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糖尿病治療薬「メトグルコ」の特徴と効果、副作用

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2026年06月11日

現在、糖尿病の治療薬にはさまざまな種類があります。

その中でも「メトグルコ」は、メトホルミンを有効成分とする糖尿病治療薬で、主に2型糖尿病の治療に使用される飲み薬です。

肝臓での糖の生成を抑えることでインスリンの効き目を高め、血糖値の改善を助けます。

この記事では、メトグルコの特徴や使用時の注意点について詳しく解説します。

お酒をよく飲む方や下痢をしやすい方は特に注意が必要なので確認していきましょう。

1.メトグルコとはどのような薬か


メトグルコは、メトホルミン塩酸塩という成分を含む糖尿病治療薬です。

血糖値を下げる薬の中でも「ビグアナイド系」と呼ばれる種類に属し、肝臓での糖の生成を抑え、筋肉での糖の利用を促進する作用があります。

また、すい臓からインスリンを過剰に分泌させる薬ではないため、単独で使用した場合は低血糖を起こしにくいという特徴があります。

メトグルコは体重を増やしにくい糖尿病治療薬とされています。

そのため、肥満やインスリン抵抗性を伴う2型糖尿病の患者さんに使用されることが多く、体重増加が問題となる他の糖尿病治療薬とは特徴が異なります。

1-1.メトグルコの作用(糖新生の抑制)

メトグルコの作用の図解

糖新生とは、空腹時に肝臓などで、アミノ酸からブドウ糖(エネルギー源)を作り出す仕組みのことです。

糖新生が起こると血糖値が上昇するので、それを下げるために、通常はすい臓からインスリンが分泌されます。

しかし、糖尿病の人はインスリンの効き目が悪くなる「インスリン抵抗性」という状態に陥っていることがあり、糖新生による高血糖が制御できなくなる場合があります。

◆「血糖値が高いと言われたら?」>>

その結果、通常より多くのインスリンを分泌する必要が生じ、すい臓に負担がかかります。

これが続くとインスリン分泌機能が低下し、さらに血糖値が上がるという悪循環が生まれてしまいます。

そこで、メトグルコを使用して糖新生を抑えると、肝臓で作られる糖の量が減るため血糖値が下がりやすくなるのです。

さらに、体のインスリンの効き目を高めることで、インスリン抵抗性の改善にもつながると考えられています。

【参考情報】『Insulin Resistance』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/22206-insulin-resistance

1-2.メトグルコの適応

現在、メトグルコは250mg錠と500mg錠の2種類が発売されています。

主な適応は、食事療法・運動療法の効果がない2型糖尿病です。

メトグルコは世界的にも2型糖尿病の基本治療薬の一つとして広く使用されており、日本でも多くの患者さんに処方されています。

さらに2022年には、肥満・耐糖能異常、インスリン抵抗性のいずれかを合併した多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発の適応も取得しました。

【参考情報】『公知申請とされた適応外薬の保険適用について』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000928332.pdf

2.メトグルコの使い方


この章では、2型糖尿病の治療におけるメトグルコの使い方を解説します。

2型糖尿病の治療では、メトグルコは10歳以上の子どもから使用可能です。

2-1.メトグルコの服用量

<10歳以上の子ども>
最初は、1日500mgから開始し、1日2〜3回に分けて服用します。
経過を観察しながら服用量を調整し、通常は1日500〜1500mgの範囲で服用します。
最大で1日2000mgまで使用可能です。

<成人(15歳以上)>
最初は、1日500mgから開始し、1日2〜3回に分けて服用します。
経過を見ながら服用量を増やし、通常は1日750〜1500mgの範囲で服用します。
最大で1日2250mgまで服用が可能です。

