喘息治療薬「アテキュラ」の特徴と効果、副作用

アテキュラは喘息の治療に用いる薬で、「ブリーズヘラー」とよばれるデバイス(吸入用器具)を使って吸入します。
この記事では、アテキュラの使い方や効果、副作用などについて解説します。初めて使う方も、既に使っている方も、ぜひ読んで基本的な知識を身につけておいてください。
目次
1.アテキュラとはどのような薬か
アテキュラは、2つの有効成分を配合した薬です。
1-1. アテキュラの特徴
アテキュラは、吸入ステロイド薬(ICS)であるモメタゾンフランカルボン酸エステルと、長時間作用性β₂(ベータツー)刺激薬(LABA)であるインダカテロール酢酸塩が配合された喘息治療薬です。
喘息では気道に慢性的な炎症が起こっているため、わずかな刺激に対しても過敏に反応し、咳や喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音)、息苦しさなどの症状が現れます。
アテキュラに含まれるモメタゾンフランカルボン酸エステルは、気道の炎症を抑えることで、喘息の症状が起こりにくい状態を維持し、発作や症状の悪化を予防します。
【参考情報】『Mometasone furoate in the management of asthma: a review』National Library of Medicine
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2643101/
一方、インダカテロール酢酸塩は、気管支の筋肉をゆるめて気道を広げることで呼吸をしやすくし、息苦しさなどの症状の改善に役立ちます。
【参考情報】『Indacaterol: a new once daily long-acting beta2 adrenoceptor agonist』National Library of Medicine
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2899782/
これら2つの成分を組み合わせることで、喘息の原因となる炎症への治療と、気管支を広げる治療を同時に行うことができます。
1-2. アテキュラの用量と剤形
アテキュラはカプセル状の薬剤で、専用の吸入器を使用して吸入します。飲み薬ではないため、カプセルをそのまま飲み込まないよう注意が必要です。
また、アテキュラには低用量・中用量・高用量の3種類があり、患者さんの症状や喘息の重症度、治療状況などに応じて医師が適切な用量を選択します。治療開始後も、症状のコントロール状況によって用量が見直されることがあります。
なお、アテキュラは喘息を長期的にコントロールするための長期管理薬(コントローラー)であり、急な喘息発作を止めるための薬(リリーバー)ではありません。
十分な効果を得るためには、症状の有無にかかわらず医師の指示どおり継続して使用することが大切です。
2.アテキュラの使い方
アテキュラは「ブリーズヘラー」と呼ばれるデバイス(吸入用機器)を使い、以下のように服用します。
①吸入準備
ブリーズヘラーのキャップを外します。
②カプセルを取り出す
薬剤が入ったシートからカプセルをひとつ取り出します。
③カプセルを入れる
本体の正面(矢印が記載されている面)を手前に向け、吸入口を斜めに倒し、カプセルを装填部(穴)に入れたら吸入口を閉じます。
※吸入口から直接カプセルを入れないようにご注意下さい。
④薬剤をセットする
吸入器を上に向けて持ち、本体両側のボタンを「カチッ」と音がするまで1 回押し、指を離します。
※カプセル破損の原因になるため、何度も押してはいけません。
⑤息を吐き出す
姿勢を正し、無理のない程度で、しっかり息を吐き切ります。
⑥薬剤を吸い込む
マウスピースを深くくわえて口をすぼめ、「強く」「早く」「一気に」スーッと息を吸い込んでください。カプセルがふるえるような「カラカラ」という音が聞こえる程度の速さで吸入してください。
⑦息を止める
薬剤を吸い込んだら、マウスピースから口を離して3~5秒ほど息を止め、その後ゆっくりと息を吐いて呼吸を再開します。
⑧カプセルを捨てる
カプセルが空になっていることを確認し、捨てます。
⑨うがいをする
口の中に残った薬剤を洗い流します。
ブリーズヘラー(吸入器)は30日を目安に交換してください、また、水などで洗わないようにしてください。
【参考情報】『はじめてのアテキュラ』ノバルティスファーマ
https://www.novartis.co.jp/sites/www.novartis.co.jp/files/hajimete-atectura_201020.pdf
3.アテキュラの副作用
この章では、アテキュラの主な副作用や予防方法について解説します。
3-1. よくある副作用
アテキュラの副作用として比較的よくみられるものに、声がかすれる「嗄声(させい)」や、口腔内でカンジダ菌が増殖することで起こる「口腔カンジダ症」があります。
これらはアテキュラに含まれる吸入ステロイド薬(モメタゾンフランカルボン酸エステル)によって起こることがある副作用です。吸入した薬剤の一部が口の中や喉に付着すると、声帯や口腔内の粘膜に影響を与え、声がかすれたり、口腔カンジダ症を発症したりすることがあります。
