喘息治療に用いるステロイド薬「コートリル」の特徴と効果、副作用

コートリルは、「経口ステロイド薬」に分類される錠剤です。喘息の症状が思うようにコントロールできない時に、一時的に服用することがあります。
コートリルは、炎症やアレルギー(免疫)反応をしっかり抑えて喘息の症状を効果的にやわらげますが、全身の副作用も多いという側面があります。
この記事では、コートリルの特徴や使い方、副作用などについて解説します。使用上の注意点もよく確認しながら服用しましょう。
目次
1. コートリルとはどのような薬か
コートリルは、ヒドロコルチゾンというステロイド成分を配合した経口ステロイド薬です。
免疫を抑える薬として、喘息のほか、皮膚疾患や関節リウマチ、潰瘍性大腸炎などさまざまな疾患の治療に使われています。
1-1. コートリルの基本情報
コートリルは、副腎皮質ホルモン剤に分類される処方薬です。副腎皮質ホルモンとは、体の中で炎症や免疫反応、ストレスへの反応などに関わるホルモンのことです。
喘息では、気道に慢性的な炎症が起こり、少しの刺激でも咳、息苦しさ、ゼーゼー・ヒューヒューという症状が出やすくなります。コートリルは、この気道の炎症を全身から強く抑える薬です。
1-2. コートリル使用の対象となる方
コートリルは、すべての喘息患者さんに使う薬ではありません。喘息治療では、まず吸入ステロイド薬、気管支拡張薬、抗アレルギー薬などを組み合わせて、症状を安定させることが基本です。 喘息の症状がない時でも毎日治療を続け、気道の炎症を抑えて発作を予防する長期管理がとても重要です。 【参考情報】『成人ぜん息の基礎知識』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/case/first.html
喘息の治療に使われる吸入ステロイド薬は、気道に直接作用するように設計されているので、それ以外の部位にはほとんど影響がありません。そのため、副作用も少なくなります。
コートリルは、吸入ステロイド薬や気管支拡張薬など、他の喘息治療薬では症状をコントロールできない場合に、一時的に服用することがあります。
しかし、コートリルのような経口ステロイド薬は、飲み薬なので全身に作用します。そのため、体内の炎症やアレルギー反応を強く抑える一方、副作用も全身に現れることがあるので必要な時期に短く使い、長期にだらだら続けないことが大切です。
2.コートリルの使い方
コートリルの服用量や服用期間は、喘息の状態、年齢、体格、持病、併用している薬によって異なります。
ここでは、コートリルの基本的な服用方法と、喘息治療で使う場合の注意点を解説します。
2-1. 基本的な服用方法
コートリルは、基本的に大人のみ服用します。
1~12錠(ヒドロコルチゾンとして10〜120mg)を、1日に1〜4回にわけて、水かぬるま湯で服用します。
コートリルのような経口ステロイド薬は、長い期間にわたって飲み続けると、体重増加や胃潰瘍、感染症などの副作用が起こりやすくなります。
そのため、喘息の治療で用いるときは、なるべく短期間だけ服用するのが一般的です。
ここでは一般的な服用方法について解説しましたが、実際の服用量は患者さんごとに異なります。
喘息の悪化の程度、これまでの治療内容、副作用の出やすさなどを確認したうえで、詳細については医師に確認し、指示されたとおりに服用しましょう。
2-2. 服用量について
コートリルを飲み忘れて、あわてて2回分を一度にまとめて飲んでしまったり、自己判断で服用を中止しないようにしましょう。
一度に多く飲みすぎたり、一定期間続けて服用したあとに急にやめたりすると、体にさまざまな不調が出ることがあります。
医師の指示に従って少しずつ減量することもありますが、服用中に喘息症状が悪化したり、強いだるさや発熱などが出たりした場合は、早めに主治医へ相談しましょう。
3.コートリルの副作用
コートリルは喘息の治療に使用されることもありますが、ステロイド薬の一種であるため、効果が期待できる一方で副作用にも注意が必要です。
3-1. 主な副作用
コートリルの服用中には、以下のような副作用がみられることがあります。
・体重増加
・ニキビ
・頭痛
・発熱
・疲労感
・不眠
これらの症状は、服用開始後や用量の変更後に気づくこともあります。
軽い症状であっても、長く続く場合や日常生活に支障が出る場合は、我慢せず医師に相談することが大切です。
【参考情報】『Hydrocortisone Tablets』clevelandclinic
https://my.clevelandclinic.org/health/drugs/18861-hydrocortisone-tablets?utm
