ブログカテゴリ
外来

喘息治療のカギとなる「気道の炎症」を抑えるには?

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2022年06月07日

喘息とは、気管支が慢性の炎症を起こして気道が狭くなり、呼吸がしにくくなる病気です。

治療の基本は、気道の炎症をコントロールする薬を毎日服用して、重症化や難治化を防ぐことです。

この記事では、喘息治療で知っておきたい「炎症」について解説します。病気を知り、治療の意味を理解して、炎症を上手にコントロールするために役立ててください。

1.喘息とは気道の慢性炎症である

喘息患者さんの気道では、発作が起こらなくても、症状が出なくなっても、ずっと炎症が続いています。

この慢性の炎症を抑えるために、気道の炎症をコントロールする薬を毎日服用します。

症状が出なくなったからといって、自己判断で薬をやめたり、決められた回数や量を守らなかったりすると、炎症が悪化して気道が狭くなり、刺激に敏感になっていきます。

すると、ちょっとしたきっかけで激しい咳が出たり、息苦しくなってしまうようになり、重症化する恐れがあります。こうなると、炎症のコントロールがますます難しくなってしまうのです。

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

2.炎症とは

炎症とは、細菌やウイルスなど有害な異物が体に侵入した際の防御反応です。

例えば、「肺炎」は肺に侵入した細菌やウイルスと戦って肺が炎症を起こした状態、「中耳炎」は、耳の中の中耳という部分が、細菌やウイルスと戦って炎症を起こした状態を指します。

◆「肺炎の症状・検査・治療の基本情報」>>

細菌やウイルスが体に侵入すると、体を守るために白血球がそれらと戦います。すると、反応した場所に以下の変化が現れます。

・赤くなる
・腫れる
・熱を持つ
・痛くなる

炎症には、短期間で終わる「急性炎症」と、長引く「慢性炎症」があり、喘息は「慢性炎症」にあたります。

3.慢性炎症とは

炎症とは、本来は一過性のものですが、長期間にわたって続き、慢性化することがあります。

急性炎症は、痛みや腫れなどわかりやすい反応がありますが、慢性炎症は、最初のうちは反応がわかりにくく、自覚症状がないまま進行してしまう恐れがあります。

慢性炎症がある病気には、喘息のほかに、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、歯周病などがあります。

◆「指の関節がこわばる人はリウマチの疑いがあります」>>

また、がんや糖尿病、アルツハイマー型認知症などの病気や、肥満や老化のメカニズムにも、慢性炎症が関わっていることがわかってきています。

【参考情報】『老化した細胞が炎症を引き起こすしくみを解明―非翻訳RNAが炎症関連遺伝子のスイッチをオンにする―』日本医療研究開発機構
https://www.amed.go.jp/news/release_20210824.html

4.気道の炎症の程度を調べる~呼気一酸化窒素ガス分析

喘息の疑いがあるときに、気道の炎症がどのくらいのレベルなのかを調べるには、呼気一酸化窒素ガス分析(呼気NO検査、FeNO)を行います。

気道に炎症があると、その刺激により、吐いた息の中に一酸化窒素(NO)が大量に生じます。呼気一酸化窒素ガス分析では、専用の機器に息を吹き込み、吐いた息に含まれる一酸化窒素の数値を調べることで炎症の程度を評価します。

日本呼吸器学会では、数値が22ppb以上なら喘息の可能性があり、37ppb以上なら喘息の可能性が高いとしています。炎症の程度が強いほど、数値が高くなります。

【参考情報】『Increased Carbon Monoxide in Exhaled Air of Asthmatic Patients』American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine
https://www.atsjournals.org/doi/10.1164/ajrccm.156.4.96-08056

喘息の治療効果を判定するときにも、呼気一酸化窒素ガス分析を行うことがあります。

5.気道の炎症を抑える~長期管理薬

喘息の治療には、気道の炎症をコントロールして発作を予防する長期管理薬(コントローラー)と、発作が起きた時に治療する薬(リリーバー)が使われます。

長期管理薬には、吸入ステロイド薬や吸入気管支拡張薬、さらに、この2つを配合した薬があります。

長期管理薬を服用すると、荒れた気道の粘膜が修復され、狭くなった気道が広がり、炎症が抑えられます。

長期管理薬は、長く続けて使うことで効果を発揮する薬です。症状がなくなっても、医師の指示通りに毎日服用し、気道の炎症をコントロールしてください。

◆「喘息やCOPD治療に使う「吸入薬」とは?」>>

6.おわりに

喘息との付き合いは、いかに気道の炎症をコントロールできるかがカギとなります。

長期管理薬を毎日服用し、気道の炎症を上手にコントロールできれば、発作が起きず、元気に日々を過ごすことができます。しかし、服薬を中断したり、生活習慣が乱れることで気道の粘膜が荒れれば、いったんよくなった症状が再び現れることがあります。

さらに、炎症を放置して発作を繰り返していると、だんだん症状が悪化して、気道の炎症をコントロールするのが難しくなります。そうなると、今までより強い発作が現れたり、最悪の場合、呼吸困難で死に至ることもあります。

治療を中断した人は、ぜひ毎日の服薬と定期的な通院を再開し、重症化を防いでください。

◆横浜市で呼吸器内科をお探しなら>>

電話番号のご案内
電話番号のご案内
横浜市南区六ツ川1-81 FHCビル2階