喘息・COPD治療薬「メプチンエアー」の特徴と効果、副作用
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メプチンエアーは喘息発作時の治療に用いる薬で、COPDの治療にも使用されます。
この記事では、メプチンエアーの使い方や効果、副作用などについて解説します。初めて使う方も、使っているうちに疑問点が出てきた方も、ぜひ読んで確認してください。
1.メプチンエアーとはどのような薬か
まずは、薬の特徴や喘息治療における役割、COPDで使用される場合について解説します。
1-1.喘息発作を改善する吸入薬
メプチンエアーは、気管支を広げる作用をもつβ₂(ベータツー)刺激薬「プロカテロール塩酸塩水和物」を有効成分とする吸入薬です。「エアー」はエアゾールの意味で、薬剤を噴霧させ吸入するタイプの薬を指します。
気管支をすばやく広げる作用があり、喘息発作時の息苦しさや咳、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューする呼吸)などの症状を速やかに和らげるために使用されます。
『β2-agonist therapy in lung disease』
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23348973/
吸入後は通常5分以内に効果が現れ始め、息苦しさや咳、喘鳴などの喘息発作の症状を速やかに和らげます。効果は約4〜6時間持続するため、発作時の症状改善に役立ちます。
1-2.発作を抑える薬で、炎症を抑える薬ではない
喘息の治療薬には、毎日服用することで発作を予防する「コントローラー(長期管理薬)」と、発作時にすぐに症状を抑える「リリーバー(発作治療薬)」があります。
メプチンエアーは、「リリーバー」にあたる薬です。気管支の収縮を改善することで呼吸を楽にしますが、気道の炎症そのものを治療する薬ではありません。
1-3.COPDで使う場合
メプチンエアーはCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんに処方されることもあります。
COPDでは通常、長時間作用性気管支拡張薬による治療が基本ですが、運動時や外出時など一時的に息苦しさが強くなる場面で、補助的に使用する「アシストユース」として処方される場合があります。
◆「咳がとまらない・しつこい痰・息切れは、COPDの危険信号」>>
2.メプチンエアーの使い方
メプチンエアーは、薬を噴射するタイミングに合わせてゆっくり息を吸い込む吸入薬です。
正しい方法で吸入することで、薬が気管支まで届きやすくなり、十分な効果が期待できます。
2-1.基本的な吸入方法
①キャップを外す
アダプターのキャップを外し、押しボタンが上になるように容器を持ちます。
※吸入前に容器のカウンターを見て薬の残量を確認しましょう
②吸入器をよく振る
ボンベの中の薬剤を混ぜ合わせます
③息を吐き出す
姿勢を正し、無理のない程度で、しっかり息を吐き切ります。
④薬剤を吸い込む
マウスピース(吸入口)を口に加え、しっかりと唇で覆います。息を吸い込み始めると同時にボタンを1回押し込み、薬を「ゆっくり」「深く」吸い込みます。
⑤息を止める
薬剤を吸い込んだら、マウスピースから口を離して3~5秒ほど息を止め、その後ゆっくりと息を吐いて呼吸を再開します。
⑥キャップをつける
⑦うがいをする
口の中に残った薬剤を洗い流します。
『メプチンエアー10μg 吸入100 回/患者向医薬品ガイド』大塚製薬
https://www.otsuka.co.jp/for-patients/information/assets/pdf/Meptin-air_201910.pdf
2-2.スペーサーを使用するメリット
メプチンエアーは、必要に応じてスペーサーを使用できます。スペーサーは吸入器と口の間に取り付ける補助器具で、薬を噴射するタイミングと吸い込むタイミングを合わせやすくなります。
また、薬が肺まで届きやすくなるほか、口や喉への薬の付着を減らせるため、小さなお子さんや高齢の方、吸入が苦手な方にも役立ちます。
【参考情報】『スペーサーの種類とメンテナンス』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/inhalers/feature02.html
2-3.吸入後のうがいは必要?
