新型コロナウイルス感染症治療薬「パキロビッド」の特徴と効果、副作用

パキロビッドは、新型コロナウイルス感染症の治療に使われる抗ウイルス薬です。
ただし、誰でも服用できるわけではなく、発症から服用を始めるまでの時間や腎機能、併用している薬などに注意が必要です。
この記事では、パキロビッドの特徴や用法・用量、副作用、使用するときの注意点、薬価について、わかりやすく解説します。
1.パキロビッドとはどのような薬か
パキロビッドは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に使われる抗ウイルス薬です。有効成分として「ニルマトレルビル」と「リトナビル」の2種類を含んでいます。
ニルマトレルビルは、SARS-CoV-2が増殖するために必要なプロテアーゼという酵素の働きを阻害し、ウイルスの増殖を抑えます。
リトナビルはニルマトレルビルの分解を抑えることで、ニルマトレルビルの作用を維持する目的で配合されています。
パキロビッドは、コロナに感染したすべての人が服用する薬ではありません。重症化リスクなどを考慮したうえで、医師が投与の必要性を判断します。
また、パキロビッドはほかの薬との相互作用が多いため、普段から薬を服用している場合は、処方前に医師や薬剤師へ伝えることが重要です。
【参考情報】『Paxlovid』NHS
https://www.nhs.uk/medicines/paxlovid/
2.パキロビッドの用法・用量・飲み方
パキロビッドは、年齢や体重、腎機能などによって使用する製剤や用量が異なります。
2-1.成人・一定の条件を満たす小児
成人および6歳以上かつ体重40kg以上の小児では、通常、1回あたりニルマトレルビル300mgとリトナビル100mgを同時に、1日2回、5日間服用します。
6歳以上かつ体重20kg以上の小児は、ニルマトレルビル150mgとリトナビル100mgを同時に、1日2回、5日間服用します。
2-2.腎機能によって用量が異なる
パキロビッドは、腎機能が低下している場合、ニルマトレルビルの量を減らす必要があります。
中等度の腎機能障害がある場合は、通常の「パキロビッドパック600」ではなく、「パキロビッドパック300」を使用します。
1回あたりニルマトレルビル150mgとリトナビル100mgを、1日2回、5日間服用します。
ニルマトレルビルは主に腎臓から排泄されるため、腎機能が低下していると体内に蓄積しやすくなります。
そのため、中等度の腎機能障害がある場合は、ニルマトレルビルを半分にしたパック300を使用します。
2-3.錠剤の飲み方
パキロビッドの錠剤は、かんだり、割ったり、砕いたりせず、水またはぬるま湯で服用します。
ニルマトレルビルとリトナビルは、指示された分を同時に服用してください。
3.パキロビッドの副作用
パキロビッドは副作用の少ない薬ですが、味覚の変化や下痢などが生じることがあります。
3-1.主な副作用
比較的みられやすい副作用には、次のようなものがあります。
・味覚異常
・下痢、軟便
・吐き気
・嘔吐
・頭痛
・めまい
ただし、これらの症状はコロナに感染しても起こりうるので、薬の副作用なのかどうか見分けるのは難しいでしょう。
もし、このような症状が現れても、軽度であればそのまま少し様子を見てください。
副作用を過剰に恐れる必要はありませんが、服用前と異なる症状が出たり、1、2日経っても症状が持続していたり、悪化するようなことがあれば、主治医に相談しましょう。
【参考情報】『パキロビッドパック 適正使用ガイド』ファイザー
https://www.covid19oralrx-hcp.jp/files/PAX51M001G_%E9%81%A9%E6%AD%A3%E4%BD%BF%E7%94%A8%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89_230206.pdf
3-2.注意が必要な副作用
まれですが、次のような重い副作用が起こることがあります。
・肝機能障害
・アナフィラキシー
・スティーヴンス・ジョンソン症候群
・中毒性表皮壊死融解症
皮膚に広範囲の発疹や水ぶくれが出る、息苦しさや血圧低下などのアレルギー症状が現れる、皮膚や白目が黄色くなるなどの症状がある場合は、すぐに医療機関へ相談する必要があります。
4.パキロビッドを使用するときの注意点
