「息苦しい」「呼吸がしにくい」と感じたら、呼吸器内科を受診しましょう

「息苦しい」「呼吸がしづらい」「息が詰まる」という症状は、どんな原因で起こるのでしょうか。
この記事では、息苦しさの原因と呼吸器内科で診療できる病気について解説します。「なんとなく息苦しい」「咳が出て呼吸がしにくい」「少し動いただけでも息切れする」などの症状で悩んでいる人は、ぜひ読んでください。
目次
1.息苦しさを感じる原因
息苦しさの原因は、呼吸器の病気だけでなく、心臓の病気や貧血、ストレスなどさまざまです。
原因によって対処法や緊急性が異なるため、症状の特徴を見極めることが重要です。
1-1.呼吸器の病気
喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器の病気では、気道が狭くなったり肺に炎症が起こることで、空気の出入りがスムーズにいかなくなり、息苦しさを感じることがあります。
これらの疾患では、以下のような症状を伴うことが多くみられます。
・しつこい咳
・痰がからむ、増える
・ゼーゼー・ヒューヒューといった呼吸音
・動いたときに息切れしやすい
喘息では発作的に症状が悪化し、夜間や早朝に息苦しさが強くなる傾向があります。
◆「喘息の症状・原因・検査・治療について呼吸器内科医が解説」>>
一方、COPDでは徐々に息切れが進行し、軽い動作でも息苦しさを感じるようになるのが特徴です。
◆「咳がとまらない・しつこい痰・息切れは、COPDの危険信号」>>
また、肺炎でも突然の息苦しさが現れることがあります。発熱や咳、痰を伴い、呼吸が苦しくなるケースが典型的です。
さらに、間質性肺炎のように肺の組織が硬くなる病気では、酸素を取り込みにくくなるため、徐々に息切れが進行していきます。
このように、呼吸器の病気による息苦しさは「咳や痰などの呼吸器症状を伴うか」「急に起こったか、徐々に進んでいるか」といった点が見分ける手がかりになります。
1-2.心血管疾患
心臓の病気や高血圧でも、血液を全身に送り出す働きが低下したり、心臓に負担がかかったりすることで、息苦しさを感じることがあります。
代表的なのが心不全で、心臓のポンプ機能が低下すると肺に血液がうっ滞し、酸素の取り込みがうまくいかなくなります。その結果、安静時でも息苦しさを感じたり、少し動いただけで強い息切れが出たりします。
【参考情報】『心不全とはなにか』日本心臓財団
https://www.jhf.or.jp/check/heart_failure/02/
また、狭心症や心筋梗塞のように心臓の血流が不足する病気でも、息苦しさが現れることがあります。
これらの場合は、以下のような症状を伴うことが多く、特に突然出現した場合は注意が必要です。
・胸の痛みや圧迫感
・胸が締め付けられるような不快感
・冷や汗や吐き気
さらに、不整脈では心拍のリズムが乱れることで、血液の循環が不安定になり、「ドキドキする」「脈が飛ぶ」といった自覚とともに息苦しさを感じることがあります。
心臓の病気に伴う息苦しさには、次のような特徴がみられることがあります。
・横になると苦しくなり、起き上がると楽になる(起坐呼吸)
【参考情報】『起坐呼吸』日本救急医学会
https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/1019.html>
・夜間や明け方に突然息苦しくなる
・足や顔のむくみが出る
・体重が急に増える(体内に水分がたまるため)
高血圧そのものは自覚症状が少ないことが多いですが、長期間コントロール不良の状態が続くと心臓に負担がかかり、心不全などを引き起こして息苦しさにつながることがあります。
このように、心臓の病気による息苦しさは「胸の症状」や「むくみ」「体位による変化」などを伴う点が特徴です。
特に、急な胸の痛みや強い息苦しさがある場合は、緊急性の高い状態の可能性もあるため、早めの受診が重要です。
【参考情報】『About Heart Attack Symptoms, Risk, and Recovery』CDC(Centers for Disease Control and Prevention)
https://www.cdc.gov/heart-disease/about/heart-attack.html
1-3.鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血になると、血液中のヘモグロビンが減少し、全身に十分な酸素を運べなくなります。
