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1歳児の咳はいつ受診する?病院に行く目安と対処法

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2026年02月20日

1歳~3歳くらいの小さなお子さんが咳をしていると、「病院に連れて行くべき?」と不安になる保護者の方は多いのではないでしょうか。

この記事では、1歳のお子さんを中心に、咳で病院を受診する目安家庭でできる対処法について解説します。

また、2歳・3歳のお子さんにも共通する注意点や、長引く咳で考えられる原因、受診すべきケースについても詳しく説明します。

1.こんな咳はすぐ病院へ

1歳児は体が小さく気道も細いため、わずかな刺激でも咳が出やすい時期です。

咳があっても元気で食欲があるなら自宅で様子を見ても構いませんが、危険なサインを見逃さないことが大切です。

この章では、今すぐ受診が必要な症状、診療時間内に受診したほうが良いケース、様子を見ても良いケースについて、具体的に解説します。

1-1. すぐに医療機関へ相談してほしい症状

次のような様子が見られたら、夜間や休日でも早急に救急外来に相談しましょう。  
・呼吸が苦しそう(肩で息をしている、胸のあたりがへこむ)  
・ぐったりしている  
・顔やくちびるが青ざめている  
・水分を与えても吐いてしまう  
・水分がとれない、おしっこが6時間以上出ない  
・眠れないほど呼吸が苦しそうな場合

夜間や休日に判断に迷う場合は、小児救急電話相談(#8000)に電話すると、看護師や医師からアドバイスを受けることができます。

お住まいの地域の電話番号に自動転送され、相談料は無料です。

【参考情報】『上手な医療のかかり方』厚生労働省
https://kakarikata.mhlw.go.jp/assets/pdf/slide.pdf

1-2. 診療時間内に相談したいケース

緊急ではないものの、咳が2週間以上続いていたり、黄色や緑色の痰が出る咳の程度が日に日に悪化している場合などは早めに医療機関に相談しましょう。

また、咳とともに嘔吐を繰り返したり、機嫌が悪く食欲が落ちている場合も受診をおすすめします。

1-3. 様子を見ても良いケース

咳は出ているものの、お子さんが元気で機嫌がよく、水分や食事がしっかり摂れている場合は、自宅で様子を見て問題ないケースもあります。

発熱がない、または微熱程度で、顔色が良く呼吸も普通であれば、過度に心配する必要はないでしょう。

ただし、症状が悪化したり、新たな心配な症状が出た場合は、すぐに受診してください。

お子さんの様子をこまめに観察することが大切です。

2.咳の音で分かること

咳にはさまざまな種類があり、その音や特徴から原因となる病気を推測する手がかりとなります。

この章では、咳の音が教えてくれるサイン、1歳前後でよく見られる咳の原因、咳が続く期間などについて説明します。

【参考情報】”Cough” by MedlinePlus
https://medlineplus.gov/cough.html

2-1. よくある咳の原因

1歳児の咳の大半は風邪(急性上気道炎)によるもので、鼻水、喉の痛み、発熱などを伴い、通常1〜2週間で改善します。

この時期のお子さんは大人よりも風邪を引きやすく、安静と水分補給が基本の対処法ですが、中には下記のような他の感染症や病気が隠れていることもあります。

クループ症候群
「ケンケン」という犬の鳴き声のような乾いた咳と、息を吸うときの「ヒューヒュー」という音が特徴です。
夜間に突然悪化しやすく、ひどい場合は呼吸困難を起こすため、緊急受診が必要になることがあります。

RSウイルス感染症
乳幼児に多く見られるウイルス感染症です。
初めは鼻水や咳から始まり、次第に「ゼーゼー」という喘鳴を伴う激しい咳に進行することがあります。
重症化すると細気管支炎や肺炎を引き起こすため、呼吸が苦しそうな場合は早めの受診が必要です。
秋から冬にかけて流行します。

【参考情報】”Respiratory Syncytial Virus Infection (RSV)” by Centers for Disease Control and Prevention
https://www.cdc.gov/rsv/index.html

2-2. 咳が続く期間でわかること

咳がどれくらい続いているかも、原因を探る重要な手がかりです。

医師に相談する際は、咳が始まった日を記録しておくとよいでしょう。

●3週間未満の咳(急性の咳)
ウイルス性の上気道感染が主な原因で、風邪の症状として最も一般的な期間です。
特別な治療をしなくても自然に改善することが多いのが特徴です。

●3週間~8週間続く咳
風邪の後に気道が敏感になって咳が残ったり、鼻水が喉に流れることが原因で咳が続いたりすることがあります。
夜間に咳が強くなり、睡眠が妨げられている場合は、受診を検討する目安になります。

