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喘息の方が積極的に摂りたい「オメガ3」を多く含む油とは?

執筆者: わたなべゆうか(管理栄養士)
最終更新日 2026年04月18日

喘息の治療では、吸入薬を使って症状が出ないようにコントロールすることが基本です。しかし、薬だけではなかなか効果が出にくい方もいます。

そのような場合、食事で体質を改善しながら薬の治療を続けることで、症状をコントロールしやすくなることがあります。

この記事では、炎症を起こしにくい体づくりに役立つ栄養素「オメガ3脂肪酸」についてご紹介します。

1.喘息による気道の炎症とオメガ3の関係


喘息は、気道に慢性的な炎症が起こって気道が狭くなり、呼吸がしにくくなる病気です。

炎症のコントロールの基本は薬物療法ですが、食生活も補助的な役割を果たす可能性があります。

食事においては、脂質の種類やバランスが炎症に関与することが指摘されています。

【参考資料】『Fatty acids, inflammation, and asthma』National Library of Medicine
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4417548/

特に、オメガ6脂肪酸に偏った食事は炎症を促進する方向に働く可能性があり、魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸を適度に取り入れることが望ましいとされています。

【参考資料】『The Importance of Maintaining a Low Omega-6/Omega-3 Ratio for Reducing the Risk of Inflammatory Cytokine Storms』National Library of Medicine
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7721408/

もちろん、特定の食材だけで喘息が完治するわけではありません。しかし、日々の油選びを少し変えるという内側からのケアを、吸入ステロイド薬などの標準治療と組み合わせることは、より安定した呼吸を目指す上で前向きなステップとなるでしょう。

2.脂質の種類と役割


脂質は種類によって体への働きが大きく異なり、摂り方次第で炎症や体調に影響を与えます。

この章では、オメガ3・6・9の違いや役割、そして健康維持のために意識すべき脂質のバランスについて解説します。

2-1.脂質の種類とバランス

油(脂質)は、常温で固体になりやすい飽和脂肪酸と、液体であることが多い不飽和脂肪酸に分けられます。

さらに、不飽和脂肪酸は化学構造の違いによって、オメガ9脂肪酸、オメガ6脂肪酸、オメガ3脂肪酸に分類されます。

このうち、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸は体内で合成することができないため、「必須脂肪酸」と呼ばれ、食事から摂取する必要があります。

脂質は細胞膜の構成成分やエネルギー源として重要な役割を持つため、適切な量とバランスで摂ることが大切です。

オメガ6とオメガ3の摂取バランスについては、4:1程度の割合で摂るのが理想と言われています。

【参考資料】『超一流の食事術』(アイザック・H・ジョーンズ/サンマーク出版)
https://www.sunmark.co.jp/detail.php?csid=3519-3

2-2.オメガ3脂肪酸


オメガ3脂肪酸は、青魚の脂(EPA・DHA)やアマニ油、えごま油(α-リノレン酸)に豊富に含まれる必須脂肪酸です。

体内で炎症を抑える方向に働く物質(レゾルビンやプロテクチンなど)の材料となることが知られています。

【参考資料】『Omega-3 fatty acid-derived resolvins and protectins in inflammation resolution and leukocyte functions: targeting novel lipid mediator pathways in mitigation of acute kidney injury』National Library of Medicine
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3558681/

EPAやDHAは細胞膜の性質を柔らかく保ち、血流の改善や血小板の凝集抑制にも関与しており、動脈硬化や心血管疾患の予防といった観点でも重要な役割を果たします。

また、脳や神経の機能維持にも関与するため、認知機能との関連でも注目されています。

喘息との関係では、オメガ3脂肪酸の摂取によって、炎症を引き起こす物質であるロイコトリエンの産生が抑えられ、気道の炎症を軽減する可能性が示唆されています。

◆「オメガ3系の油でアレルギーを改善」>>

2-3.オメガ6脂肪酸


オメガ6脂肪酸は体に必要な脂肪酸ですが、惣菜やパンなど日常的な食品に広く含まれているため、普通の食生活を送っていれば自然と十分な量が摂れています。

むしろ問題になりやすいのは摂りすぎです。オメガ6脂肪酸は大豆油やコーン油(一般的なサラダ油の主成分)に多く含まれており、揚げ物・加工食品・コンビニの惣菜・スナック菓子などを通じて知らず知らずのうちに過剰摂取になりがちです。

オメガ6脂肪酸に偏った油の摂り方を続けると、体内でアラキドン酸という物質が増加します。アラキドン酸は「ロイコトリエン」などの炎症促進物質のもととなり、気道を収縮させて喘息の症状を誘発・悪化させる直接的な原因となります。

外食や加工食品が多い方は、「何かを足す」よりも、まずオメガ6脂肪酸を減らす意識を持つことが大切です。揚げ物や脂っこい料理を減らすところから始めてみましょう。

【参考資料】『Omega-6 fatty acids: Can they cause heart disease?』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/heart-disease/expert-answers/omega-6/faq-20058172

