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レントゲン写真から、呼吸器内科でわかること

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2022年07月16日
レントゲン写真

病院や健康診断、人間ドックなどで、みなさんも一度は「レントゲン検査」を受けたことがあるのではないでしょうか。

医師によってはレントゲン写真を患者さんに見せながら診察を行うこともありますので、実際に写真を見たことがある方も多いでしょう。

この記事は、レントゲン検査について説明しながら、レントゲン写真でわかる呼吸器の病気とわからない病気を紹介していきます。

1.レントゲン検査について

レントゲン検査は、放射線の一種である「X線」という電磁波を使って体内の画像を撮影し、幅広い病気の診断に役立てる画像検査です。

医療機関では「X線検査」と言いますが、一般的にはX線の発見者であるドイツの物理学者ヴィルヘルム・レントゲンの名前にちなんで「レントゲン検査」と呼ばれます。

【参考情報】『X線の発見』順天堂大学 放射線部
https://www.juntendo.ac.jp/hospital/support/hoshasenbu/activity/public/news/news01.html

この検査では、骨や水分などは白く描写され、肺などの空気が多い場所は黒く写るという特徴があります。

肺炎などの肺に炎症が起きる病気の場合、炎症が起こっている場所には体液などの水分が多く集まります。そのため、肺炎が起きている場所は「白っぽく」写ります。

この特徴を利用することで、肺の状態を把握することができるのです。

呼吸器内科医など、レントゲン画像を多数見てきた医師であれば、微妙な色の濃淡から病気の詳細までわかることもあります。

◆「呼吸器内科の専門医とはどのような職業か」>>

1-1.レントゲン検査の撮影方法

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レントゲン検査では必要に応じて、立位、座位、臥位(がい)などの体位で撮影します。検査時間は部位や撮影回数によりますが、10分程度が目安となります。

1-2.レントゲン検査時の注意事項

検査の際、検査部位によっては脱衣(軽装に着替える)が必要になる場合があります。

薄いTシャツだけなら、着衣のまま撮影することも可能ですが、ボタンやファスナー、刺しゅうがある場合には、脱衣が必要になることがあります。

また、下着の金具やプラスチック、湿布、アクセサリーなども撮影の妨げになることがあります。

2.レントゲン検査でわかる病気

胸部レントゲン検査でわかる呼吸器の病気には、以下のようなものがあります。

 ・肺炎
 ・肺がん
 ・COPD
 ・肺結核
 ・気胸
 ・肺水腫
 ・塵肺

検査は病気の診断に利用するだけではなく、治療経過や状態の変化を知る手がかりにもなります。

また、肺のレントゲン写真を撮影すると心臓の状態もチェックできるので、心疾患の発見につながることがあります。

◆「痰がからみ、咳が止まらない時に考えられる呼吸器の病気」について>>

定期的にレントゲン検査を行うことで、新しい病変を早期に発見したり、治療効果を判定したりすることが可能です。

3.レントゲン検査だけではわからないこと

呼吸器

レントゲン検査は、短時間で非常に多くの情報が得られる検査ですが、この検査だけで判断できない病気もあります。

例えば、非常に微細ながん細胞は、レントゲンでは撮影することができないので、早期の肺がんの診断には、腫瘍マーカー(腫瘍細胞の存在を確認する検査)を測定したり、PET‐CTとよばれる装置で画像検査を行うことがあります。

また、一部の喘息やアレルギー咳嗽(アレルギー反応によって咳が止まらなくなる病気)も、レントゲン検査では異常が見つからないことがあります。これらの病気を診断するためには、呼吸器専門医による問診や専門的な検査が必要となります。

◆「呼吸器内科で行われる検査」について>>

3-1.レントゲン検査で異常があらわれない呼吸器疾患とは

咳が長引いて困っていたため、近所の一般内科を受診し、レントゲン検査をしてもらった。
しかし、全く異常がみつからないと言われた。
でも、一向に咳は止まらないし、良くなる気配もない…。

このような場合には、呼吸器専門医によるより詳細な問診や検査が必要になることがあります。
先にも述べたように、一部の喘息では、レントゲン写真や血液検査に異常が見つからないことがあり、呼吸器内科でのより専門的な検査(呼吸機能検査など)が必要になる場合があります。

このように、たとえ呼吸器系の疾患であっても、レントゲン検査だけでは分からない病気も多いのです。

「レントゲン検査で異常がないと言われたけど、咳が長引いてこまっている」という方は、一度呼吸器専門医の診察を受けてみましょう。

◆「呼吸器内科を受診すべき症状とは?」>>

4.おわりに

レントゲン検査で分かる病気と分からない病気について紹介しました。
レントゲン写真で正しく診断できるようになるには、豊富な知識や経験が必要です。
呼吸器系の症状でお困りの際には、お早めに呼吸器内科を受診することをおすすめします。

◆「咳が止まらない時に心配な病気の症状・検査・治療」>>

【参考情報】『胸部エックス線検査の必要性について』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/06/s0620-6f.html

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