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外来

花粉症の市販薬~薬局やドラッグストアでの選び方

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2025年12月10日

花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が体に入ったとき、免疫が過剰に反応して起こるアレルギーの一種です。

主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどで、花粉が飛ぶ季節になると毎年繰り返しやすいのが特徴です。

花粉症の薬は、医師の診察を受けて処方してもらうと安心です。しかし、仕事や育児などで忙しいと、なかなか病院に行けないこともあるでしょう。

そんな人のために、この記事では、薬局やドラッグストアで花粉症の症状を和らげる薬を購入する際のポイントを紹介します。

店舗の薬剤師に症状を説明し、適した薬を紹介してもらってください。

1.花粉症の内服薬(飲み薬)


市販の花粉症の内服薬は、抗ヒスタミン薬を中心に、抗アレルギー薬やほかの薬を合わせて作られています。

花粉が飛ぶ前から予防的に飲み始めると、症状がひどくなってから飲むより高い効果が期待できます。

1-1.抗ヒスタミン薬とはどんな薬?

抗ヒスタミン薬は、花粉症などのアレルギー症状を抑えるために広く使われている薬です。

花粉が体に入ると、免疫反応によって「ヒスタミン」という物質が放出されるのですが、ヒスタミンは、鼻水・くしゃみ・鼻づまり・目のかゆみといった不快な症状を引き起こす原因になります。

【参考情報】『Histamine』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/articles/24854-histamine

抗ヒスタミン薬は、このヒスタミンの働きをブロックし、症状の発生を抑えるのが役割です。くしゃみや水のような鼻水に特に効果があり、花粉症治療の基本となる薬でもあります。

1-2.抗ヒスタミン薬・2つのタイプ

抗ヒスタミン薬には、古くから使われてきた「第一世代」と、副作用を抑えた「第二世代」があります。第一世代は速効性がありますが眠気が強く出ることがあり、現在は眠気が少なく日常生活に支障をきたしにくい第二世代が一般的です。

ただし、第二世代抗ヒスタミン薬の中でも、眠気が出やすいもの・出にくいものがあるので、購入の際は薬剤師に確認するといいでしょう。特に車を運転する時は、眠気の出やすい薬を服用しないように注意しましょう。

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2.花粉症の点鼻薬


点鼻薬は、花粉症の治療では、飲み薬と並んでよく使われます。

2-1.点鼻薬の特徴とメリット

点鼻薬は、鼻に直接スプレーして使用することで、鼻水・鼻づまり・くしゃみなどの症状を抑える薬です。

現在は、炎症を抑えるステロイド点鼻薬が主流ですが、鼻の血管を収縮させて鼻づまりを改善するタイプや、アレルギー反応そのものを抑える抗アレルギー点鼻薬など、目的に応じていくつかの種類があります。

点鼻薬の大きな利点は、眠気が出ないことです。抗ヒスタミン薬の内服で眠くなりやすい人や、仕事や運転で眠気が出ては困る人にとっては有効な選択肢になります。

市販の抗ヒスタミン薬の飲み薬と併用できるものも多く、症状の程度に合わせて組み合わせることが可能です。

2-2.ステロイド点鼻薬

ステロイド点鼻薬は、鼻の炎症を抑えることで、鼻づまりだけでなく、くしゃみ・鼻水にも効果があります。

飲み薬と違って鼻の粘膜にのみ直接作用するため、効果が現れるまでに数日かかりますが、継続することで安定した症状改善が期待できます。

「ステロイド」という名前から副作用を心配する人も多いですが、点鼻薬として使うステロイドは体内に吸収される量がごくわずかで、全身的な副作用はほとんど起こりません。

【参考情報】『点鼻ステロイドの副作用』日本医事新報社
https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_14886

花粉症シーズンに毎日使う治療薬として、医療現場でも推奨されています。

2-2.血管収縮剤の入った点鼻薬

血管収縮薬は、鼻の中の血管を縮めて空気の通り道を広げ、強い鼻づまりを短時間で改善します。効果が早く、就寝前やどうしても鼻を通したい場面で役立ちます。

ただし、頻繁に使用すると薬が効きにくくなり、かえって鼻の粘膜が腫れて鼻づまりが悪化する「薬物性鼻炎」を引き起こす恐れがあります。

市販薬にもこのタイプが含まれていますが、使用は短期間にとどめることが重要です。重症化すると手術が必要になるケースや、手術しても再発することがあります。

【参考情報】『点鼻用血管収縮薬による薬剤性鼻閉 33 例の検討』湯田厚司,小川由起子
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/62/12/62_KJ00008991930/_pdf