口腔カンジダ症では、口の中や舌に白い苔のようなものが付着するほか、口の中の違和感や痛み、味覚の変化などが現れる場合があります。症状が軽くても、気になる変化がみられた場合は医師や薬剤師に相談しましょう。
【参考情報】『口腔カンジダ症』日本口腔外科学会
https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_koku/#c05
3-2. 副作用を予防するためのポイント
嗄声や口腔カンジダ症は、吸入ステロイド薬を使用する際によく知られているものであり、吸入後にうがいを行うことで発症リスクを減らすことができます。
うがいをする際には、喉を洗う「ガラガラうがい」と、口の中を洗い流す「ブクブクうがい」の両方を行い、口や喉に残った薬剤をできるだけ洗い流すことが大切です。
3-3. その他の副作用
アテキュラに含まれる長時間作用性β₂刺激薬(インダカテロール)の影響により、動悸や頻脈、手の震えなどが現れることがあります。これらは気管支を広げる作用が全身にも一部及ぶことで起こると考えられており、多くは軽度で一時的なものです。
そのほか、発疹やかゆみなどのアレルギー症状が現れることもあります。めったにありませんが、呼吸困難や顔面の腫れ、強い発疹などの症状がみられた場合は、速やかに病院を受診してください。
4.使用上の注意点
アテキュラの効果を十分に得るためには、正しい方法で継続して使用することが重要です。
この章では、使用時の注意点について解説します。
4-1. カプセルの取り扱いと正しい使用方法
アテキュラはカプセル状の薬ですが、専用の吸入器(ブリーズヘラー)を使用して吸入する薬剤です。誤ってカプセルを飲み込まないよう注意してください。
また、アテキュラをアルミシートから取り出す際には、カプセルを押し出さず、アルミシートを剥がして取り出してください。
無理に押し出すとカプセルが破損し、正常に吸入できなくなるおそれがあります。
4-2. 使用前に医師へ相談した方がよい人
アテキュラは12歳未満の小児における有効性および安全性が確立していないため、通常は12歳未満の小児には使用されません。
また、アテキュラに含まれるインダカテロールは気管支を広げる成分ですが、動悸や脈拍の増加などを引き起こすことがあります。そのため、心疾患や不整脈、高血圧、甲状腺機能亢進症などの持病がある方では慎重に使用されることがあります。これらの病気で治療を受けている場合は、事前に医師へ伝えておきましょう。
妊娠中や妊娠している可能性のある方、授乳中の方も使用前に医師へ相談してください。喘息のコントロールが悪化すると母体や胎児に影響を及ぼす可能性があるため、治療上の有益性がリスクを上回ると判断された場合には使用されることがあります。
【参考情報】『Pregnancy and Asthma』American College of Allergy Asthma and Immunology
https://acaai.org/asthma/asthma-101/who-gets-asthma/pregnancy-and-asthma/
5.アテキュラの薬価
アテキュラの1カプセル(1回)あたりの薬価(2026年4月時点)は、以下のとおりです。
・アテキュラ吸入用カプセル低用量 113.0円
・アテキュラ吸入用カプセル中用量 120.1円
・アテキュラ吸入用カプセル高用量 137.1円
アテキュラの代わりとなるジェネリック医薬品は現在販売されていません。また、同等の有効成分を含む市販薬もありません。
6.アテキュラに関するよくある質問
Q. アテキュラはどのくらいで効果が現れますか?
個人差はありますが、気管支を広げる成分によって、比較的早い段階で呼吸のしやすさを感じることがあります。
ただし、アテキュラの本来の目的は喘息を長期的にコントロールすることです。気道の炎症を十分に抑えるには継続的な使用が必要であり、効果を感じたからといって自己判断で使用をやめないようにしましょう。
Q. アテキュラを使用しているときに風邪をひいたら中止した方がよいですか?
風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などにかかった場合でも、喘息の治療を継続した方がよいケースがほとんどです。むしろ感染症によって気道の炎症が悪化し、喘息発作が起こりやすくなることがあります。
ただし、高熱が続く場合や呼吸状態が急激に悪化した場合は、早めに病院で相談しましょう。
Q. アテキュラのカプセルが吸入後も残っていることがありますが問題ありませんか?
吸入後にカプセルの中に少量の粉末が残ることは珍しくありません。
ただし、カプセルの中に多くの薬剤が残っている場合は、十分に吸入できていない可能性があります。吸入時に「カラカラ」という音がしているか、正しい手順で使用できているかを確認しましょう。
7.おわりに
アテキュラと同じように、吸入ステロイド薬とβ2刺激薬を配合した治療薬には、以下のようなものがあります。
・レルベア
・アドエア
アテキュアを使い続けても症状がよくならない時は、まずは正しく吸入できているかどうかを確認し、それでも効果を感じられないときは、ほかの薬が使えるかどうか医師に相談してみましょう。
また、「目が悪い」「手指を使う細かな動作が苦手」な人は、ブリーズヘラーにアテキュラのカプセルを詰める作業が負担になるかもしれません。そのような場合も、医師や薬剤師に相談してください。













