いびきは何科を受診する?受診の目安と病院の選び方

いびきは誰にでも起こりうる身近な症状ですが、その背景には体調や生活習慣、時には病気が関係していることがあります。
単なる音の問題と考えて放置してしまうと、睡眠の質が低下し、日中の生活に影響を及ぼすこともあります。
ここでは、いびきの基本的な仕組みから、受診の目安、原因となる病気、検査や治療までを分かりやすく解説します。
1.いびきとは
いびきは多くの人が経験する身近な症状ですが、起こる仕組みや体への影響はあまり知られていません。
一時的なものから、病気が関係しているものまで幅があるため、正しく理解することが大切です。
ここでは、いびきが起こる基本的な仕組みや、誰にでも起こりうる理由について説明します。
1-1.いびきが起こる仕組み(気道と音の関係)
いびきは、空気の通り道である「気道」が狭くなることで発生します。
眠っている間は、起きているときよりものどや舌の筋肉がゆるみやすくなり、その結果、気道が部分的に狭くなり、そこを空気が通るときに粘膜が振動して音が出ます。
つまり、いびきは「空気の流れ」と「気道の狭さ」が組み合わさって起こる現象なのです。
音の大きさは、気道の狭さや振動の強さによって変わると言われています。
【参考情報】『呼吸器Q&A(いびきの原因)』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q14.html?utm_source
1-2.誰にでも起こりうるいびき
いびきは年齢や性別、体型を問わず起こります。
疲労やストレスが強いとき、風邪をひいているとき、寝不足のときなど、健康な人でも一時的にいびきをかくことがあります。
また、仰向けで寝ることで舌がのど側に落ち込み、気道が狭くなりやすくなることも関係すると言われています。
1-3.女性やライフステージといびきの関係
女性の場合、ホルモンの変化がいびきに影響することがあります。
妊娠・出産後や更年期には、女性ホルモンの分泌が変化し、筋肉の緊張が低下しやすくなり、その結果、のど周囲の筋肉がゆるみ、いびきが出やすくなることがあります。
これまでいびきをかかなかった人が、ライフステージの変化をきっかけに悩むケースも少なくありません。
1-4.「音」だけで判断しないことが大切
いびきは、音の大きさだけで危険性を判断することはできません。
小さな音でも毎晩続いている場合や、途中で呼吸が止まっている場合は注意が必要です。
逆に、大きないびきでも一時的な原因であれば心配が少ないこともあります。
重要なのは、頻度・持続時間・体調への影響を総合的に見ることです。
2.いびきで病院を受診する目安
いびきがあるからといって、すぐに医療機関を受診しなければならないわけではありません。
しかし、頻度や症状の組み合わせによっては、専門的な検査や治療が必要なケースがあります。
ここでは、受診を考える判断基準について具体的に説明します。
2-1.比較的心配の少ないいびき
強い疲労やストレスが原因で一時的に出るいびきは、生活リズムを整えることで改善することがあります。
ストレスをため込まないようにしたり、睡眠時間を確保することで、いびきが軽減する場合もあります。
また、お酒を飲むとアルコールの作用で、のど周囲の筋肉がゆるみます。
また、舌の筋肉もゆるんでのどに落ち込むため気道が狭くなり、いびきが出ることがあります。
お酒が原因のいびきは、アルコールが抜ければ落ち着くので、寝る4時間くらい前までには飲酒を終えると、いびきの予防が期待できるでしょう。
【参考情報】『お酒と睡眠 ~「眠るための飲酒」は避けましょう~』横浜市
https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/kenko-iryo/kokoro/kokorojyouhou/column/20211013162348942.html
2-2.改善が期待できるいびき
喫煙習慣、肥満、睡眠薬の影響などが原因の場合、生活習慣の見直しによっていびきが改善する可能性があります。
特に喫煙は、気道の慢性的な炎症を引き起こし、いびきを悪化させる要因のひとつと言えます。
タバコに含まれる化学物質は、気道の炎症を引き起こします。
そのため、喫煙によりのどが腫れてしまうと、いびきをかきやすくなってしまいます。
