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喘息・アレルギーを悪化させない、カビと掃除の注意点

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2023年01月24日
カビの掃除

カビは、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状の引き金となります。また、すでにある症状を悪化させる原因にもなります。

アレルギーの症状を悪化させないためには、身の回りのカビをできるだけ排除することが大切です。

そこでこの記事では、身近なカビとその対策について紹介します。

1.家の中でよく見かける3つのカビ

カビの種類は少なく見積もっても3万種以上あると言われていますが、家の中でよく見かけるのは、黒カビ、赤カビ、青カビの3つです。
黒カビ赤カビ青カビ

黒カビはとても繁殖力が強く、家の中の至る所に生えます。浴室の壁や洗濯機の洗濯槽、エアコンの内部などでよく見かけます。

赤カビは植物を好むので、パンやごはんなどの食品に発生することがあります。ちなみに、お風呂場でよく見かけるピンク色の汚れは、カビではなく「ロドトルラ」という酵母菌の一種です。

青カビは、みかんなどの果物やお菓子に生えることがあります。ブルーチーズのカビも青カビですが、食べても無害な仕組みが働いています。

【参考文献】神奈川県衛生研究所 空気中のカビ
https://www.pref.kanagawa.jp/sys/eiken/005_databox/0504_jouhou/0601_eiken_news/files/eiken_news_175.pdf

2.カビが発生しやすい場所と条件

窓サッシ
カビが発生しやすいのは、湿気と汚れのある場所です。この条件にあてはまるのが、浴室と洗面所、キッチンです。

また、窓ガラスやサッシ、押し入れの奥、家具の裏など、結露ができやすい場所にもカビはよく発生します。

カビは気温25℃前後、湿度80%以上で繁殖しやすくなりますが、これより温度や湿度が低くても発生する種類もあります。

日本の気候は高温多湿なのでカビが繁殖しやすく、残念ながら家の中のカビをゼロにするのは難しいでしょう。しかし、カビの大好きな湿気と栄養を与えないことで、数を減らすことはできます。

【参考文献】神奈川県ホームページ 住まいの中のカビについて
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/e8z/cnt/f762/p22013.html

3.喘息の人がカビ取り掃除をする時の注意点

中性洗剤では落ちないカビは、漂白剤やカビ取り剤を使って掃除する方が多いでしょう。しかし喘息の患者さんは、薬剤のツンとしたにおいが刺激となって発作を起こすことがあります。

できれば健康なご家族や掃除代行業者にお願いできればよいのですが、自分でカビ取りをする場合は、マスク、ゴーグル、ゴム手袋を着用して換気扇を回し、浴室の窓やドアも開けて十分に換気を行ってください。

さらに、使用前に製品表示をよく読んで注意事項を守ってください。特に塩素系の製品と酸性タイプの製品を混ぜると有毒ガスが発生するので大変危険です。

【参考文献】公益財団法人 日本中毒情報センター カビ取り剤を使用中の事故
https://www.j-poison-ic.jp/general-public/accidents/mold-remover/

カビは熱に弱いので、お風呂に入った後、壁や床にシャワーで50℃以上のお湯をかけ、その後換気扇を回しておくとカビの発生を予防できます。また、アルコール除菌スプレーを吹きかけても、カビや雑菌の繁殖を抑えることができます。

4.カビによって引き起こされる病気

カビによって引き起こされる健康被害は、喘息だけではありません。

夏になると、咳や熱が出て風邪のような症状が現れる夏型過敏性肺炎は、トリコスポロンというカビを吸い込むことが原因となって発症します。

体の免疫力や抵抗力が弱っている人は、アスペルギルスというカビを吸い込むと、咳や痰、呼吸困難などを伴う肺アスペルギルス症を発症する恐れがあります。

【参考文献】『Aspergillosis』CDC
https://www.cdc.gov/fungal/diseases/aspergillosis/index.html

足の皮膚や爪などがボロボロになる水虫(白癬)も、白癬菌というカビによって引き起こされる病気です。健康な人なら命にかかわるようなことはありませんが、糖尿病の患者さんにとっては重症化や合併症を招くこともある恐ろしい病気です。

食べ物に生えたカビは有害な毒素を作ることがあり、これをカビ毒といいます。中には発ガン性が強いものもあるので、カビの生えた食べ物は絶対に食べないでください。

◆「喘息とアレルギーの関係は?」>>

5.カビ・ホコリ・ダニの密接な関係

エアコン掃除
ホコリの中には、カビやダニが潜んでいます。

ホコリは衣類や布団、布製品から出た繊維のくずのほか、髪の毛やペットの毛、皮膚のアカなどが寄せ集まってできています。これらはすべて、カビの栄養源となります。

ダニも、ホコリがたまる場所には必ずいます。ホコリの中に含まれる人やペットのフケやアカがエサとなるほか、カビをエサにするダニもいるため、ホコリが多ければ多いほどダニは繁殖しやすいのです。

カビの発生を予防するには、ホコリ対策を行うことも重要です。布団やカーペット、カーテンなど布製品のある場所や部屋の隅など、ホコリが溜まりやすい場所の掃除も十分に行いましょう。

また、部屋中のホコリがつきやすいエアコンのフィルターもこまめに掃除をしましょう。

◆「喘息で気を付けたいエアコンの上手な使い方とは?」>>

6.おわりに

喘息には、ダニやホコリ、カビなどのアレルゲンを吸い込むことで発作が起きるアトピー型喘息と、過労やストレスなどで発作が引きこされる非アトピー型喘息があります。

◆「喘息のタイプ~原因別・年齢別」>>

特にアトピー型喘息の人は、こまめに掃除をしてホコリやカビを取り除き、発作を予防しましょう。

非アトピー型喘息の人や健康な人にとっても、カビの防止や除去は快適な暮らしを守るためには欠かせません。

掃除のほか、除湿や換気も行い、できるだけカビが発生しにくい環境を整えましょう。

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

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