2-4.オメガ9脂肪酸


オメガ9脂肪酸の代表はオレイン酸で、オリーブオイルや米油、キャノーラ油に多く含まれています。

脂質の中でも比較的安定しており、特に加熱しても酸化しにくいという特徴があります。このため、日常的な調理に適した油とされています。

【参考資料】『Comparative Study of the Oxidation Stability of High Oleic Oils and Palm Oil during Thermal Treatment』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32404548/

油は加熱や長時間の保存によって酸化すると、「過酸化脂質」と呼ばれる状態になり、体内で炎症を引き起こす原因のひとつになります。

喘息などのアレルギー疾患がある方にとっては、こうした酸化した油が気道の炎症を悪化させる刺激となる可能性があります。

オレイン酸は、オメガ6脂肪酸のように炎症を促進する物質の材料になりにくく、またオメガ3脂肪酸のように酸化しやすいという弱点も少ないため、「バランスのとれた使いやすい油」といえます。

そのため、普段の調理(炒め物や揚げ物)で使う油は、オメガ6脂肪酸が主成分のサラダ油だけに偏らず、酸化に強い米油やオリーブオイルなどに置き換えることが有効です。

3.オメガ3脂肪酸を多く含む食品

3-1.オメガ3脂肪酸が豊富な油

オメガ3脂肪酸を多く含む油として代表的なものは、アマニ油やえごま油です。これらにはα-リノレン酸が豊富に含まれており、体内で一部がEPAやDHAに変換され、炎症を抑える働きに関与します。

ただし、アマニ油やえごま油は非常に酸化しやすく、光や空気、熱の影響を受けやすいという特徴があります。加熱すると風味や栄養価が損なわれるだけでなく、酸化によって過酸化脂質が生成される可能性もあるため、炒め物や揚げ物などの高温調理には適していません。

そのため、これらの油は加熱する料理に使うのではなく、サラダのドレッシングとして使ったり、納豆やヨーグルト、味噌汁などに少量をかけるといった形で、できあがった料理に後から加えるのがおすすめです。毎日小さじ1杯程度を目安に、無理のない範囲で継続的に取り入れるとよいでしょう。

また、保存方法にも注意が必要です。開封後はしっかりフタを閉めて冷蔵庫で保管し、できるだけ早めに使い切ることが重要です。遮光ボトルに入った製品を選ぶことで、光による酸化を防ぎやすくなります。

3-2.オメガ3脂肪酸が豊富な魚

サバやイワシ、サンマなどの青魚には、EPAやDHAといったオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。これらは体内で炎症を抑える物質の材料となり、気道の炎症やアレルギー反応の調整に関与することが知られています。

ただし、EPAやDHAは脂質であるため、調理方法によっては魚の外に流れ出てしまうことがあります。特に焼き魚や揚げ物では、加熱によって脂が落ちたり、油に溶け出したりするため、摂取量が減ってしまう可能性があります。

その点、スープや鍋料理、煮魚などの「汁ごと食べる料理」であれば、溶け出した脂質も含めて無駄なく摂取できるため効率的です。また、お刺身のように生で食べる方法も、オメガ3脂肪酸をそのまま摂取できるという点で優れています。

魚をさばく手間や調理の負担を減らしたい場合は、缶詰を活用するのも有効です。サバ缶やイワシ缶にはEPAやDHAがしっかり含まれており、特に水煮タイプでは余計な油を加えずに摂取できます。缶の中の汁にはオメガ3脂肪酸が溶け出しているため、汁ごと食べることで無駄なく栄養を取り入れることができます。

また、青魚は鮮度が落ちると脂質が酸化しやすくなるため、新鮮なものを選ぶ、もしくは加工後すぐに密封されている缶詰を利用することは、酸化を防ぐという点でも理にかなっています。

3-3.サプリメントの活用について

オメガ3脂肪酸は本来、青魚やアマニ油、えごま油などの食品から摂ることが基本とされています。しかし、魚を食べる機会が少ない、調理の手間がかかる、食事内容に偏りがあるといった理由から、十分な量を日常的に摂取するのが難しい方も少なくありません。

そのような場合には、サプリメントを活用することで、手軽にオメガ3脂肪酸を補うことができます。特にEPAやDHAを含むサプリメントは、魚を食べる習慣が少ない方にとって有効な選択肢となります。

ただし、過剰に摂取すると出血傾向が強くなる可能性があるほか、服用している薬(抗血栓薬など)との相互作用にも注意が必要です。

製品によって含有量や品質に差があるため、EPA・DHAの含有量が明記されているものを選び、推奨量を守って使用しましょう。

不安がある場合や持病がある方は、事前に医師や薬剤師、管理栄養士に相談することをおすすめします。

4.おわりに

喘息の症状を抑えるためには、いかに気道の炎症をコントロールできるかが重要になります。吸入薬で気道の炎症を抑えると同時に、炎症を抑える食生活をすることで、最低限の薬で喘息をコントロールすることにつながります。

当院では、管理栄養士による栄養カウンセリングを行っています。「喘息に良い食事を知りたい」という方は、お気軽にお申し出ください。

◆当院の栄養カウンセリングについて>>

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