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呼吸器内科とはどんなところ?何をするのかを解説します

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2026年04月16日

「呼吸器内科」と聞いても、何をするところなのか、どんな時に受診すればいいのか、ピンとこない人もいるかもしれません。

この記事では、呼吸器内科という診療科が扱う病気や症状について詳しく説明します。一般的な内科との違いや、専門的な検査についても紹介するので、受診を考えている人はぜひ目を通してください。

1.呼吸器内科とはどんな診療科なのか


呼吸器内科は、のど・気管・気管支・肺など、呼吸に関わる臓器の病気を専門とする診療科です。

これらの臓器は、酸素を体内に取り込み、二酸化炭素を排出するという、生命を維持するうえで欠かせない働きを担っています。

そのため、少し機能が低下しただけでも「息苦しい」「体が動かしにくい」といった症状として現れやすく、日常生活への影響も大きくなりがちです。

◆「息苦しいのは病気?原因の見分け方と受診の目安」>>

咳や息切れは日常的によくある症状ですが、その背後には感染症・アレルギー・喫煙の影響・加齢による変化など、複数の要因が絡み合っていることも少なくなく、専門的な視点での評価が必要です。

また、呼吸器の病気は呼吸の症状にとどまらず、全身にも影響を及ぼします。例えば、慢性的な酸素不足は心臓や血管に負担をかけ、生活習慣病の悪化を招くこともあります。

【参考情報】『Respiratory Pathology and Cardiovascular Diseases: A Scoping Review』National Library of Medicine
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11696865/

近年は高齢化や生活環境の変化もあって、呼吸器疾患への関心はますます高まっています。長引く咳や軽い息切れも、早めに評価・介入することで重症化を防げるケースは多いです。

呼吸器内科は、こうした日常的な症状の奥にある疾患を見極め、適切な治療と継続的なサポートを行っています。

【参考情報】『Pulmonologist』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/articles/22210-pulmonologist

2.呼吸器内科と他の診療科との違い


咳や息苦しさがあるとき、「どの診療科を受診すべきか」で迷う人は少なくありません。

ここでは、内科・耳鼻咽喉科・アレルギー科との違いを整理し、受診の目安を解説します。

2-1.内科との違い

一般的な内科では、呼吸器以外の病気も総合的に診療しています。「熱が出た」「おなかの調子が悪い」など、よくある不調を感じたときは、まずは内科を受診するのがいいでしょう。

風邪の初期症状などは一般内科でも対応されることが多いですが、咳が長引く場合は、風邪とは別の病気の可能性もあるので、より専門的な検査や治療が可能な呼吸器内科が適しています。

