睡眠時無呼吸症候群の簡易検査の方法と結果の見方について解説します

病院で「睡眠時無呼吸症候群の疑いがある」と判断されたら、診断に必要な検査を行うことがあります。
検査には、「簡易検査」と「精密検査」があります。
この記事では、睡眠時無呼吸症候群の簡易検査の方法と、結果の見方について説明します。
検査の前に手順を確認しておきたい人や、検査を不安に感じている人は、ぜひ読んでください。
目次
1.睡眠時無呼吸症候群はどのような病気か
睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に気道が狭くなり、無呼吸や低呼吸を繰り返す病気です。
【参考情報】『Sleep apnea』by Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/sleep-apnea/symptoms-causes/syc-20377631
気道が狭くなる理由は様々あり、肥満で重くなった舌、口呼吸、加齢による筋力低下、顎の後退、扁桃肥大(へんとうひだい)、長い軟口蓋(なんこうがい:上あごの奥にある柔らかい部分)などがあります。
睡眠中は筋の緊張が緩み、健康な人でも仰向けで寝ると、舌や軟口蓋が重力の影響により気道を狭くします。
患者さんに自覚はなくても、無呼吸状態になるたびに一瞬目が覚めているため熟睡できず、起床時の頭痛や日中の眠気に悩まされている方は多いです。
病気が原因で、居眠り運転による事故を起こしたケースもたびたび報道されています。
【参考情報】『睡眠時無呼吸症候群(SAS)』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/i/i-05.html
また、睡眠中に無呼吸になると、体に必要な酸素を十分に取り込むことができなくなります。
すると、不足分の酸素を補おうとして、心臓がいつもより強く働きます。
毎晩のように酸素不足が続くと、そのたびに心臓が過剰に働くので負担が大きくなります。
そのため、高血圧や心筋梗塞などの心血管疾患を発症しやすくなります。
初期のうちは、ストレスや加齢のせいで疲れていると思い込んでしまう人が多く、病気に気づくことは難しいかもしれません。
わかりやすいサインとしては「いびき」があります。
家族やパートナーに「いびきがうるさい」と何度も指摘されたり、自分のいびきの音で目が覚めてしまうことが続いている人は、睡眠時無呼吸症候群を疑ってみましょう。
2.簡易検査の方法
睡眠時無呼吸症候群かもしれないと思ったら、すぐに専門の病院へ受診しましょう。
病院では問診を行い、睡眠時のいびきや日中の眠気の有無などを確認し、睡眠時無呼吸症候群を疑われた場合、簡易検査に移行します。
2-1.簡易検査の種類
簡易検査には、主に2つのタイプがあります。
①パルスオキシメトリー検査
指先にセンサー(パルスオキシメーター)を装着するだけのシンプルな検査です。
血液中の酸素飽和度(SpO2)と脈拍数を測定し、睡眠中の酸素の低下状態を調べます。
最もシンプルで、スクリーニング(ふるい分け)検査として広く用いられています。
②簡易型睡眠時呼吸検知装置(アプノモニター)
パルスオキシメーターに加えて、鼻の下に呼吸センサーを装着し、呼吸気流やいびき音を測定します。
無呼吸や低呼吸の回数をより正確に計測できるため、より詳しい診断が可能です。
2-2.簡易検査と精密検査の違い
簡易検査では、患者さん自身が装着してから起床後に外すまでが記録されるため、実際の睡眠時間はわかりません。
また、脳波や睡眠の深さ、他の睡眠障害の有無などは測定できません。
一方、精密検査(PSG検査)では、脳波を含む多くのセンサーを装着し、睡眠の質や無呼吸の種類まで詳しく調べることができます。
簡易検査は無呼吸の可能性を探るスクリーニング検査であり、確定診断には精密検査が必要となる場合があります。
◆「呼吸器内科で睡眠時無呼吸症候群の検査と治療ができます」>>
2-3.アプノモニターの具体的な検査方法
①アプノモニターの本体を装着
手首かお腹まわりに装着します。
装着位置はどちらでも構いませんが、気になる方は医療機関などで事前に確認しておきましょう
②カニューレを装着
カニューレ(細いチューブ)の突起部分を両方の鼻の穴に入れて固定し、両耳にかけます。
寝ている間に外れないよう、鼻の下や頬のあたりのチューブを付属品の医療用テープで留めます。
③SpO2プローブ(パルスオキシメーター)を装着
指先に装着します。どの指に装着しても構いません。
④電源を入れる
自動で記録が開始されます。
装着後は寝ているだけで検査が終わります。
睡眠時無呼吸症候群は、心筋梗塞や脳卒中、脳梗塞、糖尿病などの重大な合併症を引き起こすことがありますので、疑いを持ったらすぐに受診し、検査してもらうことが大切です。
3. 簡易検査を受ける前の注意事項
簡易検査を正確に行い、適切な結果を得るためには、いくつかの注意事項があります。
以下のポイントを事前に確認しておきましょう。
3-1.検査前日の注意点
【アルコールやカフェインの摂取を控える】
検査前日の夜は、アルコールやカフェイン入りの飲料(コーヒー、紅茶、エナジードリンクなど)の摂取を控えましょう。
アルコールは筋肉の弛緩(しかん)作用があり、喉の気道が普段以上に狭くなるため、無呼吸の頻度や重症度が実際よりも高く出てしまう可能性があります。
