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貧血対策は鉄分だけじゃダメなんです

執筆者: すずきともこ(管理栄養士)
最終更新日 2022年09月17日

貧血気味だと感じている、または貧血を予防するために、鉄分の摂取を意識している方は多いと思います。

鉄分が多い食品といえば「レバー」というイメージですね。ほかにはひじきも鉄分のイメージが強い食品です。

確かにレバーやひじきは鉄分を多く含む食品です。しかし「安全に」「しっかり」鉄分を吸収するためには、注意とコツが必要です。

1.鉄分は2種類ある


食品に含まれる鉄分は、2種類あることをご存知でしょうか?

鉄分には、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。ヘム鉄はレバー、赤身の肉、赤身の魚などの動物性食品に多く含まれ、体内への吸収率が高い鉄分です。

【参考情報】『Iron』Harvard T.H. Chan School of Public Health
https://www.hsph.harvard.edu/nutritionsource/iron/

一方、豆、野菜、海藻、卵、乳製品に多く含まれる非ヘム鉄は、吸収率が低く、他の栄養素と組み合わせて吸収率を高めます。

何の工夫もなしに、「貧血予防にひじきを沢山食べよう」というのは、少し効率が悪いかもしれませんね。

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2.妊婦さんはレバーを選ばないで!


鉄分=レバーのイメージは強く、「レバーを摂ればいいんだ!」と思った方も多いかもしれません。

しかし、レバーはビタミンAを多く含むので、妊婦さんは控えた方が良い食材です。

内閣府・食品安全委員会のファクトシート「ビタミンAの過剰摂取による影響」には、「妊娠中又は妊娠を希望する女性は、ビタミン A を含むサプリメントを摂らないこと。また、レバー及びレバー製品を摂らないこと」と明記されています。

ヘム鉄の摂取は、赤身の肉や魚からにしましょう。混同されがちですが、色の濃い野菜に含まれるベータカロテン(プロビタミンA)は食べても問題はありません。

【参考情報】『ビタミンAの過剰摂取による影響』食品安全委員会
https://www.fsc.go.jp/topics/factsheet-vitamin-a.pdf

3.貧血には良質なたんぱく質も大切です

たんぱく質は、血液中の赤血球やヘモグロビンの材料となる大切な栄養素なので、毎食主菜にいろいろな種類を取り入れて食べるようにしましょう。

吸収率の低い非ヘム鉄は、肉や魚などの良質なたんぱく質と一緒に食べることによって体内への吸収率がアップします。

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4.ビタミンも無関係ではありません

ビタミンC、ビタミンB12、葉酸などは造血や鉄の吸収に欠かせない栄養素です。これらが不足すると血球が正しく造られず、悪性貧血を引き起こしてしまう可能性があります。

ビタミンCは新鮮な野菜や果物、イモ類に多く含まれています。たんぱく質と同様に、一緒に食べることによって非ヘム鉄の吸収率を高めることができます。

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5.飲み物にも気を付ければ完璧です


緑茶、コーヒー、紅茶に含まれるタンニンは、鉄の吸収を妨げます。食事中や食後は渋いお茶やコーヒーを飲むのは控え、タンニンを含まないほうじ茶、麦茶などを飲むようにしましょう。

6.おわりに

鉄分をうまく吸収するために、他の栄養素を意識したおかずを覚えておくと便利です。

牛肉と豆腐を使った料理と海藻にレモン汁を絞ったサラダなど、上手に組み合わせて貧血予防をしましょう。

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