◆「その症状、本当にただの風邪?」>>

2-2.耳鼻咽喉科との違い

耳鼻咽喉科は、鼻やのど(上気道)の病気を専門としており、鼻水・喉の痛み・副鼻腔炎などが主な対象です。

一方、気管や肺といった下気道に関わる咳や息苦しさは、呼吸器内科が担当します。

目安としては、鼻水や鼻づまりが気になる場合や、のどの不調は耳鼻咽喉科、咳が長引く・息苦しさがあるといった場合は呼吸器内科の受診が適しています。

2-3.アレルギー科との違い

アレルギー科は、花粉症や食物アレルギーなどアレルギー反応全般を扱う診療科です。

ただし、喘息のように呼吸器の症状が中心となるアレルギー疾患は、呼吸器内科で専門的に管理されることが多くなっています。

そのため、咳や息苦しさが主な症状であれば、まず呼吸器内科を受診すると、スムーズに診断・治療が進みやすいでしょう。

◆「喘息とアトピー、アレルギーの関係」>>

3.呼吸器内科で扱う主な病気


呼吸器内科では、急性の呼吸器感染症から、長期的な管理が必要な慢性疾患まで幅広く扱います。

3-1.呼吸器感染症

細菌やウイルスなどの感染によって起こる病気で、発熱や咳、痰などの症状を伴うことが多いのが特徴です。

<主な病気>

 風邪

 気管支炎

 肺炎

 インフルエンザ

 新型コロナウイルス感染症 など

3-2.慢性呼吸器疾患

咳や痰、息切れが慢性的にみられ、継続的な治療や管理が必要となる病気です。

<主な病気>

 喘息

 COPD(慢性閉塞性肺疾患

 気管支拡張症 など

3-3.間質性肺疾患

肺の間質に炎症や線維化が起こり、肺が硬くなることで呼吸しづらくなる病気の総称です。

<主な病気>

 間質性肺炎

 過敏性肺炎

 肺サルコイドーシス など

3-4.腫瘍性疾患

肺がんを中心に、他の臓器から転移したがんや、肺や胸膜にできるさまざまながんが含まれます。

<主な病気>

 肺がん

 ・転移性肺腫瘍

 ・良性肺腫瘍(過誤腫など)

【参考情報】『肺の良性腫瘍』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/e/e-03.html

3-5.アレルギー・免疫関連疾患

アレルギーや免疫の異常によって呼吸器に炎症が起こる病気です。

<主な病気>

 喘息

 咳喘息

 好酸球性肺炎 など

3-6.睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に何度も呼吸が止まったり浅くなったりすることで、体に十分な酸素が行き渡らなくなる疾患です。