その結果、体は酸素不足を補おうとして呼吸や心拍数を増やすため、息苦しさや動悸を感じやすくなります。
特に階段の上り下りや軽い運動時に「以前より息が上がりやすい」と感じる場合は、貧血が関係していることがあります。
息苦しさのほか、以下のような症状がみられることがあります。
・めまい、立ちくらみ
・頭痛
・疲れやすい、だるい(易疲労感)
・顔色が悪い(蒼白)
・手足の冷え
・動悸
さらに、鉄不足が進むと、以下のような特徴的な症状が現れることもあります。
・爪が割れやすくなる、反り返る(スプーンネイル)
【参考情報】『スプーンネイルの原因』日本皮膚科学会
https://qa.dermatol.or.jp/qa38/q01.html
・髪のパサつきや抜け毛
・氷を無性に食べたくなる(氷食症)
【参考情報】『氷をバリバリかじる人は病気?』羊土社
https://www.yodosha.co.jp/rnote/trivia/trivia_9784758115902.html
貧血の主な原因としては、以下が考えられます。
・月経による慢性的な出血
・妊娠・授乳による鉄需要の増加
・食事からの鉄摂取不足
・消化管からの出血(胃・腸の病気など)
また、貧血による息苦しさは、呼吸器や心臓の病気とは異なり、咳や痰がないのに息切れする、あるいは全身のだるさが強いといった特徴があります。
このような症状が続く場合は、血液検査でヘモグロビン値や鉄の状態を確認することが重要です。適切な治療(鉄剤の内服など)を行うことで、多くの場合は改善が期待できます。
1-4.精神的な原因
不安や緊張、強いストレスがかかったときには、自律神経のバランスが乱れ、呼吸が浅く速くなることで息苦しさを感じることがあります。
代表的なのが過換気症候群です。呼吸が速くなりすぎることで体内の二酸化炭素が過剰に排出され血液のバランスが崩れ、以下のような症状が現れます。
・息苦しさ
・めまい
・手足や口のしびれ
・動悸
また、パニック障害では、突然理由もなく強い不安や恐怖に襲われる「パニック発作」が起こり、その際に以下のような症状が急に現れます。
・激しい動悸
・息が吸えないような感覚
・胸の圧迫感
・発汗、震え
【参考情報】『パニック障害・不安障害』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_panic.html
精神的な原因による息苦しさには、次のような特徴があります。
・検査をしても明らかな異常が見つからない
・ストレスや緊張の場面で起こりやすい
・深呼吸や環境の変化で改善することがある
・症状の出方に波がある
一方で、呼吸器や心臓の病気と症状が似ていることも多いため、自己判断で「ストレスのせい」と決めつけるのは危険です。
特に初めて強い息苦しさを感じた場合や、症状が長引く場合は、まず身体的な疾患がないかを確認することが重要です。
そのうえで、精神的な要因が関与していると考えられる場合には、ストレスの調整や生活リズムの見直し、必要に応じて専門医による治療(認知行動療法や薬物療法など)を検討します。
2.呼吸器内科で扱う「息苦しさ」を感じる病気と症状
以下のような人は、呼吸器の病気が原因で息苦しさを感じている可能性があります。
2-1.咳や痰が続いて息苦しい
咳や痰が長引いて息苦しさを感じる場合、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の可能性があります。
喘息では、冷たい空気やホコリ、煙、花粉などの刺激をきっかけに、咳や息苦しさが発作的に起こりやすくなります。
健康な人でも同様の刺激で咳が出ることはありますが、多くは一時的です。一方で、喘息では咳が長引いたり、繰り返し起こったりするのが特徴です。
COPDでは、慢性的に咳や痰が続き、徐々に息切れが進行していきます。
主な原因は長年の喫煙であるため、喫煙歴がありこれらの症状がみられる場合は、早めに呼吸器内科への相談が勧められます。
◆「タバコで咳が出る理由と、咳が長引くときに疑われる3つの病気」>>
2-2.息苦しく、微熱が続いている
息苦しさと微熱が続く場合、肺結核や肺炎の可能性があります。
肺結核では、咳や痰、微熱など風邪に似た症状が続き、長引くのが特徴です。寝汗や体重減少を伴うこともあります。
肺炎では、咳・痰・発熱に加えて、呼吸困難や胸の痛みがみられることがあります。
こうした症状が2週間以上続いて改善しない場合は、早めに呼吸器内科で検査を受けることが重要です。
