睡眠時無呼吸症候群の検査入院までの流れ・費用・自宅検査について

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある人は、検査のため入院することがあります。
しかし、入院となると費用や期間、仕事や家庭への影響など、気になる点もあるのではないでしょうか。
この記事では、睡眠時無呼吸症候群の検査で入院する流れや、検査後の詳細についてくわしく説明します。
これから検査を受ける人や、自分や家族が睡眠時無呼吸症候群かもしれないと疑っている人は、ぜひ読んでください。
目次
1.睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に無呼吸や低呼吸になることを、何度も繰り返してしまう病気です。
病気の原因は、肥満などの理由で気道が狭くなる「閉塞性」と、脳からの指令がうまく働かずに呼吸が止まる「中枢性」がありますが、患者のほとんどは閉塞性です。
代表的な症状は、毎晩のように出る大きないびきです。ただし、中枢性の場合、いびきはほとんどありません。
また、寝ている間に呼吸が妨げられるため熟睡できず、睡眠の質量が下がります。そのため睡眠不足になり、仕事のパフォーマンスが下がったり、居眠り運転の原因となることがあります。
バスやトラックの運転手など、運転業務に就いている人は、会社で検査を受けるように言われることもあるでしょう。
いびきや睡眠不足も問題ですが、この病気の本当の恐ろしさは、放っておくと睡眠中の血液中の酸素不足により合併症のリスクが高まることです。
例えば、睡眠不足により高血圧や糖尿病などの生活習慣病が悪化すると、脳卒中や心筋梗塞を起こし、最悪の場合、命を失うこともあります。
また、睡眠不足が続くと、うつ病などの精神疾患を合併しやすくなります。
合併症を予防するためにも、できるだけ早く病気のサインに気づき、検査を行う必要があります。
2.睡眠時無呼吸症候群の検査について
睡眠時無呼吸症候群の検査には、「簡易検査」と「精密検査」があります。
病院で病気の可能性があると判断されたら、まずは簡易検査を行います。
簡易検査は、「アプノモニター」という小型の医療機器を寝る前に自宅でセットし、睡眠中の呼吸状態や酸素飽和度の変化を測定します。
簡易検査は、自宅で自分ひとりで行えるため便利ですが、計測できるデータが限られており、診断ができない場合もあります。
その場合、次に精密検査を行います。
精密検査では、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を行います。この検査では、眠りの深さや呼吸の仕方、睡眠時無呼吸症候群以外の病気がないかなど、さまざまな視点から睡眠を分析することができます。
【参考情報】『Polysomnography (sleep study)』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/tests-procedures/polysomnography/about/pac-20394877
3.睡眠時無呼吸症候群の検査入院について
この章では、睡眠時無呼吸症候群の検査入院の流れを説明します。医療機関によって細かな違いはありますが、基本的には大差ありません。
3-1.入院までの流れ
①病院を受診
睡眠時無呼吸症候群の疑いがあっても、いきなり検査入院はできないので、まずは病院を受診しましょう。
経験豊富な専門医のいる医療機関を受診するのが望ましいですが、迷った場合は呼吸器内科、耳鼻咽喉科、睡眠外来を受診してください。
病院では問診を行い、睡眠時のいびきや日中の眠気の有無などを把握します。
眠っている間の自分の様子はわからないかもしれないので、夫や妻など、普段一緒に寝ている人に付き添ってもらうと、質問に答えやすいかもしれません。
②簡易検査
睡眠時無呼吸症候群が疑われた場合、まずは自宅で簡易検査を行います。
アプノモニターの使用方法は病院で説明があると思いますが、わかりにくいことがあれば、以下の記事を参考にしてください。
③精密検査
簡易検査の結果、さらにくわしい検査が必要だと判断されれば、入院して精密検査を行います。
◆「呼吸器内科で睡眠時無呼吸症候群の検査と治療ができます」>>
3-2.精密検査の流れ
精密検査の流れは、大まかには以下の手順で行われます。
①病院の受付で入院の手続きを行います。
②精密検査についての説明を受けます。
③眠る前に、頭や指などにセンサーを装着してもらいます。
④一晩眠っている間に、脳波、血液中の酸素量、心電図、筋電図、いびき音などが測定されます。
⑤翌朝起きると、検査が終わっています。
⑥退院
睡眠時無呼吸症候群の精密検査は、寝ている間に終わり、痛みもないので、負担の少ない検査です。
しかし、多くのセンサーを体に取り付けるため、寝にくいと感じる人もいるかもしれません。
その場合、必要に応じて睡眠薬を使用することもあります。 入院して検査を受けた後、退院後はそのまま仕事に行くことも可能です。
3-3.自宅検査という選択肢
精密検査は必ずしも入院が必要というわけではありません。
近年、医療技術の進歩により、精密検査(PSG検査)を自宅で行うことが可能になりました。
従来は病院に一泊して行うのが一般的でしたが、現在では患者さんの状況や医療機関の設備により、自宅での検査を選択できるケースが増えています。
<入院検査と自宅検査の違い>
入院検査
・実施場所:病院の検査室
・スケジュール:1泊2日の確保が必要
・測定項目:脳波・呼吸・心電図など多項目
・機器装着:技師が病院で装着
・費用:やや高め(入院費含む)
自宅検査(在宅PSG)
・実施場所:自宅の寝室
・スケジュール:仕事や家事の合間に可能
