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咳が止まらないのは、お酒のせいかもしれません

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2021年06月30日
アルコールと喘息

お酒を飲んだ時に、咳が出て止まらなくなったような経験はありませんか?

楽しくお酒を飲んでいたら、急に咳が出始めて、気がつくと咳が止まらなくなる…こんな経験がある人は、もしかすると「アルコール誘発喘息」かもしれません。

タバコやハウスダスト、ストレスや肥満など、さまざまな日常生活と密接に結びついている喘息ですが、実はアルコール(お酒)とも関係していることが知られています。

そこでこの記事では、アルコール誘発喘息について紹介しながら、アルコールとの上手な付き合い方について解説していきます。

1.アルコール誘発喘息とは

アルコール誘発喘息とは、アルコール(お酒)を飲んだ際に、咳や喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸)などの症状が現れる疾患であり、お酒を飲んでいるときに突然発症するという特徴があります。
まずは、アルコール誘発喘息に関して詳しく紹介します。
飲酒

1-1.症状

アルコール誘発喘息の病態の主体は「喘息」であり、通常の喘息と同様に、咳や喘鳴、ひどい場合には呼吸困難などの症状が出現します。
喘息は、気道(空気の通り道)に炎症が起こることによって、気道が狭くなり、さまざまな症状が出現します。

気道に炎症が起こる原因にはさまざまなものがあり、アレルギーや喫煙、大気汚染やストレスなどの関与が知られています。

◆「喘息のタイプ〜原因別・年齢別」について>>

その中で、アルコールが気道炎症の原因となることがあります。それが、アルコール誘発喘息です。

では、なぜ、アルコールによって気道に炎症が起こるのでしょうか?
もう少し詳しい原因を解説します。

1-2.原因

お酒として摂取したアルコールは、肝臓で速やかに「アセトアルデヒド」という物質に分解されます。
このアセトアルデヒドという物質は人体にとって有害な物質で、お酒で気分が悪くなったり、お酒で顔が赤くなったりする他、喘息発作の原因にもなります。

【参考文献】151st Regular Meeting of the Medical Society of Toho University Professor Special Lecture Investigating the Mechanisms of Alcohol-induced Asthma, Hiroto Matsuse, et. al. Toho Journal of Medicine. 2018.09;4(3):83-89.
肝臓
日本人は、体質的に「アセトアルデヒドを分解する酵素の働きが弱い人」が多いことが分かっており、〝お酒が弱い人〟というのは、このアセトアルデヒドを分解する能力が低いということになります。

【参考情報】オムロン公式・ネブライザーネット
https://store.healthcare.omron.co.jp/nebulizer-net/asthma/vol1-4.html

また、このアセトアルデヒドには、「ヒスタミン」という物質を増やす働きがあります。
アセトアルデヒドによって増加したヒスタミンが、気道を狭くしてしまうことが分かっており、これが喘息発作の原因となります。

【参考資料】アルコール誘発性喘息:浅井 貞宏 アレルギー 57(1), 22-31, 2008
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/57/1/57_KJ00004840309/_pdf

そのため、お酒が弱い人は、アルコールによって気分が悪くなるだけではなく、アルコール誘発喘息も発症しやすい可能性があるので、注意が必要です。

また、お酒が弱い人だけではなく、〝お酒が強い人〟も喘息発作のリスクを抱えています。
過度な習慣的飲酒は肥満の原因となり、肥満が喘息と関与していることは知られています。

【参考文献】Camargo CA Jr, et al. Prospective study of body mass index, weight change, and risk of adult-onset asthma in women. Arch Intern Med. 1999 Nov 22;159(21):2582-8.

この場合は「アルコール誘発喘息」と定義しませんが、肥満傾向の人は、喘息のリスクが上がる可能性もあることを知っておかなくてはなりません。

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

2.お酒を飲むと咳が止まらなくなる人は

では、お酒を飲むと咳が止まらなくなるという人や、その経験が何度もあるけれど、お酒は止めたくない、という人は、どうすればいいのでしょうか。
ここからは、「お酒との付き合い方」について解説していきます。
お酒と喘息

2-1.まずは呼吸器内科で検査を

お酒を飲むと咳が止まらなくなるという人は、まずは呼吸器内科(専門医)に相談することをおすすめします。

もちろん、喘息の原因はアルコールだけではありませんので、お酒が原因と決めつけることはできませんが、お酒も喘息の原因になり得るという事実は見過ごせません。
詳しい検査によって、咳の原因を探ることが何より重要です。

◆「呼吸器内科で行われる検査」について>>

先に述べたように、喘息の原因にはさまざまな要因や環境が関与していますので、専門医に相談することが一番の近道にもなります。お酒を飲むと咳が止まらなくなるという人は、一度呼吸器専門医にご相談ください。

◆「呼吸器内科を受診すべき症状とは?」>>

2-2.お酒との付き合い方を考える

お酒との上手な付き合い方を学ぶことは大切です。

お酒を飲むことでストレスを発散したり、コミュニケーションを円滑にして人間関係を構築したり…お酒にはさまざまなプラス面があります。
科学的根拠の有無は抜きにしても、「酒は百薬の長」ということわざもあるように、お酒と上手く付き合うことで、人生が豊かになるという人はたくさんいます。

その一方で、アルコールが持病を悪化させたり、もともと体質に合わなかったりする人にとっては、健康被害が存在することも事実です。
飲み会に出席した時はノンアルコールにして楽しむなど、今一度「お酒との付き合い方」を見直してみましょう。乾杯

3.おわりに

咳とお酒の関連はあまり知られていません。
しかし、お酒によって喘息発作が誘発される可能性もあり、「お酒を飲むと咳が止まらない」と感じたことがある人は、一度呼吸器内科の専門医に相談することをおすすめします。

◆「咳が止まらない時に心配な病気の症状・検査・治療」>>

◆「呼吸器内科を横浜市でお探しなら」>>

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