ブログカテゴリ
外来

糖尿病治療薬「フォシーガ」の特徴と効果、副作用

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2026年06月23日

フォシーガは、糖尿病心不全などの治療に使われる錠剤です。

この薬は、血液中のグルコース(ブドウ糖)を尿と一緒に排出し、血糖値を下げる効果があります。

また、心臓や腎臓への負担を軽減する働きもあります。

さらに、体重の減少も期待できるため、ダイエット目的で服用を考えている方もいるかもしれません。

ただし、フォシーガにはいくつかの副作用もあります。

低血糖や脱水、性器や尿路の感染症などが報告されており、特に腟カンジダ症などの性器感染症は、5%以上の確率で発生する可能性があると言われています。

本記事を通じて、フォシーガを適切に使用するための理解を深めていきましょう。

1.フォシーガとはどのような薬か


フォシーガは、ダパグリフロジンという成分を含む血糖降下薬で、SGLT2阻害薬の一つです。

主に、1型・2型糖尿病の治療薬として使われます。

【参考情報】『Dapagliflozin』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a614015.html

血糖値が上がる原因となる血液中のグルコース(ブドウ糖)は、血液から尿が作られる際に、尿細管にあるSGLT2というタンパク質のはたらきによって血液の中に戻ります。

フォシーガは、SGLT2のはたらきを阻害して、血液中のグルコースを尿と一緒に体外へ排出することによって、血糖値を下げる仕組みの薬です。

【参考情報】『Sodium-glucose Cotransporter-2 (SGLT2) Inhibitors』National Library of Medicine
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK576405/

フォシーガは、慢性心不全や慢性腎臓病の治療薬としても使われることがあります。

血液中のグルコースを排出すると尿の量が増えるので、体内の水分量が効率よく減少します。

その結果、心臓や腎臓の負担が軽減されるのです。

ただし、透析中の人や、末期の腎不全の患者さんは、フォシーガを服用するとかえって腎機能が悪化する恐れがあると報告されています。

そのため、腎臓の状態によっては使用できない場合もあります。

◆「糖尿病」についてくわしく>>

1-1.フォシーガの臨床試験データ

フォシーガの効果は、多くの大規模な臨床試験によって科学的に証明されています。

ここでは、主な臨床試験の結果をご紹介します。

<2型糖尿病における効果>
フォシーガを24週間服用した結果、HbA1c(過去1〜2か月の平均血糖値を示す指標)が5mgで0.41%、10mgで0.45%低下し、体重も5mgで2.13kg、10㎎2.22kgで減少したことが報告されています。

この結果から、フォシーガは血糖コントロール効果があることがわかります。

<慢性心不全における効果(DAPA-HF試験)>
標準的な心不全治療を受けている患者さんにフォシーガを追加投与したところ、心臓や血管の病気による死亡、または心不全悪化による入院のリスクが29%低下しました。

この試験では、糖尿病の有無に関係なく効果が認められたことが重要なポイントです。

つまり、フォシーガは糖尿病がない心不全患者さんにも有効であることが証明されたのです。

【参考情報】『Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease』NEJM
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2024816

2.フォシーガの使い方


フォシーガは、1日1回、水かぬるま湯と一緒に服用します。

服用対象は15歳以上の成人で、服用量は治療する疾患によって異なります。

<1型糖尿病>
インスリン製剤と併用し、1日1回5mg(ダパグリフロジンとして)を服用します。
効果が不十分な場合、1回10mgに増量することがあります。

<2型糖尿病>
1日1回5mg(ダパグリフロジンとして)を服用します。
効果が不十分な場合、1回10mgに増量することがあります。

<慢性心不全・慢性腎臓病>
1日1回10mg(ダパグリフロジンとして)を服用します。
1型糖尿病もある場合は、最初は1日1回5mgから始め、インスリン製剤の量を調整しながら、最終的に1日1回10mgに増量します。

フォシーガは、医師が指示したタイミングで毎日服用してください。

尿の量が増えるため、トイレの回数も増えることがあるので、もしトイレの問題で困ることがあれば、医師に相談しましょう。

◆「糖尿病の尿の特徴とは?」>>

3.フォシーガの副作用


フォシーガの服用中には、次のような副作用が起こる場合があります。
 ・腟カンジダ症などの性器感染症
 ・膀胱炎などの尿路感染症
 ・頻尿
 ・発疹
 ・陰部のかゆみや不快感

フォシーガの服用中は、尿中の糖が増えるため、感染症にかかりやすくなります。

感染症を予防するには、こまめに水分を補給し、トイレを我慢しないことが大切です。

また、陰部を清潔に保つことも予防に役立ちます。

また、下記のような重篤な副作用にも注意が必要です。
 ・低血糖
 ・脱水
 ・ケトアシドーシス

フォシーガは、食事や水分摂取に関係なく血糖値を下げ、尿量も増やすため、その影響で低血糖や脱水症状が起こりやすくなることがあります。

◆「低血糖」についてくわしく>>

また、糖尿病の患者さんは、糖尿病性ケトアシドーシスという合併症を引き起こすことがありますが、フォシーガをはじめとするSGLT2阻害薬は、このリスクを高めるとされています。

