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外来

花粉症の治療~対症療法と根治治療

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2020年09月22日

一般に病院で行う花粉症の治療には、鼻水や鼻づまりなどの症状を抑える「対症療法」と、花粉症そのものを完全に治すための「根治療法」があります。

1.対症療法

花粉症の対症療法の基本は、薬を使った薬物療法です。なかでも中心となるのが、第二世代抗ヒスタミン薬と呼ばれる薬です。

1-1.内服薬(飲み薬)

  • 抗アレルギー薬
    アレルギーの症状を抑える薬で、「ケミカルメディエーター遊離抑制薬」「抗ロイコトリエン薬」「抗トロンボキサン薬」「Th2サイトカイン阻害薬」があります。

    抗アレルギー薬は効果が現れるまでに時間がかかるので、花粉が飛散する2週間ほど前から飲み始めるのが良いとされています。抗ロイコトリエン薬は鼻づまりが強いときや、花粉によって引き起こされる咳があるときに使われます。

  • 抗ヒスタミン薬
    アレルギーの症状を引き起こすヒスタミンの働きをブロックする薬です。抗アレルギー薬より、くしゃみや鼻水を抑える即効性があります。抗ヒスタミン薬には第一世代と第二世代がありますが、眠気や便秘などの副作用が強い第一世代に比べ、副作用が軽い第二世代の薬が広く使われています。
  • ステロイドを配合した薬
    ステロイド剤は、アレルギー反応を抑える働きが強く即効性があります。しかし、免疫の働きを抑えてしまうため、長期にわたって服用すると、血糖値の上昇やむくみなど、さまざまな副作用があります。重症の場合など、どうしても必要な場合に限り使う薬です。

1-2.点鼻薬

  • ステロイド点鼻薬
    くしゃみや鼻水など、鼻の症状が強いときに使われます。内服薬と違い、点鼻薬のステロイドはほとんど体内に吸収されないように改良されているので、副作用は非常に少ないのが特徴です。妊婦や子ども、持病のある方に処方されることもあります。

    ステロイド点鼻薬は、効果が出るまでに2週間ほどかかるので、花粉が飛散する前から使うとより効果的です。毎年花粉症に悩んでいる人は、鼻の症状がひどくなる前に病院で処方してもらうのがよいでしょう。

  • 抗アレルギー点鼻薬
    ヒスタミンなどのアレルギー反応を引き起こす物質の働きを抑える薬です。症状が軽い場合は抗アレルギー剤点鼻薬のみ、中程度の場合はステロイド点鼻薬と一緒に処方されることが多いです。
  • 点鼻用血管収縮薬
    鼻づまりや鼻水を抑える即効性がある薬です。しかし、使い続けていると効果が薄れてしまったり、かえって鼻づまりがひどくなることがあります。症状がひどい時に一時的に処方されることがありますが、医師や薬剤師の指導に従い、適切な量と回数を守って使用しましょう。

1-3.点眼薬

  • 抗アレルギー点眼薬
    かゆみや充血の原因となるヒスタミンなどの発生を抑える薬です。内服薬や点鼻薬と同じように、花粉が飛散し始める2週間ほど前から使用すると、より効果があります。
  • ステロイド点眼薬
    症状の強い時に使用する点眼薬です。副作用の少ないステロイド点鼻薬とは違い、ステロイド点眼薬には眼圧上昇のリスクがあるので、必ず医師や薬剤師の指示に従って使用してください。自己判断で使用量や回数を増やすのは厳禁です。

1-4.貼り薬

第2世代抗ヒスタミン薬に分類される薬で、皮膚に貼り付けると有効成分が皮膚から吸収され、体内に浸透していきます。高齢者など内服薬を飲みこむのが難しい人や、薬を飲み忘れることが多い人、胃腸に負担をかけたくない人に向いています。ただし、皮膚が敏感な人、貼った箇所がかゆくなる恐れがあるので、貼る場所を毎回変えるなどの工夫をしましょう。

1-5.レーザー治療

鼻の粘膜に麻酔をかけ、レーザーで表面を焼くことで、粘膜がアレルギー反応を起こしにくくなります。治療にかかる時間は30分程度で、痛みや出血はほとんどありません。治療の有効率は80~90%、効果が続くのは平均2年とされています。

