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健康診断で「貧血」と言われたら?

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2021年11月23日
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健康診断などで貧血と言われたことはありませんか?
貧血の指標の一つに血色素量があり、女性の10人に1~2人は正常値を下回っています。
女性は月経や妊娠により貧血になりやすいので注意が必要です。

【参考情報】『国民健康・栄養調査』平成30年
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08789.html

1.貧血の症状

貧血とは、血液中の赤血球やヘモグロビンが減少している状態のことです。
赤血球に含まれるヘモグロビンは、肺に取り込まれた酸素を全身に運ぶはたらきがあります。

頭痛

貧血になると、全身に酸素が行き渡らなくなるため、頭痛やめまい、動悸、息切れ、耳鳴り、頻脈などの症状が起こります。
氷を食べたくなる異食症や、爪の中央がくぼむスプーン爪がみられる場合もあります。

また、貧血により酸素が不足すると、皮膚や粘膜の再生にも影響がでてしまいます。
したがって、喘息やアトピーなどのアレルギー疾患が悪化する原因になります。

【参考資料】『臨床栄養管理』建帛社 渡邉早苗ほか
https://www.kenpakusha.co.jp/np/isbn/9784767906508/

◆「鉄のおもな特徴とアレルギー疾患を改善するはたらき」>>

2.貧血の原因

赤血球

貧血はいくつかのタイプにわけることができ、原因や治療法が異なります。

2−1.鉄不足による貧血

鉄が不足するとヘモグロビンを十分につくれなくなり、鉄欠乏性貧血になってしまいます。
鉄欠乏貧血は、鉄の摂取不足や吸収障害、鉄の消費量増大、鉄の排泄増加などにより起こります。
特に、女性は月経により鉄が排泄されやすく、不足しやすいです。
その上、ダイエットなどで食事制限をすると鉄不足になりやすいので注意が必要です。

また、少量でも出血が続くと、貧血になってしまいます。
消化器や子宮などの病気が原因で出血していることがあるので、検査により原因を探し、病気が見つかった場合には治療することが大切です。

2−2.ビタミンBや葉酸不足による貧血

ビタミンB12や葉酸が不足すると、異常な赤血球がつくられてしまう巨赤芽球性貧血になってしまいます。
ビタミンB12は、肉や魚に多く含まれています。
通常の食生活では不足することはありませんが、菜食主義など偏った食事や、アルコールを毎日たくさん飲む習慣があるとビタミンB12不足になる可能性があります。

また、ビタミンB12を吸収するためには、胃から分泌される内因子というものが必要です。
胃を摘出したり、高齢で胃の機能が低下していたりすると、ビタミンB12を吸収できなくなってしまいます。

また、葉酸は、妊娠すると通常の10倍近く必要になるので、不足しないように注意が必要です。

【参考資料】『臨床栄養管理』建帛社 渡邉早苗ほか
https://www.kenpakusha.co.jp/np/isbn/9784767906508/

◆「ビタミンB群で、脳と体のエネルギー不足を解消」>>

3.貧血の検査

採血

貧血かどうかは、血液検査によって調べることができます。
赤血球やヘモグロビン、ヘマトクリット、フェリチンなどの項目によって判断されます。

そして、貧血であれば、その原因を探るために、消化器や子宮の病気が無いかを調べます。
消化器からの出血を疑う場合には、胃カメラや便潜血検査を行います。
子宮などの病気を疑う場合には、内診や超音波検査を行います。

4.貧血の治療法

4−1.鉄欠乏性貧血の治療

鉄欠乏性貧血の治療には、主に鉄剤の服用が行われます。
2週間程度鉄剤を服用すると、体内のヘモグロビン濃度が上昇し、2か月程度で正常になります。
その後、体内の鉄を貯蔵するために、貧血が改善しても鉄剤の服用は数か月程度続ける必要があります。

また、貧血の原因となる病気がある場合は、その病気を治療することが重要です。

4−2.巨赤芽球性貧血の治療

ビタミンB12あるいは葉酸の不足が原因の場合は、薬の服用により補充します。
胃に異常があるなど、ビタミンB12が吸収できないことが原因の場合は、ビタミンB12の筋肉注射により補充します。
同時に、原因となる病気の治療も必要です。

【参考資料】『人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 各論』南江堂 香川靖雄
https://www.nankodo.co.jp/g/g9784524260294/

5.貧血を予防する食事

レバー

肉や魚が不足した食事やアルコールの飲みすぎは、貧血につながります。
鉄不足が原因の場合は、食事で鉄を積極的にとることが大切です。

5−1.鉄を多く含む食品

鉄はレバーや牛肉、かつおなど赤身の肉や魚に多く含まれています。
また、卵やあさりなど貝類にも含まれています。
たんぱく質は鉄の吸収を良くするはたらきがあるので、動物性食品をしっかり食べることが大切です。
 
植物性食品では、大豆やほうれん草などに鉄が多く含まれています。

鉄を多く含む食品【参考資料】『臨床栄養ディクショナリー』メディカ出版 伊藤孝仁(監修)
https://store.medica.co.jp/item/302242955

鉄が多い食品として、ひじきを思い浮かべるかたも多いかもしれません。
しかし、現在流通しているひじきの多くは、鉄が少ない可能性が高いです。
ひじきそのものに鉄が多いわけではなく、鉄とくっつきやすい性質を持っています。

昔ながらの鉄釜で乾燥させたひじきには、鉄釜から移行した鉄が多く含まれていますが、現在流通しているひじきはほとんどがステンレス釜でつくられたものなので、鉄はあまり含まれていない可能性が高いです。

5−2.ヘム鉄と非ヘム鉄

ヘム鉄と非ヘム鉄

鉄は、主に動物性食品に含まれるヘム鉄と、主に植物性食品に含まれる非ヘム鉄があります。
鉄の吸収率は、ヘム鉄は約30%、非ヘム鉄は1~5%なので、野菜など植物性食品だけでなく、レバーや牛肉など動物性食品をしっかり食べることが大切です。

【参考資料】『Iron | The Nutrition Source』Harvard T.H. Chan School of Public Health
https://www.hsph.harvard.edu/nutritionsource/iron/

5−3.鉄の吸収を良くする食事

野菜や果物などに多く含まれるビタミンCや、肉や魚など動物性たんぱく質を一緒に食べることで、鉄の吸収を良くします。
また、酢や梅干し、香辛料などを用いることで胃酸分泌が高まり、鉄の吸収が良くなります。

6.まとめ

貧血の原因として大きな病気が隠れていることもあるので、まずは検査を受けて原因を探ることが重要です。
鉄不足が原因の場合には、鉄を多く含む赤身の肉や魚などを積極的に食べ、吸収を助けるたんぱく質やビタミンCも積極的に摂りましょう。
 
貧血や頭痛、めまいなど気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。

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