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春夏秋冬…季節の変化に注意して喘息発作を予防!

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年02月27日

喘息の発作は、季節の変わり目や急に気温が下がる日に起こりやすいといわれています。その理由と対処法を紹介します。

1.なぜ秋に喘息発作が起こりやすいのか

1.なぜ、秋に喘息発作が起こりやすいのか

秋になると、当院にも喘息の患者さんが駆け込んでくることが増えます。

特に、しばらく来ていなかった方は、急に調子が悪くなることがあるようです。

その理由は3つ考えられます。

1-1.急に気温が下がる

夏から秋になる頃は、大きな寒暖差があります。この寒暖差が気道には刺激となるため、喘息の発作が起こりやすくなるのです。

喘息の人は気道が炎症を起こして敏感になっているため、冷たい空気を吸い込むと気道がすぐに収縮して、発作を起こすことがあります。空気の乾燥も気道を刺激するので注意が必要です。

同じように、温かい部屋からいきなり寒い外に出たり、エアコンの冷たい空気を急に吸い込んだりした時にも、発作が起きることがあります。

◆「エアコンの上手な使い方は?」>>

1日のうち気温が一番下がる夜中から朝方にかけても、発作が起こりやすくなります。

まだまだ暑いと思っていても、夏の終わりから秋の始めの時期は、睡眠中の体は意外と冷えていることが多いものです。

寒さを体感していなくても、夏用のパジャマや寝具は早めに温かいものに切り替え、体を冷やさないようにしましょう。

1-2.ダニの死骸やフンがたくさん残っている

ダニは、温度と湿度が高い夏に大繁殖するので、秋頃にはダニの死骸やフンが部屋の至る所に溜まっています。

それらがホコリと一緒に舞い上がったものを吸い込んでしまうと、発作が起こりやすくなります。

残念ながら、ダニを家の中から完全になくすことはできません。

しかし、「床」と「寝具」を重点的にお手入れすれば大きく数を減らすことはできるので、できるだけこまめに掃除をしましょう。

◆「適切なソファの選び方とお手入れ方法」について詳しく>>

1-3.風邪をひきやすくなる


秋になって温度や湿度が下がると、風邪やインフルエンザのウイルスは動きが活発になります。

これらの呼吸器感染症にかかると、それをきっかけに喘息症状が悪化することが多いのです。

【参考情報】『Asthma: Limit asthma attacks caused by colds or flu』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/asthma-attack/in-depth/asthma/art-20043943

肌寒くなってきたら、マスクを着用してのどの乾燥を防ぎ、手洗いも忘れずにして、感染を防ぎましょう。

◆「インフルエンザと風邪の違い」について詳しく>>

◆「自分に合うマスク」について>>

1−4.秋花粉

花粉は秋も出やすい季節で、花粉症を起こすブタクサやヨモギの花粉は、春によく現れるスギ花粉よりも花粉のサイズが小さいです。小さいサイズの花粉が気管まで入り、咳や喘息などの気管支の症状を起こしやすい特徴があります。
お住いの地域で秋花粉が飛んでいる時期に喘息発作が出るなどの症状が気になる方は、花粉症の検査もしてみることをおすすめします。

2.どんな時に急に気温が下がるのか

2.どんな時に急に気温が下がるのか

喘息の発作は、季節の変わり目や気候の不安定な時期に起こりやすいことがわかっています。

例えば、梅雨や秋雨の時期、移動性高気圧や台風が近づいた時、寒冷前線が通過する時に症状が悪化しやすくなります。

気温が前日より5℃以上変化する場合も注意が必要です。

◆「喘息と天気や気候の関係」>>

2-1.寒冷前線が通過した後

冷たい空気のかたまりと温かい空気のかたまりがぶつかった時、冷たい空気の勢いが強ければ、寒冷前線ができて気温が急に下がります。

寒冷前線が通過すると、黒い雲が現れて空が暗くなり、強いにわか雨が降ったり、雷が起きたりすることがあります。

このような天気のサインに気がついたら、上着をはおったりマスクを着用するなどの対策をして、なるべく体を冷やさないようにしましょう。

2-2.夜空に雲がない日の翌朝

夜になると、昼間のうちに温められた空気が、地面から空に向かって逃げていきます。この現象を「放射冷却」といいます。

【参考情報】『放射冷却(ほうしゃれいきゃく)って何?』はれるんランド|気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/kids/kids/faq/b1_02.html

放射冷却が起こっても、夜空に雲があれば、逃げた空気が雲にぶつかってまた地面へ帰っていくのですが、雲がないと温かい空気がどんどん逃げていってしまうため、朝方が冷え込みます。

夜空に雲がなく晴れていて、月や星がよく見える日は、寝室に暖房のタイマーをセットするなどの工夫をして、朝方に体が冷えないようにしましょう。

2-3.フェーン現象が起きた時

湿った空気が山を越えると、乾いた熱い空気団となって山の反対側に吹き込みます。この現象を「フェーン現象」といい、春や夏に日本海側で多く発生します。

【参考情報】『フェーン現象』気象庁
https://www.data.jma.go.jp/cpd/j_climate/hokuriku/column01.html

フェーン現象が起きると、気温が急激に上がるほか、空気が乾燥します。鼻やのどの粘膜も乾燥しやすくなるので、加湿器やマスクで保湿を心がけましょう。

3.梅雨のジメジメと冬の乾燥をコントロール

3.梅雨のジメジメと冬の乾燥をコントロール

湿度は1年を通して、40~60%くらいが最適です。

湿度が40%未満になると、気道の粘膜が荒れ、喘息の発作が起こりやすくなりますし、湿度が60%を超えると、ダニやカビが繁殖しやすくなるので、これらをアレルゲンとした発作が起こりやすくなります。

湿度が高くなる梅雨の季節は、除湿機を活用するなどして対策を行うとともに、布団乾燥機や布団クリーナーを利用して、寝具のダニ退治もこまめに行うようにしましょう。

空気が乾燥する冬は、加湿器を利用したり、濡れたタオルを室内に干したりなどの対策をして、快適な湿度を保ちましょう。

◆「加湿器を選ぶポイントと注意点」>>

ちょっとした加湿器であれば、水を入れたコップにペーパーナプキンを差し込んで、簡単に作ることができますのでおためしください。

部屋を換気して空気の入れ替えをおこなうこともお忘れなく。

◆「咳が止まらない時こそ乾燥に注意!」>>

4.おわりに

4.おわりに

天気の変化を防ぐことはできませんが、変化が起こる時期や、天気の変わり目を知ることで、喘息発作を予防する対策をとることはできます。

天気予報を見ながら、室温や部屋の湿度を上手にコントロールして、発作のリスクを軽減しましょう。

◆横浜市で呼吸器内科をお探しなら>>

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