高尿酸血症(痛風)とはどんな病気?原因と対策を解説

健康診断で「尿酸値が高い」と指摘されても、症状がないためそのままにしている方は少なくありません。
しかし、放置していると、ある日突然、激しい関節の痛みを伴う痛風発作が起こることがあります。
尿酸値の上昇には、食事・アルコール・体質など、さまざまな要因が関係しており、日常生活の見直しが大切です。
また、「完治するのか」「市販薬で対応できるのか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、高尿酸血症の原因や分類を整理したうえで、食事のポイントや治療の考え方についてわかりやすく解説します。
目次
1.高尿酸血症(痛風)とはどんな病気か
高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が高い状態を指し、一般的には7.0mg/dLを超えると診断されます。
1-1.尿酸ができる仕組みと増えてしまう原因
尿酸は、体内でプリン体が分解されることで生じる老廃物で、細胞の代謝や食事に含まれるプリン体をもとに作られます。
通常は腎臓から尿として排出され、一部は腸からも排泄されることで、体内のバランスが保たれています。
【参考情報】『Uric acid – blood』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/ency/article/003476.htm
しかし、尿酸が増えすぎたり、腎臓からの排泄がうまくいかなかったりすると、血中の尿酸値が上昇し、体内に蓄積していきます。
この背景には、体質的な要因に加えて、肥満やアルコール摂取、食生活の偏り、運動不足などの生活習慣が関係していることも少なくありません。
1-2.痛風発作の仕組みと特徴
血液中の尿酸が一定以上に増えると、溶けきれなくなった尿酸が結晶となり、関節やその周囲に沈着します。
これに免疫反応が起こることで強い炎症が生じ、激しい痛みを伴う痛風発作が引き起こされます。
発作は突然起こることが多く、特に足の親指の付け根に、赤み・腫れ・熱感を伴う強い痛みが現れるのが特徴です。
【参考情報】『Gout』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/gout/symptoms-causes/syc-20372897
1-3.高尿酸血症と合併症のリスク
重要なのは、高尿酸血症の段階では自覚症状がほとんどないという点です。
そのため、健康診断で指摘されても放置されがちですが、尿酸値が高い状態が長く続くと、痛風発作のリスクが高まるだけでなく、尿路結石や腎機能障害などの腎臓への影響が生じることがあります。
また、高尿酸血症は高血圧や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病と併存することが多く、動脈硬化との関連も指摘されています。
2.高尿酸血症の原因
高尿酸血症は原因によっていくつかのタイプに分けられ、それぞれで対策の考え方も異なります。
ここでは、尿酸が増える仕組みの違いに着目して、代表的な3つのタイプを整理します。
2-1.尿酸が増えすぎるタイプ(産生過剰型)
体内で尿酸が過剰に作られることで、血中の尿酸値が上昇するタイプです。
原因のひとつとして、レバーや魚卵、内臓肉(ホルモン)など、プリン体を多く含む食品の摂取が挙げられます。
また、アルコールの摂取も尿酸値を上げる要因です。アルコールは体内で尿酸の産生を促すだけでなく、腎臓からの排泄も妨げる作用があります。
さらに、体質的な要因も重要です。尿酸の再利用や分解に関わる酵素の働きによっては、もともと尿酸が作られやすい人もいます。
加えて、白血病などで細胞の増殖や分解が活発な状態では、細胞内の核酸が多く分解されるため、尿酸が増えやすくなります。
運動との関係では、短時間で強い負荷がかかる激しい運動(無酸素運動)では、一時的に尿酸が上昇することがあります。
一方で、ウォーキングなどの適度な有酸素運動は、体重管理や代謝の改善につながり、結果として尿酸値のコントロールに役立ちます。
2-2.尿酸が排泄されにくいタイプ(排泄低下型)
尿酸の産生量がそれほど多くなくても、体外へうまく排出されないことで、血中の尿酸値が上昇するタイプです。
高尿酸血症の中でも比較的多く、日本人ではこの排泄低下型が主体とされています。
尿酸は主に腎臓から尿として排泄されますが、その過程では一度ろ過されたあと、尿細管で再吸収と分泌が繰り返されています。
