳しく紹介します。

【参考情報】『喘息を予防するための薬』アストラゼネカ株式会社
https://www.naruhodo-zensoku.com/treat/prevent.html

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

1−1.コントローラー(長期管理薬)

コントローラー
コントローラーの目的は、たとえ症状がなくても、体の調子が良くても、毎日きっちりと決められた回数を吸入することで、発作が起こらない状態をキープすることです。
そのため、「今日は調子がいいから薬を使わなくてもいい」というタイプの薬ではないということを知っておかねばなりません。

吸入してすぐに効果が発現する(すぐにラクになる)というものではないですが、毎日継続して使用することで、徐々に気道の炎症を取り除き、喘息の根本的な病態を改善する効果があります。

1−2.リリーバー(発作治療薬)

リリーバー
リリーバーは発作治療薬とよばれるように、喘息の発作時に使用する薬です。
効果が出るのが早く、喘息発作時の呼吸困難感を緩和する効果があります。

リリーバーには、気道を一時的に開く作用があります。
空気の通り道である気道が狭くなっている状態が喘息発作ですので、リリーバーを使用することで空気が通りやすくなり、激しい咳や息苦しさを一時的に緩和することができます。
 
しかし、あくまでもリリーバーの効果は一時的なものですので、日常的にはコントローラーを使って根本的な治療を行うことが重要です。

【参考情報】『ぜん息の薬』独立行政法人環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/knowledge/medicine.html

2.吸入薬で咳が止まるって本当?

先にも述べたように、効果発現の早いリリーバーは、「気道を広げる効果」があります。そのため、喘息発作やそれに伴う咳症状を一時的に和らげることができます。
COPDにおいては、動作(階段の上り下りなど)に伴う息苦しさや咳込みを防ぐ目的で使用されることがあります。
 
このように、広い意味では、吸入薬は「咳止め」の効果があるということになり、実際に吸入薬で咳が止まったと感じたことがある人も多いはずです。
吸入薬
しかし、吸入薬は咳止めの薬ではなく、「発作を予防するための薬」であり「発作を一時的に和らげる薬」です。
つまり、一般的な風邪や肺炎などによる咳症状で吸入薬が使用されることはありません。
(ただし、風邪などの症状の時に、ネブライザーという器械で一時的に吸入を行うことはあります)

◆「もしも喘息発作が起こったら」>>

3.吸入器の種類

喘息やCOPDの治療に用いられる吸入薬にはさまざまなタイプのものがあります。
特にその吸入器(吸入デバイス)は非常に特徴的です。
吸入器によって使用方法が大きく異なるだけではなく、薬の形状(粉末・ミスト)に違いがあります。
 
吸入薬を大きく分類すると、DPI(ドライパウダー吸入器)とMDI(定量噴霧式吸入器)の2つに分けることができます。
 
それぞれにメリットとデメリットが存在しますので、各吸入器の特徴と使い方のポイントを紹介します。

【参考情報】『吸入薬の正しい使い方』愛知県薬剤師会
https://www.apha.jp/medicine_room/entry-3501.html

3−1.DPI(ドライパウダー吸入器)

レルベアドライパウダーという名前のとおり、DPIの吸入器には乾燥した粉末薬が充填されていますので、吸入器を用いて微量の粉末を吸入するということになります。
 
力強く一気に吸入するのがポイントで、「そばをすするように吸入する」と表現されることがあります。
「粉末を自分の力で吸入する」必要がありますので、吸入する力が著しく低下している人や、本人の理解力が乏しい状態(小児や認知症患者など)の人は吸入が難しい場合があります。

3−2.MDI(定量噴霧式吸入器)

ビレーズトリMDI(定量噴霧式吸入器)はガスの圧力でミスト状の薬剤を噴霧する吸入器です。
吸入器が薬剤を噴霧してくれるため、吸入する力が弱くても一定量の薬を吸い込むことができます。
 
しかし、薬のタイミングと薬を吸い込むタイミングを合わせる必要があるため、正しく使用するためには、一定回数のトレーニングが必要となります。

【参考情報】『正しい吸入方法を身につけよう』独立行政法人環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/inhalers/feature01.html

4.まとめ

先にも述べたように、吸入薬は咳止めの薬でもなければ、のど飴のようにのどを潤すための薬でもありません。
コントローラーは喘息の病態そのものを治療するための非常に重要な薬であり、リリーバーは喘息発作を緩和して命を救う薬です。
いずれも、喘息やCOPDの患者さんにとっては非常に重要な薬です。
使用の際は、吸入薬を処方される呼吸器内科などの医療機関からまずはしっかりと吸入指導を受けてから使用しましょう。

◆「喘息治療のゴールと治療法」
 
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