特に高齢者では肺炎でも高熱が出ないことがあり、「元気がない」「食欲が落ちた」「息苦しそう」といった変化だけが現れることもあります。軽い風邪と自己判断せず、注意が必要です。
2-3.息苦しく、血が混じった痰が出る
息苦しさに加えて血痰が出る場合、肺結核や肺がんなどの可能性があります。
肺結核では、咳や痰、血痰、微熱、全身のだるさなどの症状がみられます。風邪と似た症状から始まることも多く、自覚症状だけで見分けるのは難しいため注意が必要です。
肺がんは初期には自覚症状が乏しいこともありますが、進行すると咳や血痰、息苦しさなどが現れることがあります。
咳や息苦しさが2週間以上続き、血痰がみられる場合は、重大な病気が隠れている可能性もあるため、早めに呼吸器内科で検査を受けることが重要です。
なお、血痰は気管支炎など比較的軽い病気でもみられることがありますが、繰り返す場合や量が多い場合は特に注意が必要です。
◆「血痰が気になりますか?呼吸器内科で原因を調べましょう」>>
肺がんは喫煙との関連が強いがんですが、喫煙歴がない人でも発症することがあります。また、受動喫煙もリスクの一因とされているため注意が必要です。
◆「40歳以上と喫煙者は知っておきたい!肺がんの症状・検査・治療の基礎知識」>>
2-4.夜中に息苦しくなって目が覚める
夜中に息苦しさで目が覚める場合、喘息や睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
喘息では、発作が夜間から早朝にかけて起こりやすく、日中は症状がなくても睡眠中に息苦しさで目が覚めることがあります。
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に無意識のうちに呼吸が止まる病気です。呼吸が止まったあとに再開する際に目が覚めることもありますが、自覚がないまま繰り返されることも少なくありません。
その結果、慢性的な睡眠不足となり、日中の強い眠気や疲労感、注意力の低下が現れます。交通事故のリスクが高まることも知られています。
「いびきが激しい」「呼吸が止まっていると指摘された」「昼間に強い眠気がある」といった症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
◆「呼吸器内科で睡眠時無呼吸症候群の検査と治療ができます」>>
3.呼吸器内科で行う検査
息苦しさを主な症状として受診した場合、呼吸器内科では原因を特定するために、いくつかの検査を組み合わせて評価します。
3-1.画像検査
胸部レントゲン検査は、呼吸器疾患の診断において最も基本的な検査です。肺炎や肺結核、肺がんなどの異常を確認するほか、心臓の大きさや形から心不全などの心疾患の有無を調べることもあります。
ただし、レントゲン検査では小さな病変や骨の陰に隠れた部分は見えにくいことがあります。そのような場合は、胸部CT検査でより詳しく調べます。
3-2.血液検査
喘息の疑いがあるときは、アレルギーの有無や原因物質(アレルゲン)を特定するために血液検査を行います。血液中の免疫グロブリンE(IgE)や好酸球の数値を調べることで、アレルギー反応の程度や引き金となっている物質を確認することができます。
また、肺炎が疑われる場合には、白血球数やCRP(炎症反応)などの数値から炎症の有無や程度を判断します。貧血の診断では赤血球数やヘモグロビン値を確認します。
3-3.呼吸機能検査
喘息やCOPDが疑われる場合、肺や気道の状態を詳しく調べるためにいくつかの呼吸機能検査を行います。
<呼気一酸化窒素濃度測定(FeNO)>
息を吐いたときの空気に含まれる一酸化窒素の濃度を測定する検査です。気道にアレルギー性の炎症が起きていると一酸化窒素の濃度が高くなるため、喘息の診断や治療効果の確認に役立ちます。
<スパイロメトリー>
肺の容量や空気の流れやすさを測定する検査です。肺活量や1秒間に吐き出せる空気の量(1秒量)などを計測します。気道が狭くなっているCOPDや喘息では、この数値が低下する傾向があります。
<モストグラフ>
呼吸のしやすさや気道の状態を調べる検査です。喘息やCOPDなどの診断・評価に用いられます。
4.おわりに
「息苦しい」「呼吸がしにくい」「息が切れる」という症状が続いているなら、まずは呼吸器の病気を疑います。
心臓の病気や精神的な原因でも息苦しさを感じることがありますが、その場合は適した診療科を紹介するので、何科を受診すればいいのかわからない時は、呼吸器内科で相談してください。