喫煙の習慣がある方は、禁煙によって気道の炎症が治まれば、いびきが改善する可能性もあるでしょう。
肥満体型の方は、のど周囲にも脂肪がつくことで、気道が脂肪で圧迫され狭くなります。
そのため、体重を落としてのど周囲の脂肪が減ると、気道が広がりいびきが出にくくなる場合もあります。
◆「いびきの原因は肥満?改善法と危険なサインを知っておこう」>>
また、睡眠薬の中には、筋肉を緩める作用を持つ薬があります。
睡眠薬を服用している方は、筋肉が緩まないタイプの睡眠薬に替えると、気道の筋肉の緩みを防いでいびきが改善する可能性もあるでしょう。
2-3.受診をすすめたいサイン
以下のようないびきは、睡眠時無呼吸症候群、またはアレルギー性鼻炎などの鼻の病気によって発生している可能性があります。
●毎晩のようにいびきをかく
たまにではなく、ほぼ毎日いびきが出ている場合は、慢性的な鼻づまりが原因となっている可能性があります。
アレルギー性鼻炎や慢性鼻炎などで常に鼻が詰まっていると、鼻呼吸ができず口呼吸になるため、いびきをかきやすくなってしまいます。
●一晩中いびきが続く
短時間ではなく、寝ている間ずっといびきをかき続けている場合は、気道が常に狭くなっている状態が考えられます。同居人がいる場合や旅行などの際に、気づかないうちに周囲の睡眠を妨げてしまうこともあるかも知れません。
●呼吸が止まっていると指摘される
家族やパートナーから「息が止まっている」「呼吸が止まって苦しそう」と言われた場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いサインです。
●日中に強い眠気がある
十分な睡眠時間を取っているはずなのに、日中に耐えられないほどの眠気がある、会議中や運転中に眠ってしまうといった症状は、夜間の睡眠の質が低下している証拠です。
これらは、睡眠中に十分な酸素が取り込めていない可能性を示す重要なサインと言えます。
気になる症状がある場合は、自己判断で様子を見続けず、医療機関で適切な検査を受けることが大切となるでしょう。
3.いびきの原因となる病気
いびきの背景には、睡眠中の呼吸障害や体の構造的な問題が隠れていることがあります。
原因を知ることで、適切な検査や治療につながります。
ここでは、いびきの原因として特に重要な病気について解説します。
3-1.睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に呼吸が止まったり浅くなったりすることを繰り返す病気です。
睡眠時無呼吸症候群の主な症状には、大きないびきや日中の眠気があります。
長期間放置すると、高血圧や心血管疾患のリスクが高まることが分かっています。
睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合、受診に適した診療科は下記のとおりです。
●呼吸器内科
●耳鼻咽喉科
●循環器内科
●いびき外来、睡眠外来
呼吸器内科は、呼吸に関する病気や臓器を専門に診る診療科です。
睡眠時無呼吸症候群は、呼吸に直接関わる問題であるため、呼吸器内科で専門的な検査や治療を受けることができます。
また、簡易検査や精密検査といった睡眠時無呼吸症候群の診断に必要な検査設備が整っていることが多く、治療開始後の定期的なフォローアップや、機器の調整なども呼吸器内科で継続的にサポートを受けられます。
さらに、喫煙によりいびきが生じている疑いのある方は、呼吸器内科で禁煙治療を行うのも良いでしょう。
呼吸器の専門家として、いびきや睡眠時無呼吸症候群の背景にある呼吸機能の問題を総合的に診てもらえる点が、呼吸器内科を受診する大きなメリットと言えるでしょう。
◆「呼吸器内科で睡眠時無呼吸症候群の検査と治療ができます」>>
3-2.鼻の病気
いびきの原因が鼻にある場合、耳鼻咽喉科などを受診し、鼻の症状を改善する必要があります。
治療により鼻づまりなどの症状がよくなると、いびきが減る可能性があります。
いびきをかきやすい鼻の病気には、以下のようなものがあります。
●アレルギー性鼻炎
●副鼻腔炎
●鼻中隔湾曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)
アレルギー性鼻炎は、ダニや花粉、ペットの毛などアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)に反応して鼻に炎症が引き起こされる病気です。