肥満などが原因で気道がふさがることで起こる「閉塞性」と、呼吸の指令がうまく働かない「中枢性」に分けられますが、患者のほとんどは閉塞性です。

主な症状は、毎晩のように生じる激しいいびきや日中の強い眠気で、治療をせずに放っておくと、高血圧や心疾患などのリスクが高まることが知られています。

◆「睡眠時無呼吸症候群」についてもっとくわしく>>

3-7.禁煙治療

喫煙は、肺がんやCOPDをはじめとする多くの呼吸器疾患の最大のリスク因子です。

そのため呼吸器内科では、病気の治療だけでなく、原因となる喫煙習慣の改善にも積極的に取り組んでいます。

禁煙治療では、ニコチン依存の評価を行ったうえで、禁煙補助薬(内服薬や貼付薬)を用いた治療や、継続のためのサポートを行います。

一定の条件を満たせば保険適用で治療を受けることも可能です。

◆「禁煙外来」の情報をチェック>>

4.呼吸器内科はどんな症状で受診したらいいのか

咳 受診

呼吸器内科は主に、「咳」「痰」「息切れ・息苦しさ」が気になる時に受診します。

4-1.咳


最も多い受診理由のひとつです。特に、以下のような場合はは注意が必要です。

 ・2週間以上咳が続く

 ・夜も眠れないほど激しい咳が出る

 ・夜間や早朝に咳が悪化する

 ・ホコリや煙を吸うと激しく咳き込む

 ・ペットがそばにいると激しく咳き込む

 ・食事中にむせて咳き込む

 ・市販薬で改善しない

このような場合は、喘息や咳喘息、肺の病気などが隠れている恐れがあります。

4-2.痰


以下のような痰の状態は、病気のサインである可能性があります。

 ・2週間以上痰が続いている 

 ・緑、赤、茶、黒の痰が出る

 ・「ゴホゴホ」「ゲホゲホ」という痰の絡んだ咳が続いている

 ・粘り気のある痰がのどに絡み、慢性的に呼吸がしにくい

特に血痰は、感染症だけでなく腫瘍などの可能性もあるため、早めの受診が重要です。

◆「血痰」についてくわしく>>

4-3.息切れ・息苦しさ


以下のような症状がある場合は、呼吸器内科を受診しましょう。

 ・階段や坂道の上り下りが苦しくて息が切れる

 ・重い荷物の持ち運びが苦しくて息が切れる

 ・動くとすぐにゼイゼイ、ハーハーしてしまう

 ・睡眠中に、息苦しくて目が覚めることがある

年をとると体力が落ちるので、若い頃に比べると息切れしやすくなっても普通だと思うかもしれません。

しかし、同年代の人と一緒に歩いているときに、自分だけ息切れして遅れてしまうようなら、年のせいではなく呼吸器の病気の可能性があります。

◆「息切れの原因」をチェック>>

4-4.その他

以下のような症状が気になる時も、受診を検討しましょう。

 ・胸の痛みや違和感

 ・発熱を伴う呼吸器症状

 ・のどのムズムズ・イガイガ

◆「喉がムズムズ・イガイガして咳が止まらないのはなぜ?」>>

5.呼吸器内科で行う検査


呼吸器内科では、必要に応じて以下のような検査を行います。
 

5-1.画像検査


呼吸器内科では、肺や気管支の状態を確認するために画像検査が欠かせません。

基本となるのが胸部レントゲンです。短時間で撮影でき、肺炎・肺がん・胸水といった異常をおおまかに把握できることから、初期評価として広く活用されています。ただし、小さな病変や重なりによる影響で見えにくい異常もあります。

◆「レントゲン写真から、呼吸器内科でわかること」>>

さらに詳しく調べたい場合は、胸部CTが行われます。体の断面を細かく描出できるCTは、レントゲンでは捉えにくい小さな病変も検出しやすく、間質性肺疾患や早期肺がんの評価に特に有用です。病変の広がりや形状・分布などを詳細に把握でき、治療方針を決めるうえで重要な情報をもたらします。

5-2.血液検査


血液検査と画像検査と組み合わせることで、病気の原因や重症度をより正確に評価できます。

まず、炎症の程度をみる検査として、白血球数やCRPなどが測定されます。これにより、細菌感染やウイルス感染の可能性、炎症の強さを判断します。

次に、感染症の原因を調べる検査があります。必要に応じて、特定のウイルスや細菌に対する抗体や抗原を調べることで、原因となる病原体の特定に役立ちます。

さらに、アレルギーや免疫の状態を調べる検査も行われます。好酸球数やIgEなどを測定することで、喘息やアレルギー性疾患の関与を評価します。

◆「アレルギーの原因・種類・検査・治療の基本情報」>>

5-3.呼吸機能検査


肺の働きや空気の出し入れの状態を数値で評価する検査です。咳や息切れの原因を調べたり、病気の重症度や治療効果を確認したりする目的で行われます。

<スパイロメトリー>
専用の機器に向かって大きく息を吸い込み、一気に吐き出すことで、肺活量や1秒量(1秒間に吐き出せる空気の量)などを測定します。

これにより、気道が狭くなっているかどうかや、肺の機能低下の程度を評価できます。喘息やCOPDの診断に欠かせない検査です。

【参考情報】『Spirometry』American Lung Association
https://www.lung.org/lung-health-diseases/lung-procedures-and-tests/exhaled-nitric-oxide-test

<呼気NO検査>
吐いた息に含まれる一酸化窒素(NO)の濃度を測定し、気道の炎症の状態を評価する検査です。特に、喘息などでみられる気道の炎症の有無を調べるのに有用とされています。

検査は専用の機器に向かって、一定の速度でゆっくり息を吐くだけで行えるため、体への負担が少なく、短時間で終了します。

【参考情報】『Fractional Exhaled Nitric Oxide Test』
https://my.clevelandclinic.org/health/diagnostics/17833-spirometry

<モストグラフ>
呼吸の際に空気の通り道である気道がどの程度狭くなっているかを評価する検査です。

検査は、マウスピースをくわえて普段どおりに呼吸するだけで行えます。スパイロメトリーのように強く息を吐く必要がないため、小児や高齢者、息切れが強い方でも実施しやすいのが特徴です。

◆「呼吸器内科で行われる専門的な検査について」>>

その他、インフルエンザなどの呼吸器感染症の検査や、睡眠時無呼吸症候群の検査も行っています。

6.おわりに

呼吸器の病気には、風邪のようなよくある病気もあれば、命にかかわる病気や生涯にわたって治療が必要な病気もあります。

多くの病気では、初期のうちは咳や微熱など風邪のような症状が現れます。「風邪がなかなか治らない」「咳や痰が長引いている」というときは、ぜひ呼吸器内科を受診して原因を調べ、専門的な治療を受けましょう。

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