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「強い眠気」「いびき」は睡眠時無呼吸症候群の疑いあり

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2021年06月30日
あくび

家族やパートナーから「いびきがうるさい」と指摘されている人は、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。

・ちゃんと寝ているはずなのに、寝た気がしない
・日中すぐに眠くなってしまうので、仕事や勉強に集中できない
・朝起きたときに、疲れや頭痛を感じる

上の項目に当てはまる人も、睡眠時無呼吸症候群かもしれません。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群とはいったいどのような病気なのかを解説していきます。放っておくと、心筋梗塞など命にかかわる病気の引き金になるほか、居眠り運転による事故の原因にもなります。思い当たる方は、ぜひ読んでみてください。

1.睡眠時無呼吸症候群とはどのような病気なのか

睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に無呼吸状態を繰り返す病気です。医学的には、10秒以上呼吸が停止している状態が1時間に5回以上、または一晩(7時間)に30回以上起こる場合に診断されます。英語では、「Sleep Apnea Syndrome」と言い、その頭文字をとって「SAS(サス)」とも呼ばれています。

睡眠時無呼吸症候群は、肥満などが原因で気道が狭くなったことで起こる「閉塞型」と、脳や神経、心臓の病気が原因で起こる「中枢型」の2つに分けられます。さらに、この2つが混じった「混合型」もありますが、ほとんどの患者さんは閉塞型になります。

睡眠中に無呼吸になると、体が酸素不足となり低酸素状態となります。そして、毎晩のように低酸素状態を繰り返すことで、心臓や脳、血管に大きな負担がかかってしまいます。さらに、呼吸を再開するため眠りから覚めるたびに、本来は日中にはたらく交感神経が活性化され、夜間の血圧が高くなります。

通常血圧は、日中に高く、睡眠中は低くなります。しかし、睡眠時無呼吸症候群の人は夜間に血圧が高くなることで、血管や心臓に負担がかかり、不整脈や狭心症、心筋梗塞のリスクが上がるのです。最悪の場合、寝ている間に意識を失い突然死することもあります。

2.睡眠時無呼吸症候群になりやすい体型

睡眠時無呼吸症候群になりやすいのは肥満で首周りに脂肪がついている人と、アゴが小さい人です。その他、「首が短い」「舌が大きい」「扁桃腺肥大がある」「歯並びが悪い」人も挙げられます。

2-1.肥満体型

肥満で首のまわりに脂肪がつくと、空気の通り道である気道が狭くなります。気道が狭くなればなるほど、睡眠中に呼吸がしにくくなります。さらに、舌にも脂肪がついて太くなることで、横になったときに後ろに押し出され、気道がふさがれやすくなります。
 

2-2.あごが小さい

骨格が細い人やあごが小さめの人はもともと気道が狭いため、少し体重が増えただけでも気道が人より狭くなり、睡眠時無呼吸症候群を発症しやすくなります。特に日本人は、欧米人に比べて骨格が細い人が多いため、やせていても睡眠時無呼吸症候群になる人が多いのです。

3.睡眠時無呼吸症候群のサイン

いびき うるさい

睡眠時無呼吸症候群の患者さんと一緒に寝ている人は、いびきで夜中に何度も起こされたり、時には呼吸が止まっているのを見て驚いたりすることがあるでしょう。

また、患者さん自身は気づかなくても夜中に何度も覚醒しているため、睡眠時間が十分にとれず、寝起きが悪かったり、日中激しい眠気に襲われたりすることがたびたび起こります。

3-1.毎日のようにいびきをかく

健康な人でも、疲れている時やお酒を飲み過ぎた時にいびきをかくことがあります。また、風邪や花粉症で鼻が詰まったときにもいびきが出やすくなります。しかし、そのような場合、疲れが取れたり体調がよくなったりすれば、いびきは出なくなります。

いっぽう、毎日のようにいびきをかいている人は、体に何らかの不調を抱えている恐れがあります。例えば、慢性副鼻腔炎で鼻が詰まっている人は、寝ている間に無意識に口を開けて呼吸をするため、いびきが出やすくなります。

鼻づまりや扁桃腺の腫れなどがない、あるいは治ったにもかかわらず、毎日のようにいびきをかいているなら、睡眠時無呼吸症候群を疑ってみましょう。いびきは自分ではわからないので本人に自覚はないのですが、家族やパートナーに指摘されたら、事実をしっかり受け止めて病院を受診してください。

3-2.昼間の眠気

おおあくび

睡眠時無呼吸症候群の人は、呼吸が止まるたびに夜中に何度も無意識のうちに起きています。そのため深い睡眠がとれずに寝不足となり、昼間に眠くなって集中力が低下するのです。

日中の眠気が強くなると、仕事や学習の効率が下がったり、人との会話が途切れたりして、日常生活に支障をきたすようになります。さらに、運転中に眠ってしまい交通事故を起こす例もたびたび報道されています。

