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咳が止まらない時は何科の病院に行けばよいか

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2023年10月13日
長引く咳

咳の原因で多いのは、風邪やインフルエンザなどの感染症です。

タバコの煙を吸ってしまった時や激しい運動をした時などにも咳が出ることがありますが、しばらくすると自然に治まることが多いのであまり心配はないでしょう。

しかし、2週間以上咳が続く場合は何らかの病気が隠れている場合があるので、軽く考えたり、そのうち治るだろうと放っておいたりするのはとても危険です。

この記事では、咳が長引いている時に疑われる病気を紹介し、何科を受診すればいいのか判断する際の目安をお伝えします。

1.咳が2週間以上続く病気とは

咳が2週間以上続く病気には、マイコプラズマ肺炎やアトピー性咳嗽など呼吸器の感染症のほか、気管支喘息や咳喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)のような呼吸器の病気、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など鼻の病気が考えられます。
2週間
その他、逆流性食道炎や心不全、薬の副作用などさまざまな原因が考えられるので、病院では問診のほか、採血やレントゲン検査、呼吸機能検査などを経て、咳の原因を見極めます。

◆「咳が止まらない原因」について>>

2.咳の種類と見分けるポイント

咳の種類は、痰の有無やどのくらいの期間続いているかによって分けられます。そして、咳の種類によって、疑われる病気も異なります。
咳の種類

2-1.乾いた咳と湿った咳

痰がからんでいない咳は、「コンコン」「ケンケン」という感じの乾いた音がします。このような音の咳は、マイコプラズマ肺炎、アトピー咳嗽、クループ症候群などの時に出ます。タバコを吸う習慣がある人も、乾いた音の咳をすることがあります。

痰がからんでいる咳は、「ゴホンゴホン」「ゲホゲホ」というような濁った音がします。このような音の咳は、風邪やインフルエンザ、気管支喘息、副鼻腔炎などの病気でよく見られる症状です。

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

2-2.急性の咳と慢性の咳

風邪やインフルエンザ、気管支炎などの病気で出る咳は、1~2週間程度でおさまるのが普通です。それ以上長引く時は、別の病気が原因だと考えられます。

【参考情報】『Cough When to see a doctor』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/symptoms/cough/basics/when-to-see-doctor/sym-20050846#:~:text=Call%20your%20doctor%20if%20your,Experiencing%20a%20fever

例えば、風邪をひいた後、咳だけがしつこく残っている場合は、喘息の前段階である咳喘息を発症している可能性があります。

◆「咳喘息」について>>

タバコを吸う習慣のある人で、しつこい咳に悩んでいる人は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の疑いがあります。

◆「COPD」について>>

3.迷ったら呼吸器内科を受診しましょう

迷う
咳が長引く時は、喘息など呼吸器の病気が原因であることが多いので、何科を受診すればいいのか迷ったら、まずは呼吸器内科を受診しましょう。その中でも、特に喘息に強い専門医がいる病院だと安心でしょう。

花粉症やシックハウス症候群など、アレルギーの症状として咳が止まらなくなることもあります。呼吸器内科の中でもアレルギーに強い病院があれば、そちらを受診するのもよいですし、副鼻腔炎など鼻の病気を指摘された時は、耳鼻科を受診してみましょう。

◆「アレルギーが原因となる咳」について>>

呼吸器内科や耳鼻科の検査で異常が認められなかったにもかかわらず咳が止まらない場合は、逆流性食道炎や心不全、あるいはうつ病など心因性の病気が隠れていることがあります。医師からそれらの可能性を指摘された時は、専門的な治療ができる病院を紹介してもらいましょう。

◆「ベストな病院選び」について>>

4.呼吸器内科と一般内科の違い

呼吸器内科
内科の病院には、咳や腹痛、発熱などさまざまな症状を総合的に診るところと、呼吸器内科、消化器内科、神経内科など、特定の病気を専門的に診るところがあります。

内科の中でも呼吸器内科は、空気の通り道である気道や、空気中の酸素を体の中に取りいれて二酸化炭素を体の外に出す肺など、呼吸器の病気を専門に扱う診療科です。

風邪など急性の病気の時は一般の内科を受診してもいいのですが、咳が2週間以上続く場合は、その多くが喘息や肺炎など呼吸器の病気が原因によるものです。

咳がなかなか止まらない時、咳がひどくて夜も眠れない時、咳が続いて呼吸をするのが苦しい時や息切れがひどい時は、一度呼吸器内科を受診することをおすすめします。

◆「呼吸器内科」について>>

5.おわりに

ただの風邪で、2週間以上咳が続くことはめったにありません。市販の風邪薬でつらさをしのぎながら、ズルズル受診を引き延ばしていると、病気が進行して治療に時間がかかってしまう恐れがあります。

特に高齢者は、「風邪だと思っていたら肺炎だった」というケースが多いので、早めに適切な診断と治療を受けましょう。

呼吸器内科の専門医は、一般社団法人日本呼吸器学会のホームページで検索することができます。

【参考情報】『専門医検索』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/search/specialist/index.php

しつこい咳、長引く咳に悩んでいる方は、風邪だと勝手に判断せずに、お近くの呼吸器内科を受診してください。

◆「咳が続くときに心配な病気の症状・検査・治療」について>>

※参考文献:『咳事典 咳を科学する-その咳、大丈夫?危険!-』(清益功浩 著/医薬経済社)

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