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喘息の方が積極的に摂りたい「オメガ3」を多く含む油とは?

執筆者: わたなべゆうか(管理栄養士)
最終更新日 2022年05月13日

喘息治療の目的は、吸入薬を使用して症状が出ないようにコントロールしていくことです。
しかし、中には薬を使ってもなかなか効果が出にくい患者さんもいます。
そのような方は、食事による体質改善を薬の治療と合わせて行うことで、症状をコントロールしやすくなります。 

この記事では、炎症を起こしにくい身体づくりに必要不可欠な“オメガ3脂肪酸“についてお伝えします。

1.喘息と食事の関係

喘息は、気管支が慢性的に炎症を起こすことにより気道が狭くなり、呼吸がしにくくなる病気です。
したがって、炎症の原因となる食事のしかたを見直し、炎症を抑えるような食事にすることが大切です。

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

炎症の原因のひとつは、“質の悪い油”です。
精製されたサラダ油やマーガリンなどは身体の炎症の原因となり、日常的に摂っていると喘息などのアレルギー症状が悪化しやすくなります。

また、糖質の摂りすぎも炎症の原因となります。
身体のエネルギー源は糖質だけではなく、脂質も利用することが大切です。
脂質の中でも炎症を抑えるはたらきがある “良質な油”を選ぶことがポイントです。

◆「喘息治療のカギとなる「気道の炎症」を抑えるには?」>>

◆「喘息と食事の関係とは?」>>

2.脂質の種類について

では、“良質な油”とは、具体的にどのような油のことを示すのでしょうか。
油と一口に言っても、さまざまな種類がありますので、解説していきます。

あぶらは、常温で固形の“飽和脂肪酸“と、常温で液体の”不飽和脂肪酸“に分けられます。
さらに、不飽和脂肪酸は化学構造の違いにより“オメガ9脂肪酸“、“オメガ6脂肪酸“、“オメガ3脂肪酸“に分けられます。

【参考資料】超一流の食事術 アイザック・H・ジョーンズ サンマーク出版
https://www.sunmark.co.jp/detail.php?csid=3519-3

これらの中で、オメガ6とオメガ3は身体の中でつくることができませんが、とても重要な役割を持っているため、“必須脂肪酸”と呼ばれています。

脂質は人間の細胞をつくる材料のひとつなので、適切な量を摂る必要があります。
その中でも、オメガ6:オメガ3=4:1の割合で摂るのが理想と言われています。
この割合が崩れてオメガ6に偏って摂取していると、アレルギー症状を悪化させたり、炎症が起きやすくなってしまいます。
 
オメガ6は炒め物や揚げ物、お菓子などに多く含まれているので、過剰に摂っている場合が多いです。
 
反対に、オメガ3は意識して摂らないと不足しがちな油です。
普段の食生活で、不足しがちなオメガ3を積極的に摂り、摂りやすいオメガ6は控えることが大切です。

2−1.オメガ9脂肪酸

サラダ油やキャノーラ油、パーム油は加工された油で、炎症を引き起こしやすいです。
喘息などアレルギー疾患をお持ちの方は、特に控えていただきたい油です。
スーパーのお惣菜やお弁当などにも多く入っているので、可能な限り頻度を減らすといいでしょう。

家で炒め物や揚げ物をするときには、加熱しても酸化しにくく、炎症の原因になりにくいオリーブオイルを使うのがおすすめです。

2−2.オメガ6脂肪酸

オメガ6脂肪酸は必須脂肪酸ですが、お惣菜やパンなどに多く含まれているので、一般的な食生活で十分に摂れていると考えられます。
オメガ6脂肪酸に偏った油の摂り方をしていると、炎症を引き起こしやすくなります。
過剰摂取になりやすいため、揚げ物や脂っこい料理の頻度が多い方は控えましょう。

2−3.オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸は、青魚やアマニ油、えごま油に多く含まれていて、炎症を抑えるはたらきがあります。
一般的な食生活で不足しがちなので、アマニ油やえごま油を活用したり、青魚を積極的に摂りましょう。

◆「オメガ3系の油でアレルギーを改善」>>

3.オメガ3脂肪酸を多く含む食品

3−1.積極的に摂りたい油

オメガ3脂肪酸を多く含む油として代表的なものは、アマニ油、えごま油です。
アマニ油やえごま油は酸化しやすく、熱に弱い特徴があります。
加熱する料理に使うのではなく、サラダのドレッシングにしたり、できあがった料理に上からかけて食べましょう。

3−2.不足しがちな青魚

サバやイワシ、サンマなどの青魚には、オメガ3脂肪酸が多く含まれています。
調理方法によっては青魚に含まれるオメガ3脂肪酸が溶け出して減ってしまいますが、スープや鍋料理など汁ごと食べる料理だと溶け出した脂質ごと摂ることができるのでおすすめです。
お刺身など生で食べるのもいいでしょう。

魚を料理するのが手間な場合は、缶詰を利用するのも一つの手です。
サバ缶やイワシ缶では、汁にオメガ3脂肪酸が溶け出しているので、汁ごと食べるのがおすすめです。

4.おわりに

喘息の症状を抑えるためには、いかに気道の炎症をコントロールできるかが重要になります。
吸入薬で気道の炎症を抑えると同時に、炎症を抑える食生活をすることで、最低限の薬で喘息をコントロールすることにつながります。

当院では、管理栄養士による栄養カウンセリングを行っています。
「喘息に良い食事を知りたい」というかたは、お気軽にお申し出ください。

◆当院の栄養カウンセリングについて>>

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