カフェインは眠りを浅くし、正確な検査結果が得られなくなる場合があります。
【普段通りの生活リズムを心がける 】
検査日だからといって特別な準備は必要ありませんが、いつも通りの生活リズムを保つことが大切です。
極端に睡眠不足の状態や、昼寝を長時間してしまうと、夜の睡眠に影響が出て正確なデータが取れないことがあります。
【参考情報】『At-Home Sleep Study』 Sleep Foundation
https://www.sleepfoundation.org/sleep-studies/at-home-sleep-study
3-2.検査当日の注意点
【化粧やマニキュアは落とす】
検査当日は、化粧(特にファンデーション)やマニキュアを落としておいてください。
パルスオキシメーターは光を使って血中酸素濃度を測定するため、マニキュアやジェルネイルが付いていると正確に測定できないことがあります。
【髪はしっかり乾かす】
入浴後は髪をしっかりと乾かしてから検査機器を装着しましょう。
濡れた状態だと、センサーが正しく装着できない場合があります。
【連続4時間以上の睡眠を確保する】
簡易検査では、連続して4時間以上の睡眠時間が記録されることが必要です。
途中で何度も目が覚めたり、睡眠時間があまりにも短いと、情報量が少なく正確な判定ができません。
リラックスした状態で、できるだけまとまった睡眠をとるようにしましょう。
3-3.検査中の注意点
【センサーが外れないように注意する】
睡眠中にセンサーが外れてしまうと、正常に計測されないことがあります。
付属の医療用テープでしっかりと固定し、寝返りをうっても外れにくいようにしましょう。
万が一外れてしまった場合は、再度装着し直してください。
【トイレに行く際は装着したままでOK】
夜中にトイレに行きたくなった場合は、検査機器を装着したまま行っても問題ありません。
電源を切る必要もありません。
3-4.検査が失敗した場合
以下のような場合、検査が正しく行われず、再検査が必要になることがあります。
・睡眠時間が4時間未満だった
・センサーが外れたまま朝を迎えた
・機器の電源が途中で切れてしまった
・データが正しく記録されなかった
多くの医療機関では、1回まで無料で再検査を受けられることが多いですが、2回目以降は検査料金が発生する場合があります。
事前に医療機関に確認しておくと安心です。
【参考情報】『睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/publication/file/guidelines_sas2020.pdf
4.検査結果の見方
簡易検査の結果は、睡眠1時間当たりの無呼吸と低呼吸の合計回数である「AHI(無呼吸低呼吸指数)」という指標をもとに見ていきます。
これに加え、日中の眠気などの自覚症状がある場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
・5未満: 睡眠時無呼吸症候群ではない
・5~15: 軽症
・15~30:中等症
・30以上:重症
重症度に応じて、以下のような治療計画を立てます。
【AHIが5未満】
特に治療はしませんが、肥満の方は減量で病気を予防しましょう。
【AHIが5以上】
精密検査を行い、睡眠時の体の状態をさらにくわしく調べます。
【AHIが40以上】
明らかに重症なので、すぐに治療を開始します。
簡易検査の結果だけでは診断がつかない場合は、精密検査を行います。
精密検査では、体にたくさんのセンサーをつけて一晩眠り、脳波、眼球運動、あごの動き、心電図など、より多くのデータを取り、細かく記録します。
5.簡易検査後の流れについて
簡易検査後の流れは以下の通りです。
①精密検査
②診断
③治療
簡易検査にて必要と判断された場合、まず診断をするために「精密検査」を行います。
精密検査では、様々なセンサーを装着し、眠っている間の脳波、血液中の酸素量、心電図、筋電図、いびき音などを測定します。
精密検査から1週間ほどで結果が出て、睡眠時無呼吸症候群と診断されれば治療という流れです。
睡眠時無呼吸症候群の治療法は、以下の3つがあります。
・CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)
・マウスピース
・ASV
睡眠時無呼吸症候群の治療は、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)が第一の選択肢となります。
専用の機器を装着し、寝ている間に鼻から空気を送り込み、睡眠中の呼吸をサポートします。
「あごが小さい」など骨格に原因がある方はマウスピース、心臓の病気が原因である方はASVを用いることがあります。
6.おわりに
睡眠時無呼吸症候群の簡易検査で用いるアプノモニターは、呼吸器内科でも貸し出しています。
アプノモニターによる簡易検査の費用の目安は、保険適応で3000円程度です。
ただし、検査を受けるまでに問診など診察も必要となるため、さらに診察代も必要になります。
検査は自宅で眠っている間にできるので、忙しい方でも取り組みやすいでしょう。
また、手順は簡単で、痛みもありません。
睡眠時のいびきや日中の眠気など、些細な症状でもかまいません。
気になる症状があるときは、念のため一度病院を受診して、検査を受けてみましょう。