・測定項目:比較的少ない項目でも検査となる
・測定機器:医師指導のもと、自分で装着
・費用:入院費用がかからず、比較的抑えられる
以下のような方は、入院での精密検査が適している可能性があります。
<入院検査が適しているケース>
・重度の合併症がある方(詳細な検査が必要な可能性があるため)
一方、次のような方は自宅での検査が向いています。
<自宅検査が適しているケース>
・仕事や育児で入院の時間が取れない方
・普段と違う環境では眠れない方
・費用を抑えたい方
患者さんのライフスタイルや症状に合わせて、入院検査と自宅検査のどちらが適しているかを一緒に検討します。
「入院は難しい」と感じている方も、まずはご相談ください。
【参考情報】『在宅睡眠検査』日本睡眠総合検診協会
http://www.suiminken.or.jp/%E5%9C%A8%E5%AE%85%E7%9D%A1%E7%9C%A0%E6%A4%9C%E6%9F%BB/
4.睡眠時無呼吸症候群の入院費用について
睡眠時無呼吸症候群の検査入院の費用は、医療機関や検査内容によって異なりますが、1割負担で約10,000円、3割負担で約30,000円程度です。
検査代以外に、入院中の食事代などがあると、その分も請求されます。
4-1.検査入院の費用の詳細と内訳
検査入院の費用について、「実際にいくらかかるの?」と不安に感じる方は多いと思います。ここでは、費用の内訳を詳しく説明します。
睡眠時無呼吸症候群の精密検査は、健康保険が適用されます。主な費用項目は以下の通りです。
<精密検査(PSG検査)の費用内訳>
| 費用項目 | 内容 |
|---|---|
| 検査料 | 終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)の技術料 |
| 入院基本料 | 1泊2日分の入院費用 |
| 食事代 | 入院中の夕食・朝食代(1食あたり460円程度) |
| 個室料金(差額ベッド代) | 個室を希望する場合のみ(保険適用外) |
【参考情報】『入院時食事療養費』全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/senpo/case/001/001/index.html
ただし、健康保険の負担割合によって、実際支払う金額は変わります。 以下の表を参考にしてください。
<負担割合別の費用目安>
・1割負担:約10,000円
・2割負担:約20,000円
・3割負担:約30,000円
※医療機関によって費用は若干異なるため、事前に確認することをお勧めします。
<その他の費用について>
検査入院以外にも、以下の費用がかかる場合があります。
・初診料:初めて受診する際の診察料
・簡易検査費用:精密検査の前に行う簡易検査(3割負担で約3,000円)
・再診料:検査結果を聞きに行く際の診察料
4-2.簡易検査と精密検査の比較
「簡易検査だけでは診断できないのですか?」という質問もよくいただきます。 両者の違いを比較してみましょう。
| 項目 | 簡易検査 (自宅) | 精密検査 (PSG・入院) | 精密検査 (PSG・自宅) |
|---|---|---|---|
| 場所 | 自宅 | 病院(1泊2日) | 自宅 |
| 測定項目 | 呼吸・酸素飽和度 | 必要な全項目 | 脳波・心電図・呼吸・筋電図など |
| 診断精度 | おおよその検討をつける | 確定診断可能 | 確定診断可能 |
| 入院 | なし | あり | なし |
| 仕事への影響 | ほぼなし | あり | ほぼなし |
自宅での検査は費用が安く手軽ですが、測定できるデータが限られているため、精密な診断には入院検査が必要になります。
入院が難しい方は、遠慮なく担当医にご相談ください。
【参考情報】『Home set-up polysomnography in the assessment of suspected obstructive sleep apnea』NIH
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20561173/
5.検査後の治療について
精密検査の後、結果が出るまでには1週間ほどかかります。
検査の結果、睡眠時無呼吸症候群と判断されたら、すぐに治療を開始します。
睡眠時無呼吸症候群の主な治療法は、以下となります。
・CPAP
CPAPは、鼻から空気を送り込み、気道を広げて無呼吸を防ぐ医療機器です。睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療法です。
・ASV
ASVは、在宅でも使用できる人工呼吸器です。主に中枢性の患者が使用します。
・マウスピース
マウスピースは、口の中に装着することで下アゴの落ち込みを防ぎ、気道に空気が通るようにします。
睡眠時無呼吸症候群の原因が肥満である場合は、これらの治療に加えて、肥満の解消も必要となります。
◆「睡眠時無呼吸症候群と肥満の関係と減量の方法」について>>
6.おわりに
自分で睡眠の異常に気づくのは難しいかもしれませんが、いびきや昼間の眠気が多いようなら、睡眠時無呼吸症候群のサインと捉え、早めに検査を受けてください。
睡眠時無呼吸症候群の精密検査は、寝ている間に行われ、痛みもありません。
また、CPAPなどの治療も、医療機器を装着して眠るだけなので、体への負担は少ないです。
精密検査は、医療機関や検査施設に一泊して行うことが多いのですが、当院では入院せずに自宅で検査を受けることも可能です。
早くに診断され治療を受けることができれば、睡眠の質がグッと上がります。さらに、恐ろしい合併症も予防することができます。