このバランスが崩れ、尿酸が過剰に再吸収されると、体外に排出される量が減り、血液中に蓄積しやすくなります。
原因としてまず挙げられるのは、腎機能の低下です。加齢や慢性腎臓病などによって腎臓の働きが弱くなると、尿酸の排泄効率が落ち、尿酸値が上がりやすくなります。
【参考情報】『Altered Serum Uric Acid Levels in Kidney Disorders』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36431026/
ただし、排泄低下は単に腎臓の病気だけで起こるわけではありません。
たとえば、肥満や糖尿病に関連するインスリン抵抗性があると、腎臓での尿酸再吸収が促進され、排泄が低下します。
また、脱水状態では尿量が減るため尿酸が排出されにくくなり、血中濃度が上昇しやすくなります。アルコール摂取も、尿酸排泄を抑える方向に働く要因のひとつです。
さらに、体質や遺伝的な要因も重要です。尿酸の輸送に関わるタンパク質(URAT1など)の働きによって、もともと尿酸を排出しにくい体質の人もいます。
このように、排泄低下型は腎機能だけでなく、生活習慣や代謝の状態とも深く関係しています。
2-3.両方が関与するタイプ(混合型)
尿酸の産生増加と排泄低下の両方が関与して、血中の尿酸値が上昇するタイプです。
背景には、食生活や生活習慣に加えて、体質的な要因が複合的に関係しています。たとえば、プリン体の多い食事やアルコール摂取によって尿酸の産生が増える一方で、肥満やインスリン抵抗性、軽度の腎機能低下などにより排泄も低下している、といったケースです。
このように「作られやすく、かつ出にくい」という状態が重なることで、尿酸値が上がりやすくなります。
また、加齢に伴う腎機能の変化や、遺伝的に尿酸の排泄に関わる機能が弱い場合も、混合型の背景として関与します。
さらに、利尿薬など一部の薬剤の使用も、排泄低下に影響を与える要因となることがあります。
3.高尿酸血症は治るのか
高尿酸血症は、尿酸値を適切な範囲に保ちながら長期的にコントロールしていく病気です。
尿酸値は生活習慣の影響を受けやすく、食事内容の見直し・体重管理・飲酒量の調整・十分な水分摂取といった取り組みによって、正常範囲まで改善できるケースもあります。
特に肥満や過剰な飲酒が主な原因の場合は、生活習慣の改善が大きな効果をもたらします。
一方、遺伝的な体質や腎機能の影響が関わっている場合は、生活改善だけでは十分に尿酸値が下がらないこともあり、その場合は、尿酸の産生を抑える薬や排泄を促す薬による治療が検討されます。
また、尿酸値が改善しても生活習慣が元に戻れば再び上昇することがあるため、継続的な管理が大切です。
【参考情報】『Hyperuricemia (High Uric Acid Level)』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/17808-hyperuricemia-high-uric-acid-level
4.高尿酸血症と食事の関係
高尿酸血症の改善には、食事内容と生活習慣の見直しが重要です。尿酸値に影響するポイントを整理して、無理なく続けられる対策を確認します。
4-1.控えるべき食品
高尿酸血症では、レバーや魚卵、内臓肉など、尿酸の材料となるプリン体を多く含む食品の摂りすぎに注意が必要です。
また、イワシやカツオにもプリン体が多く含まれているため、食べ過ぎには注意が必要です。
ただし、これらの魚は良質なたんぱく質に加え、EPAやDHAといった健康に有益な脂肪酸も含んでおり、完全に避ける必要はありません。
重要なのは「量」と「頻度」です。毎日のように大量に摂取するのではなく、1回あたり100g前後を目安に、適度な頻度で取り入れることが現実的です。
また、アルコールの影響も重要です。特にビールはプリン体を多く含みますが、本当に注意すべきなのは、アルコールそのものです。
アルコールは尿酸の産生を促すだけでなく、腎臓からの排泄も妨げるため、日本酒や焼酎、ワインでも摂りすぎには注意が必要です。
さらに、見落とされやすい要因として、果糖(フルクトース)があります。清涼飲料水や甘い飲み物、果糖を多く含む加工食品は、尿酸値を上げる方向に働くことが知られています。
【参考情報】『Gout diet: What’s allowed, what’s not』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/healthy-lifestyle/nutrition-and-healthy-eating/in-depth/gout-diet/art-20048524
