オメガ3系の油でアレルギーを改善

オメガ3系の油には、アレルギー症状の悪化に関わる「炎症反応」を抑える作用があります。
アレルギー症状では、体内で炎症が続くことで、皮膚のかゆみ・咳・鼻水などが起こりやすくなります。オメガ3を適切に摂取すると、この慢性的な炎症を和らげ、症状のコントロールに役立つ可能性があります。
この記事では、オメガ3系の油が持つ主な働きと、アレルギー症状にどのように作用するのかをわかりやすく整理します。
あわせて、日常の食事で効率よく摂るためのポイントや、不足しやすい人の傾向についても紹介します。
目次
1.オメガ3系の油とは?
オメガ3系の油には、アマニ油やえごま油、クルミなどに多いαリノレン酸と、サバ・イワシといった青魚に含まれるDHA、EPAがあります。
脂肪酸の中には、オレイン酸など体内で合成できるものがありますが、オメガ3系は体内で作れないため、食事からの摂取が欠かせません。
同じく体内で合成できない必須脂肪酸としてオメガ6系もあります。ただ、こちらは外食、総菜、スナック菓子などに多く使われているため、意識しなくても過剰になりやすい傾向があります。
オメガ6系は体に必要な成分ではあるものの、摂り過ぎると花粉症などのアレルギー症状や炎症が起こりやすくなる点には注意が必要です。
逆に、オメガ3系の脂肪酸は日本人の魚介類摂取量の減少に伴い、不足しがちな栄養素とされています。
【参考情報】『不飽和脂肪酸』e-ヘルスネット|厚生労働省
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00004194
2.オメガ3系の油を摂る4つのメリット
オメガ3系の油には、健康面で多くのメリットが確認されています。
2-1.中性脂肪を下げる
DHAやEPAには中性脂肪を減らす働きがあり、この効果は多くの研究で確認されています。
血液中の中性脂肪値が高いと、動脈硬化や心筋梗塞などのリスクが上昇するため、食事からDHA・EPAを取り入れることは生活習慣病予防にもつながります。
こうした確かな作用が評価され、医療現場ではDHA・EPAを主成分とした高脂血症治療薬「エパデール」「ロトリガ」(処方薬)が使用されています。
また、市販の特定保健用食品(トクホ)にもDHAやEPAが配合されており、日常生活の中で手軽に摂取できる選択肢が広がっています。
【参考情報】『特定保健用食品について』消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_specified_health_uses
さらに、DHA・EPAには血液をサラサラに保つ作用や、炎症を抑える働きもあるため、心血管系の健康維持へ総合的に役立つ点も注目されています。
2-2.血管をしなやかに保ち、動脈硬化を予防
DHAは赤血球の膜を柔らかくし、血液が細い血管の中でもスムーズに流れやすい状態へと導きます。
赤血球が柔軟性を失うと毛細血管で詰まりやすくなり、酸素の運搬効率も低下しますが、DHAはこのリスクを下げ、全身への酸素供給を助ける役割を果たします。
一方、EPAは血小板が過度に凝集して固まるのを防ぐ働きがあります。血小板の集合が抑えられることで、血管内で血栓(血のかたまり)ができにくくなり、脳梗塞や心筋梗塞などのリスク低減に寄与するとされています。
さらにEPAには、血管の炎症を鎮める抗炎症作用があるとされ、血管壁のダメージの進行を抑える点でも注目されています。
DHAとEPAそれぞれの作用が互いに補完し合うことで、血液の流れを改善し、血管の負担を減らし、結果として動脈硬化の予防につながると考えられています。
【参考情報】『NAD+ Levels are Augmented in Aortic Tissue of ApoE-/- Mice by Dietary Omega-3 Fatty Acids』AHA Journals
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/ATVBAHA.121.317166
2-3.脳の発達に不可欠
DHAは脳や神経細胞の膜を構成する重要な脂肪酸で、神経細胞間の情報伝達や脳の働きに深く関わっています。
特に胎児期や乳幼児期、成長期には神経系の発達が活発なため、必要量が増加します。そのため、妊婦が十分なDHAを摂取することは、胎児の脳や視覚機能の発達にとって非常に重要です。
DHAは単独でも役割を果たしますが、EPAとともに摂ることで神経細胞の保護や抗炎症作用が期待でき、長期的には認知機能や注意力、学習能力の維持にも寄与すると考えられています。
また、授乳期にも母乳を通じて赤ちゃんにDHAが供給されるため、妊産婦の摂取量は乳児期の発達にも影響します。
厚生労働省の「妊産婦のための食生活指針」でも、n-3系脂肪酸が不足すると早産や低体重児のリスクが高まる可能性に触れられており、妊娠期や授乳期における魚やオメガ3系脂肪酸の摂取が推奨されています。
食事だけで十分に摂れない場合は、サプリメントでの補充も検討されることがあります。
【参考情報】『妊産婦のための食生活指針』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0201-3a.html
2-4.アレルギー症状の改善につながる可能性
順天堂大学の研究では、オメガ3系脂肪酸がアレルギー性結膜炎(花粉症)を改善させるメカニズムが解明されたと報告されています。
