糖質がアレルギー疾患に与える影響とは?

近年、日本では喘息や花粉症、アトピー性皮膚炎など、多くの人が何らかのアレルギー症状を経験し、人口の半数近くがアレルギーを抱えているという報告もあります。
アレルギー症状にはさまざまな要因が関わりますが、食生活もそのひとつです。特に、血糖値の乱れや糖質の過剰摂取は、全身の炎症反応を強めることで、症状を悪化させる可能性があります。
この記事では、アレルギー疾患と糖質の関係についてお伝えします。
目次
1.現代人にアレルギーが増えている理由
アレルギー疾患の増加には、複数の環境要因が関与していると考えられています。特に指摘されているのが、住環境、生活リズム、食生活の変化です。
1-1.住環境の変化
近年、マンションをはじめとした住宅では、高気密・高断熱化が進んでいます。
これにより外気の影響を受けにくくなり、冷暖房効率が向上する一方で、室内の空気が入れ替わりにくくなるという側面があります。
その結果、換気が不十分な状態が続くと、室内に湿気がこもりやすくなります。
ダニは高温多湿な環境を好むため、湿度管理が不十分な住居では繁殖しやすくなります。
また、ダニの死骸やフン、繊維くずなどが混ざったハウスダストは、床やカーペット、寝具、ソファなどに蓄積しやすく、日常生活の中で舞い上がりやすいアレルゲンです。
これらが室内にとどまりやすくなることで、アレルゲンを呼吸とともに吸い込んだり、肌に触れたりする場面が多くなると考えられます。
さらに、現代の住生活では室内で過ごす時間が長くなる傾向があり、アレルゲンに触れる時間も自然と延びています。
【参考資料】『暮らしの中の化学物質』広島市食品衛生協会
http://www.hirofha.sakura.ne.jp/seikatu/03_10.html
1-2.生活リズムの変化
店舗の24時間営業や通信技術の発達により、仕事や私生活の時間帯が多様化し、睡眠や食事のタイミングが不規則な生活を送る人が増えています。
特に夜間まで活動する生活習慣は、体内時計(概日リズム)を乱しやすい要因とされています。
体内時計は、睡眠だけでなく、ホルモン分泌や自律神経、免疫機能の調節にも深く関わっています。
そして、免疫細胞の働きや炎症反応、ヒスタミンの分泌量には日内変動があり、時間帯によってアレルギー症状の出やすさが変化することが知られています。
そのため、生活リズムが乱れると、免疫反応の調整がうまくいかなくなります。さらに、夜間の食事や不規則な食事時間は、体内時計をさらに混乱させる要因になります。環境によって差があります。
このように、食事や睡眠を含む生活リズムが不規則になることは、体内時計の乱れを通じて免疫調節に影響し、アレルギー症状が悪化する要因の一つになると考えられています。
規則正しい生活リズムを保つことは、アレルギー対策の基本の一つといえます。
【参考資料】『食事の時間がアレルギー症状に強く影響 食べる時間を変えると症状が改善するかも』日本スポーツ栄養協会
https://sndj-web.jp/news/000452.php
1-3.食生活の変化
「飽食の時代」と言われる現代の食生活では、白砂糖をはじめ、白米やパン、麺類など、精製度の高い食品を口にする機会が多くなっています。これらの食品は見た目や保存性、調理のしやすさといった利点がある一方で、精製の過程で食物繊維やミネラル、ビタミン類の多くが失われています。
精製された糖質は消化吸収が速く、血糖値が急激に上昇しやすいという特徴があります。こうした血糖値の大きな変動は、体内の炎症反応や免疫バランスに影響を及ぼすことが指摘されています。そのため、精製糖質の摂取が多い食生活は、アレルギー症状の悪化に関与する可能性があると考えられています。
【参考資料】『アレルギーは「砂糖」をやめればよくなる!』(溝口徹/青春出版社)
http://www.seishun.co.jp/book/13253/
2.糖質の過剰摂取がアレルギー症状を悪化させる仕組み
アレルギーの症状は遺伝や環境だけではなく、日々の食生活の影響も受けます。特に糖質を過剰に摂ることは、アレルギー反応を強める原因のひとつと考えられています。
2-1.腸内環境の乱れと免疫への影響
糖質を過剰に摂取すると、腸内細菌のバランスが崩れやすくなります。特に、砂糖や精製された炭水化物は悪玉菌のエサになりやすく、善玉菌が優位な状態を保ちにくくなります。
腸内環境が悪化すると、腸粘膜のバリア機能が低下し、本来は体内に侵入しないはずの未消化物質やアレルゲンが血中に入り込みやすくなります。
これにより免疫システムが過剰に反応し、くしゃみ、鼻水、皮膚のかゆみなどのアレルギー症状が起こりやすくなります。
さらに、腸は全身の免疫細胞の多くが集まる器官であるため、腸内環境の乱れは局所的な問題にとどまらず、全身の炎症反応や体調不良とも関係します。
糖質の摂取量や質を見直し、食物繊維や発酵食品を適切に取り入れることは、腸内環境を整え、アレルギー症状の出にくい体づくりにつながります。
【参考資料】『Added sugars, gut microbiota, and host health』National Library of Medicine
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12674407/
