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40歳以上と喫煙者は知っておきたい!肺がんの症状・検査・治療の基礎知識

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2021年06月22日

肺がんとは、気管や気管支、肺胞にできるがんで、タバコとの関係が深い病気です。

がんで死亡した人を部位別にみると、肺がんで亡くなった人は、男性は1位、女性は2位で、60歳以上になると急激に患者数が増えます。

この記事では、肺がんという病気の基本知識を紹介します。肺がんの初期症状はわかりにくいのですが、病気を正しく理解して早期発見・早期治療につなげてください。

1.肺がんの症状

肺がんは、初期のうちはほとんど自覚症状がなく、なかなか気づくことができません。また、初期症状があっても咳や痰、発熱など風邪のようなものであるため、まさか肺がんとは思わない人が多いのではないでしょうか。

肺がんとは限りませんが、咳が2週間以上続いているときは、呼吸器の病気にかかっている可能性があります。ただの風邪でそこまで咳が長引くことはまずないので、咳が2週間以上続いていたら、念のため呼吸器内科を受診して咳の原因を調べましょう。

◆「呼吸器内科を受診すべき症状」について>>

血の混じった痰が続いて出るときも、肺がんの疑いがあるので、呼吸器内科を受診してください。

肺がんが進行すると、息苦しさを感じたり、胸に痛みが出ることがあります。また、「食べ物が飲み込みにくくなる」「声がかすれる」などの症状が現れることもあります。

2. 肺がんの原因

肺がんは、タバコとの関係が深い病気として知られています。タバコを吸う人は吸わない人より、男性は4.5倍、女性は4.2倍、肺がんになりやすいとされています。

『たばこと肺がんとの関係について』国立がん研究センター 予防研究グループ
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/254.html

タバコを吸わない人も、家族や周囲の人が吸っていれば、受動喫煙により有害物質を吸い込み、肺がんになることがあります。一方、原因不明の肺がんもあり、特に肺腺がんの患者さんにはタバコを吸わない人も多いです。

タバコ以外の原因としては、汚染された大気やアスベストなどの化学物質を長い間吸い込むことで発症することがあります。

3.肺がんの種類

肺がんは、大きく「小細胞肺がん」と「非小細肺胞がん」の2つに分けられます。どちらの肺がんであるかによって、治療方針は大きく変わってきます。

非小細胞肺がんは、さらに「肺腺がん」「肺扁平上皮がん」「肺大細胞がん」に分けられます。

3-1.小細胞肺がん

小細胞肺がんは、細胞分裂のスピードが速いがんです。

悪性度が高く、他の臓器に転移しやすいがんですが、抗がん剤や放射線が比較的効きやすいという特徴があり、早期発見・早期治療により、高い治療効果が期待できます。

小細胞肺がんは、タバコと非常に深い関係があります。男性の小細胞肺がんの原因のほぼ100%がタバコであると言われています。

3-2.肺腺がん

気管支の末梢部分にできやすいがんです。肺がんの中で最も発生頻度が高く、肺がん患者のうち、男性で4割、女性で7割程度を占めます。

肺腺がんの中には、進行が非常にゆるやかなタイプもあり、このタイプでは肺の一部を切除する手術で根治を目指すことができます。歌舞伎俳優の中村獅童さんや、タレントの青木さやかさんも肺腺がんの手術を受けています。

肺腺がんもタバコとの関連はありますが、ほかの肺がんと比べると低いとされています。

3-3.肺扁平上皮がん

肺の中心部にあたる気管支の壁に発生することが多いがんです。肺腺がんの次に発生頻度が高い肺がんです。

肺扁平上皮がんはタバコとの関係が深いがんとされ、ヘビースモーカーの男性に多く見られます。

◆「新型タバコ」について>>

3-4.肺大細胞がん

大きな細胞からなるがんで、発生頻度は肺がん全体の5%と少なめです。進行が早く、薬物療法、放射線療法が効きにくい傾向があります。

3-5.その他の肺がん

カルチノイド、腺様嚢胞がん、粘表皮がんなど、上記の4種類に入らない肺がんもあります。

4. 肺がんの検査法

肺がんの検査には、肺がんが疑われるときに行う「スクリーニング検査」と、より正確な診断のために行う「確定診断検査」があります。

4-1.スクリーニング検査

スクリーニング検査には、「胸部X線検査(レントゲン検査)」「胸部CT検査」「喀痰細胞診」があります。

胸部X線検査は、最も一般的な検査です。X線で撮影した肺に白い影があれば、何らかの異常を疑います。しかし、肺炎や肺結核など、肺がん以外の病気が原因で白い影が写ることもあります。