メプチンエアーは吸入ステロイド薬ではないため、吸入後のうがいは必須ではありません。
ただし、口の中に残った薬を洗い流して不快感を軽減したり、口腔内を清潔に保ったりするために、吸入後にうがいをする習慣をつけるとよいでしょう。
なお、吸入ステロイド薬を併用している場合は、その薬に合わせて吸入後のうがいを行ってください。
3.メプチンエアーの副作用
メプチンエアーは比較的安全性の高い薬ですが、以下のような副作用が現れることがあります。
<動悸>
メプチンエアーの代表的な副作用のひとつが動悸です。β₂刺激薬は気管支を広げる一方で、心臓にも影響を及ぼすことがあり、一時的に脈が速くなったり、心臓がドキドキすると感じたりする場合があります。
<手の震え>
これもβ₂刺激薬による代表的な副作用で、吸入後に一時的に現れることがありますが、多くは時間の経過とともに改善します。
<頭痛>
メプチンエアーの使用後に頭痛が起こることがあります。軽度で自然に治まることが多いものの、症状が続く場合や日常生活に支障をきたす場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
まれに、発疹やかゆみなどのアレルギー症状、不整脈、低カリウム血症などが現れることがあります。
【参考情報】『低カリウム血症』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000209227.pdf
また、吸入後にかえって息苦しさや喘鳴が悪化する「奇異性気管支れん縮」が起こることもあります。
吸入後に呼吸が苦しくなったり、強い動悸や胸の痛み、意識が遠のくような症状が現れたりした場合は、使用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。
4.使用上の注意点
メプチンエアーを安全に使用するためには、用法・用量を守ることに加え、使用回数の変化や併用薬、持病などにも注意が必要です
4-1.使用回数が増えたら注意
メプチンエアーの使用回数が増えている場合は、喘息が十分にコントロールできていない可能性があります。
メプチンエアーを頻繁に使用するようになった場合や、吸入しても十分な効果が得られない場合は、医療機関を受診し、治療内容を見直してもらいましょう。
効果が感じられないからといって、自己判断で吸入回数や吸入量を増やえると、動悸や手の震えなどの副作用が現れやすくなります。
4-2.併用薬や持病は事前に相談
他のβ₂刺激薬や交感神経刺激薬を含む薬と併用すると、副作用が強く現れることがあります。市販のかぜ薬や鼻づまりの薬などにも交感神経刺激薬が含まれている場合があるため、新たな薬を使用する際は、事前に医師または薬剤師に相談しましょう。
また、心疾患(狭心症・不整脈など)、高血圧、甲状腺機能亢進症、糖尿病などの持病がある方は、症状や副作用に影響する可能性があるため、使用前に医師へ伝えておくことが重要です。
4-3.その他の注意点
プチンエアーには添加物としてアルコールの一種である無水エタノールが含まれています。アルコールに敏感な方は、使用前に医師または薬剤師へ相談してください。
妊娠中または妊娠している可能性がある方、授乳中の方は、使用前に医師へ相談しましょう。
【参考情報】『Pregnancy and Asthma』American College of Allergy Asthma and Immunology
https://acaai.org/asthma/asthma-101/who-gets-asthma/pregnancy-and-asthma/
5.メプチンエアーの薬価
メプチンエアーの薬価(2026年6月調べ)は、以下となります。
・メプチンエアー10μg吸入100回 1,128.6円/キット
メプチンエアーのジェネリック医薬品は発売されていません。また、メプチンエアーに代わる市販薬も販売されていません。
メプチンエアーは、医師の診察のもとで症状や重症度に応じて使用する処方箋医薬品です。そのため、使用を希望する場合は医療機関を受診し、医師の診察を受ける必要があります。
6.メプチンエアーに関するよくある質問
Q. メプチンエアーは咳だけが続く場合にも使用できますか?
A. 喘息による咳であれば、症状の改善が期待できることがあります。一方で、咳の原因は風邪や肺炎、アレルギーなどさまざまであり、すべての咳に効果があるわけではありません。
咳が長引く場合や、メプチンエアーを使用しても改善しない場合は、原因を調べるために医療機関を受診しましょう。
Q. メプチンエアーをバッグやポケットに入れて持ち歩いても問題ありませんか?
A. 問題ありません。ただし、キャップをしっかり閉めて吸入口を清潔に保ち、高温になる場所や直射日光の当たる場所には長時間放置しないようにしましょう。
また、バッグやポケットの中で押しボタンが誤って押されないよう注意してください。
Q. メプチンエアーを旅行や外出時に持ち歩いても問題ありませんか?
A. 問題ありません。海外旅行では処方薬であることを証明する書類が必要になる場合があるため、事前に確認しておくと安心です。
7.おわりに
メプチンエアーと同じような、喘息発作時の呼吸困難を改善する薬剤には、以下のものがあります。
発作時に使うリリーバーは、とっさの時に上手に吸入できるよう、健康な状態のときに使い方を練習しておくと安心です。
メプチンエアーを吸入しても症状が治まらない場合、どのタイミングで救急受診をするのか、どのような状況で救急車を呼ぶのかなど、主治医に確認しておきましょう。













