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喘息と、天気や気候の関係を解説します!

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年02月17日

「天気や季節の変化で体調を崩してしまう」
「毎年花粉のシーズンに体調を崩してしまう」

という悩みを抱えている方はたくさんいます。
特に喘息患者さんは、天気や天候の影響を大きく受けてしまうことがわかっています。
 
そこで今回は、喘息と天気の影響について解説します。

1.喘息に影響を与える原因


喘息患者さんは、空気の通り道である気道が炎症により敏感になっています。
そのため、健康な人であれば問題とならないわずかな刺激であっても、喘息発作が起こってしまい、激しい咳や痰、場合によっては胸の痛みや呼吸困難などが出現する可能性があります。

例えば、ダニやホコリ、ペットの毛、花粉、カビなど、一般的な生活環境中に当たり前のように存在しているものから、タバコの煙、解熱剤や鎮痛剤などの薬、風邪・感染症、過労・ストレス、運動、排気ガスや光化学スモッグ(大気汚染)など、生活習慣に関連するさまざまな要因が、発作を引き起こす原因となります。

そして、喘息を引き起こす注意すべき要因のひとつとして、天気(天候)も存在します。

【参考情報】『喘息の原因/くすりと健康の情報局』第一三共ヘルスケア
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/33_zensoku/

◆「ストレスが喘息に及ぼす影響とは?」>>

◆「喘息の症状」について>>

2.天気と体調不良の関係


季節の変わり目にめまいがする、気圧が低くなると頭痛がするなど、気象の変化によって体調が悪くなることが広く知られています。

【参考情報】『Weather Triggers Asthma』(Asthma&Allergy Foundation of America)
https://www.aafa.org/weather-triggers-asthma/

例えば、日々の寒暖差や、低気圧と高気圧が頻繁に入れ替わる気圧変動が大きい季節であれば、寒暖差に対応するため自律神経の一つである交感神経が優位な状態が続きやすくなります。
その結果、自分では自覚しないうちにエネルギーの消費量が増え、疲れやだるさを感じやすくなったりします。
 
また、気圧が下がったり上がったりすると、耳の奥にある内耳とよばれる器官が敏感に反応します。
内耳が感じ取った気圧低下などの情報は脳に伝達され、私達の体や健康をコントロールしている自律神経がストレス反応を引き起こしてしまいます。
 
その結果、喘息の悪化や喘息発作の誘発などの症状や、抑うつ、めまいの悪化、心拍数の増加、血圧の上昇、頭痛、などが起こりやすくなるのです。

【参考情報】『季節の変わり目は体調の変化に注意!』サワイ健康推進課
https://kenko.sawai.co.jp/healthcare/201804-02.html

3.喘息患者さんが気をつけるべき季節


天気だけではなく、季節による喘息の病態の変化を、専門的には季節的変動と呼びます。
傾向的には、5月から7月と、10月から11月に、発作の回数・程度ともに多くなりやすいと言われており、注意すべき季節として春や秋などのシーズンが挙げられます。
春や秋といった季節の変わり目は、朝晩の寒暖差が大きい時期です。気温の変化によって喘息発作を起こすことがある為、注意が必要な季節です。

◆「季節の変化に注意して喘息発作を予防!」>>

喘息患者さんが特に気をつけるべき要因のひとつに「冷たい空気」があります。
冷たい空気を急に吸い込むことにより、気道が過敏に反応し喘息発作を起こす可能性があります。
そのため、寒い冬の明け方に急に喘息が悪くなったり、家から外出して外の空気を吸った途端に息苦しくなったり、スーパーマーケットの冷凍食品売り場の近くで子どもが発作を起こすこともあり、「冷たい空気」が喘息患者さんにとっての刺激となる可能性があります。
 
特に冬場は注意が必要であり、暖房の効いた部屋から外に出る際には、ゆっくりと呼吸を開始する、マスクやハンカチなどで口元を覆って、できるだけ暖かい空気を吸入するようにするなどの工夫が重要になります。

◆「喘息発作やウイルス感染を予防する、マスクの付け方と選び方」>>

さらに、たとえ夏場であってもクーラーの効いた部屋やクーラーの冷風が直接当たる場所には注意が必要です。
商業施設や会社、一部の学校などに導入されている大型のクーラーは、家庭用のものよりも強力な冷気を放出することが可能であるため、クーラーの風を吸い込んだ途端に呼吸が乱れてしまうという可能性があります。
その為、暑い屋外から冷房の効いた部屋に入るときは、冷気と暖気が混じったところで体を少し休めてから中に入るようにすると、身体への負担が軽いでしょう。電車の場合は、冷房が強くない弱冷房車に乗るのをお勧めします。

◆「喘息で気を付けたいエアコンの上手な使い方とは?」>>

このように、どの季節であっても喘息を悪化させる要因は潜んでいるということを知っておく必要があります。

【参考情報】『喘息Q&A』環境保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/qa/sick.html

4.梅雨時のカビ・ダニの発生に注意


梅雨の時期には湿度が高まります。湿度の上昇はカビやダニの繁殖を助長し、これらのアレルギー誘発物質の増加をもたらします。喘息悪化の要因となるので、カビやダニが発生しないように対策しておくことが大切です。

カビはとくに湿度が70%以上の環境で繁殖しやすく、壁紙、カーテン、エアコンフィルター、風呂場など、湿度の高い場所に注意が必要です。また、ダニも湿度が高いと増殖しやすくなります。

梅雨時期には、室内の湿度を管理し、エアコンや除湿機を活用して湿度を適切に保つことが重要です。定期的な掃除や換気もダニやカビの発生を抑えるのに役立つでしょう。

◆「カビと掃除の注意点」について>>

5.花粉症の季節にも注意を!


喘息患者さんが特に注意すべき季節として忘れてはいけないのが、花粉症シーズンです。
花粉は喘息悪化の代表的な要因であり、花粉症シーズンが来る前にかかりつけ医と相談して、事前にできるかぎりの対策を行うことが大切です。
毎年花粉のシーズンになると体調を崩すという喘息患者さんが多くいらっしゃいます。
喘息のコントロールができるように準備しておくことが重要です。

◆「花粉症対策~外出時・自宅・生活でのポイント」>>

6.おわりに

喘息発作を未然に防止するためには、発作の引き金となる刺激や要因をできるだけ生活環境から遠ざけることが基本となります。
 
しかし、天気や天候は自分の力ではコントロールできない問題であり、これらの要因に対する対策がとても重要です。
 
まずは呼吸器専門のクリニックや診察科で患者さん自身が苦手とする要因を特定し、喘息をコントロールしながら快適な生活を続けていけるよう、ベストな方法を模索していきましょう。

◆横浜市で呼吸器内科をお探しなら>>

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