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ビタミンAのおもな特徴とアレルギー疾患を改善するはたらき

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2022年05月31日

ビタミンAには、「目や皮膚の粘膜を健康に保つ」「目の機能を維持する」など、さまざまな性質があります。また、あまり知られていませんが、アレルギー性疾患を改善する役割もあります。

この記事では、ビタミンAのおもな特徴と、アレルギー性疾患を改善するはたらきについてまとめました。ビタミンAを効率よく摂取する方法も紹介しますので、病気の予防や症状の緩和にぜひ役立ててください。

1.ビタミンAとはどのような栄養素か

ビタミンAは、主に動物性食品に含まれています。また、緑黄色野菜などの植物性食品には、体内でビタミンAに変わる「プロビタミンA」という物質が多く含まれています。プロビタミンAは、赤や黄色の色素として「カロテノイド」とも呼ばれています。

【参考情報】『カロテノイド』| e-ヘルスネット/厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-007.html

ビタミンAは、全身の皮膚、目の角膜・粘膜、口腔、気管支、肺、胃腸、膀胱、子宮などの上皮組織に作用し、粘膜を健康に保つ効果があります。

ビタミンAは、目の機能や色を見分ける力にもかかわっています。目の網膜には、光の明るさや暗さを感じる「ロドプシン」という物質が存在していますが、これはビタミンAとたんぱく質からできています。

近年では、ビタミンAの摂取ががんの発生を抑制することが報告されているほか、発育の促進、生殖機能の維持などに重要な役割が多くあることが明らかになっています。

2.ビタミンAは、なぜアレルギー疾患の改善に必要なのか

ビタミンAが不足すると、なぜアレルギー性疾患が悪化しやすくなるのでしょうか。

アトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギーでは、皮膚や粘膜にトラブルが起きます。ビタミンAは、その皮膚や粘膜を正常に保つためになくてはならない栄養素です。

私たちの気道や鼻腔にある粘膜には、ホウキのような毛がびっしりと生えています。これを線毛と言います。

線毛は1秒間に40~60回というスピードでパタパタと動いており、外から侵入してきた花粉やチリ、ウイルスやばい菌などの異物を追い払っています。

粘膜や線毛の表面は粘液で覆われているのですが、粘液の主な成分は「コンドロイチン硫酸」と呼ばれる物質です。コンドロイチン硫酸を体内で作り出すためには、ビタミンAが必要となります。

ビタミンAが不足すると粘液が十分に作られず、粘膜が角質化して乾いてしまいます。そして粘膜が乾くと、チリやホコリ、細菌から体を守るバリア機能が低下し、異物が侵入しやすくなります。

その結果、皮膚や粘膜にさまざまな症状が起きることで、アトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギー疾患につながっていきます。

◆「咳が止まらない?アレルギーが原因となる咳について」>>

線毛からはネバネバした粘液状のIgA抗体という物質が分泌されます。このIgA抗体が、体内に侵入してきた異物を包み込み、線毛運動によって体外に押し出します。

IgA抗体の材料になっているのはグルタミンとビタミンAであるため、線毛運動が正常に行われるためにもビタミンAが必要です。

3.ビタミンAを効率よく摂取する方法

ビタミンAを効率よく摂取するには、動物性の食材と植物性の食材を上手に組み合わせる方法、また、必要に応じてサプリメントを利用する方法があります。

3−1.食事で摂取する

ビタミンAは牛や豚、鶏のレバー、ウナギ、銀ダラなどに豊富に含まれています。そして、体内でビタミンAに変わるプロビタミンAは、にんじん、かぼちゃ、ニラなどの緑黄色野菜に多く含まれています。

緑黄色野菜に含まれるプロビタミンAの一種であるβ-カロテンは、油を使って調理すると吸収しやすくなります。にんじんを使ったきんぴらや、レバーとニラを使うレバニラ炒めは、ビタミンAを効率よく摂取できる料理としておすすめです。

◆「アレルギー体質の人が知っておきたい、食事と腸の関係」>>

3−2.サプリメントで摂取する

かつては、ビタミンAが脂溶性(油に溶けやすく、水に溶けにくい性質)であることから、摂りすぎると体に蓄積して、過剰症を起こすと言われていました。

しかし現在では、肝臓にあるステレイトセル(肝星細胞)という細胞がビタミンAを貯蔵し、必要に応じてビタミンAを供給するシステムがあることがわかっています。

【参考情報】『Hepatic stellate cell (vitamin A-storing cell) and its relative–past, present and future』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21067523/#:~:text=HSCs%20(hepatic%20stellate%20cells)%20(,as%20retinyl%20palmitate%20in%20lipid

また、植物由来のβカロチンは、必要な量だけ体内でビタミンAに変換されて利用されることもわかっています。そのため、ビタミンAの過剰症リスクを心配する必要はほとんどなく、天然由来のビタミンAの摂取は安全であると考えられています。

ビタミンAはビタミンDと同時に使うと、お互いの効果を高めあうことが報告されています。相性の良いビタミンAとビタミンDを同時に摂れるサプリメントを利用するのもおすすめです。

信頼できる製品を選ぶには「GMP認定工場」で作られているものかどうかを確かめると良いでしょう。

GMPとは「Good Manufactuiring Practice=適正製品規範」の略で、原材料の受け入れから製造、出荷に至るまで、製品が安全に作られ、一定の品質が保たれるために設けられた、医薬品レベルの厳しい製造工程管理基準です。

【参考情報】『GMPとは』日本医薬品原薬工業会
http://www.jbpma.gr.jp/bulk-pharmaceuticals/gmp

4.おわりに

ビタミンAが不足すると皮膚や粘膜が乾燥して、ウイルスや細菌の侵入を防ぐバリア機能が低下します。また、暗がりでものが見えにくくなったり、目が乾きやすくなります。

「アトピー性皮膚炎が悪化した」「風邪をひきやすい」「目が疲れやすい・乾きやすい」など、ビタミンAが不足しているサインに気づいたら、ビタミンAが豊富な食材を増やしたり、サプリメントを摂取して、体調を整えてください。

自分に合った食事やサプリメントを知りたい方は、当院の管理栄養士に相談することもできます。興味のある方は、診察時または受付で「栄養カウンセリングを受けたい」と、お気軽にお申し出ください。

◆「当院の栄養カウンセリングについて」>>

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