脂質代謝の変化によって炎症が抑えられ、症状が和らぐ可能性が示されたもので、アレルギーに悩む人にとって注目される研究です。
【参考情報】『Dietary ω-3 fatty acids alter the lipid mediator profile and alleviate allergic conjunctivitis without modulating Th2 immune responses』FASEB Journals
https://faseb.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1096/fj.201801805R
3.体に良い油でも、酸化すると細胞を傷つける
オメガ3系の油には多くの利点がありますが、ひとつ注意点があります。それは「酸化しやすい」ことです。
3-1.油が酸化すると何が起こるのか
油は高温で加熱したり、光に当たる場所に置いたりすると、空気中の酸素と反応して酸化が進みます。酸化した油は色や風味が落ち、独特の臭いが出るだけでなく、体内でも酸化ストレスの原因になります。
どんなに体に良い油でも、酸化が進むと細胞を傷つける過酸化脂質に変わり、がんや動脈硬化などのリスクを高める可能性があります。
3-2.オメガ3系油の保存・摂取のポイント
アマニ油やえごま油は必ず冷暗所、できれば冷蔵庫で保存し、開封後は1カ月以内を目安に使い切ることが大切です。
また、魚に含まれるEPAやDHAも時間とともに酸化が進むため、冷凍庫で長期間保存した魚や、調理後に長く放置した魚はできるだけ避けるほうが無難です。
鮮度の良い状態で摂ることが、オメガ3系脂肪酸の恩恵をしっかり受けるためのポイントです。
【参考情報】『食用油の劣化について』サイエンスなび | さいたま市 健康科学研究センター
https://www.city.saitama.jp/sciencenavi/kurashi/001/p008623.html
4.オメガ3系の油を効率よく摂取する方法
不足しやすいオメガ3系の油を効率よく摂るには、油の種類と魚の種類を選ぶこと、そして調理法が重要なポイントとなります。
4-1.食事のポイント
オメガ3系の油は酸化しやすいので、揚げ物や炒め物などの調理には向いていません。アマニ油やえごま油は加熱せずにドレッシングやたれの材料とするか、納豆やヨーグルトなどにそのままかけて食べてください。
食べる分量は、1日に小さじ1杯くらいにしましょう。オメガ3系の油は体に良いものですが、やはり油なのでカロリーが高く、食べ過ぎると太ってしまいます。一度にたくさん食べるのではなく、毎日少しずつ、こまめに摂取しましょう。
魚に含まれるDHAやEPAも熱に弱いため、お刺身やお寿司、カルパッチョなど、生で食べるレシピだと効率的に摂ることができます。加熱するなら鍋やスープ、ホイル焼きなど、魚から出た汁も一緒に食べられる調理法がおすすめです。サバやイワシの缶詰を食べる時は、汁も捨てずに料理に活用すると、よりいいでしょう。
妊娠している人が魚を食べる時は、厚生労働省の注意事項を参考にして、魚の種類と量に気をつけてください。マグロなどの大型魚には、水俣病で知られるメチル水銀が含まれていることがあり、食べ過ぎるとお腹の中の赤ちゃんに影響を及ぼします。
【参考情報】『魚介類に含まれる水銀について』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/
4-2.サプリメントの選び方
食事からオメガ3系の油を摂るのが難しい人や、健康のため意識して補給したい人は、サプリメントを利用する方法もあります。例えば、以下のような人は、サプリメントを活用するといいでしょう。
・魚が苦手な人
・外食や惣菜を利用することが多い人
・高血圧、糖尿病、悪玉コレステロールが気になる人
・花粉症などアレルギーの症状に悩んでいる人
サプリメントを買うときは、オメガ3系の油が入っている量や添加物をチェックしましょう。残念なことですが、一般に市販されているサプリメントの中には、含まれている有効成分が極端に少ないものや、添加物だらけのものもあります。
信頼できる製品を選ぶには「GMP認定工場」で作られているものかどうかを確かめると良いでしょう。GMPとは「Good Manufactuiring Practice=適正製品規範」の略で、原材料の受け入れから製造、出荷に至るまで、製品が安全に作られ、一定の品質が保たれるために設けられた、医薬品レベルの厳しい製造工程管理基準です。
【参考情報】『GMPとは』日本医薬品原薬工業会
http://www.jbpma.gr.jp/bulk-pharmaceuticals/gmp
5.おわりに
オメガ3系の油には炎症を抑える作用があり、アレルギー症状の緩和に役立つ可能性があります。
日々の食事に青魚やアマニ油、えごま油、クルミなどを取り入れることで、体内の脂質バランスを整え、慢性的な炎症を抑えるサポートが期待できます。
ただし、オメガ3系の油は万能ではなく、個人差や症状の程度によって効果は異なります。重度のアレルギー症状がある場合は、必ず医師の診察や適切な治療と併せて活用してください。
自分に合った食事やサプリメントを知りたい方は、当院の管理栄養士に相談することもできます。興味のある方は、診察時または受付で「栄養カウンセリングを受けたい」と、お気軽にお申し出ください。