3-2. 注意が必要な副作用
また、他の薬と比べて重篤な副作用も多く、以下のような症状が現れることもあります。
・感染症
・白内障、緑内障
・胃潰瘍
・骨粗しょう症
・糖尿病
経口ステロイド薬は効果が強い反面、副作用も多い薬です。
服用中に体調が悪化したら早めに医師に相談してください。
また、長期間服用すると、重篤な副作用を起こすリスクが高まるため、病院で定期的に検査を受けて体調をチェックしていくことが大切です。
【参考情報】『Hydrocortisone』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a682206.html
4.使用上の注意点
コートリルにはさまざまな副作用があり、服用をおすすめしない場合や慎重な判断が必要になる場合があります。
喘息以外の持病がある人は、コートリルの服用が適さないこともあるので、治療中の疾患や服用中の薬があれば、必ず医師に伝えてください。
4-1. 医師へ伝えること
薬の組み合わせによっては、副作用が出やすくなったり、併用できなかったりすることがあります。
例えば、男性で夜間頻尿治療薬のミニリンメルト(成分名:デスモプレシン酢酸塩水和物)を服用中の方は、コートリルを服用してはいけません。
コートリルの服用量によっては、BCGワクチンや麻疹・風疹ワクチンなどの生ワクチンや弱毒化生ワクチンを接種できないことがあります。
【参考情報】『生ワクチン、不活化ワクチンとは』松戸市医師会
https://www.matsudo-med.or.jp/yobou/vaccine/
妊娠・授乳中の方は、基本的にはコートリルを服用しません。コートリルの成分は、胎児や母乳に移行するため、赤ちゃんに影響が出る恐れがあるからです。
すでに服用中の場合でも、自己判断で服用を続けたり中止したりしないようにしましょう。
【参考情報】『Pregnancy, breastfeeding and fertility while taking hydrocortisone tablets』National Health Service
https://www.nhs.uk/medicines/hydrocortisone-tablets/pregnancy-breastfeeding-and-fertility-while-taking-hydrocortisone-tablets/?utm
4-2.感染症対策と喘息発作時の対応
コートリルを長期間服用する場合には、感染症にかからないよう、手洗いやマスク着用などの基本的な対策を忘れずに行いましょう。
万が一、何らかの感染症にかかった場合には、すみやかに医療機関を受診してください。 また、コートリルを服用中でも、喘息発作を自己判断で乗り切ろうとするのは危険です。
次のような状態がある場合は、早めの受診が必要です。
・強い息苦しさがあり、横になれない
・唇が紫色っぽい
・意識がぼんやりする
・発作治療薬を使っても改善しない
このような症状があるときは、我慢せず医療機関に相談しましょう。
併せて、喘息発作時の対応は、あらかじめ医師と相談し、自分用のアクションプランを確認しておくことが大切です。コートリルと喘息治療薬の使い方について不安がある場合は、受診時に確認しておきましょう。
【参考情報】『成人のぜん息』日本アレルギー学会
https://allergyportal.jp/knowledge/adult-asthma/#anc-8
5.コートリルの薬価
コートリルの薬価(2026年3月調べ)は以下となります。
・コートリル錠10mg 7.4円/錠
コートリルには代わりになるジェネリック医薬品や市販薬はありません。
喘息の治療は、市販薬ではできません。喘息で「咳が激しい」などの症状が出た場合、市販の咳止め薬を服用しても効果がないので、自己判断での服用は避けましょう。
また、長引く咳には喘息以外にも、感染後咳嗽、副鼻腔炎、胃食道逆流症など複数の原因があります。様子を見るだけでは原因がわからないことがあるため、咳が長引く場合は医療機関で相談しましょう。
6.おわりに
コートリルが合わない場合、プレドニン(成分名:プレドニゾロン)やリンデロン(ベタメタゾン)などの経口ステロイド薬が代わりに処方されることがあります。
喘息は、肥満やアルコール、感染症などの要因で悪化しやすいとされています。
経口ステロイド薬により症状が落ち着いたら、生活習慣を整え、なるべく吸入ステロイド薬で症状をコントロールできるよう、体調を管理していきましょう。












