ブログカテゴリ
外来

睡眠時無呼吸症候群と心不全の関係は?合併しやすい理由や有効な治療法を解説

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2022年10月18日

睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、狭心症や心筋梗塞などの合併症を起こしやすく、心不全に至ることがあります。

一方で、心不全が、睡眠時無呼吸症候群の原因になっている場合もあります。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群と心不全が合併しやすい理由や治療法について解説します。

1.睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気か

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりすることを繰り返す病気です。

この病気は、肥満などが原因で気道が狭くなったことで起こる「閉塞型」と、脳や神経、心臓の病気が原因で起こる「中枢型」の2つに分けられます。

◆「睡眠時無呼吸症候群の症状・検査・治療の基本情報」>>

2.心不全とは何か

心不全とは病気の名前ではなく、不整脈や狭心症、心筋梗塞などが原因で心臓のポンプ機能が低下して、十分な血液を全身に送り出せない状態をいいます。

心不全になると、体に必要な量の酸素や栄養がいきわたらなくなります。また、体内に余分な水分が溜まったり、血液の流れが滞ることで、息切れや足のむくみなどの症状が現れます。

【参考情報】『患者の皆様へ 心不全』国立研究開発法人国立循環器病研究センター
https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/heart-failure/

3.睡眠時無呼吸症候群と心不全は合併しやすい

心不全がある人は、睡眠呼吸障害を合併することが多く、約2人に1人は睡眠時無呼吸症候群を起こしているともいわれています。

3−1.閉塞型睡眠時無呼吸症候群と心不全

閉塞型では、睡眠中の無呼吸によって全身の低酸素状態が続き、交感神経が優位になります。

また、気道がふさがれたり狭くなることにより、心臓や肺などの臓器がある胸腔内の圧が低下して、心臓に大きな負荷がかかります。

そのため、心臓や血管などの病気を起こすリスクが高まり、心不全を起こしやすくなるのです。

◆「睡眠時無呼吸症候群による酸素不足が招く症状とは?」>>

3−2.中枢型睡眠時無呼吸症候群と心不全

心不全がある人は、心臓から送り出される血液が減少することにより、呼吸中枢の調節が不安定になり、睡眠中の呼吸が乱れやすくなります。すると、全身に酸素が届きにくくなります。

その結果、体内が低酸素状態になると、中枢型睡眠時無呼吸症候群を起こしやすくなります。

心不全があると、寝ている間に足から心臓へ戻る血液の量が増えます。また、肺を循環する血液量も増加するため、呼吸中枢が刺激されて、中枢型睡眠時無呼吸症候群を発症することがあります。

心不全に睡眠呼吸障害を合併した場合には、生命予後が悪くなることがわかっており、心不全の治療とともに、睡眠時無呼吸症候群に対する治療も行う必要があります。

【参考情報】『「睡眠時無呼吸症候群と心血管リスク」睡眠呼吸障害と心不全の関係』日本心臓病学会誌Vol.7No.1(2012)
http://www.jcc.gr.jp/journal/backnumber/bk_jjc/pdf/J071-11.pdf

4.睡眠時無呼吸症候群の検査と治療

診断には、睡眠中の呼吸状態を調べる検査が必要です。治療法は、病気の重症度や患者さんの健康状態を診て、医師が判断します。

4−1.検査

問診で睡眠時無呼吸症候群が疑われたら、まずは小型の装置を自宅に持ち帰り、簡易検査を行います。

簡易検査の結果、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いと判断されたら、睡眠中の呼吸状態や心電図などを調べるポリソムノグラフィー(PSG)という精密検査を行います。

中枢型は、閉塞型に比べていびきなどの自覚症状が乏しく、問診では病気を見つけにくいため、精密検査が特に重要です。

◆「睡眠時無呼吸症候群の検査について」>>

4−2.治療

治療には、睡眠中の呼吸をサポートする装置を用います。

閉塞型睡眠時無呼吸症候群の患者さんには、一定のリズムで鼻から空気を送り込むCPAPを使用することが多いです。

◆「睡眠時無呼吸症候群の治療で使う「CPAP」とは?」>>

中枢型睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、心不全の影響で、睡眠中の呼吸のリズムが乱れがちなので、使う人の呼吸に合わせて空気を送り込むASVを用いることがあります。

◆「睡眠時無呼吸症候群の治療に使う「ASV」とは?」>>

4−3.睡眠時無呼吸症候群の治療で心不全の症状が改善することも

睡眠時無呼吸症候群と心不全を合併している場合、治療によって双方の症状が改善することが期待できます。

閉塞型睡眠時無呼吸症候群と心不全を合併した患者さんに対してCPAPを行うと、心臓の収縮機能が改善するなどの効果がみられています。

また、慢性心不全の患者さんの場合には、CPAPによる治療を受けた人の方が、受けていない人よりも生命予後が良好であるという研究結果があります。

一方、心不全に対する治療を行うと、中枢型睡眠時無呼吸症候群の症状が改善する可能性があります。

【参考情報】
『CQ.29 CPAPの使用時間』睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020
https://www.jrs.or.jp/publication/file/guidelines_sas2020.pdf

『CPAP machines for sleep apnea could decrease heart failure risk』American Heart Association
https://www.heart.org/en/news/2018/07/12/cpap-machines-for-sleep-apnea-could-decrease-heart-failure-risk

5.おわりに

睡眠時無呼吸症候群と心不全には深い関連があり、適切な治療を受けることによって、それぞれの病気による症状を改善したり、合併症を防ぐことができます。

「激しいいびき」「昼間の強い眠気」などの症状がある方は、睡眠時無呼吸症候群の検査ができる病院を受診してください。必要なら治療を受け、心血管疾患を予防しましょう。

心臓の病気がある方で、「ぐっすり眠れない」「睡眠中の呼吸が苦しい」と感じている方は、主治医に相談してください。場合によっては、呼吸器内科医が連携して治療にあたることもあります。

◆横浜市で呼吸器内科をお探しなら>>

電話番号のご案内
電話番号のご案内
横浜市南区六ツ川1-81 FHCビル2階