◆「胸部X線検査(レントゲン検査)」について>>

胸部CT検査では、X線検査では見つけにくい小さながんや、ろっ骨や心臓の陰に隠れて見えにくいがんを発見することができます。

喀痰細胞診は、容器の中に痰を吐き出してもらい、その中にがん細胞があるかどうかを調べる検査です。胸部X線検査で肺がんの疑いがある場合や、ヘビースモーカーの人、血痰が出る人に行うことが多いです。

4-2.確定診断検査

スクリーニング検査で肺がんの疑いがあると判断されたら、「気管支鏡検査」「経皮的肺針生検」など、がんの疑われる場所から組織や細胞を採取して調べる検査を行います。

気管支鏡検査では、先端にカメラがついた小さな細い管を口や鼻から気管支に入れ、がんの疑いがある箇所をブラシでこすって細胞を採取します。

経皮的肺針生検は、気管支鏡検査が難しい場合や、気管支鏡検査では診断がつかない場合などに行います。CTで疑わしい箇所を確認しながら皮膚の上から針を刺し、細胞や組織を採取します。

その他、胸腔鏡検査、外科的肺生検などを行う場合もあります。

4-3.その他の検査

医師の判断によっては、PET検査、腫瘍マーカー検査などを行うこともあります。

5. 肺がんの治療法

肺がんの治療法には、「手術」「放射線治療」「薬物療法」があります。がんの種類や進行度などを考慮して、適した治療法を決めます。

5-1.手術

検査でがんが取りきれると判断した場合、かつ、患者さんに十分な体力や肺機能がある場合は、手術を行います。

手術には、ろっ骨を切り開いて行う手術と、内視鏡の一種である胸腔鏡を用いて行う手術があります。

5-2.放射線治療

がん細胞に放射線を照射してダメージを与える治療法で、治療の効果を高めるため、手術前・手術後に行うことが多いです。

また、以下のような場合にも行います。

 ・高齢や合併症などのため手術が難しい
 ・手術で取りきれなかったがんが残っている
 ・がんが骨や脳へ転移した時の症状を和らげる

5-3.薬物療法

薬物によってがん細胞を攻撃する治療法で、肺がんでは以下の3つの選択肢があります。

 ・化学療法:抗がん剤を用いてがん細胞の増殖を抑える
 ・免疫療法:免疫チェックポイント阻害薬でがんを縮小させる
 ・分子標的療法:ある特定の分子に働きかけてがんの増殖を抑える

6. 肺がんの予防法

肺がんの予防でもっとも大切なのは禁煙です。禁煙してから10年後には、肺がんのリスクが喫煙者に比べて約半分にまで低下することがわかっています。

【参考情報】『たばことがん もっと詳しく知りたい方へ』国立がん研究センター がん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/smoking/tobacco02.html

禁煙の次に大切なのは検診です。肺がんは自覚症状が現れにくい病気なので、40歳以上の方は年1回の検診を受けて、早期発見に努めましょう。

【参考情報】【参考情報】『令和3年度 横浜市肺がん検診実施機関一覧表』横浜市健康福祉局保健事業課
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kenko-iryo/kenshin-kensa/kakushu/top.files/0730_20210607.pdf

7. おわりに

肺がんは症状が現れないまま進行し、ほかのがんよりも転移しやすいため、治りにくいがんの1つであるといわれています。

しかし、禁煙によって大幅にリスクを下げることができる病気でもあります。タバコを吸う方は、ぜひ禁煙にチャレンジして病気を防いでください。当院でも禁煙治療を実施しています。

◆「禁煙治療」について>>

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