2-2.血糖値の乱高下とコルチゾールの関係
アレルギー症状の悪化には、コルチゾールというホルモンの分泌も関係します。
【参考情報】『Cortisol』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/articles/22187-cortisol
糖質が多い食べ物を摂ると、血糖値が急に上昇します。すると、インスリンという血糖値を下げるホルモンが大量に分泌され、血糖値が急激に下がります。
特に、ブドウ糖を主なエネルギー源にしている脳は、血糖値が急激に下がると危険を察知して防御反応を示します。そのときに分泌されるのが、副腎で合成されるコルチゾールです。
本来コルチゾールは、緊急時のストレス下で分泌されるものですが、糖質摂取に伴う血糖の乱高下によって1日に何回も分泌されると、副腎に負担がかかります。
そして、副腎に負担がかかるとコルチゾールの分泌が減少し、結果としてアレルギー症状の悪化につながります。
2-3.血糖値を安定させる生活習慣が重要
血糖値の乱高下は、自律神経やホルモンバランスの乱れにもつながります。そのため、皮膚のかゆみや鼻水、咳などの症状が慢性的に続くこともあります。
アレルギー症状を悪化させないためには、血糖値をできるだけ安定させることが重要です。糖質を控えめにし、食事を規則正しく摂ること、食物繊維や発酵食品を取り入れて腸内環境を整えることが、症状の悪化を防ぐ生活習慣のひとつとして考えられます。
【参考資料】『アレルギーは「砂糖」をやめればよくなる!』溝口徹
http://www.seishun.co.jp/book/13253/
3.糖質との付き合い方で心がけたいこと
アレルギーの症状を悪化させないためには、血糖値の乱高下を防ぐ食べ方をすることが大切です。
3-1.低糖質・高たんぱく質
低糖質・高たんぱく質の食事は、血糖値の変動を抑え、体調管理に役立つと考えられています。
糖質を控える場合は、エネルギー不足にならないよう、たんぱく質や脂質を適切に取り入れる必要があります。特にたんぱく質は、筋肉や免疫機能の維持に欠かせない栄養素であり、肉、魚、卵、大豆製品などからバランスよく摂取することが勧められます。
たんぱく質の必要量は、年齢や活動量、体調によって異なりますが、一般的には体重1kgあたり0.8~1.0gが目安とされています。運動量が多い人や筋力維持を目的とする場合には、1.2~1.5g程度が参考値とされることもあります。
3-2.血糖値を上げにくい順番で食べる
同じ内容の食事であっても、食べる順番やタイミングによって食後の血糖値の上がり方は変わります。これは、先に摂取した食品が消化や吸収のスピードに影響を与えるためです。
特に、食物繊維を多く含む野菜は糖の吸収を緩やかにし、血糖値の急激な上昇を抑える働きがあります。
また、たんぱく質や脂質を含むおかずを先に食べることで、胃の中での食物の滞留時間が長くなり、炭水化物の消化・吸収がゆっくり進み、食後の血糖値が急激に上がりにくくなります。
そのため、食事の際は、野菜やたんぱく質のおかずから食べ始め、最後にお米やパン、麺類などの主食を摂ると、血糖値の上昇が緩やかになりやすいとされています。
こうした食べ方は、食後の急激な血糖値の変動を抑える工夫の一つであり、日常の食事に無理なく取り入れやすい点が特徴です。
【参考情報】『Food Order Has Significant Impact on Glucose and Insulin Levels』Weill Cornell Medicine
https://news.weill.cornell.edu/news/2015/06/food-order-has-significant-impact-on-glucose-and-insulin-levels-louis-aronne
3-3.間食のとりかた
小腹がすいたときには、血糖値が急激に上がりにくい食品を選ぶことがポイントです。
具体的には、ナッツ類やゆで卵は糖質が少く、血糖値への影響が比較的穏やかです。アーモンドフィッシュやさきいかも選択肢になりますが、砂糖やみりんで味付けされている製品も多いため、成分表示を確認し、糖質の少ないものを選ぶことが大切です。
甘いものが欲しい場合は、糖質量を抑えたプロテインバーや高カカオチョコレートなど、たんぱく質を含むものを少量取り入れる方法があります。ただし、これらも食べ過ぎれば血糖値は上がるため、量には注意が必要です。
空腹時に糖質の多いお菓子や飲み物をとると、血糖値が急激に上昇しやすくなります。甘いものは間食としてではなく、食後のデザートとして楽しむ方が、血糖値の変動を抑えやすいとされています。
◆「管理栄養士が教える、糖尿病の方でも血糖値に影響が出にくい間食“8つ”のルール」>>
4.おわりに
アレルギーが気になる人は、糖質の摂り過ぎに注意して、血糖値が乱れない食生活を意識することで、改善につながります。
・糖質を控え、たんぱく質を積極的にとる
・野菜やおかずを先に食べて、お米などの主食は最後に食べる
・甘いものは空腹時ではなく、食後のデザートに食べる
・間食には血糖値を上げにくい食べ物を選ぶ
まずはひとつでも、自分にできそうなことから実践してみましょう。









