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気管支炎と喘息のちがいとは?

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2022年10月19日
喘息と気管支炎

気管支炎も喘息も、主な症状は「咳」です。

専門医による診察や呼吸機能検査によって、咳の原因が気管支炎によるものなのか、喘息によるものなのか、それ以外の病気によるものなのかを判断することは可能です。

しかし、患者さん自身で咳の原因を探ることは難しく、ただの風邪だと思って放っておいた咳が、いつの間にか悪化し、息苦しさや呼吸困難感が出るようになってしまった、というケースも珍しくはありません。

ここでは、気管支炎と喘息の違いを見分ける検査方法や治療方法の違いなどを説明していきます。

1.気管支炎

気管支炎はウイルスや細菌などの病原微生物が、気管や気管支といった場所にダメージを与えることによって、気管支に炎症が起きている状態です。一般的な風邪と気管支炎を見分けることは難しく、風邪と気管支炎が併発することもしばしばあります。

咳や痰、発熱などの風邪と似たような症状を発症するため、治療方法も一般的な風邪と同様に、対処療法(咳には咳止め、発熱には解熱など、症状に応じた治療)が基本となります。

基本的には自己治癒力によって自然に軽快していく疾患ですので、抗ウイルス薬や抗菌薬は必要ありませんが、中には、抗菌薬の投与が必要となる場合もありますので、自分で判断せずに、主治医と相談しながら治療をしていきましょう。

◆「咳が止まらない。もしかして、気管支炎かもしれません」>>

2.喘息

一方、喘息の病態は気管支炎とは大きく異なります。
喘息は、慢性的に続く気道の炎症(アレルギーやタバコの煙などさまざまな要因があります)によって、咳や痰、場合によっては呼吸困難感などの重篤な症状が出る疾患です。喘息の発作を繰り返していくうちに気道の回復が困難になっていき(気道のリモデリング)、患者さんの生活の質を大きく低下させてしまうこともある疾患のひとつです。

喘息を治療するには、病態の根本的な原因である「気道の炎症」を取り除くことが重要になるため、基本的には、吸入ステロイドと呼ばれる吸入薬が用いられます。
対処療法による自然寛解(自然と症状が治まるのを待つこと)を目標とする気管支炎とは違い、喘息の治療では、吸入ステロイド薬によって気道の炎症を取り除き、長期的に喘息発作を予防することが目標になります。

喘息治療の基本は、喘息発作を未然に予防することにあり、毎日症状がないという状態を維持し続けることが大切です。そのため、症状がなくても、毎日忘れずに吸入薬を使用したり、内服薬を服用したりする必要がありますので、患者さん自身が積極的に治療に臨む姿勢が重要になります。

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

3.気管支炎と喘息の違いを見分ける検査

気管支炎の診断は、問診や聴診などによって、患者さんの全身状態を把握しながら行います。基礎疾患がない人(特別な病気をもたない人)や全身状態に問題がなければ、特別な検査を必要とする場合は少ないですが、気になる症状がある場合は、血液検査やレントゲンなどによって、肺炎などの他疾患との鑑別を行っていくことになります。

一方、喘息の診断時には、喘息発作の経験の有無やアレルギーの有無などの詳細な問診を行うほか、血液検査によって、好酸球と呼ばれる血液成分の値を測定することもあります。それだけではなく、気流制限(気道がどれほど狭くなっているか)を測定することで、気道炎症の度合いを把握していきます。

気流制限を測定する際に用いられるのが、スパイロメトリーやピークフローと呼ばれる検査で、これらの検査によって、どれほど気道が狭くなっているかを測定することができます。

また、喘息の原因がゴミやダニ、ペットなどのアレルギー反応である場合も多く、アレルギーの原因物質を探る検査を行うこともあります。

ほこりだに
原因物質を特定することができた場合には、自身の生活環境を整備し、アレルギー物質との接触を避けられるような工夫も大切です。

【参考資料】『今日の治療指針2020年版』医学書院
https://www.igaku-shoin.co.jp/misc/fair/tt2020/index.html

◆「呼吸器内科で行われる検査」>>

4.おわりに

気管支炎も喘息も、共に主症状は「咳」です。
咳を主症状とする疾患は多いですが、中には喘息のように早めの対応が必要な疾患も潜んでいます。風邪や気管支炎などの自然治癒が望める疾患と、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺炎などのように、特殊な検査や治療が必要な疾患とでは、対処方法が大きく異なります。
せきこども
たとえ気管支炎による咳であっても、長い場合には3週間ほど続く場合もあるとされており、「喘息の咳」と「気管支炎の咳」を患者さん自身で見分けるのは困難です。

そのため、安易に市販の咳止めや風邪薬を用いるのはおすすめできません。ただの風邪だと思って放っておいた咳が、実はまったく別の病気によるものだったという場合には、市販薬で回復させることは難しいどころか、かえって悪化させることにもなりかねません。

そのため、繰り返す激しい咳やしつこい痰、息苦しさや呼吸困難感を感じた場合には、早めに呼吸器専門の医療機関を受診することが大切です。

【参考資料】「病気とくすり2020』南山堂
http://www.nanzando.com/journals/yakkyoku/917113.php

たかが「咳」とあなどることなく、安心できる日常生活を送ってください。

◆「咳が止まらない時は何科の病院に行けばよいか」>>

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