ブログカテゴリ
外来

咳が止まらない時こそ乾燥に注意!

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2023年05月06日
咳乾燥

冬場になると急激に空気が乾燥します。
特に呼吸器系の疾患を患っている方にとってはつらい季節でしょう。

冷たい空気や乾燥した空気は、気管支などへの刺激が強く、喘息発作の大きな要因となります。
それだけではなく、乾燥によって喉や気管支の潤いが少なくなることで、炎症が起こりやすくなり、咳や痰が出やすくなります。

さらに、冬場は細菌やウイルスなどが活動的になる季節でもあるため、抵抗力や免疫力が低下している人は、体調を崩しやすくなります。
 
このように、空気の乾燥というのは、呼吸器系への影響が非常に大きいため、止まらない咳や痰を自覚している方こそ、空気の加湿を心がける必要があります。
 
そこで今回は、空気の乾燥と咳の関係や、おすすめの加湿・保湿方法を紹介します。

1.乾燥と咳の関係

空気の乾燥が人体に与える影響は非常に大きいです。
エアコン寒い冬場は空気が乾燥しているだけではなく、エアコンやヒーターなどを使用することで室内の空気が著しく乾燥しますから、特に冬場に肌の乾燥や肌荒れ気になるという人は多いはずです。
空気の乾燥が影響するのは肌の水分だけではなく、唇や喉、気道の粘膜も乾燥し、乾きやすくなります。

ではなぜ気道が乾燥すると咳が出やすくなるのでしょうか?

◆「咳が止まらない時に心配な病気の症状・検査・治療」>>

2.喉や気道のはたらき

空気中にはほこりや細菌、ウイルスなどさまざまな異物が含まれています。
それらの異物が体内に侵入しないように、喉や気道は防御機能(バリアー機能)としての役割も担っています。

気道の防御機能が問題なく働いている場合は、多少の異物が付着しても咳や痰、くしゃみなどでそれらのウイルスを体外に追い出します。
ウイルスの能力にもよりますが、吸い込んだとしても、すぐに感染症を発症するというわけではありません。
喉のしくみ
しかし、喉や気道の粘膜が乾燥すると、粘膜の防御機能が低下してしまい、異物からのダメージを受けやすくなってしまうため、異物による炎症や感染症を起こしやすくなり、その結果痛みや腫れ(喉の痛みなど)が出現し、咳や痰が出やすくなります。

◆「止まらない咳、喉の痛み…ほんとうに風邪?」>>
 
このように、空気の乾燥が気道粘膜に与える影響は大きく、それによって感染症を起こしやすくなり、咳や痰などの症状も出やすくなっていまいます。
だからこそ、感染予防や咳の予防のためには、空気の乾燥対策を行うことは非常に重要なのです。

【参考情報】『くすりと健康の情報局』第一三共ヘルスケア
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/20_seki/index3.html

3.咳が出やすい人におすすめの乾燥対策

咳や痰などに悩んでいる方や呼吸器疾患(気管支喘息やCOPDなど)を患っているという人は、特に空気の乾燥に注意が必要です。

乾燥対策を行うにあたって重要なポイントは、

・喉の粘膜をケアすること
・空気の乾燥を防ぐこと

の2つです。
それぞれに関しておすすめの方法を紹介します。

3−1.喉の粘膜の潤いを保つ方法

うるおい喉の潤いを保つ方法として、

・水分やのど飴などで潤すこと
・こまめにうがいをすること
・マスクを着用すること
・室内の加湿をすること
・喉を休めること

などがあげられます。
水分をたっぷり補給するなど、喉そのものの潤いを保っておくことは重要です。

◆「咳が止まらなくて夜眠れない時の対処法と予防法」>>
 
外出先や仕事中など、水分補給がし辛い状況のときには、のど飴やトローチを使用するのも効果的です。
 
また、こまめにうがいをすることで、喉の粘膜を保湿するだけではなく、粘膜に付着した細菌やウイルスを取り除くことができるため、効率的に感染予防を行うことができます。特に冬場は頻回にうがいをするように心がけましょう。
うがい

マスクの着用は、吐いた息に含まれる水分が外に逃げず、マスクの内側の湿度が上がるので、喉の粘膜を潤すのに効果的です。

それだけではなく、マスクをすることで冷たい空気の直接的な刺激を和らげることができますので、冷たい外気に触れる際にもマスクをしておくことで、喉の粘膜を保護することができます。
 
ほこりやハウスダスト、花粉やウイルスなど、さまざまな異物の侵入を防ぐというマスク本来の効果も期待できますので、マスクで喉を保護するのは非常に賢い方法です。

◆「マスクの付け方と選び方」>>

加えて、カラオケなどの大きな声を出す機会にも注意が必要です。

カラオケは喉への負担が大きいため、無理をすると粘膜がダメージを受けやすくなります。喉を酷使した後は、ゆっくり休めることを心がけるのが良いでしょう。

◆「カラオケと咳」について>>

3−2.室内の加湿におすすめの方法

喉の粘膜を保湿するだけではなく、室内を加湿するのもおすすめです。
加湿器
加湿器を使用したり、洗濯物を部屋干しにしたり、洗面器に水をはったり、どのような方法でもいいので、室内を加湿するようにしましょう。

しかし、加湿器の水タンクには、バクテリアやカビが繁殖する可能性があります。それらをミストとして室内に放出しまうのは避けたいものです。

加湿器を使用する際には、タンクの掃除をこまめにするように心がけましょう。

◆「喘息の咳に加湿器は効果あり?」>>

4.おわりに

喉がイガイガする、咳や痰が続くなど、空気の乾燥する冬場は呼吸器系の病気が増加しやすくなります。
空気乾燥から体を守るためには、喉の保湿や室内の加湿がポイントです。
自分の生活スタイルに合った方法を選んで、毎日続けることが大切です。

また、冬場に限らず、なかなか止まらない咳や痰を自覚したときには、早めに呼吸器内科を受診してください。

◆「呼吸器内科を横浜市でお探しなら」>>

電話番号のご案内
電話番号のご案内
横浜市南区六ツ川1-81 FHCビル2階