副鼻腔炎は、風邪などの原因となるウイルスや細菌が、鼻の内部にある副鼻腔にまで及んで炎症を起こす病気です。
アレルギー性鼻炎も副鼻腔炎も、鼻水や鼻づまりがあるため、鼻での呼吸がしにくくなります。
そのため、寝ている間に口を開けて呼吸をするようになり、いびきが出やすくなります。
【参考情報】『Rhinitis』 Johns Hopkins Medicine
https://www.hopkinsmedicine.org/health/conditions-and-diseases/rhinitis
これらの病気の場合、治療により鼻づまりなどの症状が改善し、鼻呼吸ができるようになれば、いびきが改善する可能性があります。
また、鼻中隔湾曲症の方は、左右の鼻腔を仕切っている鼻中隔が曲がっているため鼻腔が狭くなり、いびきが出やすくなると言われています。
鼻中隔湾曲症が原因のいびきは、手術によって鼻の曲がりが軽減されれば改善される可能性もあるでしょう。
4.呼吸器内科で行う検査
いびきや睡眠中の呼吸異常を正しく診断するには、睡眠中の状態を客観的に記録する検査が重要です。
ここでは、呼吸器内科で行われる検査の流れと、それぞれの検査で分かることを詳しく説明します。
4-1.問診・診察の重要性
検査の前に、いびきの頻度、周囲の方からの指摘、日中の眠気、既往歴などを詳しく確認します。
特に「息が止まっていると言われた」「朝起きたときに頭痛がある」といった情報は重要な判断材料になります。
また、首回りの太さや鼻・のどの状態を診察し、検査の必要性を総合的に判断します。
4-2.自宅で行う簡易検査
簡易検査は、自宅でアプノモニターと呼ばれる装置を装着し行います。
入院の必要がないため、忙しい方でも実施しやすい検査です。
指先や鼻にセンサーを装着し、自宅で一晩過ごします。
睡眠中の呼吸回数、血中酸素濃度、いびきの有無などを記録でき、身体的な負担が少ないのが特徴です。
軽症から中等症が疑われる場合の初期検査として広く用いられています。
4-3.精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)
簡易検査の結果、より詳しい検査が必要な場合には、精密検査を行います。
医療機関や検査施設に一泊して行うことが多いのですが、当院では入院せずに自宅で検査を受けることも可能です。
脳波、呼吸、心拍、体の動きなどを同時に測定し、睡眠の質と無呼吸の重症度を正確に評価します。
治療方法の選択や保険診療の適応判断にも重要な検査です。
5.いびき・睡眠時無呼吸症候群の治療
治療は、原因や重症度、生活背景を考慮して選択されます。
いびきを止めることだけでなく、睡眠の質を改善し、体への負担を減らすことが治療の目的となります。
5-1.生活習慣の見直し
軽症の場合は、体重管理、禁煙、飲酒量の調整、睡眠姿勢の工夫などが基本となるでしょう。
飲酒を減らす、横向きで寝る、枕の高さを調整するといった工夫も有効なことがあります。
5-2.CPAP(シーパップ)療法
CPAPは、中等症以上と診断された場合に検討されることが多い治療法となります。
睡眠中にマスクを装着し、一定の空気圧を送り込むことで気道の閉塞を防ぎます。
継続することで、日中の眠気や倦怠感が改善する可能性があり、睡眠の質の向上が期待できます。
5-3.治療継続とフォローアップ
治療効果を維持するには、定期的な通院と調整が重要です。
装置に違和感がある場合や生活への影響がある場合も、医師と相談しながら無理のない形に調整することで、継続しやすくなるでしょう。
【参考情報】『Snoring』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/snoring/diagnosis-treatment/drc-20377701
6.おわりに
いびきは、単なる生活音ではなく、体からのサインであることがあります。
特に毎晩続くいびきや、日中の眠気を伴う場合は、早めに相談することが大切です。
原因を正しく見極め、適切な検査と治療を受けることで、睡眠の質だけでなく、将来の健康リスクを減らすことにつながります。
いびきに悩んでいる方は、一人で抱え込まず、まずは医療機関で相談してみましょう。