●8週間以上続く咳
長く咳が続く場合は、慢性的な病気の可能性も考えられます。
小児科や内科に加えて、呼吸器やアレルギーの専門医への受診も検討しましょう。

長引く咳はお子さんの体力を奪い、成長に影響することもあります。

このように咳が続く場合は、風邪以外の原因を疑い、医師に相談することをおすすめします。

特に夜間や運動後に悪化する咳、季節性のある咳は、専門的な診断が必要となるでしょう。

◆「子どもの長引く咳」>>

3.夜の咳がつらいときの工夫

多くの保護者の方が、「昼間は元気なのに、夜になると咳がひどくなる」という経験をされているのではないでしょうか。

ここでは、夜間に咳が悪化する理由、家庭でできる対処法、避けるべき行動について解説します。

3-1. なぜ夜になると咳がひどくなるの?

喘息 花粉 ほこり

夜に咳が出やすくなるのには、いくつかの理由があります。

横になることで痰や鼻水が喉に流れやすくなり、咳が出やすくなります。

また、乾燥した空気が気道を刺激することもあり、 特に冬場は暖房により湿度が下がりやすく、咳が悪化しやすいです。

さらに、布団や枕に潜むダニやホコリがアレルギー体質のお子さんの気道を刺激することもあります。

また、夜間は副交感神経が優位になり気道が狭くなることや、体温の変化も咳が悪化する理由の一つです。

【参考情報】”Why Does My Child Cough More at Night?” by National Institutes of Health
https://www.nhlbi.nih.gov/health-topics/cough

3-2. 夜の咳を楽にする方法

夜間の咳を和らげるために、以下の対処法を試してみましょう。

●室内の湿度を50〜60%に保つ 加湿器を使って適度な湿度を保ちましょう。
ただし加湿器は、タンク内や吹き出し口に汚れがたまると、カビや雑菌が繁殖しやすくなります。
毎日水を入れ替え、定期的に清掃を行いましょう。
また、加湿器がない場合は、濡れたタオルを部屋に干すだけでも効果があると言われています。

【参考情報】『健康・快適居住環境の指針』東京都保健医療局
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/hokeniryo/web_zenbun1

●上体を少し起こす
クッションや枕を使って、お子さんの上体を15〜30度程度起こすと、気道が広がり、鼻水や痰が喉に流れにくくなります。

●温かい飲み物を少量飲ませる
就寝前に常温の水や温かい麦茶を一口飲ませると、喉が潤い、咳が和らぐことがあります。

●1歳以上ならハチミツを試す
1歳を過ぎたお子さんには、就寝前にティースプーン半分~1杯程度のハチミツを与えると、咳を和らげる効果が期待できます。
ただし、糖分の多い物は、かえって喉が乾きやすくなることがありますので、与え過ぎないように気をつけましょう。

※ハチミツは乳児ボツリヌス症のリスクがあるため、1歳未満の赤ちゃんには絶対に与えないでください。

●部屋を清潔に保つ
布団や枕カバーをこまめに洗濯し、掃除機でハウスダストを除去しましょう。
特に、室内にいるときや寝室で咳が出やすい場合は、ダニ・ほこり・カビなどが刺激になっていることがあります。
エアコンのフィルターやカーテン、ぬいぐるみなども定期的に清掃し、空気がこもらないよう換気を心がけることが大切です。

◆「室内で咳が出る原因について」>>

3-3. 注意したい対処法

咳が出ているときには、症状を悪化させる可能性がある行動は避けましょう。

まず、市販の咳止め薬を自己判断で使わないでください。

特に1歳児には医師の指示なしに市販薬を使わず、年齢制限や用量を必ず守りましょう。

また、メンソールやユーカリなどの強い香りのアロマは、小さなお子さんには刺激が強すぎ、かえって咳を誘発する可能性があるため避けてください。

さらに、厚着をさせすぎると汗をかき、体を冷やす原因になるため、適度な薄着を心がけましょう。

【参考情報】”Use Caution When Giving Cough and Cold Products to Kids” by U.S. Food and Drug Administration
https://www.fda.gov/drugs/special-features/use-caution-when-giving-cough-and-cold-products-kids

