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肺真菌症について

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2021年11月23日

肺真菌症とは、呼吸で吸い込んだ真菌が肺の中に入り、感染して起こる病気です。真菌とは、カビの仲間の総称です。

真菌は、空気中や土の中などいたるところに存在し、皮膚に感染すると水虫やタムシなどの皮膚病を引き起こします。

水虫は健康な人でもかかることが多い病気ですが、肺が真菌に感染するのは、体力や免疫力が低下している人、病気や喫煙などで肺が弱っている人がほとんどです。

この記事では、肺真菌症という病気について解説します。咳や痰、微熱が続いている人で、肺の病気を経験したことがある人、ステロイド剤や免疫抑制剤を使用している人、長年タバコを吸っている人は、ぜひ読んでください

1.原因

私たちは毎日たくさんの真菌を吸い込んでいますが、健康な人なら真菌を吸い込んでも免疫の力で感染を抑えることができるので、肺真菌症にはなることはまれです。

しかし、以下のような原因で免疫力が低下している人や、肺の機能が弱っている人は、感染のリスクが高くなります。

・肺結核など肺の病気にかかったことがある
・タバコの影響で肺の機能が低下している
・ステロイド剤を使用している
・免疫抑制剤を使用している
・抗がん剤を使用している
・白血病にかかっている
・エイズ(AIDS:後天性免疫不全症候群)にかかっている
・糖尿病が悪化している
・喘息にかかっている

◆「結核を疑ったら、迷わず呼吸器内科で受診を」>>

2.肺真菌症の種類

肺真菌症には以下のような種類がありますが、中でも一番多いのが肺アスペルギルス症です。

2−1.肺アスペルギルス症

アスペルギルス属という真菌によって引き起こされる病気で、慢性肺アスペルギルス症(CPA)、侵襲性肺アスペルギルス症(IPA)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)の3つに分かれます。

慢性肺アスペルギルス症は、肺結核やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、気管支拡張症などの病気により、肺の中に空洞ができた人が発症しやすい傾向があります。

◆「咳がとまらない・しつこい痰・息切れは、COPDの危険信号」>>

侵襲性肺アスペルギルス症は、白血病の人や抗がん剤を使用している人など、通常より免疫力がかなり低下している状態の人が感染しやすい病気です。

【参考情報】『Invasive pulmonary aspergillosis| PubMed』NCBI(National Center for Biotechnology Information)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16088462/

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は、喘息の患者さんに多く見られます。アスペルギルスに対してアレルギーを持っている人が、真菌を吸い込んだことにより、アレルギー反応を起こして発症します。 

◆「喘息とアレルギーの関係は?」>>

2−2.その他

肺アスペルギルス症以外には、肺クリプトコッカス症、肺カンジダ症、肺ムコール症などの種類があります。

肺クリプトコッカス症は、エイズ患者や臓器移植を受けた人に多い病気ですが、健康な人でも感染することがあります。

【参考情報】『クリプトコッカス症について』横浜市
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kenko-iryo/eiken/kansen-center/shikkan/ka/cryptococcosis1.html

肺カンジダ症の原因となるカンジダは、口の中や消化管に常在する菌ですが、体の抵抗力が落ちてくると病気を引き起こすことがあります。

肺ムコール症の原因となる真菌は、鼻、副鼻腔、眼、皮膚、脳に感染しやすいのですが、白血病や糖尿病、ステロイドを長期服用している人などの肺の中に、真菌の胞子が入り込むと、肺に症状が現れることがあります。

3.症状

肺真菌症の症状には、以下のようなものがあります。

・咳
・発熱
・痰
・血痰
・喀血
・息苦しさ
・全身のだるさ
・胸の痛み

感染した真菌の種類や患者さんの健康状態によって、急激に症状が進んで命にかかわることもあれば、ゆっくりと進行し、あまり症状がみられないこともあります。

4.検査

肺真菌症の症状は、肺炎や結核などと似ているのですが、レントゲン(X線)や
CTなどの胸部画像検査に加え、以下のような検査を行うことで真菌の有無を調べます。

・喀痰検査:痰の中に含まれる真菌の種類を特定する
・気管支鏡検査:内視鏡で病巣部から真菌を採取する
・胸腔鏡検査、肺生検:病変部の組織を採取する

喀痰検査で真菌が見つからなければ、気管支鏡検査を行います。気管支鏡検査でも見つからなければ、胸腔鏡検査や肺生検を行うことがあります。

【参考情報】『気管支鏡検査とはどのような検査ですか?』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=142

また、必要に応じて血液検査を行い、真菌への反応や炎症の有無を確認します。患者さんの健康状態によっては、体に負担のかかる検査を避け、画像検査と血液検査で判断します。

5.治療

肺真菌症は、主に抗真菌薬によって治療します。抗真菌薬は、真菌の種類によって使い分けます。

通常は内服ですが、重症の場合は点滴を行います。場合によっては、直接病巣に薬剤を注入することもあります。

問題のある部分が狭く、1か所に集中している場合は、その部分を手術で切除することがあります。

6.悪化を防ぐ対策

真菌は空気中、土の中、水の中など環境中のあらゆるところに存在するので、すべてを避けて生活するのは不可能です。

しかし、以下のような対策でリスクを減らすことはできます

・なるべくこまめにカビ取りをする
・エアコンや加湿器の清潔を保つ
・換気などで部屋の通気性をよくする
・工事現場や廃屋など、ホコリやカビの多い場所を避ける
・タバコを吸わない

家族に免疫力が低下している人や、肺の機能が弱っている人がいたら、健康なほかの家族も、なるべく家の中にカビを持ち込まないよう注意してください。

◆「喘息・アレルギーを悪化させない、カビと掃除の注意点」>>

7.おわりに

真菌症には、皮膚や爪、口の中など体の表面に発症する「表在性真菌症」と、肺や脳、肝臓など体の内部に発症する「深在性真菌症」があります。

深在性真菌症は肺に発症することが多いので、気になる症状があるときは、まずは呼吸器内科を受診してください。

肺真菌症の疑いがある時は、体力や免疫力が低下している可能性が高いので、なるべく人込みを避け、外出時にはマスクを着用して風邪などの感染症を防いでください。

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