相次ぐ事故の影響もあり、2014年に道路交通法が改正され、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害がある方に対しては、運転免許証の交付や更新を拒否できるようになりました。免許更新時に診断書の提出を求められることもあるので、思い当たる方は早めに治療を開始しましょう。

◆「呼吸器内科を受診すべき症状とは?」>>

4.睡眠時無呼吸症候群の検査

睡眠時無呼吸症候群の検査は呼吸器内科をはじめ、さまざまな診療科で対応しています。迷ったときは、事前に電話やホームページなどで検査ができる病院なのかを確認するか、かかりつけ医に相談してみましょう。

検査の前には問診を行い、生活習慣や睡眠の状態について聞き取ります。その結果、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあれば、簡易検査を行います。

簡易検査では、「アプノモニター」という小型の装置を自宅に持ち帰り、血液中の酸素濃度を調べるセンサーや、いびきや呼吸の状態を調べるセンサーを装着して一晩〜二晩眠り、データをとります。

簡易検査の結果、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いと判断されたら、医療機関に一泊して睡眠ポリグラフ検査を行います。睡眠ポリグラフ検査では、たくさんのセンサーをつけて一晩眠ることで、脳波や心電図などより多くの項目をチェックすることができます。

5.睡眠時無呼吸症候群の治療

睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療法・3つを紹介します。医師の診断に基づき、最も適した方法を選びましょう。

5-1.CPAP(シーパップ)療法

CPAP

睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療法です。睡眠中に鼻にマスクを装着して専用の装置から空気を送り込み、狭くなった気道を広げ、無呼吸を防ぎます。

CPAP療法によっていびきや無呼吸が改善すると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが、健康な人と同程度まで抑えられることがわかっています。睡眠中のマスク着用に抵抗がある人もいるかもしれませんが、医師に相談して自分の顔にフィットするマスクを選び、装着のコツをつかむことで慣れていきます。

5-2.マウスピース

軽度の患者さんや、あごが小さいことが原因で睡眠時無呼吸症候群になっている人は、マウスピースで治療することもあります。マウスピースを装着して下あごが前に突き出すようにすることで、睡眠中の気道を広げ、いびきや無呼吸を防止します。

マウスピースをつけるには、歯周病や虫歯がない、歯が上下合わせて20本以上必要などの条件があります。CPAPで治療している患者さんが、旅行や出張の時にだけ、携帯に便利なマウスピースを使うこともあります。

5-3.手術

アデノイドや扁桃肥大が原因の患者さんには、それらを摘出する手術を行うことがあります。ただし、手術で一時的に無呼吸が改善されても再発するケースもあります。

6.睡眠時無呼吸症候群を改善する生活習慣

日頃の生活習慣を改善していくことも、大事な治療の一つです。治療と併せて行うことで効果を上げていきます。

6-1.肥満の解消

医師から肥満を指摘された患者さんは、食事と運動を見直して減量しましょう。ただし、無理なダイエットは体によくないので、時間をかけてゆっくり体重を落とすことが大切です。

横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニックでは、栄養カウンセリングも行っています。自分に合った食事を知りたい方は、お気軽にご相談ください。

◆当院の栄養カウンセリングについて>>

6-2.枕の見直し

自分の体型に合った枕に変えることで、症状が軽減することもあります。下記のポイントを参考に、お使いの枕を見直してみてください。

・高すぎて気道が圧迫されないか
・幅は60㎝以上あるか
・素材は柔らかすぎず硬すぎず、吸湿性に優れているか

6-3.飲酒・喫煙を控える

アルコールは気道の筋肉の緊張を緩める作用があるため、お酒を飲むと気道が狭くなります。飲酒は無呼吸の症状を悪化させるので、ほどほどにしましょう。

また、喫煙により気道に慢性的な炎症が起こると、やはり気道が狭くなります。睡眠中の呼吸に悪影響を及ぼす恐れがあり、ゆくゆくはCOPD(慢性閉塞性肺疾患)にかかるリスクが高くなるので、早めに禁煙を開始することをおすすめします。

◆「咳がとまらない」「しつこい痰」「息切れ」はCOPDの危険信号>>

7.おわりに

睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、心筋梗塞や脳卒中を発症する確率が健康な人より高いだけではなく、うつ病や勃起障害(ED)のリスクも高くなります。

熟睡した感じがしないからといって、自己判断で睡眠薬を使用すると、さらに無呼吸が悪化することもあります。睡眠薬や精神安定剤を服用している方は、初診時に持参して医師にご相談ください。

◆当院の睡眠時無呼吸症候群治療について>>

【参考情報】
・厚生労働省 e-ヘルスネット 「昼間の眠気 -睡眠時無呼吸症候群・ナルコレプシーなどの過眠症は治療が必要」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-002.html

・『図解 睡眠時無呼吸症候群を治す! 最新治療と正しい知識』(白濱龍太郎/日東書院本社)

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