メトグルコは、胃腸症状(下痢・吐き気など)の副作用を防ぐため、少量から開始して徐々に増量することが一般的です。

また、腎機能が低下している場合は薬が体内に蓄積しやすくなるため、血液検査などで腎機能を確認しながら用量を調整する必要があるでしょう。

◆「糖尿病の検査と受診の目安」>>

2-2.メトグルコを服用するタイミング

メトグルコを服用するタイミングは食事の直前または食後です。

医師に指示された用法用量を守って服用しましょう。

食事と一緒に服用することで、胃腸症状の副作用を軽減できるとされています。

◆「糖尿病の食事」について詳しく>>

もしメトグルコを飲み忘れた場合は、気づいた時点で1回分を服用することがあります。

ただし、次の服用時間が近い場合は飲み忘れた分は服用せず、次の服用から通常どおり再開することが一般的です。

2回分をまとめて服用することは避けましょう

対応に迷う場合は、主治医や薬剤師に相談してください。

自己判断で服用量を増減したり、服用を中止したりすると血糖コントロールが乱れることがあるため、必ず主治医の指示に従うことが大切です。

【参考情報】『Metformin』U.S. National Library of Medicine (MedlinePlus)
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a696005.html

3.メトグルコの副作用


メトグルコは比較的安全性の高い糖尿病治療薬とされていますが、服用中に副作用がみられることがあります。

ここでは、比較的よくみられる副作用と、まれに起こる重い副作用について確認していきましょう。

3-1.比較的よくみられる副作用

メトグルコでは、胃腸に関する副作用が比較的多くみられます。

主な副作用は次のとおりです。
 ・下痢
 ・吐き気
 ・嘔吐
 ・食欲不振
 ・腹痛
 ・低血糖

◆「低血糖」についてくわしく>>

これらの症状は、服用開始時や増量時に起こりやすいとされています。

中でも下痢は、40%近くの確率で起きることが薬剤の添付文書で報告されています。

重度の下痢は脱水症状を引き起こすことがあるため、早めに主治医や薬剤師に相談しましょう。

前述のとおり、メトグルコは単独で使用した場合、低血糖を起こしにくい薬とされています。

ただし、他の糖尿病治療薬やインスリンと併用している場合には低血糖が起こることがあるため注意が必要です。

3-2.まれに起こる重い副作用

また、めったにありませんが、次のような重篤な副作用を起こすことがあります。
 ・乳酸アシドーシス
 ・肝機能障害
 ・横紋筋融解症(筋肉の細胞が壊れ、筋肉痛や脱力、赤褐色の尿などが現れる状態)

特に注意が必要なのが「乳酸アシドーシス」です。

乳酸アシドーシスは体内に乳酸が蓄積することで起こる重い状態で、まれではありますが命に関わることがあります。

乳酸アシドーシスでは、強いだるさ、筋肉痛、吐き気、息苦しさ、過呼吸などの症状が現れることがあります。

これらの症状がみられた場合は、服用を中止して速やかに医療機関を受診してください。

食事や水分が十分に取れない状態(脱水など)では、乳酸アシドーシスのリスクが高くなるとされています。

【参考情報】『乳酸アシドーシス』日本救急医学会
https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0420.html

体調が悪くて食欲がないときでも、できるだけ普段通りの飲食を心がけましょう。

それが難しい場合は、主治医に相談してください。

また、アルコールの過剰摂取も乳酸アシドーシスのリスクを高める可能性があります。

飲酒はほどほどの量にするように注意しましょう。

◆「糖尿病の人が知っておきたいお酒の飲み方とは」>>

4.使用上の注意点


メトグルコを安全に続けるためには、服用できない人や一時的に中止が必要になる場面を知っておくことが大切です。

ここでは服用前後に確認したい注意点と、低血糖が起きたときの対応について解説します。

4-1.服用できない、または慎重な判断が必要な人

通常、メトグルコは10歳未満の子ども妊娠中・授乳中の女性には使用しません。

特に妊娠の可能性がある場合は、胎児に催奇形のリスクがあるため、使用を中止します。

授乳中の方では、治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮して、授乳を続けるか中止するかを含めて医師が判断します。