2-3.抗アレルギー点鼻薬

抗アレルギー点鼻薬は、アレルギー反応を抑えることで鼻水・鼻づまり・くしゃみを軽減します。

ステロイドほど強力ではありませんが、眠気が出ず、副作用も少ないため、軽症の花粉症やアレルギー性鼻炎に向いています。

2-4.花粉ブロック用のクリーム


鼻の穴に塗って、鼻から花粉が入り込むのを防ぐためのクリームやジェルも販売されています。

これらの製品は医薬品ではないので治療効果は期待できませんが、マスクやメガネと同じように、花粉が体内に侵入することを防ぐ目的で使うのは構いません。

◆「花粉症対策~外出時・自宅・生活でのポイント」>>

3.花粉症の点眼薬


市販の点眼薬で「花粉症用」として販売されている製品は、抗アレルギー点眼薬が中心です。

コンタクトレンズを使用している人はコンタクト用の点眼薬を使用するか、メガネに切り替えてから点眼薬を使用してください。

3-2.抗アレルギー点眼薬

抗アレルギー点眼薬には、抗アレルギー成分や抗ヒスタミン成分が含まれており、かゆみ・充血・涙目などのアレルギー症状を抑える目的で使われます。

花粉症の季節には広く利用される治療法で、コンタクトレンズ装用者向けの製品もあります。

ただし、これらの薬は症状を落ち着かせるまでに時間がかかることが多く、即効性はあまり期待できません。

2~3日使用してもかゆみや充血が改善しない場合は、別の治療が必要な可能性があるため眼科を受診してください。

3-3.人工涙液

目がかゆい・ゴロゴロする・涙が止まらないといった症状がつらいときには、人工涙液を使って花粉を洗い流す方法が有効です。

人工涙液とは、涙とほぼ同じ成分になるように調整された点眼薬で、目の乾燥(ドライアイ)のケアに広く使われていますが、花粉症の時期には、目の表面に付着した花粉を落とすためにも役立ちます。

特に、防腐剤が含まれていないタイプの人工涙液は目への刺激が少なく、繰り返し使用する場合に適しています。

【参考情報】『Artificial tears: How to select eyedrops for dry eyes』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/dry-eyes/expert-answers/artificial-tears/faq-20058422

目がかゆくても、水道水での洗眼は避けてください。水道水には消毒用の塩素が含まれ、角膜や結膜を傷つける恐れがあります。

また、防腐剤入りの目薬は角膜に負担をかけることがあるため、用法・用量や使用期限を守って使う必要があります。

使いすぎると逆に目の状態を悪化させることもあるため、症状が改善しない場合は眼科で相談しましょう。

4.花粉症の市販薬と処方薬の違い


花粉症治療の市販薬と処方薬は、選べる成分や効果の幅に違いがあります。

4-1.市販薬(OTC)

抗ヒスタミン薬、点鼻薬、点眼薬などが中心です。眠気の少ない第二世代抗ヒスタミン薬も選べるため、軽症~中等症の人は市販薬で十分コントロールできることもあります。

ただし、成分や配合量には上限があり、強めの治療が必要なケースには向きません。自己判断で合わない薬を選ぶと、眠気や口の渇きといった副作用が出る場合もあります。

【参考情報】『OTC医薬品とは?』日本OTC医薬品協会
https://www.jsmi.jp/what/

4-2.処方薬(医療用医薬品)

市販薬より種類が豊富で、症状の強さや合併症に合わせた細かい調整が可能です。

抗ヒスタミン薬のラインナップも多く、より眠気が少ない薬、効果が強い薬など、市販薬では買えない治療選択肢があります。

症状が重い人や、目・鼻・喉と複数の部位がつらい人には処方薬が適しています。

◆「重症の花粉症」についてくわしく>>

5.花粉症の市販薬に関するよくある質問と答え


Q1. 市販薬を併用するときに、成分の重複をどう見分ければいい?
花粉症の市販薬を複数使うと、同じ抗ヒスタミン成分や血管収縮成分が重複することがあります。重複すると、強い眠気・口の渇き・薬物性鼻炎などの副作用につながります。

しかし、パッケージだけで成分を正確に比較するのは難しいため、併用する場合は薬剤師に成分表を確認してもらうのが安全です。

Q2. 市販薬で良くならないのは、花粉症ではない可能性がある?
市販薬を使っても改善しない場合、花粉症ではなく、副鼻腔炎など別の病気が原因のことがあります。

特に、「片側だけ鼻づまりが続い」「鼻水が粘っこい」といった場合は、市販薬では判断が難しいため、医療機関を受診するのが良いでしょう。

Q3. 花粉症の市販薬はいつから飲み始めるのが効果的なのか?
花粉症の内服薬は、飛散開始後よりも、症状が出る前から飲み始めると効果的です。ただし、最適な開始時期は花粉の種類・地域・前年の症状で変わります。

市販薬の説明書では明確なタイミングがわからないため、飛散予測と過去の症状をもとに、薬剤師に相談して開始時期を調整するのが確実です。

Q4. 花粉症の市販薬を妊娠中・授乳中に使って大丈夫?
市販薬の中には妊娠・授乳中でも比較的安全性が高いとされる成分がありますが、妊娠週数や既往歴によって適切な薬は大きく異なります。

市販薬のパッケージでは判断できないため、妊娠中の服薬は必ず医師または薬剤師の確認が必要です。

6.おわりに

病院を受診する時間が取れない方にとって、市販薬はとても便利ですが、2週間ほど使ってみても症状が改善しない時は医師に相談してください。

長い間薬を使うことを考えると、費用の面でも病院での保険診療の方が、負担が少なくなります。

また、病院で処方される薬は市販薬より新しいものが主流なので、市販薬では効き目が感じられなかった人も、病院では自分に合った薬に出会えるかもしれません。

つらい時は、症状に合わせて耳鼻科、眼科、アレルギー科などの専門医に相談し、自分に合った薬を処方してもらいましょう。

◆「花粉症の治療」について>>

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