4-2.積極的に取りたい食品・習慣
尿酸値の管理では、水分を十分にとることが基本です。水分摂取によって尿量が増えると、尿酸の排泄が促されます。
また、乳製品、特に低脂肪のものは尿酸値を下げる方向に働く可能性があるとされており、日常的に取り入れやすい食品です。
野菜や海藻を中心としたバランスのよい食事も重要です。一部の野菜にはプリン体が含まれますが、通常の食事量であれば過度に制限する必要はなく、むしろ全体的な代謝の改善に役立ちます。
4-3.食事で気をつけるポイント
食事管理では、特定の食品を極端に制限するのではなく、全体のバランスを整えることが重要です。
食事由来のプリン体は尿酸全体の一部にすぎないため、過度な制限は現実的ではなく、継続もしにくくなります。
また、高尿酸血症は肥満と関連が深いため、適正体重の維持も重要なポイントです。
食事内容の見直しに加えて、摂取エネルギーのコントロールや運動習慣を組み合わせることで、尿酸値の改善につながります。
無理のない範囲で生活全体を整えることが、長期的なコントロールには不可欠です。
4-4.糖質制限に注意
糖質制限を行うと、尿酸値が上昇することがあります。その理由のひとつが、ケトン体の増加です。
糖質の摂取が減ると、体は脂肪をエネルギー源として利用するようになり、ケトン体が多く産生されます。
このケトン体は腎臓での排泄の際に尿酸と競合するため、尿酸が体外へ排出されにくくなり、血中濃度が上がりやすくなります。
また、糖質不足により体内でエネルギー産生のための分解が進むと、プリン体の代謝が活発になり、尿酸の産生自体が増えることもあります。
さらに、糖質制限中は食事内容が肉類中心になりやすく、プリン体の摂取量が増える点も尿酸値上昇の一因です。
高尿酸血症がある場合は、急激な糖質制限によって症状が悪化する可能性があるため、注意が必要です。
【参考情報】『Associations of low-carbohydrate diets patterns with the risk of hyperuricemia: a national representative cross-sectional study in Korea』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40221703/
5.高尿酸血症の薬物療法
高尿酸血症では、生活習慣の改善に加えて、必要に応じて薬物療法が行われます。
<尿酸生成抑制薬>
体内で尿酸が作られるのを抑える薬です。尿酸の産生が多い場合や、全体的に尿酸値が高い場合に用いられます。
<尿酸排泄促進薬>
腎臓からの尿酸の排出を促すことで、血中の尿酸値を下げる薬です。尿酸が体外に出にくいタイプに適しています。
すでに痛風発作が起きている場合は、尿酸値を下げる薬とは別に、炎症や痛みを抑える治療が優先され、発作時には消炎鎮痛薬やコルヒチンなどを用いて症状を抑えます。
また、このタイミングで新たに尿酸降下薬を開始すると、かえって発作が悪化することがあるため、開始時期には注意が必要です。
市販薬については、尿酸値そのものを下げる効果が明確に認められているものは基本的にありません。
一部の解熱鎮痛薬は、痛風発作時の痛みを一時的に和らげる目的で使用されることがありますが、あくまで対症療法にとどまります。
6.受診の目安
健康診断で尿酸値が高いと指摘された場合は、症状がなくても一度医療機関で詳しい評価を受けることをお勧めします。将来的な痛風発作や合併症のリスクを早めに把握しておくことが重要です。
関節に強い痛みや腫れが出ている場合は、痛風発作の可能性があります。特に足の親指の付け根に急激な痛みが現れたときは、早めに受診しましょう。
また、発作を繰り返している場合は尿酸値のコントロールが不十分なサインかもしれません。再発を防ぐためにも、治療方針の見直しも含めて医療機関でしっかり管理することが大切です。
7.おわりに
高尿酸血症は、食事内容や飲酒、体重といった生活習慣と強く関係する疾患です。日常の積み重ねが尿酸値に影響するため、まずは食事の見直しや適正体重の維持といった基本的な対策が重要になります。
そのうえで、生活改善だけでは十分にコントロールできない場合には、薬物療法を併用することも検討されます。状態に応じて適切に管理することで、痛風発作や合併症のリスクを抑えることが可能です。
無症状の段階から意識して対策を行うことが、将来的なリスクの軽減につながります。



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