低血糖、脱水、ケトアシドーシスが起こると、口の渇きや吐き気、強い眠気やだるさといった症状が現れることがあります。

このような症状や急な体調の変化が見られた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

◆「糖尿病の合併症」について>>

4.使用上の注意点


フォシーガには、胎児や母乳に影響を与える可能性のある成分が含まれているため、妊娠中や授乳中の服用は基本的に避けます。

また、15歳未満の子どもには通常使用されません。

前述のとおりフォシーガには、低血糖や脱水といった副作用があるため、血糖値を下げる薬や利尿作用のある薬を併用する際は注意が必要です。

また、日常生活でも、低血糖や脱水を防ぐよう心がけましょう。

<低血糖や脱水に注意が必要な人>
 ・高齢者
 ・食生活が不規則な人
 ・過剰に飲酒する人
 ・激しい運動をする人

最近では、ダイエット目的で自由診療によりフォシーガを処方してもらう人も増えています。

しかし、薬には常に副作用のリスクがつきまといます。

重い副作用に発展する可能性も考慮して、本当に自分に必要な薬なのかどうか、慎重に考えることをおすすめします。

フォシーガを服用すると、尿中にグルコース(ブドウ糖)が排出されるため、尿検査で尿糖が陽性になることがあります。

しかし、これはフォシーガの作用によるもので、異常ではありません。

健康診断を受ける際には、フォシーガを服用していることを、事前に伝えておくとよいでしょう。

【参考情報】『尿検査』日本予防医学協会
https://www.jpm1960.org/jushinsya/exam/exam05.html

4-1.フォシーガを服用できない方

<フォシーガを服用できない方(禁忌)>
以下に該当する方は、フォシーガを服用することができません。
・フォシーガの成分に対して過敏症の既往歴がある方
・重症ケトーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡の状態にある方
・重症感染症、手術前後、重篤な外傷がある方

糖尿病のある方で、感染症や手術、大きなけがをしている場合は、インスリン注射による血糖管理が必要です。

<慎重に服用する必要がある方>
以下に該当する方は、医師と相談しながら慎重に服用する必要があります。
・脱水を起こしやすい方(高齢者、利尿薬を服用中の方など)
・尿路感染症や性器感染症にかかっている方
・腎機能が低下している方
・肝機能が低下している方
・妊娠中、妊娠の可能性がある方、授乳中の方
・15歳未満のお子さん

4-2.フォシーガとの飲み合わせに注意が必要な薬

<飲み合わせに注意が必要な薬>
フォシーガと他の薬を併用する際には、以下の点に注意が必要です。

1.血糖を下げる薬との併用
・インスリン製剤
・スルホニルウレア剤(SU薬:アマリール、グリミクロンなど)
・速効型インスリン分泌促進薬(グリニド系:グルファストなど)

これらの薬と併用すると、低血糖のリスクが高くなります。併用する場合は、それぞれの薬の用量を調整する必要があります。

2.利尿薬との併用
・ループ利尿薬(ラシックスなど)
・サイアザイド系利尿薬(フルイトランなど)

利尿薬と併用すると、脱水や血圧低下のリスクが高くなります。こまめな水分補給と血圧のモニタリングが必要です。

3.血糖降下作用に影響する薬
・β遮断薬(高血圧や心不全の治療薬)
・サリチル酸製剤(アスピリンなど)
・MAO阻害薬(パーキンソン病の治療薬)
・副腎皮質ホルモン(プレドニンなど)
・甲状腺ホルモン
・アドレナリン

これらの薬を服用している場合は、血糖値が予想外に変動する可能性があるため、医師に必ず伝えてください。

4.その他の注意が必要な薬
・リチウム製剤(精神疾患の治療薬):血中リチウム濃度が下がる可能性があります。

【参考情報】『フォシーガ錠5㎎フォシーガ錠10㎎』JAPIC
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00062726.pdf

5.フォシーガの薬価


フォシーガの1錠あたりの薬価(2026年2月調べ)は次のとおりです。
 ・フォシーガ錠5mg  149.3円/錠
 ・フォシーガ錠10mg 220.3円/錠

フォシーガには「ダパグリフロジン」というジェネリック医薬品があります。

ダパグリフロジンの1錠当たりの薬価(2026年2月調べ)は次の通りです。
 ・ダパグリフロジン錠5mg  50.1円/錠
 ・ダパグリフロジン錠10mg 74円/錠

6.おわりに

フォシーガと同じような作用を持つSGLT2阻害薬には、スーグラ、ルセフィ、カナグルなどがあります。

そのほかにも、糖尿病の治療薬にはさまざまな種類があります。

効果が感じられない場合や副作用がつらい場合は、医師に相談して他の治療薬も検討するとよいでしょう。

糖尿病の治療では、規則正しい生活習慣とバランスの良い食生活を心がける必要があります。

乱れた生活習慣では治療薬の副作用も起こりやすいため、忙しい毎日でもご自身の習慣を整えていきましょう。

◆横浜市で糖尿病の検査と治療ができる病院をお探しなら>>

以下のような方は、一度ご相談ください

  • 健康診断で数値の異常を指摘された
  • 体のだるさや疲れやすさが続いている
  • 生活習慣の改善方法を知りたい
  • 気になる症状があるが、何科を受診すべきかわからない

気になることがある方は、お気軽にご相談ください。

迷う方はAI問診で簡単チェック

1分で受診の目安をお伝えします

AI問診をはじめる
横浜市南区六ツ川1-81 FHCビル2階