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糖質がアレルギー疾患に与える影響とは?

執筆者: わたなべゆうか(管理栄養士)
最終更新日 2022年07月19日
パンケーキ

近年では喘息や花粉症、アトピー性皮膚炎など、日本人の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患を持っていると言われています。

実は、アレルギーと食生活には大きな関わりがあります。例えば、症状が悪化する原因のひとつに、血糖値の乱れや糖質の摂り過ぎがあります。

この記事では、アレルギー疾患と糖質の関係についてお伝えします。

1.現代人にアレルギーが増えている理由

アレルギー疾患を持つ方が増えている大きな理由として、(1)住環境、(2)生活リズム、(3)食生活の変化が挙げられます。

1−1.住環境の変化

マンション

近年は、マンションをはじめ住居の密閉化が進んでいます。

住居が密閉化することにより、アレルゲンとなるダニやハウスダストが家の中にたまりやすくなり、アレルゲンを吸い込んだり、触れる機会が増えたと考えられます。

【参考資料】『生活衛生』広島市食品衛生協会
http://www.hirofha.sakura.ne.jp/seikatu/03_10.html

1−2.生活リズムの変化

店舗の24時間営業や通信技術の発達などにより、不規則な生活を送っている方が増えています。

アレルギーの症状は体内時計と関連性があり、夜間に食事をとるとじんましん反応が強くなるという実験結果もあります。

このように、食事や生活リズムが不規則になると体内時計が崩れ、アレルギー症状が悪化することにつながります。

【参考資料】『スポーツ栄養Web』一般財団法人日本スポーツ栄養協会
https://sndj-web.jp/news/000452.php

1−3.食生活の変化

白砂糖

「飽食の時代」と言われている現代では、多くの食べ物が精製されています。

代表的なのは白砂糖ですが、米やパン、麺類等もほとんどが精製されたものです。

これらの精製された食品は、見た目や使い勝手は良いですが、食物繊維やミネラル等は含まれていません。

精製された糖質は血糖値を乱すので、アレルギー症状を悪化させてしまいます。

【参考資料】『アレルギーは「砂糖」をやめればよくなる!』溝口徹
http://www.seishun.co.jp/book/13253/

◆「アレルギーによる病気の症状・検査・治療の基本情報」>>

2.糖質がなぜアレルギーを引き起こすのか

コルチゾール

アレルギーの症状が悪化する原因のひとつは、アレルギーに対抗するコルチゾールというホルモンの分泌の減少にあります。

コルチゾールの分泌が減少する原因は、糖質のとりすぎや血糖値の乱れであることが多いです。

糖質が多い食べ物を摂ると、血糖値が急に上昇します。すると、インスリンという血糖値を下げるホルモンが大量に分泌され、血糖値が急激に下がります。

特に、ブドウ糖を主なエネルギー源にしている脳は、血糖値が急激に下がると危険を察知して防御反応を示します。そのときに分泌されるのが、副腎で合成されるコルチゾールというホルモンです。

本来コルチゾールは、緊急時のストレス下で分泌されるものですが、糖質摂取に伴う血糖の乱高下によって1日に何回も分泌されると、副腎に負担がかかります。

そして、副腎に負担がかかるとコルチゾールの分泌が減少し、結果としてアレルギー症状の悪化につながります。

人の体にとって、血糖値はできるだけ安定している状況が良いのです。

【参考資料】『アレルギーは「砂糖」をやめればよくなる!』溝口徹
http://www.seishun.co.jp/book/13253/

3.糖質との付き合い方で心がけたいこと

タンパク質
アレルギーの症状を悪化させないためには、血糖値の乱高下を防ぐ食べ方をすることが大切です。

3−1.低糖質・高たんぱく質

お米などの主食は糖質が多いので控えめにし、その分おかずをしっかり食べましょう。

単に糖質を制限するだけではエネルギー不足になってしまうので、たんぱく質を積極的に摂ることを意識しましょう。

たんぱく質は肉、魚、卵、大豆製品に多く含まれています。1日に体重×1.5gのたんぱく質を摂ることが理想とされています。

◆「たんぱく質をたっぷり摂って美と健康を」>>

3−2.血糖値を上げにくい順番で食べる

同じものを食べても、食べる順番やタイミングによって血糖値の上がり具合は変わってきます。

食物繊維の多い野菜やたんぱく質のおかずを先に食べて、お米などの主食は最後に食べましょう。

【参考情報】『Food Order Has Significant Impact on Glucose and Insulin Levels』Weill Cornell Medicine
https://news.weill.cornell.edu/news/2015/06/food-order-has-significant-impact-on-glucose-and-insulin-levels-louis-aronne

3−3.間食のとりかた

高カカオチョコレート

小腹がすいたときには、血糖値を上げにくいものを選ぶことが大切です。

糖質が少ない間食としては、ナッツ類、アーモンドフィッシュ、ゆで卵、さきいかなどがおすすめです。

甘いものを食べたいときには、たんぱく質が入っているプロテインバーや、糖質控えめの高カカオチョコレートがいいでしょう。

空腹時に糖質が多いものを食べると、血糖値が急激に上がってしまいます。甘いものはお腹がすいた時ではなく、食後のデザートとして食べましょう。

◆「管理栄養士が教える、糖尿病の方でも血糖値に影響が出にくい間食“8つ”のルール」>>

4.おわりに

糖質の摂り過ぎに注意して、血糖値が乱れない食生活を意識することで、アレルギー症状の改善につながります。

 ・糖質を控え、たんぱく質を積極的にとる
 ・野菜やおかずを先に食べて、お米などの主食は最後に食べる
 ・甘いものは空腹時ではなく、食後のデザートに食べる
 ・間食には血糖値を上げにくい食べ物を選ぶ

まずは、ひとつでも自分にできそうなことから実践してみましょう!

【参考資料】『花粉症患者実態調査報告書(平成29年12月発行)』東京都健康安全研究センター
http://www.tokyo-eiken.go.jp/files/kj_kankyo/kafun/jittai/houkokusho.pdf

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