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新型コロナウイルス感染症治療薬「ラゲブリオ」の特徴と効果、副作用

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年04月04日

ラゲブリオは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に用いる飲み薬です。

高齢者や持病のある方など、重症化リスクの高い人のうち、軽症から中等症の患者さんに処方されます。

また、重症化リスクは高くなくても、症状の強い患者さんに処方されることもあります。

この記事では、ラゲブリオの使い方や効果、副作用などについて解説します。初めて飲む方や、不安がある方は、ぜひ読んでください。

1.ラゲブリオとはどのような薬か


ラゲブリオは、モルヌピラビルという成分が入った抗ウイルス薬です。

モルヌピラビルには、新型コロナウイルスの増殖に必要な酵素の働きを妨げる作用があります。

【参考情報】『Molnupiravir』COVID-19 Treatment Guidelines|National Institutes of Health
https://www.covid19treatmentguidelines.nih.gov/therapies/antivirals-including-antibody-products/molnupiravir/

重症化リスクがあるワクチン未接種の患者を対象にした国際的な試験では、ラゲブリオが入院または死亡のリスクを、有意に低減させたと報告されています。

【参考情報】『Molnupiravir for Oral Treatment of Covid-19 in Nonhospitalized Patients』The New England Journal of Medicine 
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2116044?query=featured_home

ラゲブリオと同様に、重症化リスクの高い人に処方される飲み薬としてはパキロビッドがあり、試験では、ラゲブリオよりパキロビッドの方が、重症化リスクを低減させるという結果が出ています。

しかし、パキロビッドは併用できない薬も多いため、持病のある方は使えない場合があります。

◆「パキロビッド」について詳しく>>

ラゲブリオの投与の対象となるのは「18歳以上」とされているので、小さなお子さんが使えません。

2.ラゲブリオの用法・用量


ラゲブリオは「1日2回」「12時間ごとに」「5日間」、計10回飲む薬です。

ただし、飲み始めのタイミングによっては、日付をまたいで6日間となることもあります。

1回につき、800mg(200mgのカプセルを4つ)、1日1600mgを内服します。

3.ラゲブリオの副作用


ラゲブリオは、それほど副作用の多い薬ではありませんが、20~30人に1人ほどの割合で「下痢」「吐き気」「頭痛」といった症状が現れることがあります。

ただし、これらはコロナでも起こりうる症状なので、薬の副作用なのかどうか、区別するのは難しいでしょう。

もしこのような症状が現れた場合、軽度であれば、そのまま少し様子を見てください。

1~2日経っても症状が続いていたり、悪化するようなことがあれば、主治医に相談しましょう。

まれにですが、息苦しさや発疹、浮腫といった副作用が現れることがあります。そのような場合は、すぐに主治医に相談してください。

4.服用上の注意点


ラゲブリオは、ボトルで渡されます。ボトルの中に、5日分のカプセルが入っています。

ボトルは、指や手のひらでふたを押さえてから、反時計回りに回して開けます。

【参考情報】『動画 ラゲブリオ®のボトルキャップの開け方』MSD製薬
https://www.msd.co.jp/healthcare/medicine-product-list/lagevrio-how-to-open/

ラゲブリオのカプセルは大きいので、飲みにくいかもしれません。多めの水で飲むか、2~3口に分けて飲むと、飲みやすいでしょう。

ラゲブリオは、症状が現れてから「5日以内」に飲み始めないと、効果が期待できない薬です。処方してもらったら、その日からすぐに飲み始めるようにしてください。

妊婦はラゲブリオを飲んではいけません。動物実験では、胎児への悪影響が認められています。

妊娠している可能性のある方も、使わないようにしましょう。また、授乳については医師と相談してください。

【参考情報】『ラゲブリオ®による治療を受けられる患者さん・ご家族の方へ』MSD製薬
https://www.msd.co.jp/healthcare/medicine-product-list/lagevrio/

持病やアレルギーのある方、ほかの薬を使用している方も、医師に相談してください。

5.ラゲブリオの薬価

ラゲブリオの薬価は、以下となります。

 ・ラゲブリオカプセル:2357.8円/カプセル(1日分:18862.4円)

2023年5月、新型コロナウイルス感染症は、感染症法に基づく「5類相当」に該当する新興感染症に分類されました。

基本的には、5類の感染症には自己負担が求められるのですが、政府の特例措置により、コロナ治療薬の代金には公費の支援がありました。

しかし、2024年3月で公費による支援は終了し、4月から医療費の窓口負担割合に応じ、ラゲブリオが処方された場合、最大約28,000円の自己負担が生じることとなりました。

【参考情報】『令和6年4月からの治療薬の費用について』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/001219096.pdf

ラゲブリオの代わりとなるジェネリック医薬品や市販薬はありません。

6.おわりに

ラゲブリオのほか、新型コロナウイルス感染症の治療薬には、以下のようなものがあります。

 パキロビッド

 ゾコーバ

 ・ベクルリー

ラゲブリオは、それ以上症状が悪化しないよう「重症化を防ぐ」のが目的の薬です。

症状がよくなってきたからといって、途中で飲むのをやめてしまうと、本来の薬の効果が得られない可能性があるので、必ず5日間最後まで飲み切るようにしてください。

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