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睡眠時無呼吸症候群とストレスの関係とは?ストレスが原因で発症するのか

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2023年04月06日

「何だか気分がすぐれず、イライラしてしまう」
「仕事や勉強に身が入らず、ミスが目立つ」

このような場合、実は睡眠時無呼吸症候群の影響で熟睡できず、ストレスが溜まっているのかもしれません。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群とストレスの関係や、ストレスが病気に与える影響を説明していきます。

1.睡眠時無呼吸症候群とは


睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に何度も無呼吸や低呼吸になる病気です。

代表的な症状として、「大きないびき」「夜間に目が覚める」「日中の眠気やだるさ」などがあげられます。

◆「いびきと病気」について>>

この病気になると、必要な酸素が全身に行きわたらなくなるため、高血圧や心不全など心血管疾患のリスクが高まります。

◆「合併症」について>>

また、何度も眠りが妨げられ、深く眠ることができないため、日中も眠気に襲われます。そのため、居眠り運転による事故を起こした例も、多数報告されています。

◆「運転業務に関わる方へ」>>

慢性的に睡眠不足を感じている人や、日中にウトウトすることが多い人は、睡眠時無呼吸症候群を疑ってみることが大切です。

◆「あなたの危険度チェック!」>>

2. 原因について


睡眠時無呼吸症候群の原因は、以下のようなものがあります。

 ・肥満
 ・あごが小さい
 ・アデノイド肥大
 ・呼吸中枢の異常
 など

肥満により、首回りに脂肪がつくと、気道が圧迫されて狭くなり、睡眠中に呼吸がしにくくなります。その他、あごが小さいことやアデノイド肥大なども、気道が狭くなる原因となります。

また、呼吸中枢からの指令に異常があることで、発症することもあります。

【参考情報】『Central sleep apnea』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/central-sleep-apnea/symptoms-causes/syc-20352109#:~:text=Central%20sleep%20apnea%20is%20a,muscles%20that%20control%20your%20breathing.

◆「睡眠時無呼吸症候群」についてもっと詳しく>>

3.ストレスが原因で発症するのか


ストレスそのものが、病気の原因になるとは言えません。しかし、ストレスを解消するための手段が、発症につながる恐れはあります。

例えば、ストレスが溜まって過食になれば、結果として肥満となり、睡眠時無呼吸症候群を発症しやすくなります。

また、ストレスにより飲酒や喫煙が増えると、もともとあった軽い症状が悪化して、自覚できるようになることもあります。

◆「飲酒との関連」について>>

◆「喫煙との関連」について>>

ストレスと飲食は関係が深く、ストレスから逃れようと飲みすぎ・食べすぎに陥る人も少なくありません。

また、飲みすぎ・食べすぎを繰り返すことで、自己嫌悪によるストレスを感じてしまい、悪循環になるケースもあります。

【参考情報】『ストレスと食生活』e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-001.html

4.睡眠時無呼吸症候群とストレスの関係


睡眠は体や脳を休めるために欠かせないものです。しかし、病気の影響で熟睡できない日々が続くと疲労が蓄積し、ストレスを感じてしまう原因となるでしょう。

また、病気の影響で眠気や倦怠感が強いと、集中力が低下して、思うように仕事がはかどらなくなります。

ケアレスミスが増えたり、会議中に居眠りしてしまったり、ヒヤリハットが続くようなら、社内での評価が下がる恐れがありますし、交通事故や労災を起こしてしまうかもしれません。

このように、仕事や学習のパフォーマンスが低下することや、周囲からの目が厳しくなることで、ストレスが増大していく可能性があります。

【参考情報】
・『昼間の眠気』e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-002.html

・『睡眠時無呼吸症候群(SAS)と精神疾患』第103回日本精神神経学会総会
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1100020094.pdf

5.睡眠時無呼吸症候群かも?と思ったら


睡眠時無呼吸症候群を疑ったら、まずは病院を受診してみましょう。また、家族に疑わしい症状がある場合も、受診をすすめてみましょう。

◆「呼吸器内科で検査と治療ができます」>>

問診や診察により疑いがあると判断されたら、自宅でできる簡易検査を行います。その結果、詳しく調べる必要がある場合は、入院での検査も行います。

◆「簡易検査」について>>

検査の結果、睡眠時無呼吸症候群と診断されたら、CPAP(シーパップ)など睡眠中の呼吸をサポートする装置を用いて治療を行います。

◆「CPAP」とは?>>

治療により、ぐっすり眠れるようになると、病気の影響によるストレスが軽減されるようになります。

6.おわりに

ストレスそのものが、睡眠時無呼吸症候群の原因となるとは言えません。しかし、ストレスを解消するための行動から、病気が引き起こされる可能性はあります。

ストレスが溜まっている人で、以下の症状がある人は、睡眠時無呼吸症候群の検査ができる病院を受診してください。

 ・いびきが激しい
 ・夜中に何度も目が覚める
 ・寝汗がひどい
 ・朝起きた時に頭痛がする
 ・昼間に眠くなることが多い

夜間に無呼吸になることがあっても、自分では気づきにくいかもしれませんが、日中の眠気やストレスは、感じることができるはずです。

少しでも自分に当てはまると思う場合は、早めに行動しましょう。

◆当院の睡眠時無呼吸症候群治療について>>

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