4.1歳・2歳・3歳で気をつけたいこと

お子さんの成長段階によって、咳の原因や注意すべきポイントは変わってきます。

この章では、1歳・2歳・3歳それぞれの年齢で特に注意すべきポイントと、年齢に関わらず共通する観察のポイントについて説明します。

4-1.1歳児で注意したいポイント

1歳児は母体からもらった免疫が減少し、自分の免疫システムが育っていく時期にあります。

そのため感染症にかかりやすく、症状が急激に悪化することがあります。

また、この時期は何でも口に入れるため、誤飲や異物の吸い込みにも注意が必要です。

突然激しい咳が始まった場合は、異物を飲み込んだ可能性も疑い、すぐに救急受診してください。

この時期のお子さんはまだ言葉で症状をうまく伝えられないため、表情や行動の変化に注意を払うことが大切です。

4-2.2歳児で注意したいポイント

2歳頃になると言葉の発達により、「のどが痛い」「咳が苦しい」といったことを言葉で伝えられるようになるお子さんもいるでしょう。

一方で、イヤイヤ期に入るお子さんも多く、薬や受診を嫌がる場面が見られることもあります。

保護者の方は落ち着いて向き合い、お子さんの訴えに耳を傾けることが大切です。

また、保育園や幼稚園に通い始めるお子さんも多く、集団生活での感染機会が増えます。

入園後の数か月は特に風邪をひきやすくなりますが、これは免疫をつけていく過程として自然なことです。

ただし、症状が重い場合や長引く場合は医療機関を受診しましょう。

【参考情報】『感染症の基礎知識』統括庁キッズページ(内閣感染症危機管理統括庁)
https://www.caicm.go.jp/kids/index.html?utm_source=chatgpt.com

4-3.3歳児で注意したいポイント

3歳頃になると、集団生活や運動の機会がさらに増えるでしょう。

幼稚園や保育園での活動が活発になり、お友達との接触が増えることで、感染症にかかるリスクも高まります。

また、この年齢になると症状を具体的に伝えられるようになることも多いため、お子さんの訴えをよく聞いてあげることが大切です。

4-4. どの年齢でも大切な観察ポイント

どの年齢でも、日常的にお子さんの様子を記録しておくと、受診時に医師への説明がスムーズになります。

咳は回数や出る時間帯(朝・昼・夜)、音の特徴を記録し、可能であれば録音や動画も参考になります。

あわせて、食欲や水分摂取量、尿の回数、機嫌、活動量、睡眠の様子も観察しましょう。

ペットの有無や喫煙環境、最近の生活環境の変化も診断の手がかりになります。

また、花粉の時期は、くしゃみや鼻水、目のかゆみだけでなく、咳や息苦しさが出ることがあります。

いつもより咳が増えていないか、夜間に眠りづらそうにしていないか、目や鼻を強くこすっていないかなど、日常の様子をよく観察しましょう。

◆「子どもの花粉症について」>>

5.咳が長引くときは専門医へ

咳が長く続く場合は、原因を正しく見極めることが大切です。
適切な診療科や検査について知っておくことで、安心して治療につなげることができます。

5-1. 何科を受診すれば良いのか

乳幼児の病気は小児科で診ることが多いですが、症状によっては他の診療科でも対応が可能です。

一般内科や耳鼻科でも乳幼児を診察しているところがありますが、咳が続いて心配な時は、呼吸器内科の受診も視野に入れましょう。

また、当院では0歳のお子さんから診療可能ですが対応年齢は病院によって異なるため、事前にホームページなどで確認しておくと良いでしょう。

5-2. 呼吸器内科とは

呼吸器内科 咳 症状

呼吸器内科は、肺や気管支など呼吸器全般の病気を専門的に診療する診療科です。

風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症のほか、喘息、気管支炎、肺炎などの病気を扱っています。

小児科が子どもの全身を幅広く診るのに対し、呼吸器内科は呼吸器に特化した専門的な診療を行います。

小さなお子さんの場合、小児科と呼吸器内科の両方を受診することで、より総合的な医療を受けることができるでしょう。

◆「子どもの咳は何科へ?」>>

5-3. 呼吸器内科の検査と治療

子ども 受診 治療

呼吸器内科では、咳の原因を正確に診断するために、胸部レントゲン検査や血液アレルギー検査、吐いた息に含まれる一酸化窒素の量を調べる検査などを行います。

しかし、小さいお子さんには難しい検査もあるので、年齢や状況に応じて対応し、総合的に診断します。

診断が確定したら、原因に応じた治療が始まります。

例えば喘息と診断された場合は、気道の炎症を抑える薬による治療が中心となります。

1歳から3歳くらいの小さなお子さんでも、年齢に合わせた吸入器具を使って安全に治療を受けることができます。

治療は医師の指示に従って継続することが大切です。

症状が落ち着いても自己判断で中止せず、定期的に受診しましょう。

【参考情報】”Treating asthma in children under 5” by Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/childhood-asthma/in-depth/asthma-in-children/art-20044376

6.おわりに

1歳から3歳児の咳の大半は風邪が原因ですが、呼吸が苦しそうな場合や顔色が悪い、ぐったりしているときなどは迷わず救急受診してください。

また、咳が長く続いたり夜間に悪化する場合は、呼吸器内科やアレルギー専門医への受診も検討しましょう。

正しい知識を持ち、適切なタイミングで受診することで、重症化を防げる可能性があります。

日頃からお子さんの様子をよく観察し、心配なことがあれば早めに医師に相談することが大切です。

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