パキロビッドは、ほかの薬との相互作用が多い薬です。また、腎機能によって用量を調整する必要があるため、使用前に現在の健康状態や服用している薬を医師に伝えることが重要です。
4-1.服用している薬をすべて医師に伝える
パキロビッドに含まれるリトナビルは、薬の代謝に関わるCYP3Aという酵素を強く阻害するため、さまざまな薬と相互作用を起こす可能性があります。
なかには、パキロビッドと一緒に服用できない「併用禁忌」の薬もあります。そのため、処方を受ける際には、処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントなども含め、現在使用しているものをすべて医師や薬剤師に伝えてください。
パキロビッドの服用中に新たに薬を使用する場合も、自己判断で服用せず、事前に医師や薬剤師へ相談することが大切です。
【参考情報】『「パキロビッド®パックとの併用に慎重になるべき薬剤リスト」の公開について 』国立国際医療研究センター
https://www.hosp.ncgm.go.jp/phar/140/20220210.pdf
4-2.腎機能が低下している場合は医師に伝える
パキロビッドは、腎機能が低下している場合、ニルマトレルビルの用量を減らす必要があります。
中等度の腎機能障害がある場合は、ニルマトレルビル150mgとリトナビル100mgを1日2回、5日間服用します。重度の腎機能障害がある場合は、使用が推奨されていません。
腎臓の病気で治療中の人や、以前に腎機能の低下を指摘されたことがある人は、必ず医師に伝えましょう。
4-3.決められた用法・用量を守る
パキロビッドは、症状がよくなったからといって自己判断で服用を中止したり、回数を増減したりしないでください。
また、症状が現れてからできるだけ早く治療を開始することが重要です。臨床試験では、症状発現から6日目以降に投与を開始した場合の有効性を裏付けるデータは得られていません。
4-4.妊娠中・授乳中は医師に相談する
妊婦または妊娠している可能性がある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することが可能となっています。
授乳中の場合も、治療上の必要性と授乳による利益などを考慮して、授乳を続けるかどうかを医師が判断します。
同じコロナの治療薬であるゾコーバやラゲブリオは妊婦には使えませんが、パキロビッドは安全性が高いという報告があります。
【参考情報】『Analysis of Clinical Outcomes of Pregnant Patients Treated With Nirmatrelvir and Ritonavir for Acute SARS-CoV-2 Infection』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36445705/
不安や気になることがある場合は、主治医に相談し、その上で服用してください。
4-5.PTPシートから錠剤を取り出して服用する
パキロビッドはPTP包装されています。錠剤をシートから取り出して服用し、PTPシートごと飲み込まないようにしてください。PTPシートの誤飲は、食道などを傷つけるおそれがあります。
なお、パキロビッドは2026年に小児の用法・用量が追加されているため、小児が服用する場合には、年齢や体重に応じた用量を医師の指示どおりに使用することも重要です。
5.パキロビッドの薬価
パキロビッドの薬価(2026年10月調べ)は、以下となります。
・パキロビッド300:12,538.60円/シート
・パキロビッド600:19,805.50円/シート
パキロビッドの代わりになるジェネリック医薬品はありません。
6.おわりに
新型コロナウイルス感染症の治療薬には、パキロビッドのほかに、以下のようなものがあります。
・ゾコーバ
・ベクルリー
パキロビッドは、コロナの症状がそれ以上悪化しないよう「重症化を防ぐ」のが目的の薬です。
症状がよくなってきたからといって、途中で飲むのをやめてしまうと、本来の薬の効果が得られない可能性があるので、必ず5日間最後まで飲み切るようにしてください。
以下の症状がある方は、早めの受診をおすすめします
- 咳が2週間以上続いている
- 息切れや息苦しさを感じることがある
- 痰がからんで気になる
- 健康診断で肺や呼吸の異常を指摘された
- 市販薬を飲んでも症状が改善しない
当てはまる項目がある方は、呼吸器専門医に相談してみませんか?













