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副鼻腔炎の治療で睡眠時無呼吸症候群が改善?2つの病気の関連とは

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2022年09月17日

睡眠時無呼吸症候群の症状のひとつに「毎日のようにいびきをかく」というのがあります。

いびきは、副鼻腔炎で鼻が詰まっていても出やすくなりますが、副鼻腔炎を治療するといびきが減り、睡眠時無呼吸症候群の症状が改善できる可能性があります。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群と副鼻腔炎の関連を説明し、副鼻腔炎の治療で睡眠時無呼吸症候群の症状が改善する可能性について述べます。

1.睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気か

睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に無呼吸や低呼吸を繰り返すことで、起床後の頭痛や倦怠感、日中の眠気など、さまざまな不調を引き起こす病気です。

肥満体型の人やあごが小さい人、扁桃腺が大きい人に多く、治療せずに放っておくと、心筋梗塞や脳梗塞など、命にかかわる合併症が引き起こされることがあります。

◆「実は怖い!睡眠時無呼吸症候群の合併症とは?」>>

2.なぜ、睡眠時無呼吸症候群だといびきが出るのか

睡眠中は全身の筋肉が緩むため、舌や喉の周りの筋肉も緩みます。すると、空気の通り道である気道が狭くなります。さらに、寝ると重力で舌が喉の方に落ち込むため、ますます気道が狭くなります。

このように狭くなった気道に空気が入るとき、空気が振動して音が出ることがあります。その音がいびきです。

睡眠時無呼吸症候群の人は、喉や舌に脂肪がついていたり、舌が落ち込んでしまうなどの原因で、健康な人より気道が狭くなっています。

病気のためもともと狭くなっている気道が、睡眠中はさらに狭くなることで、いびきが出やすくなるのです。

◆「そのいびき、睡眠時無呼吸症候群のせいかもしれません」>>

3.なぜ、鼻が詰まるといびきが出るのか

いびきは、風邪などの病気で鼻が詰まり、鼻の通りが悪くなった時も、普段よりひどくなります。

寝ているときに鼻が詰まると、口を開けて呼吸するようになります。すると、舌が喉に落ち込んで気道をふさいでしまうため、いびきが出やすくなるのです。

風邪をひいた時にいびきがひどくなっても、病気が治ればいびきも出なくなるので心配ありません。しかし、鼻が詰まる原因となっている病気が続いている間は、いびきもなかなか治まりません。

4.副鼻腔炎とはどのような病気か

鼻の内部には、粘膜に覆われた副鼻腔という空洞があります。この部分に炎症が起きた状態を副鼻腔炎といいます。

4−1.急性副鼻腔炎

風邪のウイルスや細菌が副鼻腔に及び、炎症を起こした状態です。

粘り気のある黄色っぽい鼻水が出るほか、顔や頭に痛みを覚える、鼻水がのどに流れる後鼻漏(こうびろう)などの症状が現れます。

4−2.慢性副鼻腔炎

急性副鼻腔炎が慢性化し、症状が3カ月以上続いている状態です。

4−3.好酸球性副鼻腔炎

慢性副鼻腔炎の一種で、鼻の中にポリープ(鼻茸)が多発します。もともと喘息などのアレルギー性疾患を持っている人に多く、アレルギー体質が影響している病気だと言われています。

【参考情報】『好酸球性副鼻腔炎(指定難病306)』難病情報センター
https://www.nanbyou.or.jp/entry/4537#:~:text=%E5%A5%BD%E9%85%B8%E7%90%83%E6%80%A7%E5%89%AF%E9%BC%BB%E8%85%94%E7%82%8E%E3%81%AF%E3%80%81%E4%B8%A1%E5%81%B4%E3%81%AE,%E6%9C%89%E5%8A%B9%E3%81%AA%E6%B2%BB%E7%99%82%E6%B3%95%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

5.睡眠時無呼吸症候群と副鼻腔炎の関係とは

副鼻腔炎を治療すると、睡眠時無呼吸症候群の症状が改善する可能性があります。

また、副鼻腔炎を治療すると、睡眠時無呼吸症候群の治療がスムーズになります。

5−1.副鼻腔炎の治療法

急性副鼻腔炎の治療には、抗菌薬や鼻の炎症を抑える薬を使用します。

治療を続けても症状が改善しない場合や、すぐに再発したときには、3カ月ほど抗菌薬を用い、必要に応じて抗アレルギー剤や去痰薬なども処方します。

それでも良くならない場合は、ポリープや粘膜を取り除く手術をすることがあります。

5−2.副鼻腔炎の治療で睡眠時無呼吸症候群が改善する可能性

慢性副鼻腔炎をはじめとした、鼻づまりのある鼻疾患の患者さんを対象に行った研究では、手術により睡眠時の無呼吸が改善されたことが報告されています。

【参考情報】『睡眠時無呼吸に対する鼻手術の効果』石塚洋一,坂田英明,櫻井尚夫
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibirin1925/87/12/87_12_1651/_pdf

鼻づまりが、睡眠時無呼吸症候群の危険因子であることを示唆する論文はほかにも複数あり、慢性副鼻腔炎の改善が、いびきや無呼吸の改善につながることが読み取れます。

【参考情報】『Nasal obstruction as a risk factor for sleep-disordered breathing』Journal of Allergy and Clinical Immunology
https://www.jacionline.org/article/S0091-6749(97)70124-6/fulltext

5−3.副鼻腔炎を治療すると、CPAPで睡眠時無呼吸症候群が改善できる

睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療法は、寝ている間にCPAP(シーパップ)という装置を用いて呼吸をサポートする方法です。

◆「睡眠時無呼吸症候群の治療で使う「CPAP」とは?」>>

この治療法では、寝ている間に専用のマスクをつけて鼻から空気を送り込むことで、睡眠中の無呼吸を防ぎます。

しかし、鼻づまりがあると、空気を送り込む際に呼吸が苦しくなってしまい、無意識のうちにマスクを外してしまったり、口呼吸になってしまいます。

口呼吸になると、せっかく送り込んだ空気が口から漏れてしまい、治療の効果が薄れてしまいます。

睡眠時無呼吸症候群の治療を始める前には、鼻づまりの原因となる病気を治療しておくことをおすすめします。

◆「睡眠時無呼吸症候群は、どの診療科を受診すればよいか?」>>

6.おわりに

副鼻腔炎の症状により鼻がつまっている人は、睡眠時無呼吸症候群になりやすい傾向があります。

また、睡眠時無呼吸症候群の患者さんが副鼻腔炎を治療すると、いびきや無呼吸などの症状が改善する可能性があり、CPAPを用いた治療もより有効になります。

しかし、肥満や心疾患など、睡眠時無呼吸症候群を起こす別の要因も併せ持っている場合には、副鼻腔炎の治療だけではなく、それぞれの要因に合わせたアプローチが必要となります。

いびきや睡眠中の息苦しさが気になるときは、まずは呼吸器専門医に相談し、適切な治療につなげていきましょう。

◆当院の睡眠時無呼吸症候群の治療について>>

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