治療後は、鼻水や鼻づまりなど花粉症のような症状が出ることもありますが、徐々に落ち着いてきます。手術費用は1回につき1万円程度で、保険適用です。治療は花粉が飛び始める2ヶ月ほど前から始めるのがベストです。花粉症の症状が出ている間は避けましょう。

レーザー治療は、妊娠中・授乳中などで薬を飲みたくない人も受けることができます。また、鼻づまりの症状が強く、薬を使った治療では十分な効果が得られない人にも魅力的な選択肢です。ただし、血液をサラサラにする薬を飲んでいる人や、高血圧や緑内障の人は注意が必要なので、持病のある人は必ず医師と相談してください。 

1-6.注射

  • ステロイド注射
    ステロイド剤を筋肉に注射すると、花粉症の症状が2~3ヶ月ほど抑えられます。しかし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、血圧や血糖値の上昇などの副作用が引き起こされる恐れがあります。一部の医療機関では行われているようですが、おすすめできない治療法です。

    2.根治療法

    花粉症の根治療法としては、原因となる物質(アレルゲン)を少しずつ体の中に取り入れ、徐々に体を慣らしていくことで症状が出ない体質に変えていく「アレルゲン免疫療法」があります。花粉症のアレルゲン免疫療法は、スギ花粉のアレルギーのみ保険適応です。

    アレルゲン免疫療法には、注射で行うも「皮下免疫療法」と、舌の下に薬を含んで飲みこむ「舌下免疫療法」がありますが、手軽なこともあり、後者の方が主流となっています。どちらも治療には3~5年かかり、有効率は70~80%とされています。中には効果が得られない人もいますが、花粉症を根本から治療することが期待できる治療法です。花粉が飛散している時期は治療が開始できないので、希望する方は6~12月に病院を受診してください。

    アレルゲン免疫療法は、アレルギーの原因となる物質を投与するため、副作用として口内炎や喉のかゆみなどの副作用が起こる可能性があります。また、ごくわずかではありますが、じんましんや呼吸困難、突然のショック症状など、全身に重篤な反応(アナフィラキシー)が起こる可能性もあります。そのため、この治療法を行う医師には、講習会の受講およびテストに合格することが求められています。

    2-1.舌下免疫療法

    舌下免疫療法で保険適用の薬には、液体の「シダトレン」と、錠剤の「シダキュア」があります。どちらもスギ花粉のアレルギーに対応した薬で、服用前にはスギ花粉症と診断される必要があります。最初はスギ花粉のエキスの濃度が低い薬を服用し、その後濃度の高い薬に替えて、3~5年間飲み続けます。

    シダトレンは12歳以上が対象ですが、シダキュアは原則5歳以上が対象で、幼児でも服用することができます。どちらも初めて服用するときは、副作用が出る恐れがあるので、医師の監督のもとで行います。特に喘息や高血圧などの持病のある方は、必ず医師に申し出てください。また、治療が長期にわたるため、妊娠を希望している方も医師に相談してください。

    2-2.皮下免疫療法

    舌下免疫療法では、口からスギ花粉のエキスを入れますが、皮下免疫療法では、注射でエキスを体に入れます。最初は1週間に2回の注射から初め、徐々に間隔をあけ、3~5年間注射を続けます。

    注射の痛みを伴うため、痛みに敏感な方にはおすすめできませんが、医療機関を受診してその場で注射をするので、確実に服薬できるのがメリットです。自分で服薬を長期間コントロールする舌下免疫療法が難しい人は、検討してもよいでしょう。

    3.おわりに

    すぐ買える市販の薬は手軽で便利ですが、病院を受診すると、自分の症状や事情に合わせて薬を処方してもらえる良さがあります。また、長期間薬を使用する場合は、病院で薬を処方してもらった方が、費用の面でも安く済むことが多いです。

    花粉症の治療を受けたい人は、アレルギー外来のある内科や耳鼻咽喉科、眼科を受診してください。お子さんは小児科でも構いません。免疫療法は実施できる病院が限られているので、病院のホームページなどで確認してから受診してください。

    ◆「花粉症の検査」について>>

    【参考文献】
    ・大久保公裕(2009)『あなたの知らない 花粉症の治し方』暮しの手帖社
    ・的確な花粉症の 治療のために(第2版) – 厚生労働省
    https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000077514.pdf

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