また、高齢者では腎機能や肝機能が低下していることが多く、脱水も起こしやすいため、特に75歳以上では慎重な判断が必要です。

服用中も、腎機能(eGFRなど)や肝機能を定期的に確認しながら使用します。

◆「糖尿病になりやすい人とは?」>>

メトグルコによる乳酸アシドーシスは危険な副作用です。

そのため、腎臓、肝臓、心臓、肺に重度の障害がある方や透析患者、手術前後の方、重度の感染症にかかっている方など、リスクが高い人には使用できません。

また、脱水症状がある方や過度の飲酒がある方にも使用できません。

4-2.一時的に服用を中止することがある場面

普段は問題なくメトグルコを服用している人も、下記に該当する場合には、乳酸アシドーシスを防ぐために服用を一時中断することがあります。

・脱水の症状があるとき
・発熱や下痢、嘔吐、食事がとれない等の体調不良のとき
・ヨード造影剤を用いて検査をするとき

上記に該当する場合は、いったん服用を中止し、主治医や薬剤師に相談してください。

特にヨード造影剤を用いる検査では、検査前に一時中止し、投与後48時間は再開しないこととされています。

再開の時期は体調や腎機能を確認したうえで判断されるため、自己判断は避けましょう。

【参考情報】『メトグルコ錠250mg/メトグルコ錠500mg 添付文書』PMDA 医薬品医療機器総合機構
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/400093_3962002F2027_1_22

4-3.低血糖が起きたときの対応

メトグルコを使うと、低血糖を起こすことがあります。

特に、ほかの糖尿病治療薬やインスリンと併用している場合、食事量が少ない場合には注意が必要です。

<低血糖の初期症状>
・冷や汗
・吐き気
・強い空腹感
・脱力感
・動悸
・手足のふるえ
・ふらつき

このような症状が現れたら、転倒を防ぐため安全な場所に座り、ブドウ糖または砂糖を含むジュース、ラムネなどを摂取してください。

ただし、α-グルコシダーゼ阻害薬を併用している場合は、砂糖を体が吸収しやすい形に分解する働きを遅らせるため、低血糖時には砂糖よりも、すぐに吸収されやすいブドウ糖で対応しましょう。

また、強いだるさ、筋肉痛、息苦しさ、過呼吸、強い吐き気などがある場合は低血糖ではなく乳酸アシドーシスの可能性もあるため、直ちに受診が必要です。

【参考情報】『重篤副作用疾患別対応マニュアル 低血糖』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1d45.pdf

5.メトグルコの薬価


メトグルコの1錠あたりの価格(2026年4月時点)は次のとおりです。

 ・メトグルコ錠250mg 10.80円/錠
 ・メトグルコ錠500mg 10.80円/錠

※薬価は改定により変更されることがあります。

メトグルコにはジェネリック医薬品がありますが、薬価はすべて同じではありません。

薬価改定により価格が変更されることがあるため、実際の薬価は処方時点の薬価基準を確認しましょう。

また、メトグルコと同じくメトホルミンを使った医薬品にグリコランがあります。

メトグルコとグリコランは同じメトホルミン製剤ですが、確認できるグリコランの規格は250mg錠で、2026年4月時点の薬価は10.50円/錠です。

そのため、同じ成分の薬でも、製品によって規格や費用が異なる点に注意が必要です。

◆「糖尿病治療薬 メトホルミン」について詳しく>>

メトグルコは処方箋医薬品として扱われているため、市販薬として購入することはできません。

服用を希望する場合は、医療機関を受診して処方を受ける必要があります。

6.おわりに

メトグルコは、2型糖尿病の治療で広く使われている薬で、血糖値の改善に役立つとされています。

一方で、下痢などの胃腸症状や、まれに乳酸アシドーシスといった重い副作用に注意が必要です。

また、糖尿病治療薬は他にもさまざまな種類があるため、症状に応じて別の薬に変更することもあるでしょう。

糖尿病の治療は、食事療法と運動療法が基本です。薬だけに頼るのではなく、規則正しい生活習慣を身につけ、少しずつ糖尿病を改善していきましょう。

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